『MAGIC HOUR TOUR』で見せた美しくも力強いステージーーSurvive Said The Prophet、9月から全国ツアーも決定
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写真=オフィシャル提供(撮影:toya)
Survive Said The Prophet『MAGIC HOUR TOUR』2024.6.6@大阪・BIGCAT
Survive Said The Prophetによる、東名阪&同年代のアーティストと巡る対バンツアー『MAGIC HOUR TOUR』。その最終公演が、6月6日(木)に大阪・BIG CATで開催された。東京公演にはcoldrain、名古屋公演にはSHANKをゲストに迎え、大阪公演には04 Limited Sazabysが出演。ライブの最後には、約1年ぶりとなる全国ツアー『Survive Said The Prophet JAPAN TOUR 2024-2025』の開催が発表された。ライブバンドとしての勢いを加速させ、同年代で活躍する仲間とともに「MAGIC HOUR」の名にふさわしい、輝き、熱く、美しい景色を見せてくれたステージ。その模様についてお伝えしたい。
会場に集まった観客はSurvive Said The Prophet(以下、サバプロ)のTシャツ&04 Limited Sazabysのタオル姿、もちろんその逆も然りで、2つのバンドの親和性の高さが伺える。ただ、ライブとなれば”仲良しごっこ”なんて必要ない。勝気なステージでフロアを沸かすことは当たり前の礼儀みたいなもので、04 Limited Sazabysは「(サバプロは)刺激を与えてくれる友達で、自分の人生の豊かさの一部になっている。これからも、音楽で遊び続ける仲間でいたい。ケツを叩き合いながら、いつでもこうやってライブハウスで遊べたら。ただ先に進もう!」と、エールを送りつつ、フルスイングなパフォーマンスで会場を盛り上げた。
この日のライブの直前、会場に向かうエレベーターで居合わせたファンが今回の対バンツアーで名古屋公演にも足を運んだらしく、「この前のライブめっちゃ良かってん! 今日はフォーリミと一緒やし、絶対最高やで!」と熱く語っていて、その言葉だけで東名阪限定ツアーとはいえ、メンバーの勢いや脂が乗り切っているのが伝わってくる。Survive Said The Prophetのライブ直前も、サウンドチェックからShow(Dr)のスクリームが轟き、ひとつひとつ音を確認するたびにフロア前方の人口密度が高まり、観客の期待が否応なしに高まっているのもわかる。
そしてついに、Survive Said The Prophetのライブ本番。SEが鳴り、遊園地のアトラクションに乗り込んだ時のようなAIチックなアナウンスが流れ、カウントダウンとともに観客に体を動かす準備を促していく。もちろん、観客は「マジックアワー」が見せる景色に飲み込まれる準備はできている。大きな歓声が沸き起こるなか、Yosh(Vo)が「大阪、見せてくれよ! 世界一の盛り上がり!」と叫び、「Fool’s gold」からフロアを豪快に揺さぶっていく。<かかってこいよ>と挑戦的なリリック、クリーンなYoshのボーカルにShowのデスボイス、ご機嫌なビート。初っ端から楽しい詰め合わせに大喜びした観客が次から次にダイブしていくし、フロア一面が一斉にヘドバンをかます景色も爽快だ。それでもYoshはもっと来いといわんばかりに手をこまねき、ダイブで転がってきた観客と拳を突き合わせたり、その景色に満足げな表情を見せる。
「大阪、次の曲でもついてきてくれるかな?」とまたまたフロアを煽り、次曲「Network System」へ。曲名をコールするだけで歓声が沸き、あっという間にドデカイコールが響き渡る。豪快なビートはひとつひとつ壁をぶっ壊していくような爽快感があって、気付けばフロア前方は組体操かってくらいに人の上に人が立ち、ダイブの波が止まらない。「大阪、ファイナルありがとう。喋ってても音楽にならないから、次の曲やらせて」と「Beauty Queen」へ。Tatsuya(Gt)、Ivan(Gt)の緩急をつけたメロは艶っぽいだけじゃなく情感をしっかりと高めていき、Yoshの歌声に説得力をつけていく。
