エリック・クラプトン、来日公演が決定 2025年4月に日本武道館で6日間開催

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『⿊澤楽器店 MARTIN GUITAR Presents ERIC CLAPTON LIVE AT BUDOKAN 2025』


エリック・クラプトンの来日公演『⿊澤楽器店 MARTIN GUITAR Presents ERIC CLAPTON LIVE AT BUDOKAN 2025』が決定した。

来日公演は、2025年4月14日(月)・16日(水)・ 18日(金)・19日(土)・ 21日(月)・24日(木)に日本武道館にて行われる。

来日予定メンバー

Nathan East - bass / vocals
Sonny Emory - drums
Doyle Bramhall Ⅱ - guitar / vocals
Chris Stainton - keyboards
Tim Carmon ‒ keyboard
Katie Kissoon - vocals
Sharon White ‒ vocals

ライブ情報

⿊澤楽器店 MARTIN GUITAR Presents
ERIC CLAPTON LIVE AT BUDOKAN 2025
 
会場:日本武道館

日程:
4月14日(月)18:00開場/19:00開演
   16日(水)18:00開場/19:00開演
   18日(金)18:00開場/19:00開演
   19日(土)16:00開場/17:00開演
   21日(月)18:00開場/19:00開演
   24日(木)18:00開場/19:00開演
 
料金:S席 ¥25,000/A席 ¥24,000(税込)
 
主催:J-WAVE/TOKYO FM/interfm/FMヨコハマ/BAYFM78
特別協賛:株式会社 黒澤楽器店
企画•招聘•制作:ウドー音楽事務所
お問い合わせ:ウドー音楽事務所 03-3402-5999 https://udo.jp

 
マーティンクラブジャパン特設ページ https://www.martinclubjp.com/ericclapton-japantour2025/

BIOGRAPHY

2023年の春、エリック・クラプトンは、通算23回⽬の来⽇公演を⾏なっている。1974年秋、29歳のときに実現させた初来⽇公演から数えて半世紀で23回というこの数字だけでも驚くべきものだが、その23回⽬の来⽇公演中に彼は、⽇本武道館でのライヴがついに100回に到達するという、外国⼈アーティストとしては、おそらく永遠に破られることはないと思われる⼤記録を打ち⽴てていたのだった。

計6回のステージでのパフォーマンスの充実ぶりについては、さまざまなメディアで伝えられているので、あらためてここで細かく指摘するまでもないだろう。その味わいをひと⾔で表現するには、円熟という⾔葉がもっともふさわしいのかもしれないが、しかしそれでもなお、さらにその先を⽬指そうとする姿勢や意欲も強く感じさせるものだった。亡き友ジェフ・ベックに捧げたと思われるインストゥルメンタル「ブルー・レインボウ」やトラディショナルの「サム・ホール」などを⽇本武道館ではじめて⽿にした多くの⽅が、きっと、きわめて新鮮な驚きを覚えたに違いない。

約半世紀で23回、武道館だけで100回という数字は、いずれも、起伏に富んだ⼈⽣を送りながら、卓越したギターとブルースへの愛、偉⼤なブルースマンたちへの深い敬愛の念を核に、数えきれないほどの名作、名演を残してきた英国⼈⾳楽家が、⽇本のファンや関係者との絆をいかに⼤切にしてきたかを⽰すものといえる。またクラプトンは過去にしばしば、曲そのものにきちんと⽿を傾け、演奏が終わると温かく反応してくれる⽇本の⾳楽ファンへの感謝の気持ちを語ってもいた。世界各国を回りながら彼は、⽇本のファンの存在を特別なもの、得がたいものと感じてきたということである。その気持ちは、アコースティック・セットをライヴ中盤に定着させた90年代半ば以降、より強いものとなっていったはずだ。

あらためて紹介すると、エリック・クラプトンが⽣まれたのは、1945年3⽉30⽇のこと。つまり、通算24回⽬の来⽇公演の直前に、彼は80歳の誕⽣⽇を迎えることになるわけだ。

