TRUMPシリーズ『繭期極夜会』開催 オフィシャルレポートが到着

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「TRUMP series 15th Anniversary FINAL『繭期極夜会』」が、2024年12月12日(木)、13日(金)に東京国際フォーラムCにて開催された。初の2日間の公演となった本イベントのオフィシャルレポートが到着した。


『繭期極夜会』は、劇作家・末満健一がライフワークに掲げ、2009年より展開するオリジナル作品「TRUMPシリーズ」15周年のアニバーサリー企画のラストを飾るコンサートイベント。シリーズにまつわるゲストが参加し、【第一夜】は松岡充、朴璐美(共に音楽朗読劇『黑世界~リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について~』より)、東啓介、田村芽実(共にミュージカル『マリーゴールド』より)、浜浦彩乃、大森未来衣、斎藤瑠希、北御門亜美、齋藤千夏、川崎愛香里(以上『LILIUM -リリウム 新約少女純潔歌劇-』より)・新良エツ子、細貝圭が、【第二夜】は美弥るりか、松下優也、愛加あゆ(以上ミュージカル『ヴェラキッカ』より)、東啓介(愛加と共にミュージカル『マリーゴールド』より)、中島美嘉、Anonymouz(共にアニメ『デリコズ・ナーサリー』より)、浜浦彩乃、大森未来衣、斎藤瑠希、北御門亜美、齋藤千夏、川崎愛香里(以上『LILIUM -リリウム 新約少女純潔歌劇-』より)・新良エツ子、細貝圭が出演。脚本・構成・演出は末満、音楽は和田俊輔、音楽監督は桑原まこ。

本イベントはドレスコード(強制ではない)が設けられており、今回も2018年の『繭期夜会』(’18年)、『繭期大夜会』(’19年)と同じ「黒に差し色は赤」。その黒と赤で染められた空間で、アレンに語りかける声が響き、『繭期極夜会』が始まる。声の持ち主はドナテルロ。舞台『COCOON』月の翳り(’19年)に登場したキャラクターだ。これまでと趣向を変え、ストーリー仕立てとなった今作では、細貝演じるドナテルロが私たちを繭期の世界に誘う。

大森演じるファルスが「目も当てられないほどに酷くて醜い繭期」と評するドナテルロは眼帯姿で、より深い繭期を追い求める。そんな男が夢にまで見たこの場所は、繭期の深淵。そこに少年少女たち(浜浦演じるスノウ、斎藤瑠希演じるマリーゴールド、齋藤千夏演じるキャメリア、北御門演じるシルベチカ、川崎演じるマーガレット)が姿をあらわす。その姿は実在するものではなく、繭期の残照、かつての記憶。彼女たちによるとこの場所は、人間種の世界で言うアカシックレコード(元始からのすべての事象、想念、感情が記録されているという世界記憶の概念)であるらしい――。そんな世界の幕を開けるのは、“世界律の歌声”新良エツ子による「輪廻夜想」と「今宵は黒き夜」。オーケストラの生演奏と新良の美しい歌声で客席は繭期に包まれた。

続く第2章では、繭期の深淵に『LILIUM -リリウム 新約少女純潔歌劇-』が立ちあがっていく。そこで披露されたのは『LILIUM』メンバーによる「Eli,Eli,lema sabachthani?」。続くプリンセス・マーガレットタイムでは、川崎の「卑しい庶民の皆様、ご機嫌麗しゅう♪」の投げかけに客席が「麗しゅう!」と応えるなど和やかなムードに。マーガレットと“下僕”たちによる「プリンセス・マーガレット」が客席を盛り上げたが、そのまま一気に「殺戮の宴」「幻想幻惑イノセンス」「永遠の繭期の終わり」「Forget-me-not ~私を忘れないで~」「或る庭師の物語」「少女純潔」「秘密の花が綻ぶ」「あなたを愛した記憶」「あの子と喋らないで」「もう泣かないと決めた」「共同幻想ユートピア」「永遠の少女たち」「聖痕《スティグマ》」と『LILIUM』の数々の場面が生まれては消え消えては生まれる展開に。その最後には『LILIUM』劇中でもクライマックスとなるシーンが、大森(と内田未来の声)によって再現され、絶望の叫び声という衝撃的な幕切れとなった。