サウンドはただ激しいだけじゃない。目を大きく見開き、表情豊かに歌うYoshの姿はなんだかディズニー映画のキャラクターみたいで、一挙手一投足から目が離せない。楽曲毎に感情をしっかりと積み上げていくから説得力があるし、オーディエンスを置いてけぼりにするようなステージは見せない。だからこそ誰もが前のめりになってステージに夢中になって見入っている。バックドロップを前に歌う「Win/Lose」では、ひと際大きな開放感に心揺さぶられた。バンドが打ち出す楽曲の世界観に溶けこもうと大きな声で歌い、拳を突き上げるフロアの景色がなんとも美しくって、思わず惚けた表情で眺めてしまった。
MCでは今回の豪華ラインナップがそろった対バンツアーを振り返り、「東名阪だけでフィナーレって言いすぎ? でも大阪で(ライブが)やりたくって。同世代のライブは面白くて楽しくて。またやらないとな」と、次公演へ期待高まる言葉もちらり。
ギターのリフだけでまたフロアの温度が上昇した「Right and Left」。爽快なメロディー、Yoshのネイティブな英詞の歌唱、ご機嫌に躍らせるビート。観客を巻き込むんじゃなく”一緒に作り上げる”サウンドに魅せられ、フロアが大きく揺れる。「S P I N E」でもそのサウンド作りは印象的で、吸引力高いグルーヴに合わせ、観客ひとりひとりの表情をメンバーに報せるように照明がフロアを煌々と照らす。Yoshはステージ前方で屈みこむように歌い、観客ひとりひとりの目を見て歌う。「もっと盛り上がろう!」「良い感じ」、言葉には聴こえないけど、そんな会話を交わしているのかなと思うくらい、彼の表情がコロコロと変わっていくのがとても素敵だ。
ステージ中盤には、「大阪の人を手ぶらで帰しちゃいけないと思って。リリースしていない新曲を持ってきました」と、新曲を披露。タイトルを決める前からファンにいち早く曲を届けたい。そんな彼らの真摯な想いに魅せられ、観客は初聴きにも関わらずあっという間に楽曲の気持ち良いところを瞬時に感じ取っていく。
ライブ後半は「NE:ONE」「Listening」と、ダイナミックさと繊細さを打ち出した多彩なサウンドを打ち出していく4人。観客は曲を重ねるごとに大きな一体感を作り、声で、クラップで応えていき、その光景のあまりの心地よさにYoshは思わず「So beautiful!」と言葉をかけるほど。次曲「Paradox」では、その言葉をそっくりそのまま返したくなるほど、美しくもドラマチックなサウンドを放っていく。「Bandaid」ではShowのデスボイスが炸裂し、Yoshとのクリーンなボーカルとの混じり合いが絶妙! フロアいっぱいのサークルモッシュに加速をあおるように、Tatsuya、Ivanのギターのノイズも加速していく。ヘドバンにハーコーの嵐となった「T R A N S l a t e d」では、平日開催のライブらしく、スーツ姿のライブキッズがダイブする姿も。スーツがグシャグシャになってでも、存分にライブを楽しむ姿は爽快でしかない!
本編ラストは「Mukanjyo」、”無感情”の言葉と相反する大きく感情を揺さぶる3人のコーラス、心震わすリリックに昇華されるように、観客は高く高く拳を突き上げる。「また奇跡が起こる場所で会いましょう!」、『MAGIC HOUR』が見せた美しくも剛毅な景色に魅せられ、大きな拍手と歓声が鳴り響き、ステージは終了。
アンコールでは、今年9月から約1年ぶりとなる全国ツアー開催の嬉しいニュースが飛びだしただけでなく、「大阪にはヤベー先輩を連れてくる予定」と、期待高まるコメントも。ファンからの割れんばかりの歓声に魅かれ、この日はダブルアンコールでフィニッシュ♪ 東名阪の対バンツアーで見せてくれた、多幸感いっぱいのステージ。次のツアーでさらに飛躍した姿を見られることを期待したい。
取材・文=黒田奈保子 写真=オフィシャル提供(撮影:toya)