ミュージカル『SPY×FAMILY』初日会見レポート~フォージャー家大集合、そして自由すぎる4人のアーニャ

2023.3.9
レポート
舞台

後列:唯月ふうか/森崎ウィン/鈴木拡樹/佐々木美玲 前列:池村碧彩/井澤美遥/福地美晴/増田梨沙  製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

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2023年3月8日(水)~3月29日(水)東京・帝国劇場を皮切りに、兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール、福岡・博多座にて上演される、ミュージカル『SPY×FAMILY』。遠藤達哉原作による累計発行部数2,900万部突破の超人気コミック「SPY×FAMILY」(集英社「少年ジャンプ+」連載中)は、「スパイ&超能力者&殺し屋が互いの秘密を抱えたまま仮初めの家族になる」というユニークな設定とスタイリッシュでキュートなキャラクターたち、シリアスとコメディが絶妙にブレンドされた世界観、巧妙なセリフ回しとアクションとギャグを織り交ぜたストーリーテリング等により、連載開始直後から閲覧数・コメント数・発行部数における「少年ジャンプ+」最高記録を次々と更新し、読者の圧倒的な支持を獲得。テレビアニメ化に続き、このたび満を持して初ミュージカル化された。原作・遠藤達哉による描き下ろし「初ミュージカル化 お祝いイラスト」が使われたグッズも販売される。脚本・作詞・演出はG2、作曲・編曲・音楽監督は かみむら周平が手掛ける。

東京公演初日の3月8日(水)、“ちち(父)”ロイド・フォージャー役の森崎ウィン・鈴木拡樹(Wキャスト)、“はは(母)”ヨル・フォージャー役の唯月ふうか・佐々木美玲(日向坂46)(Wキャスト)、ロイド・フォージャーこと<黄昏>の養女でテレパシー能力の持ち主であるアーニャ・フォージャー役の池村碧彩・井澤美遥・福地美晴・増田梨沙(クワトロキャスト/交互出演)が舞台衣裳で囲み取材に応じた。ミュージカル『SPY×FAMILY』がいよいよ初日、そして世界初演を迎えるにあたり、フォージャー家のメインキャスト8名が、公演にかける意気込みを語った。
 

舞台袖からアーニャたちの歓声が漏れ聞こえる。そして増田梨沙が佐々木美玲(日向坂46)に、福地美晴が鈴木拡樹に、井澤美遥が森崎ウィンに、池村碧彩が唯月ふうかに、それぞれ手を引かれて、フォージャー家の8人が登壇。

まずは「今日この後、初日を迎えるにあたって、気持ちを色に例えると?」という質問から始まった。

凄腕スパイで〈黄昏(たそがれ)〉のコードネームを持つロイド・フォージャー役の森崎ウィンは「白」と答えた。その心は、「お客様と一緒に作る舞台です。本日幕を開け、ここから5月末まで走り抜けていき、白がどんな色に染まっていくのか僕自身も楽しみ」と、初演・初日ならではの気持ちを語る。

森崎ウィン

同じくロイド役の鈴木拡樹は「春色」と答え、「春はおめでたい進学のシーズン。(このミュージカルは)アーニャも入学するという話で、この時期にぴったりな作品になっている」と、春と作品を融合した。

鈴木拡樹

殺し屋で〈いばら姫〉のコードネームを持つヨル・フォージャー役の唯月ふうかは「赤茶」で、「曲がジャジーな感じでとてもカッコ良く、照明も相まって茶色のイメージなんです。そこにヨルさんのカラーである赤を混ぜてみました」。

唯月ふうか

同じくヨル役の佐々木美玲(日向坂46)は「ちょっとずるいんですけど」と前置きし、「虹色」。「今日初日を迎え、毎日やっていく中で、いろんな色になって、パッと明るくなれればいいな」。

佐々木美玲

いずれの答えにもアーニャ役の4人が「すぱらしい(素晴らしい)!」と大はしゃぎで拍手していたのがほほえましい。アーニャたちは前列にいるのだが、後列の大人キャストが回答している間、報道陣に背中を向け、答えている人に反応する。好奇心旺盛で、何にでも首を突っ込むアーニャそのものだ。

そんなアーニャ役の4人、池村碧彩の回答は「水色」。「今ここに青いライトがあって、(今着ている)衣裳も水色。あと、たくさんの人が元気になれる、頑張ろうって気持ちになれる(色だ)から」と答えると、大人キャストたちが「癒されるね」と、さっそく笑顔になった。

池村碧彩

井澤美遥は、佐々木と同じく「虹色」を挙げ、「みんながニコニコになれるように虹色にしました」と答えると、大人キャストたちも「素敵だね」と同意。

井澤美遥

福地美晴は「私も虹色です」と答え、「オーケストラの人たちと、舞台の上にいるみんながキラキラしているから、早くお客さんに観てほしい」。

福地美晴

増田梨沙は「黄色」を挙げ、「ワクワクな気持ちとアーニャの元気な感じが黄色」と答える。ここでもアーニャたちがお互いの答えに「すぱらしい!」と讃え合いながら、元気にぴょんぴょん飛び跳ねていた。

