羽川さん好きの神谷さんが語る『傷物語』の見どころとは!? 阿良々木暦役・神谷浩史さんインタビュー!!
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神谷さんが語る『傷物語』の魅力とは?
いよいよ2016年1月8日(金)より公開となった『傷物語』。『傷物語』、そして『シリーズ』の主人公と言えばこの人! 阿良々木暦役・神谷浩史さんに今の心境や、『シリーズ』において、一番初めのエピソードである『傷物語』の阿良々木暦を今演じる苦労などを伺いました!
なかでも羽川翼(CV:堀江由衣)が好きだという神谷さんが語る、『傷物語』での羽川さんの見どころは必見です! キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード(CV:坂本真綾)もそうですが、『傷物語』は阿良々木くんと羽川さんにとってもその関係性が始まったエピソード。ぜひお見逃しなく!
──まずは、ここまでシリーズが成長したことについての思いを聞かせてください。
阿良々木暦役・神谷浩史さん(以下、神谷):素直に嬉しいと思っています。元々全15話の『化物語』からアニメ化が始まって、その後続編となる『偽物語』が発表された時に、同時に『傷物語』も劇場作品ということで発表されました。当初はそこまでの計画だと思っていたんですけれど、発表から4年の間に、その時間を埋めるように西尾維新先生が描かれた新たな物語も映像化する流れになって、やっとエピソードゼロにあたる全ての“物語”のはじまりがこうして劇場にかけられるというのはありがたいですし、それもこれも作品を受け入れてくださったみなさんのおかげだと思っています。もちろん原作の西尾先生の力も大きいですし、その映像化を一番いい形にしようと一生懸命試行錯誤している、新房総監督をはじめとしたアニメスタッフの努力の結果として、みなさんに受け入れられたということがここに繋がっているとも思っています。
──今回ファイナルシーズンとなる『終物語』と、シリーズでも最初の時系列になる『傷物語』を同時に進行することで苦労などありますか?
神谷:来週は『終物語』の収録はありませんと言われ、来週休みなのかなと思っていたらその代わり『傷物語』の収録が入りますみたいな感じのこともありまして、本当に並列して収録は行いました。なので、物語の結末に至る、もしくは既に終わった過去の物語である『終物語』と、それまでの蓄積がまるでない『傷物語』を同時進行で録るという事態になってしまったんですね。
物語の構成上、蓄積が必要な物語とそうでない物語である以上、一度阿良々木暦というキャラクターの記憶を、自分の中で封印したり壊したりする作業がでてきたのですが、それは多分、これから『傷物語』をご覧になるみなさんのなかでも必要な作業になってくると思います。幸いなことにこのシリーズはもう長い作品になっていて、すべてご覧になっているみなさんにとっては、もはや原作の中で音になっていない台詞でも、もしかしたら僕の声でしゃべるようなイメージが出来上がっていると思うんですよね。何といいますか、みなさんのなかにそれぞれ“阿良々木暦回路”みたいなものが出来上がってしまっているので、それがともすれば『傷物語』を観るうえでは枷になるかもしれないなという思いがあります。
でも『終物語』をやっていてひとつよかったなと思うのが、「友達はいらない、人間強度が下がるから。」みたいなことを平然と言ってのける阿良々木暦少年ですけれど、その理由がわからないまま、ここまでシリーズが進んできたんです。けれど『終物語』で遂にその部分が描かれることになったので、何故そんな発言をするようになってしまったのか、阿良々木暦を作る“傷物語に至る前の要素”を得ることができたので、一回構築してきたものを壊す作業も必要ではあるけれども、それとは別にプラスの要素もありました。なので、4年という歳月がかかってみなさんをお待たせしていますが、その時間が僕にとって無駄だったかと言えば、そんなことはなかったです。
──阿良々木暦を演じるうえで、もっとも大事にしていることはなんですか?
神谷:『シリーズ』は基本的に暦と誰かの会話劇で、セカンドシーズンでは一部のヒロインが語り部となったのでその方程式が崩れている部分はあるんですけれど、そのキャラクターとの距離感みたいなものを気にして、これまで台詞を構築してきたつもりです。それが積み重なっていくと、戦場ヶ原といるときの暦、羽川といるときの暦、八九寺といるときの暦みたいに、それぞれのパターンが出来上がってきて、加えて物語が進んでいくと3人4人と色々なキャラクターといるときみたいに、関係が複雑になっていくんですよね。それでどっちを優先するのか、暦にとって大切なのはどちらなのかみたいな、そういうことって人間誰しも無意識にやっていることだと思うのですが、それを自分の中で明確にすることで、阿良々木暦役というキャラクターを形作ってきたとは思っています。
──シリーズの最初の物語を演じてみて、発見はありましたか?
