ベガス、オーラル、フォーリミらが見せた友情、仲間と『ジャイガ』の存在が突き動かすものーー『OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL』1日目レポート

レポート
音楽
2023.8.23

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『OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2023』2023.7.22(SAT)大阪・舞洲スポーツアイランド 特設会場

7月22日(土)・23日(日)の2日間、大阪・舞洲スポーツアイランド 特設会場にて、『ジャイガ』こと『OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2023』が開催された。今年も春から数々のスピンオフイベントを経て繋がった夏の『ジャイガ』。今年は従来の屋外ステージ(SKY・COAST・SUN STAGE)に加えて屋内ステージの「BASE STAGE」が新設。素晴らしい晴天に恵まれた2日間で合計59組のアーティストが出演、約6万人が来場した。まずは初日の模様をレポートしよう。

会場となる舞洲スポーツアイランドは大阪市此花区に位置する。最寄駅の各線西九条駅からはバスや車で約20〜30分。来場者はシャトルバスやホテル付きツアーを利用して会場に訪れた。

そして今年もジャイガ公式アプリが大活躍。エリアマップやタイムテーブルはもちろん、グッズやフード情報、各場所の混雑状況が逐一更新されていた。ユーザビリティの高いデザインで操作性も抜群。好きなアーティストをお気に入りに入れておくと、ライブの15分前に通知がくるようになっていて非常に便利だった。

さらに今年は混雑緩和のため、LINEアプリを利用した「LINE整理券」も登場。当日販売分のオフィシャルグッズや一部アーティストグッズの事前予約、オフィシャルコラボメニュー購入の際にLINE上で整理券を取得すると、自分の番がきたらLINEで通知がくるため、並ばずにフェスを楽しむことができた。

台湾食堂のDX魯肉飯

台湾食堂のDX魯肉飯

フードの出店が多いのも『ジャイガ』の特徴。フェスの楽しみのひとつであり、熱中症を防ぐためにはしっかり食べて栄養を摂るのも大事だからだ。全エリアでこだわりのフードやドリンクが手に入るのはありがたかった。

SUN AREA側のオーシャンビュースポットでは、プロのライブカメラマンが写真を撮影してくれる贅沢な「スタジオジャイガ」や、人気クリエイターのDAICHI YANAI.とover printによる「STREET ART BOOTH」が設けられ、ライブペインティングも実施されていた。

ステージは全部で4つ。屋外ステージは最大キャパのSKY STAGEとそれに向かい合うCOAST STAGE、海沿いのSUN STAGE。そして今年「おおきにアリーナ舞洲」に新設された唯一の屋内ステージ・BASE STAGE。BASE STAGEはスタンディングエリアの他にスタンド席もあり、空調のきいた室内で休憩しながらライブを見ることもできた。

また会場内を移動する上でとても便利だったのが、最も離れたSUN AREAとBASE STAGEエリアを無料で結ぶLOOP BUSだ。徒歩だと20分はかかる距離を、わずか2〜3分で快適に運んでくれた。

初日はアーティスト同士の繋がりが際立った1日だった。残念ながらCrossfaithがメンバーの体調不良により出演キャンセルとなってしまったが、HEY-SMITH、SiM(彼らは2日目出演だったが)、coldrainからなるTRIPLE AXEや、BLUE ENCOUNT、04 Limited Sazabys、THE ORAL CIGARETTESからなるONAKAMAをはじめ、お互いに対バンしたことのあるバンドなど、親交の深い面々が大集合。Crossfaithを気にかけたり、メッセージを贈る場面が多く見られた。

Mega Shinnosuke 撮影=キョートタナカ

Mega Shinnosuke 撮影=キョートタナカ

O.A.でSKY STAGEの幕を開けたのはMega Shinnosuke。ビートボックスをしながらバンドメンバーと共に登場し「俺のステージは今日出る人の中で1番短いけどさ、ここを盛り上げて皆とは1番長くいようと思うから。よろしく」と気合を見せて「Thinking Boyz!!!」や「Sports」などの代表曲をロックに響かせる。そして「今日はO.A.で短いんだけど、次は……このステージが1番デカいの?じゃあいつかトリで。おなしゃーす」と野望を口にした。4曲という曲数ながら、マスクマンたちと全力で大暴れし、青空の下でパワフルなアクトを見せてくれた。O.A.から大トリへ。2日目の優里に続いて、ぜひその野望を叶えてほしいと強く思った。