第3章は、ミュージカル『マリーゴールド』の世界へ。「マリーゴールドの花言葉は……絶望だ」という細貝の台詞に引き出されるように歌われたのは「マリーゴールド序曲 ~愛しきものに祈りを~」。本作でガーベラ(マリーゴールド)を演じた田村芽実のソロ歌唱だ。田村の歌が『マリーゴールド』の世界を出現させ、楽曲と楽曲の間で語られる台詞がその世界を深めていく。同じく田村が歌った「窓際の化け物」「あたしは希望」は、『LILIUM』初演、『マリーゴールド』で同じ役を演じてきた彼女の熱と、そこから重ねてきた時間が丸ごと届くような歌唱で、客席からも熱い拍手が送られた。田村が一度退場すると今度は同作でコリウスを演じた東啓介が登場。「花には言葉がある」「彼女に自由を」「我は守護者なり」をのびのびと歌い上げ、今やミュージカル界に欠かせない存在である東の、劇中ともまた違うコンサートならではの美しい歌声が客席を染める。じっくりと聴かせた後は、東、田村、新良、LILIUMメンバーによる「ケリトン出版社」。シリーズファンの間でも人気が高く楽しいこの曲で第3章は締めくくられた。

なお第二夜では、ドナテルロが「あの共同幻想の事件を引き起こした一族」と語るヴェラキッカ家の物語であるミュージカル『ヴェラキッカ』が立ちあらわれる。1曲目は、ノラを演じた美弥、シオンを演じた松下、ジョーを演じた愛加、マギーを演じた斎藤瑠希と『LILIUM』メンバーによる「ヴェラキッカの一族」。そして東がカイ・ヴェラキッカに間違われる(?)というまさかの展開で、愛加と東によるデュエット「裏腹の水掛け論」が歌唱された。続いて松下の「小さな恋だった」「幻想幻惑メランコリック」、美弥の「愛の家訓」「夢の終わり」、そして美弥と松下による「あの日の続き」と、本編を観たことがない人であっても心揺さぶられる物語が目の前に広がり、切なさや温かさを残して第3章を閉じた。

第4章は、新良による「永遠記憶」「La Vie en Noir -黑世界のテーマ-」によって、音楽朗読劇『黑世界~リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について~』の記憶が引き出される。登場したのは、同作《雨下の章》でシュカを演じた松岡充。劇中の印象的な台詞と共に「僕は視るだろう」「枯れゆくウル」を歌い上げ、シュカがリリーを見つめてきた時間とそこに刻まれた想いがステージ上を満たしていく。すると今度は《日和の章》に出演した朴璐美がステージへ。朗読劇の際もラッカ役として幼女から老婆までの声の芝居で観客を魅了した朴が、「失くした欠片」「手を繋いで眠った」でリリーとラッカの長い長い時間を彩り豊かに描いてみせた。ラストは出演者全員による「極夜のノクツルヌ-黑世界エンディングテーマ-」。新良、松岡、朴の歌で繋がれた『黑世界』が華やかに締められた。

また第二夜では、ドナテルロが「世界に散らばる歌の欠片を拾い集めてみよう」と、新良による「回旋するトラジェディ」(『グランギニョル』より)、大森による「靴音が囁く」(『ヴェラキッカ』より)、東による「星の轍」(Dステ12th『TRUMP』より)、そして東に雷山の魂が宿った「求めろ捧げろ待っていろ」(音楽朗読劇『黑世界』より)、愛加による「愛という名の呪い」という作品の垣根を取り払った楽曲の数々が歌唱された。さらに今年8月より放送されていたTRUMPシリーズ初のTVアニメ『デリコズ・ナーサリー』より、Anonymouzが「Prayer」(エンディングテーマ曲)、中島美嘉が「UNFAIR」(オープニングテーマ曲)を披露し、これまで舞台シリーズを彩ってきたキャストとの豪華共演に観客が沸き、15周年を迎えたTRUMPシリーズの広がりも堪能できる時間となった。

