連日の秋晴れ超好天! 富士山に抱かれ、音楽と自然に満たされた『朝霧JAM'24』総括レポート

2024.10.31
レポート
音楽

『〜 It’s a beautiful day 〜 Camp in ASAGIRI JAM ’24』 Ⓒ 宇宙大使☆スター

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『〜 It’s a beautiful day 〜 Camp in ASAGIRI JAM ’24』(以下、朝霧JAM)が、10月12日(土)、13日(日)の2日間にわたって静岡県富士宮市の朝霧アリーナで開催されました。開催21回目を迎えた今回は国内外から24組のアーティストが出演、のべ1万4,000人が来場し、大盛況のうちに幕を閉じました。ここでは『朝霧JAM'24』の総括レポートをお届けします。

■ライブ写真で振り返る『朝霧JAM'24』DAY1

富士山麓に広がる朝霧高原でキャンプをしながらライブを楽しむオール・キャンプ・イン・フェス『朝霧JAM』。この“JAM”には“ジャンルレスに様々なミュージシャンが集い、皆で楽しむ”という意味も込められているとおり、今回も多彩なアーティストが登場し、フェスを大いに盛り上げました。

CORNELIUS Ⓒ Taio Konishi

KIASMOS Ⓒ Taio Konishi

いとうせいこう is the poet with 小泉今日子 Ⓒ Taio Konishi

CARIBOU Ⓒ Taio Konishi

1日目は、CORNELIUS、石橋英子、いとうせいこう is the poet with 小泉今日子、ジョン・キャロル・カービー(JOHN CARROLL KIRBY)、キアスモス(KIASMOS)、キセル、Kroi、maya ongaku、Ovall、シャビ・サリア(XAVI SARRIA)が出演。初来日したキアスモスによる圧巻のショーや、1曲目「なんてったってアイドル」に度肝を抜かれた永遠のアイドル小泉今日子、星が煌めくように音のシャワーを浴びせながら人々を気分よく踊らせるカリブー(CARIBOU)の音波にのまれて心地好く終了。

野外フェスでは自然との調和がライブを昇華させる大切な鍵となりますが、今回出演したアーティストはそれぞれ独自の世界観を異なる表現によって『朝霧JAM』と融和させ、オーディエンスに感動をもたらしました。後ろから「キセルは朝霧が似合うなぁ」と話す声が聞こえたとき、このフェスで求められるのは親和性であることを改めて実感。フェスの持つカラーとアーティストの特性、さらにその場にいる人々や環境が生み出す空気感が重なり合って、奇跡の瞬間が生まれるのでしょう。


■ライブ写真で振り返る『朝霧JAM'24』DAY2

2日目は、安部勇磨、荒谷翔大、シャーロット・デイ・ウィルソン(CHARLOTTE DAY WILSON)、エレファントジム(ELEPHANT GYM)、ゴーストリー・キシズ(GHOSTLY KISSES)、羊文学、Homecomings、JJJ、MONO NO AWARE、森山直太朗、Qrion、STUTS、トッド・テリエ(TODD TERJE)が出演。

安部勇磨 Ⓒ Taio Konishi

ELEPHANT GYM Ⓒ Taio Konishi

森山直太朗 Ⓒ Taio Konishi

羊文学 Ⓒ Taio Konishi

homecomingsが大地を揺らす小気味よいビートで目を覚まし、ど太い音だったり歌えば可愛いかったりなエレファントジムにパワーをもらい、森山直太朗は「さくら(独唱)」や「夏の終わり」といったヒット曲も惜しみなく披露。MOONSHINE STAGEのラストをQrionが華々しく飾り、『朝霧JAM'24』を締めくくる羊文学がRAINBOW STAGEに登場。1曲目で音響トラブルがあり中断するも、ロックサウンドを轟かせ、聴かせる歌を響かせ、独特の世界観でオーディエンスを包み込み大団円を迎えたのでした。


■天候はパーフェクト! 雨が一滴も降らない、連日快晴の穏やかな2泊3日間

『朝霧JAM'24』で素晴らしい時間が過ごせた要因のひとつに、好天があげられます。キャンプ・イン・フェスの快適度は天候に大きく左右されますが、昼間は日差しが強く半袖でもOKで気持ちのよい風が流れ吹き、夜の冷え込みに厳しさはなく、まさしく“パーフェクト・ウェザー”が片付けの翌日まで続き、この上なく恵まれた3日間でした。また、現地で話を訊いた、1才児を連れて10年ぶりに参加したという東京在住の夫婦が「お天気の良さに助けられました!」と、にこやかに話していたように、小さな子どもや犬を連れていた人にも過ごしやすい穏やかな環境でした。

Ⓒ 宇宙大使☆スター


■名峰・富士山、連日現る!

