作・演出・出演の松尾スズキ「まだかろうじてあるパワーを全開放で挑んでおります」~阿部サダヲ、黒木華ら出演の『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』が開幕
COCOON PRODUCTION 2024 『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』舞台写真 撮影:細野晋司
2024年7月9日(火)東京・THEATER MILANO-Zaにて、COCOON PRODUCTION 2024『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』が初日を迎え、作・演出・出演の松尾スズキをはじめ、阿部サダヲ、黒木華、荒川良々、岸井ゆきの、皆川猿時、松本穂香、秋山菜津子のコメントと舞台写真が公開された。
撮影:細野晋司
本作は、松尾スズキ作・演出により、1991年に悪人会議プロデュースとして初演、98年には松尾が悲劇をテーマに作品を創り上げる「日本総合悲劇協会」公演で再演、そして2012年にBunkamura シアターコクーンで再々演された。
撮影:細野晋司
撮影:細野晋司
薬剤被害によって障がいを持った少年“フクスケ”をめぐり、様々な境遇の登場人物たちが、底なき悪意と情愛に突き動かされながら、必死にもがき生きる姿を毒々しくも力強く描いた壮大な人間ドラマ。かつてのインタビューで「生まれてきたこと、そして時世に付きまとう不平等や不条理に対する怒りをバネに厄介な作品を進化させる」と松尾が語る通り、ゆるいヒューマニズムを揶揄し、“悪”もまた人の姿であることを圧倒的な筆力で描き出した傑作戯曲。12年ぶり4度目の上演となる今公演では、サブタイトルを“歌舞伎町黙示録”と題し、台本をリニューアル。フクスケが入院する病院の警備員コオロギと、盲目のその妻サカエの夫婦を軸に、物語は展開。
撮影:細野晋司
撮影:細野晋司
初演から33年経っても色褪せず、上演の度にその時代に突き刺さる普遍的な物語が、今を生きる観客を狂騒の世界に引き込んでいく。哀しくも美しい、怒涛のダークエンターテインメントに期待しよう。
なお、本公演は、8月4日(日)までTHEATER MILANO-Zaにて上演。その後、8月9日(金)〜8月15日(木)京都・ロームシアター京都メインホール、8月23日(金)〜8月26日(月)福岡・キャナルシティ劇場にて行われる。
撮影:細野晋司
撮影:細野晋司
コメント
■松尾スズキ/作・演出、ミスミミツヒコ役
セットや衣装も豪華なのですが、なにより俳優たちがエネルギッシュで魅力的です。
俳優の魅力なしにして演劇の未来はないと思っているので、そのあたり、頼もしく思っています。
20代のときに書いた戯曲ゆえ、荒削りな点を60代のわたしが直した部分、あえて手をつけず20代のまま、放り投げた部分。
両方が渾然一体となって客席に降り注ぐ、そんな舞台になるのじゃないかと期待しています。まだ松尾にもかろうじてあるパワーを全開放で挑んでおります。これを成し遂げなければ死んでも死にきれません。
舞台上の力を直(じか)に感じられるのが演劇。
直(じか)に浸る3時間、お楽しみに。
■阿部サダヲ/コオロギ 役
『ふくすけ2024』は台本の書き換えや配役の入れ替え、松尾さんの演出で、どんどん進化しています。
初めて松尾さんの演出舞台に出る方も多いですし、自分も初めてやる役なので、4回目の再演ではありますが、新作のような気持ちで頑張っています。
そして『ふくすけ』は再演する度に劇場が変わって育っていく不気味な芝居です。歌舞伎町が舞台の話を歌舞伎町の劇場でやるので、観たことがある方も、初めての方も劇場への行き帰りまでたっぷり楽しめると思います。
今回も歌舞伎町、京都、博多と劇場を変え、さらに脚本、キャスト、演出も変化して育っています。お楽しみに!
■黒木 華/サカエ 役
稽古場で何度か通しを見ていてとても面白い、見応えのあるものになっていると思います。
ダンスや歌もそうですし、何より皆さんのお芝居から目が離せません。
歌舞伎町という場所で、この作品を観ていただけるのが、私もとても楽しみです。
是非、ふくすけの世界にどっぷりと浸かってください。
■荒川良々/エスダヒデイチ 役
『ふくすけ2024』が始まります。初演は1991年で、劇場は下北沢のスズナリだったとのことです。
当時自分は生で観れてなくて、劇団員に成り立ての頃に大人計画の事務所にあった画像の荒いビデオテープを借りて観ました。それはそれはオモシロくてカッコよくて衝撃を受けたのを思い出します。
そりゃ初演に敵わないのは重々承知してます! がTHEATER MILANO-Zaという歌舞伎町にあるヘンテコな劇場で、一生懸命に抗いお客さんの心を震わせられるような芝居が出来ればと思っております!
それでは劇場でお待ちしております。
■岸井ゆきの/フクスケ 役
素晴らしい舞台美術とともに『ふくすけ2024』は幕を開けますが、先日、テープで位置を取っただけの稽古場で、通し稽古をしました。Tシャツで、小道具もなくて、転換もセルフで。身ひとつなのに、物語の持つエネルギーに刺されて、みぞおちが重くて、えも言われぬ感情になりました。同時に、みんなでここまで来たのだと、物語と共に育ってきたのだと感じました。
今日からは、ひとりひとり、あなたの物語として届きますように。
■皆川猿時/タムラタモツ 役
奥さん『ふくすけ2024』開幕ですってよ! いやー、ケータリングのお菓子ポリポリつまんでゲラゲラ笑ってたら、あっちゅうまに稽古期間が終わって、なーんか劇場入りしてたんですよに! 初のTHEATER MILANO-Za! “劇場見知り”なんかするわけないじゃーん! がっぷり四つからの、こちょこちょ攻撃を経て、往復ビンタ! もしくはディープキス! みたいなテンションでお送りします!ちょっと何言ってるか分かりませんが、とにかく頑張りまーす!
■松本穂香/フタバ 役
お芝居って面白いな〜と難しいな〜を行き来する稽古の日々でしたが、本番を迎えてまた違う景色が見られることを楽しみにしています。ドキドキしていますが松尾さんが創り出す強烈な世界観と、凄まじいキャストの皆さまに飲み込まれないよう、頑張りたいと思います!
この時代だからこそ考えさせられるメッセージが詰まりまくった舞台になっております。ぜひ、各々自由に楽しんでいただけたら幸いです!
■秋山菜津子/エスダマス 役
とにかく活気に溢れた楽しい稽古場でした。
“楽しい”というのはスタッフ・キャスト全員が必死にこの作品に取り組んでいるという証です。
全部が見どころのような作品になっていると思いますので、是非、楽しみに劇場にいらしてください。
公演情報
『ふくすけ2024-歌舞伎町黙示録-』