北村匠海と中川大志、役を奪いあい切磋琢磨してきたふたりが語る「宿命」 映画『スクロール』完成披露舞台挨拶レポート
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左から、北村匠海、中川大志 映画『スクロール』完成披露舞台挨拶
1月19日(木)、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン7にて映画『スクロール』完成披露舞台挨拶が行われ、同作キャストの北村匠海、中川大志、松岡茉優、古川琴音、監督・脚本・編集を担当した清水康彦氏が登壇した。
『スクロール』は、YOASOBI「ハルジオン」の原作者としても知られる橋爪駿輝氏が2017年に発表したデビュー小説を映画化した作品。『CUBE 一度入ったら、最後』や『MANRIKI』などの清水康彦監督がメガホンをとり、米津玄師など多数のMVを手がけてきた川上智之氏が撮影監督を担当。『サバカン SABAKAN』で監督デビューを果たした金沢知樹氏と、ナイロン100℃/劇団コノエノ!の木乃江祐希らが脚本を手がける。
学生時代に友だちだった“僕”とユウスケのもとに、友人の森が自殺したという報せが届く。就職はしたものの上司からすべてを否定され、「この社会で夢など見てはいけない」とSNSに想いをアップすることで何とか自分を保っていた“僕”と、毎日が楽しければそれでいいと刹那的に生きてきたユウスケ。森の死をきっかけに“生きること・愛すること”を見つめ直す二人に、“僕”の書き込みに共鳴し特別な自分になりたいと願う“私”と、ユウスケとの結婚がからっぽな心を満たしてくれると信じる菜穂の時間が交錯していく。
本作では、北村匠海と中川大志がW主演。北村が就職はしたものの上司からすべてを否定され「この社会で夢など見てはいけない」とSNSに想いをアップすることで何とか自分を保っていた“僕”、中川が「毎日が楽しければそれでいい」と刹那的に生きてきたユウスケをそれぞれ演じる。また、松岡茉優がユウスケとの結婚がからっぽな⼼を満たしてくれると信じる菜穂役、古川琴⾳が“僕”の書き込みに共鳴して特別な⾃分になりたいと願う“私”役で出演している。
イベントに登壇した北村は、「“僕”という役名は今回でおそらく3回目」と明かしながら、「“僕”という役を演じるたびに、俯瞰的な感覚を持っていないといけないと思う」とコメント。さらに「“僕”という役は自分自身のことでもあり、清水監督でもあるという瞬間のある役。現場では監督と会話しながら作り上げていきました」と、役作りにも言及した。
ユウスケ役の中川大志は「“僕”とユウスケは同じ人物像を二つに分けたかのように、繋がるところが沢山あった」「ユウスケはテレビ局員として派手に見えるけれど、自問自答が多いキャラクター。孤独で繊細な男です」と自身の役柄を分析。
菜穂役の松岡茉優は「色々なリミットを自分で決めていて、そのせいで視野が狭くなっている」とキャラクターの心理を紹介しつつ、「でもこの物語の中ではそんな菜穂の性格を拒絶するように描くのではなく、彼女の持つ本当の気持ちなどを清水監督が大切に描いてくれました」とコメント。“私”役の古河琴音は「“私”は自分らしさとは何かをわかっている人。今の時代それは凄いことだと思います。演じる中で“私”のパワーをお裾分けしてもらっていました」と明かした。
大勢の観客を前に緊張気味の清水監督は、北村から「打ち合わせの時に『頭が真っ白』と言っていた」といじられつつも、「1カット目に注目して観てほしいです」とコメント。すると、北村も「確かに1カット目はヤバい!映画史に残ります!」と胸を張り、「夕方6時から撮影準備が始まり、終わったのは早朝だった」と、撮影秘話を明かした。すると、中川も「1テイク目を撮影したのが朝4時とか。寝ている録音部の女性を起こしながら撮りました」と振り返る。北村は「そういう人もいるよね!」と笑いつつ、「でもまったく苦ではなかった。まさに名シーンで御座います」と胸を張っていた。
左から、清水康彦監督、古川琴音、北村匠海、中川大志、松岡茉優 映画『スクロール』完成披露舞台挨拶
イベントでは、タイトルにちなんで「スマホで”スクロール“して見返したくなる写真」エピソードをそれぞれが発表。スマホであまり写真を撮らないという北村は、「ちょっと思い出がなさすぎるので今年から撮りたい」と、スマホ撮影を2023年の抱負として挙げつつ、「見返したくなるからではなく、こっぱずかしくてスクロールしたくなるのはスマホのメモ帳です。自分の思ったことをメモ帳に書いているけれど、二度と見返したくない。そのメモ帳を撮影中に監督と見せ合ったりしたけれど、お互いの裸を晒しているような気になった」とを明かしていた。
スマホで写真を撮りまくるという松岡は「機種変をしてもデータフォルダは入れるので、写真は3万枚くらいあります」と告白。また、松岡は北村との長い付き合いにも言及。「最初に出会ったのが中1くらいの北村。私は高1くらい。その当時の北村の写真もありますよ。前髪が眉毛あたりで揃っていて……可愛かった~!それをお見せしたい。北村と共演するたびに“可愛いなあ”とスクロールする。寝顔もあります!」と明かす。これに北村は「それはマズいな……」と赤面。北村は「僕の知り合いで“北村”と呼ぶのは彼女だけです」とも。北村の秘蔵写真について、松岡は「北村が30歳くらいになったら許してくれると思うので、その時に大公開したい!」と声を弾ませていた。
古川がスクロールして見直したいという写真は、「実家で飼っている2匹の猫が子猫だったとき」とのこと。中川は「引っ越しの際に内見したときに撮ったまっさらだったころの部屋の写真を見返します。それを見て、何もなかったのかこの頃は……と思って初心に帰る」と明かしていた。
また、同じ事務所に所属し、小学生の頃から切磋琢磨してきたという北村と中川が、互いの存在について語る一幕も。中川は、「匠海と出会ったのは小学校4年の頃で、匠海は小学校5年生。同じ事務所で一緒に演技レッスンをして、その後に一緒にファミレスに行ったりして、その頃からの仲。10代のころはオーディションに行くと必ず匠海がいて、同じ役を奪い合ったりして、それを繰り返してきました」と回想。さらに、「そんな匠海と20代半ばで同じ映画でW主演できたのが感慨深く、思い出深い作品になりました」としみじみ。北村も「“僕”とユースケは表裏一体。小さいころからの仲間である大志とW主演という形で共演するのは宿命であり、それがこの作品で良かったと思います」と想いを明かし、「この映画は皆さんの物語であり、どこかにいる誰かの物語。そんな視点で観ていただければ嬉しいです」とアピールしていた。
『スクロール』は2月3日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。