そして第5章で披露されたのは、11月に始動した末満健一と和田俊輔によるプロジェクト「繭期幻想樂団」の楽曲たち。“たった1曲で完結するミュージカル”をコンセプトとした「繭期幻想樂団」が発表したばかりの2曲Vol.1「地平線のディエゴ」、Vol.2「銀の⽬と夜のように」を、音源同様新良が歌唱するという初お披露目がここで実現した。観客は、末満×和田×新良のTRUMP度200%とも言えるチームが生み出す新しい世界を余すことなく堪能。さらに「地平線のディエゴ」はディエゴ、「銀の⽬と夜のように」はグスタフという、舞台『COCOON』月の翳り の登場人物にまつわるストーリーであるため、ドナテルロにとっても関わりの深い物語ということになる。そのドナテルロの反応や言葉によって作品世界がさらに広がり、『繭期極夜会』ならではのステージとなった。

最後は『夜会』恒例となった「1万人の『ライネス』」。劇中では“あやまち”を象徴する楽曲である「ライネス」を、出演者全員と観客がみんなで合唱するコーナーだ。ステージ上には出演者全員に加え末満と和田も登場し観客は大拍手。新良による「ライネス」レクチャーのおかげもあり合唱は美しく響き渡り、こちらも恒例「うまく歌えたら(ステージが)燃える」現象も無事に確認され、本編は幕を下ろした。その後のアフタートークでは、末満をはじめ出演者一同からの挨拶や、和田からのオーケストラメンバー紹介もあり、和やかな空気で終了。TRUMPシリーズの15周年は『繭期極夜会』によって賑やかに締めくくられることになった。

セットリスト

TRUMP series 15th ANNIVERSARY FINAL『繭期極夜会』
脚本・構成・演出:末満健一 音楽:和田俊輔 音楽監督:桑原まこ

【出演】
<12月12日>松岡充、朴璐美、東啓介、田村芽実、浜浦彩乃、大森未来衣、斎藤瑠希、北御門亜美、齋藤千夏、川崎愛香里・新良エツ子、細貝圭
<12月13日>美弥るりか、松下優也、愛加あゆ、東啓介、中島美嘉、Anonymouz、浜浦彩乃、大森未来衣、斎藤瑠希、北御門亜美、齋藤千夏、川崎愛香里・新良エツ子、細貝圭
【スタッフ】美術:田中敏恵、照明:関口裕二、音響:百合山真人、衣裳:早川和美、ヘアメイク:宮内宏明、演出助手:高橋将貴、舞台監督:佐光望
【日程・会場】 2024年 12月12日(木)19:00/12月13日(金)15:00 東京国際フォーラム ホールC

【後日配信決定!】TRUMP シリーズ15 周年の最後を締めくくる『繭期極夜会』各回の模様を、後日配信いたします。
◯対象公演 ※公演ごとに販売
12月12日(木)19:00公演
12月13日(金)15:00公演
配信期間:12/20(金)12:00 〜 12/22(日)23:59 料金:各回4,500円(税込)