増田梨沙

8人はそれぞれ違う舞台衣裳で登壇している(衣裳:十川ヒロコ)。キャスト自ら衣裳の説明をするにあたって、1人ずつ前に出て、一回転して答えることになった。トップバッターの森崎がまず一周し、サービスで逆回転もして場を笑わせる。

ロイド役・森崎の衣裳は、第二幕でフィオナが登場し、その回想シーンで2人が一緒にミッションを行っていた際の戦闘服だ。いわゆる腰パン状態になっているが、「早替えのために(下に)重ねて着ているので、今はブカブカです」。

森崎ウィン

鈴木も登場して一回転するが、森崎が「逆(回転)も絶対!」、アーニャたちも「ウワー!」と盛り立てる。鈴木の衣裳は、ロイドが仕事ではなく普段の部屋着として着ているもので、「ヨルさんの大事な弟(ユーリ)を迎える時にも着ている。普段はこういう感じでヨルさんと一緒にリラックスして過ごしていますよ、というアクセントで取り入れられています」と説明する。

鈴木拡樹

ヨル役・唯月の衣裳は、第二幕のイーデン校受験時に、三者面接で着ている洋服だ。「そのシーンから、少しずつ母親としてしっかりしなくちゃ、という自覚を持つために、参観日の母っぽい、カチッとしたワンピース」なのだという。

唯月ふうか

佐々木の衣裳は、イーデン校受験の面接までのところで着ているもので、「ボタンが、いばら姫(ヨルの殺し屋としてのコードネーム)のトレードマークになっていて、ふうちゃん(唯月)の着ている衣裳にも同じボタンがついている。ぜひそこにも注目していただけたら」と、衣裳の細かな遊び心に触れた。

佐々木美玲

アーニャ役・池村の衣裳は、フィオナがフォージャー家を訪問するシーンで「アーニャきかんー」と帰宅した際のもので、「水色のコートは色が綺麗、マフラーは本当にふわふわで、猫ちゃんの尻尾を触っているみたい」とウットリ。

池村碧彩

井澤の衣裳は、“ちち”と“はは”と一緒におでけけ(おでかけ)する時のもので、「リボンのところが可愛くてお気に入りです」。

井澤美遥

福地の衣裳は、イーデン校受験時のもので、「お気に入りのポイントは、(劇中で)とある銅像に敬礼をするところです」。

福地美晴

増田の衣裳は、(イーデン校受験時に)ドブにはまった少年が出てきて、服が汚れて着替えをし、三者面接で着ている服、とのことで、「お気に入りは、この特徴的な赤いリボンです」と語った。

増田梨沙

ロイドとヨルはWキャスト、アーニャはクワトロキャストである。同役でのお互いの呼び名と、複数キャストで良かったと思うエピソードが登壇者8人に求められた。

まずはロイド役。森崎は鈴木を、「ヒロキくん」と呼んでいるそう。先輩である鈴木が演じているのを見て、もらえるものがたくさんあり、何よりも舞台稽古などでの変更点を丁寧に伝達してくれるそうだ。「カンパニー全体を見てフォローしてくれる。芝居だけでなく、座長としてのあるべき姿、役者としての現場のあり方が勉強になる」と熱弁する森崎に、鈴木は「素敵な言葉を贈ってくれて……」と照れくさそう。

そんな鈴木は森崎を、「ウィンくん」と呼ぶ。「Wキャストで、2人で一緒に作り上げてこられた。時間は2分割になってしまうが、一緒の役をやることで埋められた。舞台には個々で上がるけれども、気持ちは一緒。またどこかで共演できたら嬉しいね」と優しく語る。

ヨル役の唯月は、「私しか呼んでいない名前」と考え、佐々木のことを「みれたん」と呼ぶ。「みれたんは、いるだけで空気清浄機のような、綺麗な心を持っている。毎日癒しをもらっていました」。

佐々木は唯月を「ふうちゃん」と呼ぶ。ミュージカル初挑戦の佐々木は、メイクのこと、役柄のことなど唯月からアドバイスをもらい、支えてもらったという。自信がない時も、「みれたんらしく頑張ったら素敵だから」とメッセージをくれたそうだ。

アーニャたちの呼び名は、池村・井澤・増田はそれぞれ本名をもじったものだが、福地だけ「けんしん」と呼ばれている。その理由を福地は、「上杉謙信が大好きだから、謙信って呼んでもらっています!」と誇らしげに明かす。クワトロキャストで良かったことは、「休憩中に折り紙で携帯を作って、遊びで記念写真を撮ったりしている(「もしもし~?」など、再現するアーニャたち)」「鬼ごっこ(「オーディションでもやったよね~」と思い出話に花が咲くアーニャたち)」「ボンドマンとハニー姫ごっこ(「ボンドマン、助けに来て~」と演じだすアーニャたち)」。大人キャストと違い、遊びの話オンリーだ。のみならず、なぜか急にハグし合ったり、お喋りしたり飛び跳ねたり……4人が自分たちの世界に入り込むあまり、報道陣はアーニャの後ろ姿を見せられることのほうが多い。そんな自由なアーニャたち、とにかく「この4人でよかった」と、すっかり仲良しの様子だ。

