結成から2ヶ月、神戸セーラーボーイズが初公演『Boys×Voice 306』で描いた、役者を目指す10代のリアルな葛藤
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神戸セーラーボーイズ
6月2日(金)〜4日(日)にAiiA 2.5 Theater Kobeで行われる『神戸セーラーボーイズ SF「Boys×Voice 306」』。SPICEはお披露目会から彼らの動向を追いかけ、本番1週間前に行われた通し稽古にも潜入。今回は初日の公演前に関係者に向けて行われたゲネプロの模様を独占レポートする。通し稽古レポートはこちら
左から田中幸真、中川月碧、崎元リスト、細見奏仁、塚木芭琉、石原月斗、明石侑成、津山晄士朗、髙橋龍ノ介
等身大の悩みや葛藤、成長を描いたストーリー
神戸セーラーボーイズは、ネルケプランニングが主催するオーディションで選ばれた、13〜18歳までの10人の少年からなる演劇ユニット。神戸に根ざし、神戸から発信を続けることで、多くの人々に愛されるグループを目指す。
実際にダンスが得意な中川月碧が、役でもダンス練習を引っ張る
彼らの活動の大きな軸は、クラシカルな原作に新たな解釈を交えて独自の空間を作り上げる「定期公演」と、彼らの内面に寄り添ったオリジナルストーリーを展開する「セミフィクション合唱劇」の2つ。(詳しくはお披露目会レポートにて)
記念すべき初演はセミフィクション合唱劇。第1部は演劇、第2部は合唱パートとなる。
合唱を支える細貝奏(細見奏仁)
あらすじはこうだ。AiiA 2.5 Theater Kobeにて上演される「合唱部の青春ストーリー」を描く舞台のオーディションに合格した10人の少年たち。1人は事情により不参加となるが、残りの9人で舞台を成功させようと皆で気合いを入れる。早速ダンス、演技、合唱の稽古が始まる。しかし、性格や得意分野が違うことで言い争いが起き、分裂してしまう。
合唱でつながる心の交流
兵庫県、某日 オーディション会場。10人の少年がオーディションを受けている。「皆様、お疲れ様でした。結果は後日改めてご連絡いたします」。そして告げられる合格の報せ。「ありがとうございます!」と喜びをあらわにするメンバー。
場面が変わり、合格者の10名が稽古のために初めての顔合わせ。明石田侑(明石侑成)、石川幸斗(石原月斗)、崎フランツ(崎元リスト)、大橋虎ノ介(髙橋龍ノ介)、細貝奏(細見奏仁)が会話を繰り広げる中で、中田颯真(田中幸真)、塚本晴人(塚木芭琉)、摂津士郎(津山晄士朗)、中城碧月(中川月碧)が登場。それぞれ自己紹介を行う。
舞台にかける思いにギャップを感じるメンバー達
ここで奥田頼(奥村頼斗)がサッカーの国際試合で当分参加できないことが中城から知らされる。オーディションに合格したにも関わらず、いきなり稽古を欠席する奥田に憤りを感じるメンバーと、なだめるメンバー。
摂津士郎(津山晄士朗)
稽古のシーンでは、それぞれダンス、演技、合唱が得意な中城、摂津と塚本、細貝がメンバーを牽引。しかし徐々に意識の差が露呈して、稽古を進める中でメンバー間の技術と知識の差が歴然に。何とか稽古を終えるものの、経験値のある人がギャップに戸惑い、お互いへの不満が爆発。やがて対立してしまった。
石川幸斗(石原月斗)
物語は合唱を交えつつ進行。塚本、中田、摂津、石川の4人は、どこからか聴こえる声に導かれて、突如建物内に現れた扉を開ける。そこは一体どこなのか。1人2役を演じるメンバーもいるため、お楽しみに。
合唱を交えて進行
1週間前の通し稽古で注意されていた箇所は修正され、懸念点は解消、しっかりとブラッシュアップされていた。たった1週間でここまで仕上げた彼らの努力が目に見えて、思わず感動した。
高校生はブラウンのセーラー服
第2部は、お披露目会でも披露された松任谷由実の「やさしさに包まれたなら」、演劇パートの劇中でも歌われた合唱曲「マイバラード」、和田アキ子の「もう一度ふたりで歌いたい」、アンジェラ・アキの「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」を披露。ダンスやフォーメーションチェンジも織り交ぜ、ハーモニーを響かせた。後半はダンスの動きも大きくなり、歌声もダイナミックに。約1ヶ月前に行われたお披露目会よりも格段に堂々とした立ち姿と、生き生きと輝く表情。ステージに立つ彼らはとても大きく見えた。「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」の歌詞にある<荒れた青春の海は厳しいけれど 明日の岸辺へと 夢の舟よ進め>というフレーズは、まさに現在進行形の彼らの成長を思わせるようだった。
中学生は青色セーラー服
始動から約2ヶ月、神戸セーラーボーイズの希望と未来が詰まった公演をぜひ目撃してほしい。『神戸セーラーボーイズ SF (セミフィクション)「Boys×Voice 306」』は6月4日(日)までAiiA 2.5 Theater Kobeで開催される。
神戸セーラーボーイズ
取材・文=久保田瑛理 撮影=高村直希
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