ピアニスト 渡邊智道が幻の銘器‟ローズウッド・スタウィンウェイ”とともに奏でるリサイタル
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後期ロマン派の作曲家たちがイメージしたであろう美しき音の世界――その薫り高い息吹を往年の名ピアニストたちが愛した幻の銘器‟ローズウッド”という稀有な楽器の響きを通して探求し続ける孤高のピアニスト 渡邊智道。渡邊自身の世界観も余すところなく散りばめられたラインナップでの演奏会が2025年1月17日(金)に神奈川県立音楽堂で開催される。
東京を拠点に各地で独奏や協奏曲の演奏・伴奏・室内楽のピアニストとしてユニークな活動を展開するピアニストの渡邊智道。
渡邊智道というピアニストを語る上で避けて通れないのがあのホロヴィッツが愛した1887年製のNYスタインウェイのヴィンテージピアノ“ローズウッド”。かつてNYのカーネギーホールの舞台上でセンセーショナルな存在感を誇り、ホロヴィッツをはじめコルトーなど名だたるピアニストたちを虜にした銘器だ。今回、かつてホロヴィッツがその音響のすばらしさに惚れ込んだという逸話が残されていることからも、渡邊自身、長年憧れ続けていたという神奈川県立音楽堂「木のホール」の豊かな音響空間でいぶし銀のような音色を存分に聴かせてくれるに違いない。
渡邊智道
予定されているラインナップは、自らが最も敬愛する作曲家ラフマニノフの前奏曲作品23-4、超絶技巧の応酬が圧巻の知られざる名曲 同作品32-4、そして後半に『コレルリ変奏曲』、ワーグナー=リストによる『イゾルデの死』など。ラフマニノフと同時代に生きたスクリャービンやメトネルの作品などもプログラムを彩る。
「ラフマニノフやホロヴィッツの時代の音そのものが聞こえてくることに感動しました」
渡邊は初めてこの楽器に出合った時のことをこう語る。高・中・低音域とすべてのレンジにおいてそれぞれに音色の個性が違い、作品によっても細やかに音色を変化させることも可能な万能な楽器だと言うが、それゆえに何よりもその演奏者の力量と品格が問われるハードルの高い楽器なのだ。
「『コレルリ変奏曲』では、厳格な変奏曲というかたちを通してこの稀有な作曲家が守り続けた孤高の音楽観を“ローズウッド”の響きで描きだしたいと思いました」と、メロディーメーカーとしてのラフマニノフではないこの作曲家のもう一つの一面とその世界観をこの幻の楽器を通して再現してみたかったという。‟音の求道者”らしい渡邊の思い入れがあふれた作品観が繰り広げられる。冬の一夜、ぜひとも往年の馥郁たる音の響きに身をゆだねてみてはいかがだろうか。
公演情報
会場:神奈川県立音楽堂「木のホール」
スクリャービン:ワルツ
メトネル:おとぎ話 作品26-1
メトネル:おとぎ話 作品20-2“鐘”
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第13番 イ長調
フォーレ:塔のなかの王妃(ハープ作品/渡邊智道 編曲)
ラフマニノフ:前奏曲 作品23-4
ラフマニノフ:前奏曲 作品32-4
ラフマニノフ:コレルリの主題による変奏曲
ワーグナー=リスト:イゾルデの愛の死