ala Collectionシリーズvol.14は『フートボールの時間』 潤色・演出の瀬戸山美咲、出演の堺小春のコメントが公開
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ala Collectionシリーズvol.14 『フートボールの時間』会見より (前列左より)瀬戸山美咲、おかやまはじめ、堺小春、井上向日葵、近江谷太朗(後列左より)谷川清夏、庄司ゆらの、林田麻里、桜木雅、北原日菜乃
2023年10月より、岐阜・可児市文化創造センターala・小劇場を皮切りに、ala Collectionシリーズvol.14『フートボールの時間』が上演される。先日、記者会見が行われ、潤色・演出の瀬戸山美咲、出演の堺小春のコメントが届いた。
可児市文化創造センターalaでは、ala Collectionシリーズと銘打って、毎年質の高い演劇作品をアーティスト・イン・レジデンスで創作し、可児公演、東京公演、そして全国公演へと作品を発信している。
丸亀高等女学校 (C)香川県立丸亀高等学校
本シリーズ14回目を数える今回は、2018年に開催された第64回全国高等学校演劇大会で最優秀賞に選ばれた丸亀高等学校演劇部による作品『フートボールの時間』を取り上げる。大正時代に丸亀高等学校の前身のひとつ丸亀高等女学校の学生らがはじける笑顔でボールを蹴っている一枚の写真がこの作品の基になっており、約100年前に撮られたその写真から丸亀は「日本女子サッカーの発祥の地」といわれるようになった。今でこそ“なでしこジャパン”として国民から愛される日本女子サッカー界だが、当時の女学生らには良妻賢母になることが求められ、男尊女卑が当たり前だった時代。この物語ではフートボール(サッカー)に魅せられ、活動する女学生たちに対して、「女が足を広げてボールを蹴るなんて、はしたない」と先生や家族、婚約者などから活動をやめるよう勧められ、自分の好きなこと、やりたいことが、ただ女性という理由だけで咎められてしまう。
周りの人々からの度重なる非難によって想い悩みながらも、明るく仲間と共に前へと歩みを進める女学生たちの姿が「観る者」の心を打つ本作。そして、彼女らが見た夢は、100年後の現在、“なでしこジャパン”に代表されるように女性が気兼ねなく取り組める競技として見事に成就する。現在はコロナ禍もあり、差別や偏見から、人を傷つける言葉が飛び交うことも。こんな時代だからこそ、彼女らの姿はあらゆる差別や偏見から抗う象徴として、人々に夢や希望を与えてくれるだろう。ala Collectionシリーズとして、そのことが本作品を取り上げる理由となっているそうだ。作品を通じて、彼女らが見た夢を、より多くの方々に届けていきたい。そして彼女たちのように夢を持って今を生き、未来につなげていきたいという想いが、ala Collectionシリーズにある。
本シリーズは優れた戯曲に焦点を当て、リメイクして再提示する公演企画。今回の潤色・演出を手掛ける瀬戸山美咲は現実の事象を通して、社会と人間の関係を描くことに長けた劇作家だ。高校演劇には1時間という制約があるが、今回はその制約を取り払い、瀬戸山美咲がジェンダーという物語の主軸を大切にし、当時の社会状況や人々の生活に着目しながら、現代へと通じる伏線を盛り込むことで、より重層的な物語として提示していく。
ala Collectionシリーズvol.14 『フートボールの時間』出演者
瀬戸山美咲 コメント
『フートボールの時間』は、丸亀高等学校の演劇部が創作した物語を私たちが潤色して、新しい作品として上演いたします。元となっている高校演劇の作品映像を、稽古が始まる前にみんなで観たのですが、とても魅力的で、エネルギッシュで、そのパワーに圧倒されました。私たちが創作するにあたっては、大人の物語を膨らませて、作品をより深めていくような形で上演出来ればと考えています。大正時代の女子のフートボールを通して、「やりたいことをやれる」、「自分が自分として生きていく」、そういうことが出来る世界を作るということはどういったことか考えていきたいと思います。
