内野聖陽が11年ぶりの上演となる、井上ひさしの舞台『芭蕉通夜舟』に挑む 松尾芭蕉の俳人としての人生をほぼ一人芝居で描く

2023.11.3
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内野聖陽

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2024年10月、紀伊国屋サザンシアターにて、井上ひさし生誕90年『芭蕉通夜舟』が上演されることが決定した。

『芭蕉通夜舟』は、1983年に初演された井上ひさし作の舞台。この度、主演・内野聖陽、演出・鵜山仁によって11年ぶりに上演される。2019年に上演された舞台『化粧二題』で第76回文化庁芸術祭演劇部門(関東参加公演の部)優秀賞を受賞した三者が、松尾芭蕉を描いた本作で再結集することとなる。

作:井上ひさし

1979年に上演された井上ひさし作の舞台『小林一茶』に続き“俳諧師”を題材に描いた本作は、40年にわたる芭蕉の俳人としての人生を、一人語りを中心に富士三十六景になぞらえて全三十六景で描く。ほぼ一人芝居とはいえ、めまぐるしい舞台転換、さまざまな景(シーン)を支える黒子とも、芭蕉は絶妙な会話を重ね、その人生を彩り豊かにあぶりだす。苦悩する芭蕉がやがて到達した視点を描くだけではなく、人生の豊かさや、その可能性の大きさを伝え、「“人はひとりで生き、ひとりで死んでゆくよりほかに道はない”ことを極めるために苦吟した詩人」と称した芸術家の苦悩を追体験する、井上評伝劇の快作となっている。

演出:鵜山仁

本作は、1983年にしゃぼん玉座3回公演として、木村光一演出のもと、松尾芭蕉を小沢昭一が演じて初演され、2012年には鵜山仁が演出を担当し、芭蕉役を十代目坂東三津五郎で再演。その後も再演を予定していたが、三津五郎の急逝により再演が叶わなかった。そして、井上ひさし生誕90周年となる2024年に芭蕉役に内野聖陽を迎え、待望の上演となる。

なお、本公演は10月の東京に加え、11月に兵庫・愛知などでの上演を予定。

【あらすじ】
1662年春。後の大詩人である松尾芭蕉も、今はまだ料理人として召し抱えられたばかりの詩人の卵である。4年後主君の急死により武士として生きる道を絶たれてしまうが、主君の師匠に見いだされて俳諧の修行を積むことになり、その才能を開花させる。誰よりも早く出世を果たし、売れっ子になっていく芭蕉。しかし、周囲からもてはやされ、金銭的にも恵まれていく日々に、なぜか虚しさを覚える。「私のこの道は、この才能は、こんなことのためにあるのだろうか…」長い苦悶の末、芭蕉はついに自分の人生の意味を見つけ出す…。

 
内野聖陽 コメント

またも一人芝居。いえ、ほぼ一人芝居。前回の『化粧二題』では、見えない透明の劇団員たちが居て、ひとりで演じていても孤独感はありませんでした。でも今回は『人は独りで生き、独りで死んでいくより他に道は無い』ことを極めるために苦吟した芭蕉さんです。聞いただけでも凄まじい人生! 尻込みしそうです。しかし、役者というのも孤独なお仕事です。この作品を読んだときとても共感するメッセージが込められていると感じました。ほぼひとりでで芭蕉の人生を背負うのは怖いけれど、井上ひさし先生の言葉の力、鵜山仁さんの熟練の演出、そして黒子役の若い共演者と共に、芭蕉の人生に食らいついて、挑みかかって、俳諧で道を究めた芭蕉の人生をあぶり出したいと思っております。
面白いことを深く、そして愉快に、そして真剣に、表現していきたいと、期待と恐怖ないまぜの状態の裏で、私の闘志はひそかに育ち始めております。
どうぞご期待ください。

鵜山仁(演出) コメント

『奥の細道』の序文には、「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人也」とあります。芭蕉は旅する、ハイクする、というのが通り相場ですが、この旅は、おそらく人の一生の射程を超えて、月日とともにどこまでも、銀河の果てまでつながって行くはずだと思います。
そんな旅の道案内となるべく、アートがどんな役割を果たせるか、これがやはりわれわれにとっては、大きな関心事です。
今回、内野芭蕉が、40年来の旅のタスキを受け継いで、悠久の旅路の船頭をつとめます。

公演情報

こまつ座 第151回公演『芭蕉通夜舟』

【作】井上ひさし
【演出】鵜山仁
【出演】内野聖陽
小石川桃子 松浦慎太郎 村上佳 櫻井優凛

【公演スケジュール】
東京公演:2024年10月 紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYA
地方公演:2024年11月 兵庫県立芸術文化センター(兵庫公演)
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