個性豊かなアーティストによるジャンルレスなショーと等しく、その美しい姿で『朝霧JAM』来場者を一日中楽しませてくれる日本の名峰・富士山。初日は顔を出してくれたものの、2日目は早朝以外は雲隠れ。夜になると黒富士となって姿を現し、この世のすべてを見守るようにどーんと鎮座。朝がくると再び雄々しい全貌が露わになり、人々を魅了していました。また、この時期はダイヤモンド富士を見られることで知られていますが、期間中は毎朝、山頂付近からの御来光を見ることができ、多くの来場者が早起きをしてその幻想的な光景に見入っていました。

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ


■子どもも大人も遊べる豊富なアクティビティがいっぱい!

会場のあちらこちらで誰でも参加できるアクティビティが用意されていて、ライブの合間に楽しめるもので溢れていた『朝霧JAM』。その中で今年初登場の「朝霧JAMスタンプラリー」と「間伐材コースターのウッドバーニング」、そして以前から気になっていた「CHUMS WORK SHOP」の3つを体験しました。

「朝霧JAMスタンプラリー」

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ

文字どおり『朝霧JAM』会場全体を歩いてまわるアクティビティで、地図とヒントをもとにスタンプの置かれた4ヵ所を探す…のですが、これが予想以上に面白かった! アップダウンのある坂を進みながら『朝霧JAM』の会場の広さとそこに広がる自然を体感できるので、スタンプラリーというより軽めのトレッキングでした。併せて各キャンプサイトの特性も見られるので、「次はここでキャンプするのもいいかも?」と思いを巡らせたりも。

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ

CARNIVAL STARでは踊る輪に入り体を揺らしながら、MOONSHINE STAGEへと進み、スタンプを探しながらマーケット&ワークショップをぐるりとチェック。ブックカー、ユニークな服屋、一点もののアクセサリーなど、オリジナル商品が陳列されているのを見てまわるのもこのフェスの楽しみのひとつです。

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ

ただ…あまりにも広大な会場であることに加え、ライブも同時進行しているので1日では終わらず、最後のスタンプが待つキャンプサイトPの奥地は2日目に持ち越し。そこでは敷地内に設置されたサウナで整った、さっぱりとした表情の人たちとの遭遇もあり、高原でのサウナ道に興味が湧きました。こんな風に、何度も来ているフェスで新たな魅力を発見できるスタンプラリー、なかなかあなどれません。しかも参加費は無料。コンプリートしたご褒美として『朝霧JAM』ステッカーまでもらえました。

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ

スタンプラリー ご褒美ステッカー

「CHUMS WORK SHOP」
スタンプラリーの途中、キャンプサイトIにあったCHUMSのワークショップに参加。木工キットを購入し、型抜きをして自由にカラーリングしたらボンドで止めて、ボールチェーンを通して出来上がり。スタッフさんと楽しくおしゃべりをしながら、20分ほどでかわいい思い出がひとつ出来上がりました。

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ

「間伐材コースターのウッドバーニング」
キッズランドで展開されていたワークショップの中のひとつが、このウッドバーニング。間伐材でできたコースターを購入し、スタンプ、ペンなどを使って下書きしたものをウッドバーニング専用の道具で木を焼き付けていくというもので、スタッフさんに教えてもらいながら世界にひとつだけのコースター創作に没頭。なお、使われていた間伐材は、ふもとっぱら産! ふもとっぱらでキャンプをしながらの参加だったので、よりよい思い出の品となりました。

