ammo「期待は応えるものじゃなくて超えるものだと思ってます」パンパンのO-EASTワンマンで見せた未来への希望
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ammo『道玄坂ギャラクシーロマンスナイト』 2023.06.11(sun)Spotify O-EAST
ソールドアウトと聞いてはいたが、身動きが取れない程の人で埋まったフロアを見た瞬間思わずスゲェと声が出た。6月11日、渋谷Spotify O-EAST。結成5年、派手な仕掛けも宣伝もなくひたすらライブハウスでやり続けてきたバンドが立つ過去最大のステージ。ammoの人気は本物だ。
フロム大阪、ammo始めます――。ボーカルギター岡本優星の名乗りが聞き取りづらいほどの大歓声がフロアを満たす。1曲目「ハート・フル」から「未開封」「深爪」と、ほぼ曲間無しで激しくエモくアップテンポの楽曲が立て続けに投下される。端正な顔を崩さずにギターを搔きむしりマイクに言葉を叩きつける岡本優星。ふてぶてしさ満点で音数の多いベースラインを操りながら激しく動き回るベースコーラスの川原創馬。いかした金髪ウルフカットとしなやかな二の腕でパワフルビートを叩きまくる北出大洋。いきなりの新曲も、ammoらしい直情径行なパンクチューンですんなりセトリに溶け込んでる。4曲やって10分ちょっと。すごいスピード。
岡本優星
「でかいっすね」「でかいね」「気合入ってるってことです。最後までよろしく」
3人のMCは広いステージをほんの少し意識しつつ、かといってやることは変わらない。ammoのすべてを見せるだけ。初めてライブに来る観客に向け、岡本が曲中で「好きにさせてやるから。好きにやって帰って」と言ってのけた「歯形」を筆頭に、中盤のセトリはミドル、アップ、スローを組み合わせてより深く聴かせるモードへと変化する。特に「不気味ちゃん」「寝た振りの君へ」「(emoji)」のスロー/ミドル三連発は圧巻で、ammoの最大の魅力である恋愛詞の切実さが最高に際立つ。岡本の書く恋愛詞は物語だけでなくその場の空気や感情さえも感じ取れるほどリアルなもので、自虐的な程に誠実だったり我儘だったり、好き嫌いや技巧を超えて届く異様なパワーがある。感情の起伏にぴたりと合わせてリズムを変える北出と川原の存在も見逃せない。曲が終わっても拍手すら起きない。誰もがじっと聴き入るしかない。
「期待は応えるものじゃなくて超えるものだと思ってます。精一杯やって帰ります」
川原創馬
音を止めずにチューニングを合わせていた岡本が、後半戦の開幕を高らかに告げる。スローダウンしていた観客が再び激しく動き出す。アップテンポで疾走する「最後は繋がる分かれ道」から「CAUTION」、そして「フロントライン」へ。MCタイムではないはずだが、岡本が曲を止めて語り出す。音楽に夢中だった高校生が、いつのまに音楽を生き方にしていたこと。ライブハウスがきっかけをくれたこと。バンドの将来を揶揄する声をはねのけ、「今パンパンのO-EASTでライブやってます」と誇らしげに叫ぶ岡本に向けられる祝福の拍手。「突風」「星とオレンジ」「これっきり」へ、曲の繋ぎ目もわからないほどノンストップの全力疾走。フロアは熱狂、ダイブの嵐だ。
「もう1時間もやってる。ヤバくないですか」
ぐちゃぐちゃのフロアを気遣う岡本の言葉に「足らん!」と声が飛ぶ。岡本は今年に入って独り暮らしを始めたらしい。慣れない日々の中で感じる他者への感謝と、「音楽で恩返ししたい」という言葉は本音だろう。様々な思いを乗せてライブはいよいよ最終セクションへ。「わかってる」から「ハニートースト」へ、岡本が今日初めてギターソロを聴かせてくれた。技巧よりも感情をたっぷりと乗せたいいソロだ。ここからゴールまでは一直線、超速パンクチューン「包まれる」のエンディングを何度もリピートして盛り上げ、「後日談」のサビでは大合唱、「歌種」はイントロから大合唱、そのまま怒涛のフィナーレへとなだれ込む。短距離走を何本も繰り返して、いつのまにかマラソンの距離を走り切っていたような充実感。「またライブハウスで会おうぜ」。岡本の言葉がはずんでる。
北出大洋
「アンコールなんで、ゆっくり聴いてってください」
90分の全力ライブのあと、アディショナルタイムは肩の力を抜いて「初恋病」「賭け愛」と、ポップな曲を2曲続けて。一礼してステージを下りたものの、鳴りやまない拍手と歓声に呼び戻されたダブル・アンコールは再び熱く激しく、「それでも変われないでいる」ともう一度「包まれる」を歌い切り、2時間近くに及ぶ東京ワンマンは幕を下ろす。リリースタイミングでもツアーでもない東京単発ライブを、コロナ禍では考えられなかったぎゅうぎゅうの人で埋め尽くした意味は大きい。そして終演後、11月の東名阪ワンマンツアーが発表された。ファイナルの東京公演は今日のキャパシティをはるかに上回るZepp Shinjuku。しかしそれはチャレンジではなく必然だ。ammoの歌を求める人が増えているから、ammoはそこへ歌いに行く。ammoは成長し続けている。
取材・文=宮本英夫 撮影=toya
ammo
セットリスト
02.未開封
03.深爪
04.新曲
05.歯形
06.Chill散る満ちる
07.紫春
08.ジュブナイル
09.不気味ちゃん
10.寝た振りの君へ
11.(emoji)
12.最後は繋がるわかれ道
13.CAUTION
14.フロントライン
15.突風
16.星とオレンジ
17.これっきり
18.わかってる
19.ハニートースト
20.包まれる
21.後日談
22.歌種
en.①
01.初恋病
02.賭け愛
en.②
03.それでも変われないでいる
04.包まれる
ツアー情報
11月4日(土)名古屋CLUB QUATTRO
11月5日(日)梅田CLUB QUATTRO
11月8日(水)Zepp Shinjuku
前売り ¥3,500