ミュージカル『SPY×FAMILY』は、2023年3月8日の帝国劇場を皮切りに兵庫・福岡で5月21日まで上演される。上演時間は2時間55分の予定(多少前後する可能性あり)。

森崎は「素晴らしい原作、日本発のオリジナルミュージカルとして、世界へ向けたものだと思っています。最後まで、応援よろしくお願いします」。鈴木は「アニメ文化は日本が誇る、海外に通用するコンテンツ。世界に、皆さんのもとにしっかり届くといいなと思っています。『SPY×FAMILY』、この名前を覚えて帰ってください」と締め、初日会見ミッションをクリアした。登壇時と同じく、“ちち”と“はは”に手を引かれて帰っていくアーニャたちは「あざざました(ありがとうございました)!」「観に来てくださ~い!」と、最後までしっかりアピールを忘れなかった。

後列:唯月ふうか/森崎ウィン/鈴木拡樹/佐々木美玲 前列:池村碧彩/井澤美遥/福地美晴/増田梨沙  製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

取材・文=ヨコウチ会長

公演情報

ミュージカル『SPY×FAMILY』
 

製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社


■CAST(出演者):
ロイド・フォージャー(凄腕スパイ:コードネーム〈黄昏(たそがれ)〉:
森崎ウィン/鈴木拡樹 *Wキャスト
 
ヨル・フォージャー(殺し屋:コードネーム〈いばら姫〉):
唯月ふうか/佐々木美玲(日向坂46) *Wキャスト
 
アーニャ・フォージャー(<黄昏)の養女:テレパシー能力の持ち主):
池村碧彩/井澤美遥/福地美晴/増田梨沙 *交互出演
 
ユーリ・ブライア(姉のヨルを溺愛する、東国の秘密警察):
岡宮来夢/瀧澤翼(円神) *Wキャスト
 
フィオナ・フロスト:(〈黄昏〉の後輩スパイ、コードネーム〈夜帷(とばり)〉):
山口乃々華
 
フランキー・フランクリン(〈黄昏〉に協力する情報屋):
木内健人
 
ヘンリー・ヘンダーソン(アーニャが入学を目指す名門イーデン校の教諭):
鈴木壮麻
 
シルヴィア・シャーウッド(〈鋼鉄の淑女〉の異名を持つ〈黄昏〉の上官):
朝夏まなと

 
楢木和也(ドミニクほか)
 
新井海人(コートの男、パーティーの招待客ほか)、大津裕哉(不動産屋、ヘイワードほか)、小倉優佳(研究員、教員ほか)、鎌田誠樹(エドガー、エバンスほか)、栗山絵美(カレン、諜報員ほか)、桑原柊(ナレーション、ブレナンの部下ほか)、柴田実奈(通りがかりの女、諜報員ほか)、島田彩(ミリー、教員ほか)、丹宗立峰(孤児院の院長、スワンほか)、堤梨菜(カミラ、ボンドマンの敵ほか)、LEI'OH(エドガーの手下、イケニエール書記官ほか)、般若愛実(ご近所さん、ハニー姫ほか)、深堀景介(ブレナン、国家保安局員ほか)、福田えり(服屋の店員、ソプラノ歌手ほか)、藤岡義樹(店の人、通信士ほか)、湊陽奈(洋服店の女主人、おばあさん他)、宮野怜雄奈(ひったくり犯、仮面の男ほか)、元榮菜摘(シャロン、諜報員ほか)、山野靖博(チューター、中尉ほか)、ユーリック武蔵(店長の声、ブレナンのボディガードほか)

 
<子役キャスト>
ロイドの幼少期:
齋藤詠真/米本吉之介(Wキャスト)
男子児童:
大澤空翔/齋藤 潤(Wキャスト)

 
■CREATIVES
原作:遠藤達哉(集英社「少年ジャンプ+」連載)
脚本・作詞・演出:G2
作曲・編曲・音楽監督:かみむら周平

 
■会場・日程
 
【東京都】
会場:帝国劇場
公演日程:2023年3月8日(水)初日~3月29日(水)千穐楽
料金(税込):S席15,000円、A席10,000円、B席5,000円
 
<全国ツアー公演>

【兵庫県】
会場:兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
公演日程:2023年4月11日(火)初日~4月16日(日)千穐楽
料金(税込):S席15,000円、A席10,000円、B席5,500円、C席3,500円
兵庫公演に関する問い合わせ先:梅田芸術劇場 06-6377-3800
 
【福岡県】
会場:博多座
公演日程:2023年5月3日(水)初日~5月21日(日)大千穐楽
料金(税込):A席15,000円、B席10,000円、C席5,500円
福岡公演に関する問い合わせ先:博多座 092-263-5555
 
■公式サイト:https://www.tohostage.com/spy-family/
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