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ


■地元・富士宮市の魅力を伝える「牛乳キャンペーン」

地元・富士宮市の魅力を伝える様々なブースも連日大賑わいで、母親たちによるNPO法人 母力向上委員会や富士宮市役所の人々が中心となって、地元アピールに活気づいていました。また、開催地の富士宮市朝霧高原といえば有数の酪農エリアであり、おいしい牛乳の産地。原料高などでピンチの今、朝霧の酪農を応援する「牛乳キャンペーン」が行われ、朝霧高原・ふじのくに富士山ミルクが無料配布されました。

Ⓒ 宇宙大使☆スター


■地元発のおいしくてリーズナブルな『朝霧JAM』フード

『朝霧JAM』では地元の食材を使ったメニューや、地元の人気店など、定番から新規のお店などがズラリと軒を並べ、おいしいフードでもてなしてくれます。しかし2日間ではお気に入りのものを食べるだけでお腹がいっぱいになってしまい、新しいチャレンジができずに何年も過ごしてきました。そこで今回はこれまで気にはなっていたものの未体験の常連店や、初出店のお店をあえて利用をしてみることに。結果は…さすがの『朝霧JAM』、どこも外れなしでした!

「焼肉飯店 京昌園」和牛そぼろ丼:700円、やみつき牛もつ炒め:800円
静岡県内に10店舗、海外に1店舗展開する地元の大人気店が初出店。牛そぼろ丼は牛の旨みをしっかり感じられるそぼろでご飯もたっぷり。もつ炒めはタマネギたっぷりの味噌味で超美味! お酒のつまみにも抜群ですが、辛みがないので子どもの箸も止まりません。

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ

「Pizzeria L’alba di napoli」ピッツァ マルゲリータ:1,200円
通り過ぎる人がみな手にしていたのが『朝霧JAM』に初登場したピザ。沼津市で営業するナポリピッツァ専門店による、こだわりの生地とイタリアや地元の食材で作られたピザは、高温の窯で一気に焼き上げられ、待ち時間もほとんどなくてストレスフリー。標高900メートルでいただく焼きたてのマルゲリータは最高で、ペロっと平らげてしまいました。

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ

「富士宮焼きそばゆぐち」ホルモン焼きそば:1,200円
人気No.1の一押しメニュー、ホルモン焼きそばの盛り付けの豪快さに圧倒されつつ、いざ食べると箸は止まることなく一気に食べてしまえるおいしさ。地元の人気店の逸品をフェスで、しかも野外で食べられることに大きな幸せを感じずにはいられませんでした。

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ

「タイ料理アローイ・アロイ」グリーンカレーライス:700円
毎回食べてみたいと思いながらも行列の長さに負けてきましたが、今回は意を決して並んで購入。グリーンカレーライスは半端ない辛さ! しかし辛いだけではなく味がとても良く、辛いのが苦手な筆者も付け合わせキャベツのナイスアシストにより完食。なぜもっと早く並ばなかったのかと悔やむほど絶品でした。

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ

「朝霧JAM食堂」グルグルウインナー:650円
『朝霧JAM』といえば朝霧JAM食堂の定番・グルグルウインナー! 『フジロック』でもおなじみですが、これだけは食べずにはいられないということで、到着早々、かけつけ1本を食べました。また、日曜朝に限定販売される人気の富士宮焼きそばパンは買えなかったので来年トライします。

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ


■キャンプは「ふもとっぱらパーク&キャンプ場」を初体験

独身時代に仲間と参加していた頃は場内サイト一択でしたが、ファミリー参加するようになってからは、ふもとっぱらでのオートキャンプを利用するのが常となっていました。今回は、ふもとっぱらでのオートキャンプの取り扱いがなくなったので、「場外・パーク&キャンプ場」と悩んだ末、「ふもとっぱらパーク&キャンプ場」を初利用することに。日頃オートキャンプしかしないので不安でしたが、駐車場所近くに気に入った場所が見つかり、そこにテントを張ることができたので、ほぼオートキャンプのような状態で移動や運搬も楽にできました。

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ

利用者の声には、「ふもとっぱらを初めて利用しましたが、ファシリティが充実しているので場内よりも断然快適ですね」や、「オートの方が便利は便利。でも案内どおり駐車場から1分くらいの距離だったから許容範囲」というキャンパーの声も。それぞれ次回に向けて作戦を練り始めているようでした。