ROTTENGRAFFTY 撮影=オイケカオリ

ROTTENGRAFFTY 撮影=オイケカオリ

COAST STAGEのトップバッターに立ったROTTENGRAFFTYは、ライブ定番曲で盛り上げた。「This world」ではNOBUYA(Vo)が「お前らがCrossfaithの代わりに大暴れしてください!」と焚き付けて一層熱を高める。『ポルノ超特急』が『響都超特急』に名称変更することもアナウンスされ「新たな未来を一緒に作っていこう。生きてる声を叫び続けろ」と呼びかけてステージを後にした。

NIKO NIKO TAN TAN 撮影=ヨシモリユウナ

NIKO NIKO TAN TAN 撮影=ヨシモリユウナ

BASE STAGEの2番手に登場したのはNIKO NIKO TAN TAN。5月に行われたスピンオフ『THE BONDS 2023 GIGANTIC TOWN MEETING』でも会場を湧かせていたが、『ジャイガ』本編でもフロアをダンスホールに変身させた。OCHAN(Vo.Syn)は「夏の『ジャイガ』にやっと出演できました」と喜びを口にして、ダンスナンバーを続々と披露。最新曲「Jurassic」ではQueenの「We Will Rock You」を思わせるイントロに続くAnabebe(Dr)の大迫力のビートが全身を震わせる。もっと見ていたいと思うほど中毒性の高いライブで、自身の魅力を存分に伝えた2人だった。

ヤバイTシャツ屋さん 撮影=日吉"JP"純平

ヤバイTシャツ屋さん 撮影=日吉"JP"純平

持ち前の求心力を遺憾なく発揮したのは、昨年初出演できなかったリベンジを果たしたヤバイTシャツ屋さん。1曲目の「無線LANばり便利」から見渡す限りの人々をジャンプさせ、「喜志駅周辺なんもない」ではこやまたくや(Gt.Vo)が「意味わからんタイミングで意味わからんウォール・オブ・デスしたいからやってもらっていいですか?」と言うとぱっくり2つに分かれた観客が一斉にぶつかり合って大騒ぎ。ラストの「かわE」では、神戸・甲陽音楽&ダンス専門学校の学生による総勢14名のジャイガダンサーズも登場し、ステージをカラフルかつ元気いっぱいに彩った。息つく間もなく35分を走り切り、アッパーな空気で満たしたヤバTだった。

PassCode 撮影=ヨシモリユウナ

PassCode 撮影=ヨシモリユウナ

SKY STAGEにはPassCodeが登場。リハではMY FIRST STORYの「虚言NEUROSE」をカバーして観客を歓喜させた。SEが流れるとクラップが発生。バンドを従えて「Ray」から大疾走する。有馬えみりのデスボイス、大上陽奈子のクリーンな歌声と高嶋楓のキレのあるダンス。挑みかかるような眼差しで南菜生が発した「今日の出演者を見て、PassCodeがなぜこのステージに立たされているのかすごく理解しているつもりです。その期待に応える以上に超えたい! PassCodeは休憩時間じゃないんでよろしくお願いします」との力強い言葉には胸を揺さぶられた。直射日光の下、フルパワーで全8曲を堂々と歌いきった4人の姿は最高にカッコ良かった。

ビッケブランカ 撮影=ヨシモリユウナ

ビッケブランカ 撮影=ヨシモリユウナ

海沿いにあるSUN STAGEでは、『ジャイガ』常連のビッケブランカがグッドメロディを響かせた。フェスに出演するため前日までヨーロッパに滞在していた彼は「感情を露わにできるパワフルなところが大阪に似ていた」と話し、「This Kiss」「蒼天のヴァンパイア」「Ca Va?」など美しく力強い楽曲たちを風に乗せて伸び伸びと披露。

またSUN AREAのパームガーデンでは、SNSで運営からの公開オファーで急遽飛び入り参加が決定した、大阪豊中出身のバンド・Bye-Bye-Handの方程式がストリートライブするサプライズな展開も見どころ満載だった。