じつは、前回の来⽇時、ごく短時間ながら話を聞く機会があり、そこで筆者は「80歳になったころに、また⽇本に来るよ」という⾔葉を⽿にしていた。「またいつか会おう」といった社交辞令的な⾔葉ではなく、「2年後にはまた来る」と、時期もはっきりと、24回⽬の来⽇公演について語ってくれていたのだ。

クラプトンと同年⽣まれのロック・アーテイストには、ニール・ヤング、スティーヴン・スティルス、ロン・ウッドらがいて、いずれも現役として前向きな活動をつづけている。数歳上には、ボブ・ディラン、リンゴ・スター、ポール・マッカートニー、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ポール・サイモン、グレアム・ナッシュらがいて、彼らもまだまだその歩みを⽌めようとしていない。80歳、⽇本流にいうなら傘寿という年齢をクラプトン本⼈がどのように受け⽌めているかは、まったくわからないが、間違いなく、そういった同世代のアーティストたちの動向は充分に意識しているはず。80年という時間の重みを実感しながらも、やはり「まだまだ、これからも」という気持ちを捨ててはいない、といったところなのではないだろうか。だからこそ彼は、「80歳になったころに、また⽇本に来る」という明確な意思が感じられる⾔葉を語っていたのだ。

ヤードバーズのギタリストとして⼀躍注⽬を集め、ブルースブレイカーズでさらに研鑽を積んだあの⽇々からの約60年、記念すべき初来⽇公演からの半世紀、そしてサリー州リプリーで⽣を享けてからの80年。2025年春、通算24回⽬の来⽇公演は、ずっしりとした重みを感じさせるこうした数字がいくつも重なる時期に実現する。ご存知のとおりエリック・クラプトンは、ステージでは多くを語らず、最⾼のパフォーマンスを提供することだけに専念するタイプのアーティストだが、間違いなく「集⼤成」ということを強く意識しながら、武道館の巨⼤な空間を埋めたオーディエンスの前に⽴ちつづけることだろう。

と、こんなふうに書いてくると、まるで「もう、これっきり」という印象を与えてしまうかもしれない。実際、21世紀を迎えてからはこれまでにも何度か、誤訳や憶測をもとに「最後のツアー」といったことが囁かれてきた。⼤きなメディアでそのように伝えられてしまったこともあった。

しかし、筆者が知るかぎり、「⼤規模なツアーはもう難しいかもしれない」といった発⾔はたしかにあったが、「これで最後」ということは⼀度も語っていないはずだ。その⼀⽅でクラプトンは、「プロンプターに頼るようになったら、もうやめる」という印象的な⾔葉も残している。またおそらく、これはまったく勝⼿な想像だが、しっかりとマイクの前に⽴ってエレクトリック・ギターを弾くことが体⼒的に難しくなったら潮時、と、そんなふうには考えているかもしれない。まあ、結局は、クラプトン本⼈が決めることなのだ。そしてだからこそ彼は、強い意志を持って、2年ぶり、24回⽬の来⽇公演に臨もうとしているのである。

SINCE WE MET EC in 2023
ここからは、参考までに、前回来⽇時から今回の来⽇公演正式発表に⾄るまでの1年半を振り返り、この間のクラプトンの活動、創作活動への取り組みを紹介していきたい。