ライブ終演後は、月が山際に沈むと星は輝きを増し、多くの星座や木星、火星などの惑星も肉眼で見つけることができたので、明かりは焚き火のみにしてコットに寝転び、ブランケットをかけて、星座アプリを使いながら天体観測を楽しんだりもしました。そんなふもとっぱらで眠るための夜の寒さ対策は、シュラフ(春秋用)+エアマット、厚手のパジャマで十分でした。

Ⓒ 宇宙大使☆スター


■ふもとっぱらの夜に明かりを灯す「ピーターパン Café」

ふもとっぱらの一角に現れる「ピーターパン Café」は、コーヒーやお酒、ミルクなどのドリンクや、パンケーキ、焼き菓子などが販売されているので、シャトルバスを降りてからテントへ戻る前に毎晩立ち寄って小腹を満たすのに重宝。キャンドルアートを眺めながら温かい飲み物を手にほっと一息つく時間はとても贅沢で、よい眠りへの入口のような存在でした。

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ

撮影=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ


■キャンプエリア・駐車場と『朝霧JAM』会場を結ぶシャトルバス

各キャンプエリア・駐車場から会場への移動は無料のシャトルバスを利用でき、それぞれの場所から会場は片道10分ほどの距離。初日の会場行きのバス車内はまるでフェスの縮図のようで、老若男女、小さな子どもから人生の先輩たちまで幅広い年齢層が『朝霧JAM』に参加していることが窺い知れました。なお、2日目朝の会場行きと終演間際のふもとっぱら行きには並びましたが、それ以外の時間帯ではスムーズに乗車できました。

Ⓒ 宇宙大使☆スター


■その他、『朝霧JAM』の魅力のあれこれ

『朝霧JAM』を支えるボランティア・スタッフの笑顔と挨拶には、終始癒されました。また来場犬も多く、秋田犬、グレートデン、柴犬、チワワ、ボーダーコリーなどの様々な犬種を愛でることができ、犬好きとしては眼福。また、キッズランドでは森のトンネル、焚き火、長縄、丸太や竹を使ったあそびに夢中になる子どもたちとそのファミリーが思い思いに過ごし、ゆったりとした時が流れていました。

Ⓒ 宇宙大使☆スター

Ⓒ 宇宙大使☆スター

その中にいた、家族や親戚、友人と大勢で来ていたグループメンバーの中学3年生の女子の話を訊くことができました。0歳から『朝霧JAM』に参加しているという彼女は、未就学児と小学生の親戚と一緒にキッズランドで遊んでいるところでした。なぜこのフェスに参加し続けているのかと訊ねると、「音楽が好きだから。羊文学が目当てだけど、新しい音楽にも出逢える。それに友達じゃないけど毎回ここで会う子とも会えるし」と話してくれました。

何気なく取材した『朝霧JAM』での一コマでしたが、新しい音楽や人と出逢える音楽フェスの醍醐味がすべて詰まった彼女の言葉と、フェス文化が次世代に根付いていることの生き証人である彼女との出逢いに筆者はいたく感心し、未来は明るいと思えたのでした。

Ⓒ 宇宙大使☆スター


■進化するキャンプ・イン・フェス「朝霧JAMは不滅です!」

『朝霧JAM'24』では、これまでなかった新企画・温泉施設へのバスツアーや、最寄りの駅や地方都市へのアクセスがさらに充実したオフィシャルツアーにシャトルバス、レンタルテントのプランやエリアの拡充、さらにホテル泊のツアーも実施され、日帰り参加もしやすくなったり、キャンプが苦手な人でも参加できるようになったことは大きな変化でした。

一方、連休開催となってうれしい反面、高速道路と一般道の通行止めが重なるなどで大渋滞に巻き込まれ、通常の3倍の時間をかけて到着した筆者。こればかりは余裕をもって行動するしかなさそうです。

また、2日目幕開けの際、朝霧JAM実行委員長が来場者のマナーの良さと、『朝霧JAM』は来場者と創り上げているフェスであると言及し、「朝霧JAMは不滅です!」と宣言されていました。美しくピースフルな音楽フェス『朝霧JAM』が来年以降も開催されていくように、我々参加者にできることは何かを考えて行動していけたらいいですね。

文=早乙女 ‘dorami’ ゆうこ

Ⓒ 宇宙大使☆スター

 

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