ALI 撮影=オイケカオリ

ALI 撮影=オイケカオリ

スピンオフイベントにも出演していたALIは「やっと出たかった『ジャイガ』にALIが来ました!(LEO)」と喜びを爆発させ、8人編成のグルーヴィ&ファンキーなステージでオーディエンスを踊らせた。情熱的な歌声とパワフルでセクシーなサウンドに導かれて、フロアにどんどん人が増えていく様子は本当に圧巻だった。

HKT48 撮影=ヨシモリユウナ

HKT48 撮影=ヨシモリユウナ

『ジャイガ』初登場のアイドルグループ・HKT48は、総勢16名の弾ける笑顔と華やかなパフォーマンスで観客を前のめりにするステージを展開。最後の「メロンジュース」では、会場全員を巻き込んだタオル回しで大盛り上がり。まるでオアシスのような30分だった。

HEY-SMITH 撮影=日吉"JP"純平

HEY-SMITH 撮影=日吉"JP"純平

昨年に続き2度目の出演となったHEY-SMITH。「ハロー大阪ー!」と猪狩秀平(Gt.Vo)が叫ぶとホーン隊が一気に火を吹き「2nd Youth」からライブスタート。早くもモッシュダイブの花が咲き乱れる。「Don’t Worry My Friend」の前には「友達のCrossfaithに贈ります! お前の声をあいつらに届かせろ!」と叫ぶ。猪狩は去年も言ったけど、と前置きして「俺ら普段キョードーにお世話になってないねん。大体はお世話してるバンドを呼ぶもんなのよ。俺ら関係ないのに2年も呼んでいただいております! これがどれだけすごいことかわかってほしい!」と熱弁。

HEY-SMITH 撮影=日吉"JP"純平

HEY-SMITH 撮影=日吉"JP"純平

「キョードーに愛を込めて」と披露された「The First Love Song」では猪狩がYUJI(Vo.Ba)の歌を止めて観客にシンガロングを促す場面も。全12曲を一瞬で駆け抜けた6人。ヘイスミによる炎天下の轟音と砂煙は最高のご褒美だ。なおHEY-SMITHは9月に『HAZIKETEMAZARE FESTIVAL 2023』を開催する。

04 Limited Sazabys 撮影=日吉"JP"純平

04 Limited Sazabys 撮影=日吉"JP"純平

自らを「『ジャイガ』の顔」と称していたのは、04 Limited Sazabys。リハから本番さながらの熱気をフロアに降ろし、興奮と熱狂にまみれたライブを展開した。MCでGEN(Vo.Ba)は「元気だなお前ら!」と笑顔を見せ、「俺たちがこんなこと言うのおこがましいし調子乗ってると思われるかもしれないけど、『ジャイガ』めっちゃ良いフェスになりましたね! 1年目から見させていただいてたので、色んなことがあったのもよく知ってますし、今年こういう環境でライブできることを誇りに思います。守ってくれてた皆さんありがとうございます!」と述べて、Crossfaithに向けた「Kitchen」を投下。「Honey」では発生したサークルをHi-STANDARDの「Mosh Under The Rainbowみたい」と喜び、「swim」では「ロックシーンの未来に、皆さんの未来に、Crossfaithとキョードーの未来に光が射しますように!」と願いを込めてラストスパート! ライブキッズたちを熱狂の渦に巻き込んだ。

04 Limited Sazabys 撮影=日吉"JP"純平

04 Limited Sazabys 撮影=日吉"JP"純平

なお、Crossfaithが出演するはずだったSKY STAGEでは、FM802 DJの浅井博章が「Crossfaith縛り」でDJを行い、バンドへのリスペクトと愛情をたっぷり詰め込んだ。ファンもその想いを受け取り、リフトやサークルモッシュ、さらにはウォール・オブ・デスも飛び出して大盛り上がりを見せていた。ぜひCrossfaithには次回以降の『ジャイガ』でリベンジを果たしてほしい。

THE ORAL CIGARETTES 撮影=日吉"JP"純平

THE ORAL CIGARETTES 撮影=日吉"JP"純平

『ジャイガ』初登場にしてCOAST STAGEのトリをつとめたTHE ORAL CIGARETTESの圧倒的な存在感たるや、とにかくすさまじかった。恒例のライブ始めの4本打ちを一糸乱れずキメたフロアに山中拓也(Vo.Gt)は一瞬驚いた顔をして「待っててくれてました?初めてなんすけど、ヤバいフロアって聞いてますけど大丈夫ですか?おい、全員で来い!」と「Red Criminal」から爆弾のようなサウンドをぶち込む。

