大阪・堺に開館、日本で唯一残る江戶時代鉄炮鍛冶の作業場兼住居「井上関右衛門家住宅」が「鉄炮鍛冶屋敷」として公開
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鉄炮鍛冶屋敷の外観
日本で唯一残る江戶時代の鉄炮鍛冶の作業場兼住居である堺市指定有形文化財「井上関右衛門家住宅」が3月3日(日)に、井上家に伝わる資料などを展示する「鉄炮鍛冶屋敷(町家歴史館井上関右衛門家住宅)」として開館する。
鉄炮鍛冶屋敷の内部
堺は、種子島に火縄銃がもたらされた後、日本随一の鉄炮生産地になった。その金属加工技術は、包丁など刃物の生産や、明治以降の自転車の製造にもつながり、現在も堺の主要産業として息づいている。
鉄炮注文図(井上家資料・個人蔵)
江戸時代に入ってから堺に移り住んだ鉄炮鍛冶の井上関右衛門家は、中世以来の特権を持つ芝辻、榎並ら五鍛冶と比べると後発の存在でありながら、鉄炮商いを成功させていった。堺の鉄炮鍛冶は江戶時代後期には全国の約8割もの藩と取引していたが、その中でも井上関右衞門は61もの大名と取引し、堺でもトップクラスだった。
明治14年家相図(井上家資料・個人蔵)
通帳(井上家資料・個人蔵)
そんな井上関右衛門家の住居は、2004年に堺市の有形文化財に指定。これまでの調査では、江戶時代から近代まで約270年にわたり、約2万点以上の古文書などの歴史資料が発見され、日本の鉄炮生産に関する資料としては質・量ともに全国有数のものとなっている。また堺市と関⻄大学の共同研究調査の結果、江戶時代の鉄炮生産は、平和な時代を迎えて衰退したと考えられてたが、武家からの鉄炮受注が江戶時代後期にかけて急増していたことが判明した。さらに、堺の鉄炮生産はかねてより分業で行われてきたが、その実態を示す「通帳」が発見されました。鉄炮鍛冶のものとしては日本で井上関右衛門家にだけ残されている資料となる。
「仕上場」イメージ図
「鍛冶場」イメージ
堺の類いまれな歴史文化資源である貴重な資料や建物を広く周知するため、2020年から井上関右衛門家住宅の保存修理工事や展示制作を進め、鉄炮鍛冶屋敷として開館する。2万点を超える鉄炮鍛冶屋敷に伝わる資料のうち約40点を展示、「みせの間」や「鍛冶場」などの再現展示、鍛冶体験コンテンツなどを通して、堺の地で連綿と続いてきた鉄のものづくりの歴史を知り、「本物のものづくり空間」を体験できる。
あわせて、町家歴史館山口家住宅(重要文化財)と清学院(登録有形文化財)も同日にリニューアルオープンする。3館共通入館券も用意されている。
鉄炮鍛冶屋敷は2024年3月3日(日)13時に開館。
イベント情報
開館時間:午前10時から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
年末年始(12月29日から1月3日)
所在地:鉄炮鍛冶屋敷(町家歴史館井上関右衛門家住宅)
〒 590-0928 堺市堺区北旅籠町⻄1丁3-22
料金:
※中学生以下、堺市の区域内に住所を有する65歳以上の方、障害のある
方と介助の方は無料。(要証明)
問い合わせ先:指定管理者 株式会社パソナジョイナス 090-6751-4300