神谷:これはアニメならではの味付けの部分だとは思うのですが、キスショットとの邂逅シーンが今回の見せ場のひとつになっていて、そこで暦は好奇心が強く働いて恐怖心に勝ってしまう。だからキスショットと遭遇するという描かれ方になっているんですが、それを見た時にああ、思ったより好奇心が強い少年なんだなという印象を受けました。
『終物語』で知ることができた暦のある程度の素性や設定を鑑みると、“警察官”の両親がいるからか正義感がすごく強い。だから、この先になにかが待っている、助けを必要としているかもしれない、みたいな正義感をもって彼は行動しているのかなと。これは『傷物語』の時点で明かされる情報ではないですが、そういった先の物語で明かされる情報を踏まえて暦の行動を見ると、納得できるところがあるなと思っていました。
──神谷さんがこの『シリーズ』で一番印象的なヒロインは誰ですか?
神谷:僕の視点で言うと、どうしても羽川になってしまいます。やっぱり『シリーズ』において羽川の占めるウェイトや、羽川が暦に及ぼした影響は大きいので特にそう思いますね。“つばさキャット”をはじめとして“つばさタイガー”や“つばさファミリー”だったりと、羽川について描かれる記述は結構多いので、より僕の中では印象が強いです。
これは“ MADOGATARI展”のトークショーでもお話したのですが、『猫物語(黒)』において、妖刀・心渡を得た暦がブラック羽川と対峙するシーンの直前に、「同情じゃない」と忍野メメに言い放った、台詞としてだけ見ると最低に見える「僕は下着姿の猫耳女子高生に、欲情しているだけなんだよ」の場面が滅茶苦茶カッコいいシーンだなと僕は思っていて、それぐらい羽川翼という存在が暦の中で明らかに神格化しているんだなと感じられます。もう友情とか愛情とかそういうことを越えた存在になってしまっていて、もはや触れないんじゃないかなと。当然暦自身も好きだとは思いますし、女性として魅力的だということはわかっているんでしょうけれど、もはやそういう存在としてみられない。その隙を突いたのが戦場ヶ原なんですけれど。そういうタイミングの悪いところだったり、不幸な部分も含めて魅力的なキャラクターですね。
──羽川さんが一番印象に残っているとのことでしたが、この『傷物語』はキスショットだけでなく、羽川さんとの出会いのエピソードでもあると思います。そんな神谷さんから見て今回の羽川さんの印象的なシーンはどこですか?
神谷:いやもうオススメどころか羽川は全部が全部可愛いですよ! 可愛い要素でしかできてないので、今回の羽川は。今回僕が苦労した点というか、『傷物語』の阿良々木暦を作る上で必要としたことは、“『傷物語』の時点での暦の印象を大切にしよう”というものでした。原作は大分前に読ませていただいたのですが、その時の印象を大切にするために、原作を深く読み返すということを今回はやっていないんです。台本と照らし合わせて、原作からカットになっている台詞の部分や、カットになっているがゆえに、この台詞ひと言にそのカットになっている部分の意味合いを集約しなきゃいけないんだな、みたいな感じでチェックをしていったので。もちろん原作を丁寧に拾っている部分もあるんですけれど、印象として変わらないように努力しました。
それで、僕が『傷物語』を読んだ時に阿良々木少年に抱いたイメージは、“クールな少年である”“クラスから孤立しているように見える”“不良だと思われている”“誰かと話している姿が想像つかない”、というものだったんです。でも既に、何年間にもわたってヒロインたちとの会話シーンをみなさんご覧になっていますし、特に八九寺とのわちゃわちゃしたやりとりをみていると、とても普通の高校生ではあっても“ちょっと変態よりなのかな”っていう印象が拭えないじゃないですか。でもそれも暦を形作る要素のひとつですし、やっぱりそれがあまりにも印象強くて、どんなに真面目なことを言っていても「またまたぁ」みたいにその印象は拭えないと思うんです。だから、そういうものを壊す作業がみなさんのなかでも必要ですし、僕もそういう作業をしなきゃならないというところに繋がってくるんです。
なので、誰かと話している姿が想像つかないというところを念頭に置いて、暦というキャラクターを作っていくと、当然のことながら、そこに急に話しかけてくる存在として、羽川翼はとても魅力的な女の子として描かれていないと成立しないんですよね。『化物語』が始まる時の、90秒のアバンの部分で『傷物語』のおおよそのストーリーが描かれていたんですが、あの部分の本当に冒頭、“校門の前で羽川とすれ違ってスカートがめくれ上がり、永遠にも思える10秒間がカウントされる”。あのシーンが今回丁寧に描かれているのですが、もう本当に可愛い要素しかないんです、羽川は。
だから、誰かと会話するということにあまり前向きじゃない少年のところに、あれだけ可愛いなにかがポンって来られちゃったら、無下に断れないだろうなって。これは劇場で確認してほしいんですが、“話しかけられた後の暦の行動”は、多分みなさんとリンクするんじゃないかと。
──このシリーズは、見ている人の胸に刺さる台詞がたくさんあると思いますが、今回もその辺りは期待できますか?
