生誕1250年記念特別展『空海 KŪKAI』奈良国立博物館にて開催中、音声ガイドは斉藤壮馬、祇園辻利とのコラボ商品などグッズも展開

2024.5.3
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6月9日(日)までの期間、奈良国立博物館 東・西新館にて、声優の斉藤壮馬が音声ガイドを務める生誕1250年記念特別展『空海 KŪKAI-密教のルーツとマンダラ世界』が開催中だ。

会場の様子

衆生救済を願った空海は、人々を救うために中国・唐にわたり、そこでたどり着いた密教のすべてを師匠の恵果から受け継いだと言われている。同展では密教がシルクロードを経由し東アジア諸地域、そして日本に至った伝来の軌跡をたどることにより、空海が日本にもたらした密教の全貌を解き明かす。会場では現存最古の両界曼荼羅で、空海自ら制作を指揮した現存唯一の国宝「高雄曼荼羅」が修理後一般初公開される。そのほか国宝28件、重要文化財59件にのぼる密教の名宝により、空海が「目で見てわかる」ことを強調した密教の「マンダラ空間」を再現するとともに、各地で守り伝えられてきたゆかりの至宝を一堂に展示し、空海と真言密教の魅力を紹介する。

第1章 密教とは―空海の伝えたマンダラの世界

国宝 「両界曼荼羅(高雄曼荼羅)」のうち金剛界 平安時代(9世紀) 京都・神護寺[展示期間:5月14日(火)~6月9日(日)]

空海が伝えた密教とは、文字や言葉だけでは伝えられない、深く秘された仏の教えのこと。その教えを説くのは大日如来で、大日如来そのものが世界の真理(正しい物事の道筋、真実)であるとされる。また密教では、心に仏の姿や世界をイメージし、手で「印」をつくり、口で真言(仏の真実の言葉)を唱える。そうして仏と自分が一体となることで、誰もがすみやかに仏になれる(即身成仏)と説く。同章では、密教世界の中心である大日如来とそれを取り囲む仏たち、大日如来の慈悲の世界を示す胎蔵界・悟りと即身成仏への道を説く金剛界という2つのマンダラの世界を、立体的な空間で展示する。

第2章 密教の源流―陸と海のシルクロード

金剛界曼荼羅彫像群(ガンジュク出土)のうち「四面毘盧遮那如来」 東部ジャワ期(10世紀)インドネシア国立中央博物館

密教は仏教発祥の地・インドにおいて誕生した。その根本経典とされるのが『大日経』と『金剛頂経』。『大日経』は、陸路を通って唐に入ったインド僧、善無畏により漢訳され、『金剛頂経』は、海路を経て唐に入ったインド出身の金剛智によって中国・唐にもたらされた。

第3章 空海入唐―恵果との出会いと胎蔵界・金剛界の融合

重要文化財 「弘法大師行状絵詞」 巻第三[部分] 南北朝時代 康応元年(1389) 京都・教王護国寺(東寺)[展示期間:5月14日(火)~6月9日(日)]

讃岐国に生まれた若き空海は正式な出家の前、悩みながら独自に修行を行っていた。その中で、虚空蔵求聞持法という儀式は、空海の世界観を大きく変えたそうだ。この修行は、静かな場所で虚空蔵菩薩の陀羅尼を百万回唱えて供養するというもので、記憶力増進が目的。空海が大瀧嶽や室戸岬でこの修行を行っていたところ、ついに明星(虚空蔵菩薩)が現れ、これをきっかけに完全に世俗を離れ、仏道に専念することを決意したと自身で語っている。その後空海は遣唐使の一員として唐に学ぶ機会を得て唐に渡る。

国宝 「金銅密教法具」 中国・唐(9世紀) 京都・教王護国寺(東寺)

その頃、唐で第一人者だった恵果が空海を見るなり微笑み、「私は以前からあなたが来ることを知っていて、長く待っていた。今日あなたにお会いするに、大変素晴らしい。命が尽きようとしているのに、教えを伝える人がいなかったのだ」と告げ、すぐに教えを授け始めた。そしてたった3ヶ月の間に空海は全ての伝受を完了。恵果は、すぐに日本に帰って教えを広めるよう告げ、亡くなる。師の死去に立ち会った空海は、急ぎ帰国の途に就いた。

第4章 神護寺と東寺―密教流布と護国

国宝 「風信帖」 平安時代(9世紀) 京都・教王護国寺(東寺)[展示期間:4月13日(土)~5月12日(日)]

帰国した空海は神護寺(京都)を拠点に密教の流布を行い、多くの僧侶たちが密教を学ぶようになった。また嵯峨天皇の信頼を得た空海は、平安京の東寺を任され、密教による護国の役割も期待されていく。なお、空海は語学や建築にも通じた天才であったと言われるが書の名手でもあり、この時代の最も秀でた3名(三筆)の一人とも称されている。ここでは、空海の直筆も多数展示される。

第5章 金剛峯寺と弘法大師信仰

「弘法大師坐像(萬日大師)」 室町~安土桃山時代(16~17世紀) 和歌山・金剛峯寺

仏教界において、重要な役割を担うようになっていった空海。その一方で自然の中で心静かに修行し、瞑想したいという望みを持ち続けていた。やがて朝廷の許可を得て、理想の地において金剛峯寺の建立に着手する。

同展ではオリジナルグッズも展開。展覧会と祇園辻利とのコラボ商品や、空海にまつわることわざ「弘法も筆の誤り」から着想を得たストラップ、バックに「孔雀明王坐像」をプリントしたTシャツなど、会場でしか買えないものを用意する。

はイープラスほかプレイガイドにて販売中。

イベント情報

生誕1250年記念特別展『空海 KŪKAI-密教のルーツとマンダラ世界』
会 期:2024年4月13日(土)~6月9日(日)休館日:毎週月曜日、5月7日(火)※ただし、5月6日(月・休)は開館
開館時間:午前9時30分~午後5時 ※入館は閉館の30分前まで(名品展は開館時間が異なります。詳しくは奈良国立博物館ウェブサイトをご覧ください)
会 場:奈良国立博物館 東・西新館
観覧料金(税込):一般 2,000(1,800)円、高大生 1,500(1,300)円
※()内は団体料金
※中学生以下無料
※団体は20名以上
※音声ガイド:1台650円(税込)、ナビゲーターは声優の斉藤壮馬
主 催:奈良国立博物館、NHK奈良放送局、NHKエンタープライズ近畿、読売新聞社
学術協力:高野山大学
協 賛:NISSHA、きんでん、築野グループ、パナソニックホールディングス、非破壊検査
協 力:インドネシア国立中央博物館、陝西省文物局、陝西省文物交流中心、西安碑林博物館、種智院大学、日本香堂、仏教美術協会
展覧会公式サイト:https://kukai1250.jp/
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