そして今回、素晴らしいキャストのみなさんが集まってくださいました。サッカーを指導する先生を堺小春さん、写真師を目指す女性を井上向日葵さん、お二人が物語の軸となり、そして強力な大人の役者のみなさん、おかやまはじめさん、近江谷太朗さん、林田麻里さんが物語を支えてくださっています。女学生役のみなさん、谷川清夏さん、庄司ゆらのさん、桜木雅さん、北原日菜乃さんとはオーディションで出会いました。面白い化学反応が起きて、いきいきとした楽しいアンサンブルとなってます。アーラという劇場は、朝から晩までいろいろな人が、それぞれの目的をもって自分の時間を過ごしに来る、広場のような、とても素敵な劇場だなと思っております。集中して、演劇に向き合える素晴らしい環境です。市民サポーターのみなさんが毎日充実した差し入れをしてくださり、また稽古を見て感想をくださるのも大変励みになっています。この作品を幅広い世代の方にご覧いただき、いろいろと感じていただければと思います。
堺小春 コメント
堺小春
フートボールを女学生に教える井上通子役の堺小春です。この作品は大正時代が舞台となっていますが、女性だからという理由だけでいろいろな自由を奪われて来た人たちがいる時代で、そんな中でも私が演じる通子は、さまざまなことに葛藤しながら、いろいろな人と戦いながら、みんなを明るい未来にしていきたいという強い信念をもった女性だと思います。そんな人を体現出来るよう、日々稽古をしております。滞在制作は、地域で演劇を作る経験が初めてなので、可児市のみなさんにとてもあたたかく支えていただいていると感じます。市民サポーターの方が毎日差し入れをくださったり、無人販売の野菜を売っている方が、毎日野菜や大きいパンをくださったり、可児市が一体となって創っている作品なんだなと身をもって感じます。先日、ジャズバンドのライブをこの劇場で観せていただいた時も、劇場に足を運び集まるお客様が、娯楽をとても楽しんでいるその雰囲気を見て感動しました。『フートボールの時間』も楽しんでいただけたらうれしいです。現代につながるメッセージがたくさんつまっている作品になっていると思います。誰かの背中を押したり、何か行動してみようという勇気をもてる作品に出来るよう、みんなでがんばっていきますので、応援よろしくお願いいたします。
公演情報
『フートボールの時間』
【潤色・演出】瀬戸山美咲
堺小春
井上向日葵
おかやまはじめ
近江谷太朗
林田麻里
谷川清夏
庄司ゆらの
桜木雅
北原日菜乃
<可児公演>
日程:2023年10月18日(水)~22日(日)
会場:可児市文化創造センターala・小劇場
主催:公益財団法人可児市文化芸術振興財団
入場料:一般5,000円 25歳以下2,500円
日程:2023年10月26日(木)~11月1日(水)
会場:吉祥寺シアター
主催:公益財団法人可児市文化芸術振興団
入場料:一般5,000円 25歳以下2,500円
日程:2023年11月7日(火)
会場:丸亀市綾歌総合文化会館・大ホール
主催:公益財団法人丸亀市福祉事業団
入場料:一般3,000円 18歳以下1,500円
日程:2023年11月11日(土)
会場:四日市市文化会館・第2ホール
主催:公益財団法人四日市市文化まちづくり財団
入場料:一般5,500円 18歳以下2,200円
日程:2023年11月12日(日)
会場:豊田市民文化会館・小ホール
主催:公益財団法人豊田市文化振興財団
入場料:一般3,000円 18歳以下Ⅰ,500円
日程:2023年11月16日(木)~17日(金)
会場:佐野市文化会館・大ホール
主催:佐野市
入場料:一般3,000円 学生2,000円
日程:2023年11月19日(日)
主催:公益財団法人さいたま市文化振興事業団
入場料:一般4,000円
公益財団法人可児市文化芸術振興財団 Tel.0574-60-3311