劇団四季新作ミュージカル『ゴースト&レディ』取材会レポート
劇団四季『ゴースト&レディ』取材会より (撮影 上原タカシ)
2024年5月6日(月)に開幕する劇団四季の新作オリジナルミュージカル『ゴースト&レディ』。初日まであと1ヶ月となった某日、四季芸術センター(横浜市)にて公開稽古と取材会が行われ、作品の一部が報道陣に向けて公開された。この日の稽古で披露されたのは3曲(3場面)。ミュージカル『ノートルダムの鐘』に続いて四季とタッグを組む演出家のスコット・シュワルツ氏による各シーンの概略説明と本作の振付家、チェイス・ブロック氏の紹介に続き、出演候補者たちのスタンバイが完了したところでアトリエに音楽が流れる。
(撮影 上原タカシ)
(撮影 上原タカシ)
1曲目は第一幕第四場の「国は責任を取れ」~「走る雲を追いかけて」。クリミア戦争の戦場特派員・ラッセルが戦場の惨状を報じ、ハーバート戦時大臣から女性看護要員団の団長に任命されたフローレンス・ナイチンゲール(通称、フロー)が仲間の看護婦(当時の呼称)たちと陸軍の野戦病院に向けて旅立つナンバーだ。ここではフロー役を真瀬はるか、グレイ役を金本泰潤が担った。
(撮影 上原タカシ)
(撮影 上原タカシ)
2曲目は第二幕第四場「裏切りの人生」。それまで明らかにされなかったシアター・ゴースト、グレイの生前の姿が回想として甦る。このシーンでもフロー役、グレイ役はそれぞれ真瀬と金本が担当。また、ナンバーの後半には長きにわたってグレイと奇妙な因縁で結ばれる決闘士、デオン・ド・ボーモン役として岡村美南も姿を見せた。
(撮影 上原タカシ)
最後の1曲は第一幕第八場、すなわち一幕のラストに歌われる「不思議な絆」。この場面ではフロー役を谷原志音、グレイ役を萩原隆匡が担当。野戦病院で行動を共にし、不思議な絆で結ばれ始めるフローとグレイ。夜空の下でそれぞれ互いの姿も見えず声も届かない中、次第に気持ちが近づきその想いが歌となる場面だ。公開稽古は3曲ともシーンが終わるごとにシュワルツ氏とブロック氏が俳優たちに改善点などを伝え、その箇所を小返しして次の場面に移行する流れで進行。終始ポジティブな空気の中、報道陣の拍手とともに終了した。
(撮影 上原タカシ)
公開稽古後は劇団四季代表取締役社長の吉田智誉樹氏、本作の演出家、スコット・シュワルツ氏、フロー役候補の谷原志音、真瀬はるか、グレイ役候補、金本泰潤、萩原隆匡が登壇しての合同取材会が行われ、シュワルツ氏からの「これは壮大かつ複雑なラブストーリー。人を愛することを避けてきたふたりがいかに他者を癒し愛することができるようになるのかを幕開きから終幕にかけてじっくり描いていきます」とのコメントに続き、吉田社長は「『ゴースト&レディ』は劇団四季の理念“人生は生きるに値する”を体現する物語。海外作品だけでなく、オリジナルミュージカルの制作に今後も力を入れていきたい」と決意を語った。
劇団四季ミュージカル『ゴースト&レディ』は2024年5月6日(月)から2024年11月11日(月)までJR東日本四季劇場[秋]にて上演予定。
時は19世紀。ロンドンのドルーリー・レーン劇場には「灰色の服の男=グレイ」と呼ばれる有名なシアター・ゴーストがいた。彼は芝居を愛し劇場に通っていたが、ある裏切りに遭って命を落とした元決闘代理人だ。ある日、彼のもとにフローレンス・ナイチンゲール(フロー)と名乗るひとりの令嬢が現れ、グレイに「私を殺してほしい」と頼む。フローは看護の道こそが自らの使命と考えていたが、家族の強固な反対にあらがえず絶望し死を望んでいた。最初はその願いを拒んだグレイだったが、フローが再び“絶望”した時に取り殺すことを条件に、フローと行動を共にする。世界はクリミア戦争真っただ中。スクタリ陸軍病院に赴いたフローはそこでの惨状を目の当たりにし、状況を改善するため精力的に働く。その姿を見たグレイも彼女を助けるようになり、ふたりはいつしか奇妙な絆で結ばれていくーー。
取材・文=上村由紀子(演劇ライター)
公演情報
■演出:スコット・シュワルツ
■脚本・歌詞:高橋知伽江
■作曲・編曲:富貴晴美
■会場:JR東日本四季劇場[秋]