ISAWO BOOKSTORE・オフィスリコ・Acting Spaceが連携し、昭和に起きた実在の事件を元にした4つの作品を同時期に2つの劇場で上演

2023年11月2日（木）～11月15日（水）すみだパークシアター倉・下北沢小劇場 B1にて、『ISAWO BOOKSTORE×オフィスリコ×Acting Space 昭和大事件連続上演「光への道は遠く」』が上演されることが決定した。

本作では、高橋いさをを中心とする演劇ユニットISAWO BOOKSTOREと、舞台の企画・運営を手掛けるオフィスリコと、俳優の田島亮が主宰するActing Spaceが連携して、昭和に起きた実際の事件を元にした高橋いさをの戯曲4作品を同時期に2つの劇場で上演するという試みだ。

高橋いさをは1982年に劇団ショーマを結成し、昭和・平成・令和と日本の演劇界を牽引してきた劇作家・演出家。2018年に劇団解散後、演劇ユニットISAWO BOOKSTOREを旗揚げして、自らの作・演出による作品を上演してきた。今回上演する『獄窓の雪─帝銀事件─』『好男子の行方─三億円事件─』『夜明け前─吉展ちゃん誘拐事件─』の3作品はISAWO BOOKSTOREにて過去に上演された作品で、『あなたはわたしに死を与えた─トリカブト殺人事件─』は新作公演となる。『獄窓の雪─帝銀事件─』『あなたはわたしに死を与えた─トリカブト殺人事件─』では、自ら演出も務める。

『好男子の行方─三億円事件─』『夜明け前─吉展ちゃん誘拐事件─』の演出を務め、『獄窓の雪─帝銀事件─』『夜明け前─吉展ちゃん誘拐事件─』に出演する田島亮は、俳優・映画監督・プロデューサー等幅広く活動しており、今回の連続上演では企画協力としても参加。今年6月に自身のYouTubeチャンネルにおいて『夜明け前─吉展ちゃん誘拐事件─』を映画化（監督：澤口明宏）して公開するなど、高橋いさを作品と向き合ってきた田島亮がどのような演出で舞台上に立ち上げるのか期待が高まる。

出演者は、4作品併せて総勢29名の俳優が集結。各方面で活躍する実力派、個性派揃いの顔ぶれで、実際に起こった事件を通して昭和という時代を振り返り、駆け抜ける。

作・演出：高橋いさを　コメント

この度、Acting Space の田島亮さんとオフィスリコと連携して、「昭和大事件シリーズ」の一挙上演を企画しました。上演する作品は、年代順に『獄窓の雪─帝銀事件─』『夜明け前─吉展ちゃん誘拐事件─』『好男子の行方─三億円事件─』『あなたはわたしに死を与えた─トリカブト殺人事件─』の四本です。若い人にはピンと来ない事件かもしれませんが、いずれも昭和時代に起こり、たくさんの人々の関心を集めた有名な事件です。
わたしがこれらの事件に興味を持ったのは、事件そのものへの興味もさることながら、その事件の周辺にいた人々への興味でした。必ずしも事件の当事者ではない彼らは、その時、何を思い、どのように行動したのか？ 歴史的事実は事実として記録されますが、のような事件の周辺にいた人々に関する事柄は、なかなか記録として残りません。そんな
歴史に埋もれた部分を想像力で捕い、捉えることはとても楽しい作業です。そういう意味では、これらの作品群は、世に知られた有名事件を別の視点で捉え直す「アナザーストーリー」を作り出す試みです。
本作の連続上演により、すでに忘れ去られつつあるこれら昭和時代の四つの事件が、新しい相貌を持って今を生きる皆さんの前に現れることを願っています。

企画協力・演出・出演：田島亮　コメント

唐突ですが、僕はサグラダファミリアという建築物が大好きです。
僕が出会った頃はまだ「永遠に完成しないかも」と言われていました。
ガウディという天才が、現世では完成しえない天才的な設計図を描き、
彼の後を継ぐ天才や労働者たちが目を輝かせて完成への道のりを紡いできました。
僕は演劇とはまさにそういう類の芸術だと思っています。
尊敬する諸先輩方から何を学び、そして何を残していくのか。
その演劇のリレーの中に、隅っこでいいから、僕も立ち会いたい。
この度、僕に演劇を教えてくれた蜷川幸雄さんの劇団にいた銀ゲンタくんからオファーを頂き、俳優養成所時代に使用していたテキストの原作者である高橋いさをさんとの共作を企画し、僕の尊敬する29人の俳優に集まっていただきました。
本当に素晴らしい俳優さんたちで、稽古をしていて感動することばかりです。
皆で一生懸命、演劇の井戸を掘ってみます。
僕自身も数年振りに舞台の演出に挑戦致します。
このような無謀とも言える企画は、人生の中で最初で最後であるかのように思います。
悔いのないよう尽力します。
「昭和の大事件を風化させない」という大義と同じくらい、この「演劇実験」に意義があると思っております。
全力で掘りますので、是非お立ち会いくださいませ。