「すみっコぐらし」初の舞台化に挑む川島夕空と新津ちせに聞く、切なかわいいすみっコたちの魅力

夏休み！オン・ステージ『パペットミュージカル すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』が、2024年8月16日（金）～9月1日（日）に品川プリンスホテル クラブeXにて上演される。

本作は『映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』（2019年）を原作とした、「すみっコぐらし」史上初の舞台化作品。

すみっコたちと共演するのは、NHK Eテレの教育エンターテイメント番組『みいつけた！』で3代目スイちゃん役を務めた川島夕空、音楽ユニット「Foorin」のメンバーとして活躍した新津ちせ、『「Dr.STONE」THE STAGE –SCIENCE WORLD-』でドクタロー役を演じた石田 隼ら、子どもたちが親しみを持つキャスト陣だ。

稽古初日を迎えて間もない頃、本作でWキャストを務める川島夕空と新津ちせに意気込みを聞いた。

スイちゃんとFoorin、子役時代のお互いの印象

ーーお二人とも子役時代からご活躍されていますが、一緒にお仕事をされた経験は？

新津：これまでに一緒にお仕事をすることはなかったですね。

川島：ね。テレビ局やオーディション会場ですれ違ったことはあるんですけど、共演はなかったんです。今回の稽古初日で初めてお話ししました。

ーーそれぞれWキャストだと知ったときはどう感じましたか？

川島：私は「よかった〜！」と思いました。（新津）ちせちゃんは小さいときから舞台やFoorinの経験もあるので、安心感がありましたね。

新津：川島（夕空）さんのことは“スイちゃん”としてずっと知っていたので、「スイちゃんとWキャスト！？」とすごく驚きましたし、同時にうれしかったです。川島（夕空）さんは歌もとっても上手なので私も頑張ろうと思いました。

ーーこれまでお互いの活躍を見てきた中で、相手に対してどんな印象を持っていましたか？

川島：とにかく明るいイメージがありました。忙しくてもいつもキャハキャハしていて明るいちせちゃん、という印象。だけど実際に会ってみると、すごく大人っぽくて落ち着いた子だなあって。初めて会ったときのちせちゃんは、「思っていたちせちゃんじゃない！　大人っぽい！」とビックリしました（笑）。

新津：そんなことないです（笑）。私もスイちゃんのような明るいイメージを持っていました。お会いして改めてイメージ通りだなあと。私は人見知りもあるので、仲良くしてくれるかなあと心配していたのですが、明るくたくさん話しかけてくださってうれしかったです！

「私たちキャストは舞台と客席の架け橋のような存在」

ーーすみっコぐらしの初舞台化、しかもパペットミュージカルということですが、お話を聞いたときはどんなイメージをされましたか？

新津：すみっコぐらしは前から好きだったのでうれしかったです。すみっコたちは喋らないキャラクターですし、すみっコたちがどうやって動くのかというところから分からなくて最初はなかなかイメージがわかなかったんですが、すみっコたちの丸っこい感じとパペットという組み合わせは絶対に合うと思ったので、それをすごく楽しみにしていました。

川島：お話をいただいたときは「よし、やったー！」と、とにかく嬉しくて。すみっコ好きな友達がいるので、すみっコは喋らないという情報だけは知っていたんです。なので「喋らないすみっコのミュージカルって何だろう？」と。すみっコたちのかわいい世界観のイメージはついたのですが、誰がすみっコを動かし、誰が歌い、どういう展開になっていくのか、といったところは未知でした。

ーー今回のパペットミュージカルでは、人形劇団ひとみ座の方々を中心に、パフォーマーのみなさんがすみっコのパペットを動かしていくそうですね。映画ではナレーターの方がストーリーを進めていく形式でしたが、その役割はお二人と石田 隼さんが担うのでしょうか？

川島：そうですね。私たちは舞台と客席の架け橋のような存在になると思います。すみっコの気持ちをお客様に伝えるナレーターでもあり、お客様の代表でもあるんです。

ーーミュージカルとして歌を歌うのは、主にお二人と石田さんですか？

新津：加えて他のキャストの方たちもコーラスとして歌ってくれます。やはりすみっコは喋らないので、すみっコたちは歌いません。

ーー喋らないすみっコたちの想いは、映画では文字で表現されることもありました。舞台だと映像演出で文字を映し出すのでしょうか？

新津：吹き出しのパネルみたいなものが出てきます。

川島：そのパネルと私たちのセリフによって、すみっコたちの思っていることがお客様に伝わるという感じですね。

ーーなるほど。きっとお客様も気になっていると思うのですが、すみっコのパペットはどんな感じですか？

川島&新津：かわいいです･･････！ （うなずき合うお二人）

川島：強いこだわりを感じました。すみっコなので、みんなコロンと丸くてかわいい感じだと思っていたのですが、実際は素材も、動くパーツも、動かし方もそれぞれ違うんですよ。パペットを間近で見ることが初めてなので、こんなにいろいろな工夫がされているんだなあって。すみっコに限らず小道具にも工夫が凝らされていて、知らないことがたくさんあるので毎日が刺激的です。