[TRUMPシリーズ公式サイト] https://trump10th.jp/
[公式X:ワタナベ演劇公式] @watanabe_engeki

「繭期極夜会」Day1 Setlist
第一章 繭期の残照たち
1 「輪廻夜想」 新良エツ子
2 「今宵は黒き夜」 新良エツ子
第二章 花園の記憶
3 「 Eli, Eli, Lema Sabachthani?」 リリウムの残照
4 「 プリンセス・マーガレット」川崎愛香里
5 「 殺戮の宴」川崎愛香里
6 「 幻想幻惑イノセンス」浜浦彩乃
7 「 永遠の繭期の終わり」浜浦彩乃
8 「 Forget-me-not ~私を忘れないで~」北御門亜美
9 「 或る庭師の物語」北御門亜美
10 「 少女純潔 -黑世界 ver.-」齋藤千夏
11 「 秘密の花が綻ぶ 齋藤千夏
12 「 あなたを愛した記憶」 北御門亜美 齋藤千夏
13 「 あの子と喋らないで」 斎藤瑠希
14 「 もう泣かないと決めた」 斎藤瑠希
15 「 共同幻想ユートピア」 大森未来衣
16 「 永遠の少女たち」 大森未来衣
17 「 葬送終曲「聖痕《スティグマ》」」 リリウムの残照
第三章 深淵の暗闇へと堕ちる
18 「 マリーゴールド序曲 ~愛しき者に祈りを~」田村芽実
19 「 窓際の化け物」田村芽実
20 「 あたしは希望」田村芽実
21 「 花には言葉がある」東啓介
22 「 彼女に自由を」東啓介
23 「 我は守護者なり」東啓介
24 「 ケリトン出版社」東啓介
第四章 さらなる深き深淵へ
25 「 永遠記憶」新良エツ子
26 「 La Vie en Noir - 黑世界のテーマ -」新良エツ子
27 「 僕は視るだろう」松岡充
28 「 枯れゆくウル」松岡充
29 「 失くした欠片」朴璐美
30 「 手を繋いで眠った」朴璐美
31 「 極夜のノクツルヌ - 黑世界 エンディングテーマ -」松岡充 朴璐美 新良エツ子 リリウムの残照
第五章 繭期幻想樂団
32 「 地平線のディエゴ」新良エツ子
33 「 銀の目と夜のように」新良エツ子
第六章 あやまちの名はライネス
34 「 ライネス」

「繭期極夜会」Day2 Setlist
第一章 繭期の残照たち
1 「輪廻夜想」 新良エツ子
2 「今宵は黒き夜」 新良エツ子
第二章 花園の記憶
3 「 Eli, Eli, Lema Sabachthani?」 リリウムの残照
4 「 プリンセス・マーガレット」川崎愛香里
5 「 殺戮の宴」川崎愛香里
6 「 幻想幻惑イノセンス」浜浦彩乃
7 「 永遠の繭期の終わり」浜浦彩乃
8 「 Forget-me-not ~私を忘れないで~」北御門亜美
9 「 或る庭師の物語」北御門亜美
10 「 少女純潔 -黑世界 ver.-」齋藤千夏
11 「 秘密の花が綻ぶ 齋藤千夏
12 「 あなたを愛した記憶」 北御門亜美 齋藤千夏
13 「 あの子と喋らないで」 斎藤瑠希
14 「 もう泣かないと決めた」 斎藤瑠希
15 「 共同幻想ユートピア」 大森未来衣
16 「 永遠の少女たち」 大森未来衣
17 「 葬送終曲「聖痕《スティグマ》」」 リリウムの残照
第三章 深淵の暗闇へと堕ちる
18「ヴェラキッカの一族」愛加あゆ 美弥るりか 松下優也 東啓介 大森未来衣 斎藤瑠希 北御門亜美 齋藤千夏 川崎愛香里
19「裏腹の水掛け論」愛加あゆ 東啓介
20「小さな恋だった」松下優也
21「幻想幻惑メランコリック」松下優也
22「愛の家訓」美弥るりか
23「夢の終わり」美弥るりか
24「邂逅 - あの日の続き-」美弥るりか 松下優也
第四章 さらなる深き深淵へ
25「回旋するトラジェディ」新良エツ子
26「靴音が囁く」大森未来衣
27「星の轍」東啓介
28「求めろ捧げろ待っていろ」東啓介
29「愛という名の呪い」愛加あゆ
30「Prayer」Anonymouz
31「UNFAIR」中島美嘉
第五章 繭期幻想樂団
32 「 地平線のディエゴ」新良エツ子
33 「 銀の目と夜のように」新良エツ子
第六章 あやまちの名はライネス
34 「 ライネス」