廣瀬友祐、シンドバッドの「あのシーン」を熱望!? 『ミュージカル「マギ」-バルバッド狂騒曲-』インタビュー
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廣瀬友祐
『ミュージカル「マギ」-バルバッド狂騒曲-』が2023年6月9日(金)~18日(日)に東京の品川プリンスホテル ステラボール、6月24日(土)~25日(日)に大阪の森ノ宮ピロティホールにて上演される。原作は大高忍による人気漫画。アラジン(宮島優心/ORβIT)とアリババ・サルージャ(猪野広樹)の友情を軸にし、世界各地に突如出現した迷宮に眠る「秘宝」を求め旅する魔導冒険ファンタジー。第二弾となる今作から登場するシンドバッド役の廣瀬友祐に出演のキッカケや意気込みを聞いたほか、読者から寄せられた質問にも答えてもらった。
廣瀬友祐
――熱いオファーを受け、出演が決まったそうですね。
演出の吉谷(晃太朗)さんが自ら事務所へ来てくださって「やってほしい!」と熱いメッセージをいただきました。吉谷さん演出の作品に出演したことはないのですが、アーティスト活動の場面でお世話になったことがあるんです。お芝居要素のある楽曲をライブで披露する際に演出として携わっていただきました。当時はゆっくりお話しする機会はなかったのですが、吉谷さんはそれ以来ずっと気に留めておいてくださったみたいです。オファーをいただくことはとてもありがたく、幸せなこと。これほどまでに熱烈なお話は初めてだったかもしれません。「こんな僕でいいのかな」と思いながらも、僕自身ができることであれば精いっぱい応えたいなという思いにさせていただいた。出演を決めてからは、とてもワクワクしています。
――どんなお話をされたのでしょうか。
前作にかけた思いや、集まったカンパニーの愛を感じるお話でした。お客様に届けるまでの間に僕たちが一番しなきゃいけないことは、精一杯作品を愛すること。より良いものを作りたいと思いながら制作する過程が、ものすごく大事だと思うのです。これは当然できなければいけないことのようで、実はさまざまな事情から難しい場合もあります。コロナ禍以降、しんどい部分が膨れ上がってしまったここ数年は、お客様に対して届けるものや一番大事にしなきゃいけないことを改めて考える日々でした。たくさんの愛を持っている現場に携わりたいなと考えていたときに、こんなにも純粋に「作品を良くしたい!」という思いであふれた作品に出会うことができて嬉しかったです。
――廣瀬さんご自身としては、どんな心境で臨まれますか?
役者として、15周年という区切りに突入する年。僕自身は基本的にジャンル分けをしていないのですが、デビュー作は2.5次元と呼ばれる作品でした。自分のスタートになった漫画やアニメ原作の作品に対して、今だからこそ感じられるものがあるはず。改めて原点を感じたいし、見つけたい。思いっきり飛び込んでみたいです。
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――この後お伝えする読者からの質問にもありましたが、キャストコメントで「身体は鍛えます」とおっしゃっていたのが印象的でした。
シンドバッドといえば、やっぱり登場シーンの印象が強いじゃないですか。とても良い身体をしていらっしゃったので……。展開としては前作の段階ですでに終えてしまっているはずのシーンではあるので、難しいとは思うのですが……僕としてはまだまだ諦めていません! ちょっとでもあの姿をお披露目できる可能性があるのなら、その日を信じて身体を鍛え続けます。
――前作『ミュージカル「マギ」-迷宮組曲-』の映像もすでにご覧になられたとのこと、ぜひご感想を教えてください。
2.5次元と呼ばれる作品を観劇したのは久々でした。映像の使い方などが新鮮でしたし、どこか懐かしさのようなものも感じましたね。ファンタジーではあるけど、ピュアで人間味のある感情がストレートに表現されていました。大人になると気恥ずかしくなってしまう素直な感情を、あの世界観がズバッと届けてくれる。お客様も含め、この作品を愛している人たちの集まりということが伝わってきました。きっと、この作品自体がそういう魅力を持っているのだと思います。
――この取材時点では稽古開始前ですが、シンドバッド役にはどんなアプローチを?
