没入したら、帰れないかも……? 『凱旋・ゲルテナ展』レポート

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2023.7.22
『凱旋・ゲルテナ展』

『凱旋・ゲルテナ展』

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Nintendo Switch版『Ib(イヴ)』の発売を記念した展覧会 『凱旋・ゲルテナ展』が、2023年7月14日(金)から8月7日(月)まで、池袋PARCO 本館7Fの「PARCO FACTORY」にて開催されている。

『Ib』は2012年に発表された、美術館を舞台とした伝説のホラーアドベンチャーゲーム。作中に登場する画家ワイズ・ゲルテナの展覧会を、制作者のkouri氏監修のもとでリアルに再現したのが、この『ゲルテナ展』だ。

入場特典のアクリルスタンドと、オリジナルアクリルジオラマの組み合わせ。可愛い……

入場特典のアクリルスタンドと、オリジナルアクリルジオラマの組み合わせ。可愛い……

これまで大盛況のなか4会場を巡ってきた『ゲルテナ展』も、これをもってグランドフィナーレ。会期終了後は各作品の販売が予定されているため、こんなふうに『ゲルテナ展』を見ることができるのはこれが最後だという。今回は新たな作品、新たな体験ができるゾーンが追加され、展示のボリュームもアップ。まさに “凱旋” の名にふさわしい見応えある展示内容となっている。その魅力のほんの一部を紹介しよう。

ようこそゲルテナの世界へ

花びらが落ちると大変なので、お手を触れないように

花びらが落ちると大変なので、お手を触れないように

エントランスには『Ib』の世界を象徴するような、一輪のバラがそっと飾られている。壁のパネルも、よく見ると白一色ではなくドットで淡く陰影がつけられているのが分かるだろうか。現実とゲームの世界がじわじわと混ざっていくような心憎い演出だ。

エントランスにて

エントランスにて

さらに進むと、キャラクターを思わせる3色のバラを使った祝い花スタンドが! インディー版『Ib』の販売元であるPLAYISMからで、「ゲルテナ展の開催おめでとうございます from PLAYISM」 とのカードが添えられていた。ちなみに赤・青だけでなく黄色も本物のバラで、胸がキュンとなった。

昼下がりの灰色の空の下……

展示風景

展示風景

展示室に入ると、壁にゲルテナ作品がずらりと勢揃い。低く、ゲーム内で美術館のテーマとして採用されていたコレッリの「ラ・フォリア」が流れている。

手前(右から):《月夜に散る儚き想い》、中央:《波打ち際の孤独》、奥:《晴天の彼方》

手前(右から):《月夜に散る儚き想い》、中央:《波打ち際の孤独》、奥:《晴天の彼方》

ゲルテナ作品の中でも個人的にお気に入りの、《月夜に散る儚き想い》を発見。満月と桜の木を描いたロマンチックな作品だ。

《月夜に散る儚き想い》(部分)

《月夜に散る儚き想い》(部分)

アップで見ると、画面の質感はこんな感じ。手描きではなくプリントされたものだが、キャンバスのかすかな凹凸のおかげでしっかり絵としての存在感がある。部屋に飾ったら、ちょっと現代アートみたいでお洒落かも……。

ゲルテナ氏が生前描いた あやしくも美しい作品たち

左:《心配》、右:《習作・単眼の微笑み》

左:《心配》、右:《習作・単眼の微笑み》

展示の中には、ゲームと同様に「?!」と二度見したくなる演出も散りばめられている。とてもさり気なく、気のせいかな? と通り過ぎてしまいそうなものもあるので、視覚・聴覚を研ぎ澄ませて作品に向き合おう。

左:《悪意なき地獄》、中央:《魂を啜る群衆》、右:《隠した秘密》

左:《悪意なき地獄》、中央:《魂を啜る群衆》、右:《隠した秘密》

展示は作品のテーマごとにゆるくセクション分けされている。親しみやすい風景画からスタートして、やがてディープな心象風景を描いたものや、シュルレアリスム的な作品へ。実際の絵画サイズで見ると結構怖い。

展示風景

展示風景

こちらは虫をテーマにした作品を集めたコーナー。アリの絵を見るとつい壁から外したくなるところだが、展示作品にはお手を触れないように。

凱旋展だけのお愉しみ

展示風景

展示風景

さて、ここから先は『凱旋・ゲルテナ展』で追加されたゾーンとなる。壁の作品はもちろん、奥にあるふたつの小部屋も、本展だけの新要素だ。ココは訪れてみてのお楽しみなので、詳しくは紹介しないが、なんと言っても、ここが超見どころなのである。

手前の小部屋では、ちょっと驚くような鑑賞体験が待っている。スタッフさんに「すごいですね!」と感動を伝えたところ、ニヤリと笑って「凱旋ですので、頑張りました」と応えてくれた。

そして奥のカーテンの向こうには、特別な展示空間が。画家ゲルテナが構築した世界に “呼ばれる” 感覚が自然と湧き上がる、美しい空間だ。「絵には心を 作品には魂を」、「ヒトの想いがこもったものには魂が宿ると言われている」と語っていたゲルテナ。画家自身の想いだけでなく、『Ib』の世界を愛するたくさんの人の想いも吸い込んで、これらの作品は本当に、何か不思議な力を得ているような気がした。

お い で よ ゲルテナ展へ

ミュージアムショップ 

ミュージアムショップ 

ミュージアムショップでは、展覧会公式図録や『凱旋・ゲルテナ展』の全展示作品を網羅したポストカードブック・コンプリート版を販売。ほか、ニットアーティストとのコラボトートや、アクリルスタンドの新バージョンなどなど、魅惑的なグッズが多数販売されているので要チェックだ。

『Ib』の舞台となったゲルテナの展覧会へ実際に足を運び、その作品に没入する……。これは“『ゲルテナ展』に行くという行動” のハイレベルなコスプレであり、どこまでが作品でどこまでが現実か、額縁(境界線)を外す行為でもある。深く広がるゲルテナの世界にダイブできるまたとないチャンスを、ぜひ見逃さないでほしい。


文・写真=小杉 美香

イベント情報

Nintendo Switch版『Ib』発売記念『凱旋・ゲルテナ展』
●会期:7月14日(金)~8月7日(月) 25日間
●会場:池袋PARCO 本館7F PARCO FACTORY (東京都豊島区南池袋1-28-2)
●時間:11:00~21:00
※入場は閉場時間の30分前まで
※最終日は18時まで 詳しくは池袋PARCO営業日時をご確認ください。
池袋PARCO公式サイト:https://ikebukuro.parco.jp/
●入場:1,000円(税込)
※小学生以下無料
※凱旋展限定 薔薇の花瓶アクリルスタンドまたはゲルテナ展キービジュアル・アクリルスタンド付き
※なくなり次第終了
※小学生以下のみでの入場不可
●展覧会WEB:https://art.parco.jp/parcomuseum/detail/?id=1240
●主催:パルコ
●協力:kouri/株式会社アクティブゲーミングメディア/PLAYISM
 ※イベント内容は予告なく変更となる場合がございます。
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