THE ORAL CIGARETTES 撮影=日吉"JP"純平

THE ORAL CIGARETTES 撮影=日吉"JP"純平

さらにジャンプかヘドバンか『DEAD POP FESTiVAL 2023』で生まれたウォール・オブ・デスか選ばしたるわと言い、「Crossfaithが今日来れてないからさあ、俺的にはウォール・オブ・デスがいいんだけどなあ」と言うそばから2つに割れる人の波を見て心底嬉しそうに笑う。その後は言わずもがなの大騒ぎ。1曲目からこのぶつかり合いだ。異様とも言える熱気は高まるばかり。MCで山中は「去年GENちゃんと俺ら『ジャイガ』出てないねんなーって話してて。多分イベンターの方がその話を聞きつけて一瞬で呼んでくれました!」と感謝を述べて「カンタンナコト」「ENEMY feat.Kamui」などブチ上げアンセムを連投。まだ大トリが残っているにも関わらず、目の前に広がる壮観な景色はさすがの一言。山中は「めちゃくちゃ楽しかった!! ラスベガスまでかましてこい!」と言ってバチバチに滾ったステージを締め括った。

Fear, and Loathing in Las Vegas 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)

Fear, and Loathing in Las Vegas 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)

大トリは今年結成15周年を迎えたFear, and Loathing in Las Vegas。ステージの両サイドに設置された大型スクリーンにムービーが流れると、観客は地鳴りのような歓声を上げる。「Rave-up Tonight」でライブスタートすると、So(Vo)のクリーンボイスとMinami(Vo.Key)のスクリームが炸裂し、特効の炎が勢いよく噴射! フロアはいきなり揃いも揃ったダンスとヘドバンで大熱狂。

Fear, and Loathing in Las Vegas 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)

Fear, and Loathing in Las Vegas 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)

特筆すべきはライブ中スクリーンに流れていた映像演出だ。アー写やMVを元にAIが加工したそうだが、実にハイクオリティで独特の世界観を作り出していた。MCではSoが「大好きなCrossfaithの分まで頑張りたい。Crossfaithが羨ましがるぐらいのライブをするのが1番の薬やと思うんですよ。フルスロットルでいけるか!」と観客を煽動。「Ain’t That So Awesome」ではTomonori(Dr)以外の全員がハンドマイクでステージを駆け巡る。呆気にとられるほど自由度が高く、ラウドでポップでド派手なステージ。

Fear, and Loathing in Las Vegas 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)

Fear, and Loathing in Las Vegas 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)

「Thunderclap」ではMinamiが客席に飛び込み、「Virtue and Vice」では真っ赤な炎と見事なタケノコダンスでどこか呪術的な一体感を作り出す。Soは「フェスのトリをやらせてもらえる機会、これから何回あるんやろう。わからないけど、この夜をすごく大事にしたいんですよ。一生に一度の思い出作って帰れ! 大阪日本一の街やろが! もっと声聞かせえ!」と叫び、ラスト3曲を大迫力で駆け抜けた。「Massive Core」ではステージの背後から見事な花火が上がり、漆黒の夜を鮮やかに彩った。大トリにふさわしい圧巻のパフォーマンスに、数万人の観客は目を輝かせていた。あんなステージを見せつけられたら、9月22日(金)に開催される彼らの日本武道館ワンマンは一体どうなるのか……楽しみでならない。

Fear, and Loathing in Las Vegas 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)

Fear, and Loathing in Las Vegas 撮影=Viola Kam (V’z Twinkle)

こうして1日目の『ジャイガ』は熱狂のうちに終了した。きっと各アーティストの熱い雄叫びが来場者の胸にこだましたに違いない。2日目のレポートもお楽しみに!

取材・文=久保田瑛理 写真=オフィシャル提供(撮影:日吉”JP”純平、ハヤシマコ、オイケカオリ、ヨシモリユウナ、キシノユイ、キョートタナカ)


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(2ページ「BASE STAGE」「SUN STAGE」、3ページ「COAST STAGE」「SKY STAGE」)

>2日目のレポートはコチラ!
「終わりは始まり」3年越しの夢を叶えた優里、マカえん、ユニゾン、sumika、櫻坂らがジャイガの名のもとに共演ーー『OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL』2日目レポート

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