もちろん、このキャラクターを愛している人たちに最大限のリスペクトをもって取り組むつもりですが、僕が演じることでにじみ出るものに役者が演じることへの価値があるとも考えています。できる限り、お客様に求められている要素を取り組みながらも、自分らしい存在感を出せたらいいなと。スピンオフ作品が描かれるほどの人気キャラクターですし、プレッシャーがないことはない。すでにお客様の中にイメージがあり、ビジュアルや声が吹き込まれている分、いい意味でプラスできるような「廣瀬友祐」を載せられたらという目標を掲げています。
廣瀬友祐
――シンドバッドの人物像については、どんな印象がありますか?
憧れを感じますね。僕自身は基本的に自信を持つことができないし、もともと人前に立つことも得意ではなかった。いかに自分自身を騙せるかというところまで作りこまないといけないんです。シンドバッドの場合は、積み重ねを自信に変えていっているじゃないですか。頼りになるキャラクターだし、頼りたくなる。経験値に裏付けされた「この人がいれば大丈夫」と感じさせる信頼感がありますし、自らを信じて道を切り開いていく力があります。
――経験値という点では、今作の座組において廣瀬さんにも期待がかかっている部分でもあるのではないでしょうか。
おそらくそうだと思います。吉谷さんからも直接言われていますし、自分自身が経験してきたもので力になれるものがあるのなら、精いっぱい応えたい。今、自分ができるものすすべてで頑張ってみたいです。ミュージカル『太平洋序曲』でも一緒だったサブマド・サルージャ役の村井(成仁)くんとも話題にしていたんですが、座組では年齢的にみるとおそらく僕が最年長。頼れるシンドバッドのような取り組み方をしなくてはならないので、引き締めていかないといけませんね。
――最年長という立場はあまり経験がない?
ないですね。プリンシパルの中で最年長だった経験はあるんですが、役者全体としても最年長なのは初めてなんじゃないでしょうか。いやぁ、時間の経過は恐ろしいですね(笑)。お仕事を始めた当初は、こんな未来は想像できていませんでした。毎年、自分が役者を続けられていることを不思議に思うこともあります。ここまで続けてこられたことが奇跡です。
廣瀬友祐
――ここからはファンの方からいただいた質問にお答えいただきます。まず「廣瀬さんにとって久々の2.5次元ミュージカルですが、グランドミュージカルとの違いを感じる点はありますか?」。
基本的に、根底にあるものは変わらないと思います。グランドミュージカルの場合は海外の作品を日本上演というケースが多くベースや実績がすでにありますが、2.5次元の場合、原作があるけれどほとんどが新作公演。ビジュアルの原画がすでにあるというのも大きな違いかもしれません。ただ、どちらもお客様からお金をいただき、いい作品を届けようとする土台は同じなので、違いはあまり意識しません。
――続いても、作品への臨み方について。「役作りをする時は、何から着手しますか?」。
難しい質問ですね! 作品によって異なるのですが、今回の『ミュージカル「マギ」-バルバッド狂騒曲-』の場合は、原作を読み込むことから。もともと長い時間をかけて作られてきた原作を、舞台化するにあたって短い時間で凝縮しなくてはならない。原作に込められている要素をより濃く出すための表現を選択していかなきゃいけないので、ストーリーにおいてどういったもので成り立たせていくかということを考えていきます。いただいている台本を読むと原作に忠実な印象を受けたので、今はもっと原作を読み込まなければと思っているところです。そして、今作から新たにカンパニーへ参加させていただくので、まずはキャストの皆さんと仲良くなりたいです(笑)。
――ちなみに、普段は交流を深めるためにどんなことをされていますか?