2023年4⽉に通算23回⽬の来⽇公演を終えたエリック・クラプトンは、翌5⽉の22⽇と23⽇にはロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでジエフ・ベックのトリビユート・コンサートを主宰している。主な出演者は、ロン・ウッド、ロッド・スチュワート、デレク・トラックス、ジョニー・デップ、ビリー・ギボンズ、ジョー・ペリー、ジョン・マクラフリン。その顔ぶれは、ベックはもちろんだが、中⼼になって働いたクラプトンの存在の⼤きさをあらため⽰すものであった。そしてこのあとは、トロント、セントルイス、デンヴァーなどを回る短期ツアーを⾏ない、9⽉の23⽇と24⽇にはロサンゼルスのクリプト・ドット・コム・アリーナ(旧ステイプルズ・センター)に約40組のアーティストを招いて、通算6回⽬となるクロスロード・ギター・フェスティバルを成功させている。⾃費を投じて設⽴した更⽣施設のために25年にわたって熱⼼に取り組んできたプロジェクトの、これもまた「集⼤成」となるもので、そこで彼は、エリック・ゲイルズ、マーカス・キング、サマンサ・フィッシュ、モリー・タトル、ジュディス・ヒル、H.E.R.など新しい世代にスポットを当てようとする姿勢をとりわけ強く打ち出していた。クラプトン⾃⾝のセットでは、参加が予定されていたものの8⽉に他界してしまったロビー・ロバートソンの名曲「イット・メイクス・ノー・ディファレンス」、スティーヴィー・ワンダーをゲストに迎えた「クロスロード」などで強烈な印象を残したのだった。

2023年の締めくくりは、12⽉8⽇にロンドンで、少⼈数のオーディエンスだけを集めて⾏なわれたスペシャル・コンサート。悲惨な状況にあるガザの⼦供たちに⽀援の⼿を差し伸べることを⽬的としたプロジェクト『トゥ・セイヴ・ア・チャイルド』だ。ダニー・ハリスンも参加したこのコンサートは、その深い想いを⽰すかのように、ごく短期間で作品化されている。

今年2024年は、5⽉に本国イギリスからツアーをスタートさせ、ロイヤル・アルバート・ホールでの連続公演を⾏なったあと、欧州、南⽶、北⽶各地を精⼒的に回ってきた。春から秋までで24回という、すごいペースだ。
10⽉17⽇には、1960年代半ばからさまざまな形で歩む道を交錯させてきたロビー・ロバートソンのトリビュート・コンサートに参加。ザ・バンドのフェアウェル・コンサート『ラスト・ワルツ』で共演し、強烈なギター・バトルが今も語り草となっているブルースの名曲「ファーザー・オン・アップ・ザ・ロード」などを聞かせている。このコンサートは、やはりその『ラスト・ワルツ』に深く関わったマーティン・スコセッシの監修で撮影されていて、近いうちに公開されることになるようだ。

そしてさらに、エリック・クラプトンはその多忙な⽇々のなかで、2016年の『アイ・スティル・ドゥ』以来約8年ぶりとなるオリジナル・アルバムを完成させていた。すでにデジタル・プラットフォームでは発表されていて、年明けにはヴァィナル、CDなどで正式発売されるこのアルバムのタイトルは『ミーンホワイル』(そうこうするうちに、といった意味だろうか)。コロナ禍に世界が⼤きく揺れていた時期に同い年のヴァン・モリスンと録⾳した「ザ・レベルズ」、ジェフ・ベックとの「ムーンリヴァー」、クロスロード・ギター・フェスティバルにも参加したブラジル⼈⾳楽家ダニエル・サンチャゴとジュディス・ヒルとの「ハウ・クッド・ウィ・ノウ」、ウィリー・ネルソンの名曲「オールウェイズ・オン・マイ・マインド」、初来⽇公演でも歌われたチャプリンの「スマイル」などが収められていて、七⼗代後半の⽇々を気負わずにまとめたような内容となっている。どこかの街のダイナーで撮られたと思われるジャケット写真のクラプトンは、軽く微笑みながら、「まだまだ⾃分らしく」と語りかけているかのようだ。

年の⽇本公演でバックを固めるのは、⻑くクラプトンの諸活動に貢献してきたネイザン・イースト、クリス・ステイントン、ドイル・ブラムホールⅡを中⼼とするこの7⼈。ポール・キャラックに代わって昨年の秋から参加したマルチ・キーボーディスト、ティム・カーモンは、ベイビーフェイスとのMTVセッションがきっかけでクラプトンと知りあい、その後、1998年のピルグリム・ツアー、99年にマディソン・スクエア・ガーデンで開催されたクロスロード・コンサート、B.B.キングとのアルバム『ライディング・ウィズ・ザ・キング』などにも参加している。(⼤友博)