楽曲を聴き、ライブを見てグッと来た!将来の“輝き”を確信した2023年のガールズバンド5組を紹介

2023.11.10
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女性メンバーで構成されるバンドを表すのに「ガールズバンド」という言葉が使われることが多い。その響きから、可愛さだったり可憐だったり儚さだったりといった、どこか柔らかいイメージを先行的に抱く人は、今も少なくはないだろう。

けれど、一言に「ガールズバンド」と言っても、一つのイメージでは括ることができないほど、様々な音楽性を持っているバンドがいる。当記事では、2023年に楽曲を聴いたり、ライブを観たりした中で特にグッときた5組のバンドを紹介。それぞれの魅力に迫っていく。

 

Conton Candy

Conton Candy

Conton Candyは、2018年に結成され、2021年から本格的に活動をスタートさせた、東京出身の3ピースロックバンドだ。2023年4月にリリースされた「ファジーネーブル」が、10代・20代を中心にSNSを中心に爆発的人気となったことは記憶にも新しい。

メンバーの平均年齢が20歳ということもあり、恋愛におけるリアルな心情を歌詞に託す、瑞々しさたっぷりの彼女たちの楽曲たちは、同年代リスナーの代弁者であり、心の拠り所的存在になっているのだろう。好きなあの人の話をしたいけど、なんとなく友達にも言えない、この気持ちは自分だけのものにしたい。でも、誰かに分かってもらいたい。曖昧だけれどキラキラと美しく、“若気の至り”なんかではなく、今の自分にとっては絶対的な想い。

Conton Candyは、そうした誰しもが抱く心の揺らぎを丁寧に汲み取りつつ、時に疾走感溢れた明るさで、時にきゅっと胸を締め付ける切なさのあるメロディに乗せて歌う。更にライブでは、その楽曲たちに熱を乗せて鳴らし、感情たっぷりに歌い上げ、聴く人の胸をガツンと掴んでいく。そんな彼女たちは、これから益々多くの人に届いていくはずだ。


 

Bray me

Bray me

中学の同級生で母体となるバンドを結成し、2019年に現体制になって、現在進行形で爆進しているBray me。エネルギッシュなサウンドと、少しハスキーなこたに(Vo,Gt)の歌声。口ずさみたくなるポップさもありつつ、疾走感と迸る熱さがグッとくるメロディは、聴き手の心をギュッと掴んで離さない。

「自分の為の唄などないさ」というフレーズから始まる「魔法のように」然り、Bray meの歌詞は、綺麗事や当たり前を懐疑しながら「自分のことは自分で決める方がいい」というベースを崩さない。誰かのために何かをすることの美しさを理解しながら、聴き手にも、恐らく彼女たち自身にも、自分がどう思い、どう生きていくかを考えることを止めるな、と歌っている。

そんなBray meの曲たちには、背中を押されるというよりも、背筋を正してくれるという感覚を抱く。情報や流行、人との関わり合いの大波が日々押し寄せる生活の中で、こういったメッセージを届けてくれるバンドがいることは、多くの人の支えになると信じている。


 

サバシスター

サバシスター

2022年5月に結成された(メンバー募集の際に活用したツールは、「ジモティー」とのこと)3ピースバンド・サバシスター。同年8月には「出れんの!?サマソニ!?」の選考を勝ち抜き、『SUMMER SONIC 2022』に出演するという躍進を繰り広げるバンドだが、バンド名も去ることながら、彼女たちが歌う楽曲もユーモアに溢れている。

TikTokでも人気を博した「ジャージ」は、メルカリで気に入り、購入一歩手前まで行ったジャージを他人に横取りされたという経験を描いているそうで、「そういえばこないだこんなことがあってさぁ…」という友人会話レベルの話を音楽にしているところもまた凄い。そう言った肩肘張らない生活上の様々な情景を描いたサバシスターの曲は、サウンドの強さやライブでのパワフルさも相まってグッとくるし、この3人で純粋に楽しみながらバンドをやっているんだな、ということがひしひしと伝わってくるのが良い。

「タイムセール逃してくれ」のような疾走感溢れるファニーでポップな楽曲もあれば、1st EP『鯖ノ壱』に収録されている「生活」のようなじっくりと浸れる楽曲もあり、等身大というよりももっと身近で、友人の日常を覗き込んでいるような楽曲で楽しませてくれる彼女たちに注目して欲しい。


 

つきみ

つきみ

福島県いわき市出身の、気合い系ぶっ壊し2ピースギャルバンド・つきみ。このキャッチコピーのごとく、ギャルがかなり気合いの入ったバンドをやっている。まず、アーティスト写真がプリクラなのも、しゅか(Dr,Cho)もそうだが、ににちゃん(Vo,G)の見た目が超ギャルなのも良い。

2022年にリリースした4曲入りEP『オトコ一瞬ダチ一生』に収録されている「ガールズバンド」では、「女の子だから女の子なのに女の子の割にって/ハンデだとか、可哀想だとか/ずるいとかそういうのもういいから/ちゃんと聴いて、心で聴いて?」と歌っているように、日常に潜む様々な偏見や偏った「普通」に対して、真っ向から戦うバンドがつきみだと思っている。

女性だからと甘く見られる現実や、恋愛におけるリアル過ぎる情景をまざまざと歌いながらも、「私は私らしく、楽しんで生きていくことを絶対に諦めない」という強い信念がある彼女たちの激情的なライブは、生々しくて美しい。人を愛したい、誰かに愛されたい、そして自分自身のことも思いきり大事にしてあげたい。誰しもが抱いているだろう人間としての「欲求」を、感じるまま思うままに歌い、鳴らしていくつきみに、きっとあなたもパワーをもらうだろう。


 

キンヨウノヨル

キンヨウノヨル

東京を中心に活動している、2ピースバンド・キンヨウノヨル。オルタナティブロックやシューゲイズなどの様々な音楽性を浸透させつつ、独自のバンドサウンドを追求している彼女たちの魅力は、浮遊感のあるボーカルと、轟音のシューゲイズギター、そして力強いドラムが織りなすコントラストだ。

繊細さと激情が掛け合わさったメロディの上を、文学性の高い歌詞がするりと揺蕩う楽曲たちは、聴く人の感情を揺さぶっていく。分かりやすさや聴きやすさが求められがちな昨今、構成の複雑さをじっくりと手繰り、言葉の意味や宿る意図を探る時間というのは、とても尊いものだと思わせてくれる。

ベースレスだからこそ、ドラムのリズムとギターの融和が光っているし、身体ごと預けられる安心感と、音に溺れるかのような感覚の双方をもたらす。そうした重厚感たっぷりの音楽に浸ることのできるキンヨウノヨルは、ライブで真価を発揮するので、是非ライブハウスで体感してほしい。


文=峯岸利恵

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