現場で話すのは好きですね。もしカンパニーで食事の機会があれば嬉しいですが、僕はこう見えてお酒が飲めないんです。シラフでよければ立ち会えます(笑)。座組ではおそらく最年長になるのですが、自ら進んでアドバイスをしていくのはとても難しいこと。求められたら精いっぱい応えたいのですが、今の段階では自分から話をしに行くことができないタイプなんです。もしそういう立場が求められるのであれば、応えられるよう僕自身が成長しなければならないのだろうなと感じています。
廣瀬友祐
――「『身体は鍛えます』のコメントを拝見し、歌声やお芝居はもちろん、シンドバッド姿を生の舞台で拝見するのがとても楽しみです。差し支えない範囲で、どんなトレーニングをされているのか教えてください」。
もしかして、一緒に鍛えてくださるのでしょうか! 僕は基本的に、自分の体重を使う自重トレーニングです。腕立てやプランク、懸垂や体幹トレーニングを主にやっています。ミュージカル『太平洋序曲』で共演した山本耕史さんから、筋トレを教わったんですよ。山本さんはトレーナーの資格を持っていらっしゃるので、大阪公演のときに何人かのキャストとジムで筋トレを教わる日々を過ごしていました(笑)。そのときはベンチプレス中心でしたね。
――こちらも体づくりに関するものが。「本番中、体調管理や気分を上げる点からたくさん摂取したいものはありますか?」。
テンションが上がるのはお肉ですね。疲れたと思ったときはたいていお肉を欲しているので、それでメンタルの調子を上げているのかも。本番中はいっぱい食べていっぱい寝るということを、なるべく心がけるつもりです。
――作品にちなんで「『マギ』のアラジンは冒険をしていますが、廣瀬さん自身が冒険していることは?」。
皆さんそうだと思いますが、今この瞬間も冒険の最中。海外旅行や一人旅、留学なども興味はありますが、今の生活のなかで喜びや刺激、時には恐怖もある。人生、死ぬまで冒険です。もし海外に行くとしたら、ドイツに行ってみたい。絵が好きなので、美術館を巡りたいです。
――パーソナルな質問として「廣瀬さんの謙虚な姿勢がとても好きですが、心がけているのでしょうか? キッカケになった出来事などがあれば教えて欲しいです」という声もありました。
年齢を重ねていってなお、人から愛されたり求められたりする方は、いつまでも謙虚さを持っている印象があって。自分もそうありたいなと思いながら、心がけている部分ではありますね。
――まだまだご質問をいただいていたのですが、残念ながらお時間が来てしまいました。最後に、上演を楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします。
この記事を読んで、廣瀬がシンドバッドを演じることに不安を抱いた方もいるかもしれませんが(笑)、精いっぱい僕にできることをやりたい。前作のカンパニーから引き続き携わられる皆さん、今回新たに参加する方々も素晴らしい人たちが集まっています。切磋琢磨しながら、見に来てくださる方の心に触れられるよう、生だからこそ持つ力に変えて届けたい。僕も楽しみな気持ちでいっぱいですので、お客様もぜひ楽しみにしていただけたらと思います。
廣瀬友祐
取材・文=潮田茗、撮影=福岡諒祠
ヘアメイク=佐々木渚香、スタイリスト=小林洋治郎(Yolken)
公演情報
6月11日(日)17:30公演 登壇者:宮島優心(ORβIT)・猪野広樹
6月13日(火)18:00公演 登壇者:猪野広樹・廣瀬大介
6月14日(水)12:30公演 登壇者:宮島優心(ORβIT)・岡田奈々
6月14日(水)18:00公演 登壇者:廣瀬友祐・山﨑晶吾・吉原雅斗
6月15日(木)12:30公演 登壇者:廣瀬大介・手島章斗
6月25日(日)12:00公演 登壇者:廣瀬友祐・山﨑晶吾・吉原雅斗
アリババ・サルージャ 猪野広樹
カシム 廣瀬大介
ジュダル 手島章斗
ジャーファル 山﨑晶吾
マスルール 吉原雅斗
練紅玉 田中真由
アブマド・サルージャ 町田慎之介
サブマド・サルージャ 村井成仁
脚本・作詞 :浅井さやか
演出 :吉谷晃太朗
音楽 :かみむら周平
振付 :MAMORU
<あらすじ>
その力業により、アリババの口から語られたのは、共に「霧の団」を率いる古き友カシムと過ごした日々とバルバッド王国の王子である自身の出自だった。
@musical_magi(ハッシュタグ #ミューマギ2)
【権利表記】
(c)大高忍・小学館/ミュージカル「マギ」2製作委員会