ーー素材が違うというのは、例えばどのように？

新津：とんかつとえびふらいのしっぽは衣がもこもこした素材だったり、逆にざっそうはツルツルとした素材だったり。

川島：ねこはちゃんと猫の毛っぽくふわふわしていたり･･････すごく触りたいのに触れないのが残念です（笑）。

新津：パペット一つひとつに本当にこだわりが詰まっているので、これはぜひ劇場で生で見てほしいです！

「子ども向けを想像していると、ビックリするような切ないストーリー」

ーー原作映画をご覧になったときの感想を教えてください。

新津：かわいらしいすみっコの見た目から子ども向けを想像していると、ビックリするような切ないストーリーなんです。すみっコたちがひよこ？と出会い、どうにかしてひよこ？のおうちを探そうと頑張る中で希望が見えてくるのですが、それが何度も打ち砕かれて……観ている側は大号泣。観終わったあとには「友情っていいな」と思える映画です。元々好きな作品なので、今回の舞台化は本当に嬉しいです。

川島：私は映画を観るまですみっコのことを詳しくは知らなかったんです。かわいい日常を描いた作品なのかと思っていたらすごく切なくて、いろんなお話が詰まっていて。それぞれのお話も面白いけれど、それが最終的に繋がっていく構成もよく考えられているなと思いました。映画を通してすみっコたちのことを深く知ることができて、ただかわいいだけじゃなく“切なかわいい”コたちなんだなと。舞台のストーリーは原作映画に忠実に作っているので、映画を観た方にも観ていない方にも楽しんでもらえると思います。

ーー舞台化するにあたって、どんな演出になるのか楽しみなシーンはありますか？

新津：やっぱり“絵本の中に入る”というのが大きなテーマなので、絵本に吸い込まれていくシーンや、絵本の世界から出ていくシーンはどうなるんだろうと楽しみです。きっと舞台ならではの壮大な演出になるんだろうなと思います。

川島：私はぺんぎん？のアラビアンナイトのシーン。どうやって絨毯に乗って飛ぶシーンを作るんだろうなあって。あと、しろくまのそりのシーンもどうやって動かすんだろう？　そういう小さな不思議がいっぱいあるので、これからのお稽古が楽しみです！

ーーすみっコの中で推しキャラクターはいますか？　理由も教えてください。

川島：ざっそうです。映画の序盤でキャラクター紹介のシーンがあって、私はそこで初めてすみっコたちの性格を知りました。ざっそうは雑草なのに「いつかあこがれのお花屋さんでブーケにしてもらう！」という夢を持っているんですよ。普通、お花屋さんに雑草のブーケはないじゃないですか（笑）。そんな切ないところがすごく好きです（笑）。

新津：私はとんかつが好きなんです。元々はとんかつの端っこで、脂身が多くて残されちゃったという背景があります。そこを切り取ってキャラクターにするというのもすごいですし、衣のもこもこも好きです。あと、口か鼻のように見える真ん中の丸い部分は、実はお肉なんですよ。そういうところもすごくかわいいです（笑）。

特典盛だくさん！　1日限りのイープラススペシャルデー

ーーところでお二人はプラみちゃんをご存知ですか？

新津：すごくかわいいですよね！

川島：さっきからずっと、ピンクの女の子がいるなあって気になっていました（笑）。

（取材中、インタビュアーの隣にずっといたプラみちゃんアクスタ）

ーーe+貸切公演に登場する広報担当のキャラクターで、頭が小文字の「e」になっていて、腕をクロスさせるポーズで「+」を表しているんです。8/28（水）18:00のイープラススペシャルデーの際にはe+ポーズをぜひ！

新津：はい！　イープラススペシャルデーは、すみっコたちのお見送り・写真撮影タイム・カーテンコール挨拶・アフタートークなど特典が盛りだくさんなんです。お客様に盛り上がっていただけるように頑張りたいと思います。

ーー夏休み中の上演ということもあり、子どもたちが劇場体験をするいい機会になると思います。ライブパフォーマンスならではの魅力を教えてください。

川島：私にとってはスイちゃんとしての最初のステージが、大きな会場でお客様を前にした初めての経験でした。目の前にたくさんのお客様がいて、今まで自分が練習してきたことをやることでみんなが笑顔になってくれたんです。映像ではその場で反応してくれる方が目の前にはいないので、お客様の笑顔がすごく嬉しかったことを今でも覚えています。たくさんのお客様と触れ合う機会はなかなかないですし、一緒に盛り上がれるというのは舞台でしか味わえない楽しさだと思います。

新津：私はFoorinとしての活動で日本各地に行かせていただきました。スタジオの中で番組を録るのも好きなのですが、「パプリカが好き」「Foorinが好き」と思ってくださっている方々と一緒にいることができたのはすごく楽しかったです。みなさんの笑顔を見ることができる特別感は、やっぱりライブならではですね。

ーー最後にお客様へのメッセージをお願いします。

川島：人生初のミュージカルなので本当に緊張していますし、とにかく頑張ろうという気持ちが大きいです。すみっコのファンの方も、お子さんの付き添いで来たお父さんお母さんも、すみっコのかわいらしさやストーリー展開を楽しんでもらえたら。客席と舞台で一緒に盛り上がることができるシーンもあって、すみっコと私たちキャストと観客のみなさんでひとつの世界を作るんです。毎公演お客様によって雰囲気も変わっていくと思うので、その違いも楽しみつつみんなで盛り上がりたいです。

新津：今回、大好きな作品の舞台化に携わることができてとても嬉しいです。パペットになったすみっコたちが目の前で動いて活き活きとしている姿をみなさんにお届けできるよう、私は歌やナレーションで精一杯サポートしたいと思います。お子さんから大人の方まで、私たちと一緒に盛り上がりましょう！

取材・文 = 松村蘭（らんねえ）