神谷:ここが! というよりはもうとにかく全部なんですよ。今回の『傷物語』だけでなくもちろん今までのTVシリーズでもそうでしたが、劇場で上映される作品として本当に一流の物になっているんです。今回の鉄血篇だけで物語が完結するわけではないので、その辺に関しては隙の部分なのかもしれないですが、絶対みなさん満足してくださる、それこそ上映時間の60分強が一瞬のことに思えるほどの濃密な時間になっているので、観て損はしません。どのシーンや台詞も印象に残るような、残ってほしいなと思いながら演じました。
──本日はありがとうございました。
■『傷物語〈I鉄血篇〉』作品概要
高校二年生の阿良々木暦は春休みのある夜、伝説の吸血鬼であり、“怪異の王”キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと衝撃的な出会いを果たす。
まばゆいほどに美しく。
血も凍るほどに恐ろしく。
四肢を失い、痛々しくも無残な伝説の吸血鬼。
ようこそ、夜の世界へ
――全ての〈物語〉はここから始まる。
【INTRODUCTION】
2014年のオリコン作家別売上ランキングにて、第1位を獲得した作家・西尾維新。代表作〈物語〉シリーズは、2009年の『化物語』を皮切りに、監督・新房昭之×制作・シャフト(代表作『魔法少女まどか☆マギカ』)によってTVアニメ化。先鋭的な演出と魅力的なキャラクター造形、原作の文体を忠実に再現した台詞まわしで大きな話題を集め、Blu-ray、DVD全27タイトルが累計出荷枚数200万枚を突破。異例のセールスを記録した。現在『暦物語』までのアニメ化が決定している、まさに2010年代を代表するアニメシリーズのひとつである。今回、劇場作品として公開される『傷物語』全三部作では、シリーズ最初のエピソードが語られる。スタイリッシュな映像とともに描き出される「〈物語〉の始まり」は、多くの観客に衝撃を持って受け止められることだろう。
【STORY】
それは3月25日——春休みのある日のこと。私立直江津高校に通う高校二年生・阿良々木暦は、偶然に学校一の優等生・羽川翼と知り合う。彼女の口から飛び出したのは、最近出没するという「金髪の吸血鬼」の噂だった。普段人との関わりを避けているものの、気さくな翼のことを好ましく思う暦。その夜、暦は噂の吸血鬼と遭遇する。“怪異の王”キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード。金髪金眼の彼女は、四肢を切断され、周囲に血を撒き散らしながら、暦に助けを請う。求められるままに、キスショットに自分の血を与える暦。次に目覚めたとき、彼は彼女の眷属に生まれ変わっていた。戸惑う暦に、キスショットは告げる。「ようこそ、夜の世界へ」と……。
【解説/〈物語〉シリーズとは】
2006年に講談社BOXより発表された第一作『化物語』から、2016年1月刊行の最新作『業物語』までで20巻に達し、またアニメ化作品も2009年の『化物語』を筆頭に、現在までで6作・全75話を数える人気シリーズである。吸血鬼体質となった高校生・阿良々木暦が、“怪異”に悩まされる少女たちを助けるべく奔走する本シリーズは、巻数を追うごとに、ヒロインそれぞれにスポットを当て、より深くキャラクターを掘り下げていく構成が採られている。ほぼすべての作品がシリーズの出発点であり、また阿良々木が“吸血鬼”になった経緯を描く『傷物語』から、わずか1年以内の出来事を描いているというのも、特筆すべきポイントである。
【STAFF】
原作:西尾維新「傷物語」(講談社 BOX)
総監督:新房昭之
監督:尾石達也
キャラクターデザイン:渡辺明夫、守岡英行
音響監督:鶴岡陽太
音楽:神前暁
アニメーション制作:シャフト
製作:アニプレックス、講談社、シャフト
配給:東宝映像事業部
【CAST】
阿良々木暦:神谷浩史
キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード:坂本真綾
羽川翼:堀江由衣
忍野メメ:櫻井孝宏
■公開情報
『傷物語〈I鉄血篇〉』2016年1月8日(金)全国ロードショー
配給:東宝映像事業部
■関連情報
TVアニメ「終物語」Blu-ray&DVD 第1巻 12月23日(水)より発売中
シリーズ最新作「愚物語」(講談社BOX) 発売中
『傷物語〈II熱血篇〉』2016年夏 全国ロードショー
『傷物語〈II熱血篇〉』特典クリアファイル付き全国共通特別前売券&ムビチケ
1,300円(税込) 2016年1月8日より発売決定
>>>>劇場アニメ『傷物語』公式サイト
(C)西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト