国内外で活躍するチェロ奏者たちが華麗な音色を響かせる 東京チェロアンサンブルインタビュー
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(C)Taira Tairadate
国内外で活躍するチェロ奏者たち10人が華麗な音色を響かせる、東京チェロアンサンブルの第14回公演が決定。
東京・紀尾井ホールにて開催される今回のコンサートでは、~SING! DANCE! LOVE!~をテーマに、日本の歌やミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」の組曲などが演奏されるという。今回のインタビューでは、主宰・三宅依子、清水詩織、高木慶太、中実穂、堀沙也香、宮田大の6人に、公演への想いなどを語ってもらった。
――昨年は祈りをささげるようなテーマの選曲でしたが、振り返ってみてどんな印象でしょうか。
三宅:コロナ禍のこともあり、そしてウクライナでの戦争のこともあり……あれから1年が経ちましたが、まだ収まっておりません。
祈りをテーマにした選曲については、普段の私たちを知っている方々からは、もしかしたら「いつもの東京チェロアンサンブルと違うね?」と思われたかもしれません。
ですが、東京チェロアンサンブルとして『祈り』を音楽で伝えられたことは、心から信頼しあえるメンバー全員で取り組むことができたからではないかと感じております。
さらには、「こんなこともできるんだね!」と、チェロアンサンブルの無限の可能性を感じていただけたのではないかと思っています。
一方、祈りの演奏の中で、やっぱり私が楽しんでいる姿を見せることもしなければ、と感じたのも事実です。だからこそ、今年は楽しさに振り切ってプログラムを構成いたしました。
宮田:みなさんからのお声では、「この時期に、この曲で良かった」と言ってくださる方が多かったですね。そして、自分自身の気持ちにも気付かされたコンサートでした。やっぱり、どこか頑張らなきゃ、と気を張っていたところがあったんですね。でもそうやって気を張らずとも、音楽を聴いてみんなで祈って、の気持ちをひとつにするためのルールを作っていこうと感じました。
中:前回のようなレクイエムのようなプログラムって、きっと東京チェロアンサンブルを始めたことの私たちには難しかったことだと思います。私たちはまだまだ道半ばですが、始めた当初よりもみんなの考えていることとかのレベルがすごく高くなっているのを感じました。もちろん、メッセージはいろいろあるのですが、演奏中は音楽に集中しているんですね。その音楽を受け取ったお客さんが、自分の人生や世界の中でのことをイメージしてくださったことが、アンケートからも伝わってきたのが嬉しかったです。私たちの想像を超えて、受け止めてくださっていたと思います。
――昨年の厳かな雰囲気から一転して、今年はとてもワクワクするようなテーマになっていますね。
三宅:前回とはガラッとテーマを変えたいね、とみんなで話したんですよ。コロナも落ち着いてきたし、お客さんに楽しんでいただきたいし、と考えている中で「ウエスト・サイド・ストーリー」はどうかな?という意見がメンバー内から出ました。チェロって、歌えて、踊れる楽器なので、ぜひ皆さんに楽しんでいただきたいです。そして、来年の15回目に向けて勢いをつけるためにも、助走ということで、盛り上げていけるようなテーマにしました。
高木:昨年の祈りからはうって変わって、全く違うものをお届けしたいと思います。コロナ禍を越えて、今まで繋がれなかった部分もありましたが、その分希望をもって、手を取り合ってみんなでやっていきたいという気持ちをテーマに込めています。
清水:公演のあとに必ず反省会をやって、次回のこととかを大真面目に2~3時間話し合うんです。昨年は祈りでしたが、今回はマスクも取れるし、本当にタイミングのいいテーマになりました。「ウエスト・サイド・ストーリー」も2021年に映画になっていて、そういう部分でもすごくいいんじゃないかと感じています。
掘:7月にはブロードウェイのカンパニーが来日して「ウエスト・サイド・ストーリー」が上演されるんですよ。私はミュージカルが大好きなので、個人的にもとてもテンションが上がっています! 私たちらしいカラーの楽しい雰囲気でお届けしたいです。
――「ウエスト・サイド・ストーリー」のメドレーは30分以上の大作になるそうですね。
掘:東京チェロアンサンブルでミュージカルを取り上げるのは「レ・ミゼラブル」に続いて2作品目。「レ・ミゼラブル」は約20分ほどのメドレーでしたが、今回は後半のステージすべて、30分以上を「ウエスト・サイド・ストーリー」にしています。そこもある意味挑戦だと思っていますが、「レ・ミゼラブル」をやっていたからこそ、できる挑戦だと考えています。メドレーの選曲も、もっとたくさん弾きたい曲があったんですが、泣く泣く絞り込みました。アレンジをお願いする際も、この曲は何分くらいで、などかなり細かく指示をさせていただいて、かなりこだわりました。お客様には、あたかもミュージカルを観たかのようなお気持ちになっていただきたいので、存分にお楽しみいただきたいです。
三宅:同じ曲でも、例えばミュージカル上では全員でやっているところと、数人のアンサンブルでやっているところでは、しっかり区別をしていただくようにアレンジをお願いしているので、アレンジャーである小林くんはかなり大変だったと思います。もちろん、小林くんから、ここの曲順は入れ替えさせて、などの提案もありましたし、お任せしている部分もあります。小林くんは11人目のメンバーだと思っていますので本当に頼りにしています。
高木:いつも選曲の時に、メインどころはオペラかミュージカルが候補に挙がってくるんですけど、実は「ウエスト・サイド・ストーリー」は何年も前から候補に挙がっていた作品でした。すごく議論を重ねて、温め続けている作品だったんですね。前回とはガラッと変えよう、となった時に、満を持して「ウエスト・サイド・ストーリー」にしよう!と、割とすんなり決まりました。本当にレナード・バーンスタインは天才だと思います。すごく有名な曲ばかりですが、初めて聴いた人でもその魅力と込められた気持ちが伝わる音楽だと思いますね。今回はメドレーで、いろいろな曲を演奏しますので、どんなサウンドになるのか楽しみにしていただきたいと思います。音もチェロの音域じゃないくらいの音も使いますから(笑)。
――皆さんのこだわりがっどんな音になっているのか、とても楽しみです。にっぽんのうたについては、どのようなものになっているのでしょうか。
中:メドレーで四季をたどるものになっているんですが、三宅さんと本当に膨大な民謡や節唄などを聞きました。数限りなくあって、本当にどうしよう?ってなりましたね。とにかくチェロらしい曲、お客さんも共有しやすいような絶対知っている曲、やっぱり個人的に好きな曲などを選んで、メドレーにしています。また、私たちがチェロじゃない楽器も演奏するので、かなり期待していてください!
三宅:和太鼓や拍子木などを演奏します。監修も打楽器のプロの方をお願いしています。これまでも打楽器を演奏に取り入れることはあって、今回もNHK交響楽団の打楽器奏者である石川達也さんにお願いしました。楽器を借りたり、楽器購入にお付き合いいただいたり、本当にご尽力いただいています。これから石川さんにお願いしてレッスンもしていただくので、しっかりとやっていきたいですね。私たちはチェロアンサンブルですけど、やっぱりちょっとアクセントが欲しい時があって……打楽器だったらできる、と軽く考えているわけではないですが、チェロを置いて自分たちで挑戦できることなので、楽しく取り組んでいきたいと思っています。
宮田:四季折々の曲を演奏することで、みなさんの青春時代ですとか、いろいろなシーンを思い浮かべられるんじゃないかと思っています。これだけ人数がいるので、チェロの音色がサラウンドのように響きますし、チェロの中に打楽器が入ることで、ちょっとスパイスが効いた感じになると思うので、ぜひ楽しんでください。
三宅:評判が良ければ、にっぽんのうたシリーズを第二弾、第三弾とやっていきたいですね。本当に、膨大に曲があるので。
――打楽器にチャレンジした印象は?
三宅:以前、カルメンで打楽器を取り入れた際、レッスンを受けている場所、みんなと練習する場所、ホールのステージと、それぞれで音の感じが変わるので、打楽器を演奏することも含め、音色作りが本当に難しいと思いました。
ホールで演奏してみたら、うるさい!みたいなこともありました(笑)。今回はホイッスルなどもあるので、本当に慎重にしないと……と思っています。じゃないと耳が壊れちゃう(笑)。
中:イメージでは結構できているはずなんですよ。でも、全然できていない(笑)。本当に頑張らないと、って思っています。
――チェロの音だけでなく、打楽器の音にもぜひ注目しておきたいと思います。これまでチェリスト10人でさまざまな挑戦をされてきましたが、これぞ東京チェロアンサンブルだ!と感じる瞬間はどのような時でしょうか。
高木:オーケストラがメインの人だから出る意見、ソロがメインの人だから出てくる意見みたいなのがあって、同じ楽器でも幅広い意見が出てくるんですよ。いろんなジャンルで活躍している人が集まっているから、意見も幅広いんです。最初は、本当にこの選曲で大丈夫かな、成立できるかな、と思っていたとしても、いろんな案が出てくるし、その考え方を受け入れられるような雰囲気もあって……すごく自由なんですよね。そういう自由な発想ができるのは、僕たちならではだと思います。
三宅:満足することなく、お互いに言い合えたり、諦めなかったりすることができる。それって、すごく大事な部分だと私は思いますし、すごく楽しいんですよね。音楽的な刺激もあるし、みんなで食べて飲んで、という時間も楽しいし。そういうバランスの良さは、このメンバーだからこそだと思います。
――来年はいよいよ15回目の節目となります。主宰として、今後の意気込みをぜひお聞かせください。
三宅:実は15回目の演奏会もすでに決まっているんです。来年5月に、なんと東京オペラシティ大ホールで演奏させていただきます! こちらにもぜひたくさんの方々にお越しいただきたいです。ぜひ東京チェロアンサンブルの会員になっていただいて、インフォメーションをお待ちいただければと思います。私たちがコロナ禍の中でも公演を続けてこられたのは、ホールの方や周囲の方の言葉や尽力があったからこそ。やめる、という選択肢がなかったわけではありません。支えてくださった方々への感謝を胸に、20周年に向けてやるべきことをやり、挑戦を続けていきます。ぜひ、楽しみにしていてください。
公演情報
場所:紀尾井ホール
出演:東京チェロアンサンブル〈荒井結 清水詩織 髙木慶太 中実穂 新倉瞳 堀沙也香 三宅依子 宮坂拡志 宮田大 横山桂〉
パブロ・カザルス(arr.小林幸太郎):サルダナ
ガブリエル・フォーレ(arr.小林幸太郎):パヴァーヌ
デイヴィッド・ポッパー:演奏会用ポロネーズ
にっぽんのうた〜四季をめぐる〜arr.武澤陽介)
レナード・バーンスタイン(arr.小林幸太郎):ウェストサイドストーリー〔Medley〕
※未就学児のご入場はお断りしています。
協賛:伸和コントロールズ株式会社 サンワテクノス株式会社 三田精米店
その後、たくさんのお問合せとご希望を頂戴し、メンバーにて調整を重ね、今回収録用に押さえていた2階カメラ席を販売することとなりました。
※当日引換券での販売となります。
※当日席番入りの指定席券と交換の上ご入場となります
●販売先:イープラス https://eplus.jp/tokyo-vc2023/
※ファミリーマート店内端末にて直接購入可能
この機会に、ぜひご検討ください。
■東京チェロアンサンブル会員
ご登録フォーム: https://forms.gle/uxp7AWUoh7bm5zMJ9