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香川・高松に中四国最大級のアリーナ「あなぶきアリーナ香川」が遂にオープン、気になる内部をレポート

2025.2.25
レポート
音楽

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2月24日(月祝)、香川・高松にワールドクラスの多目的アリーナ「あなぶきアリーナ香川(香川県立アリーナ)」が誕生した。施設は建築面積約18,950㎡、延床面積約31,212㎡。メインとサブ、武道施設の3つで構成され、メインアリーナの最大収容人数は中四国最大級の1万人! これまでにない、斬新な空間デザインや世代を問わず楽しむことができるユニバーサルデザインがあちこちに取り入れられた、最新のアリーナの情報をSPICE編集部が先行取材を敢行! コンサートやスポーツ、展示会など、全国から大勢の観客が集まるであろう「あなぶきアリーナ香川」の最新情報をお届けしたい。

まずはアクセス方法からご紹介。「あなぶきアリーナ香川」(以下、アリーナ)は高松市・サンポートエリアに立地し、JR高松駅から徒歩約4分とアクセス抜群の場所にある。アクセスはほかにもことでん高松築港駅から徒歩約4分、バスターミナルから徒歩約4分、フェリー乗り場より徒歩約2分など、どんな公共交通手段でも便利な場所に立地している。

実はこのアクセス、日本で最も駅に近いアリーナでもあって、中四国だけでなく、関西や関東、九州、果ては海外からもアクセス便利な場所でもある。例えば、関西からなら新幹線や特急列車で約1時間45分。飛行機の利用であれば、高松空港から最寄りのバス停までは約45分。アリーナの施設内にも駐車場はあるが、コンサート鑑賞やプロスポーツ観戦での来場時は利用不可となることが多く、高松市内にはコインパーキングなどの数も限られているので、ぜひとも公共交通機関を利用しよう。

JR高松駅を降りたら、すぐ左手へ。商業施設「高松オルネ」や「高松シンボルタワー」を抜けると、アリーナへたどり着くことができる。駅を降りてすぐにアリーナが視界に入るので、地図が苦手な人でも安心だ。

高松シンボルタワーから屋根付きの通路があり、雨の日も安心して移動できる

白を基調とした「あなぶきアリーナ香川」に辿り着くと、驚くのがその建物のデザイン。建築設計は金沢21世紀美術館や直島港ターミナルなども手掛けた、妹島和世と西沢立衛によって設立された建築家ユニット・SANAA(サナア)によるもの。メインやサブ、武道施設は一枚の大屋根で繋がれていて、その屋根は大小2つの正円が連なるようにデザインされ、ゆるやかな曲線を描いている。また、建物の先にある瀬戸内海や讃岐平野の山々の風景に溶け込むように高さも抑えられていて、約1万人を収容する大きな建造物でありながら圧迫感はなく、どこから観ても自然の風景にマッチしている。建物の全景を眺めるにはアリーナ向かいにある「サンポートホール高松」の屋上にある広場からの眺望がオススメなので、ぜひコンサートやスポーツ観戦の合間などに訪れてみてほしい。

アリーナの入口からスロープをまっすぐ進めば、右手がメインアリーナ、左手がサブアリーナと武道施設となっている。メインとサブを繋ぐホワイエの先には瀬戸内海の海が広がっていて、開放感もたっぷり。コンサートやスポーツ観戦などで使用されるのは主にメインアリーナとなっているので、まずはこちらから紹介していこう。

交流エリア

メインアリーナの広さは約3,385㎡(78m×48m)。建物内部に入るとまず目の前に広がるのが、従来のアリーナにはなかった新しい発想の空間となる「交流エリア」だ。「あなぶきアリーナ香川」は”海が見えるアリーナ”。円形の周囲はぐるりとガラス張りとなっていて、アリーナ北側には海を望めるように、瀬戸内海の船や多島美をイメージしたイスが設けられている。イベントがない時には県民の憩いの場として開放される予定で、アリーナ内にはカフェスペースが設けられていたり、キッチンカーが乗り入れることもできる。

メインアリーナは5024席の固定席に可動席を組み合わせると最大で1万人を収容。そのアリーナの設計デザインで驚くのがなんと観客席上部に「壁がない」こと! 観客席上部には壁を設けておらず、「交流エリア」「競技フロア」「観客フロア」がひとつにつながっている。

アリーナなどの大規模な空間では発生した音が壁に反射し、遅れて聞こえてくるという音響障害が生じやすいが、「あなぶきアリーナ香川」ではその壁を取り払い、天井面などに吸音材を配置することで、その音響障害を低減。半屋外のような反響の少ない音環境を実現させつつ、臨場感を損なわないように配慮されている。

壁がないということは、歌声やバンドサウンド、観客の歓声すべてがアリーナ一体に響き渡るということ。たまーにある、どうしてもトイレに行きたくなって席を外した時や、自分の席に辿り着くまでに大好きな曲が聴こえてきた……、なんて時でもアリーナの扉を開ければ、臨場感たっぷりのサウンドを聴くことができる。アリーナの外周は遮音や遮光効果の高いカーテンで対策も取られている。

「観客フロア」に設置されたイスは瀬戸内の他島美や美しい海を渡り歩くようなカラーでまとめられている。足元にはドリンクホルダーも設置されているので、ライブ中に興奮してドリンクを倒してしまう心配もなし。フロア上席にはエレベーターもあるので、足元に不安のある人も自由に行き来することができるのもうれしい。VIPエリアもいくつかあり、まるで居住空間のように充実した設備が配置されている。

VIP席

「競技フロア」の外周には常設のリボンビジョン、天井部分には常設のLEDスクリーンが設置され、コンサートやスポーツ競技に合わせた演出に活用される。足元はコンクリート床だが、公演や競技内容によって木製床での利用も可。香川にはB.LEAGUEに所属するプロバスケットボールチームもあるので、今後の展開にも期待が高まっている。

メインアリーナ

サブアリーナは広さ約1,770㎡(47m×38m)で、固定席は1,002席。こちらは主にスポーツ競技や一般利用などで使用される。バスケにバレー、フットサルや器械体操、卓球など幅広い競技に対応しているので、県内はもちろん、中四国での各競技の盛り上がりに期待したい。

サブアリーナ

メイン、サブともにアリーナへの入場はスロープを上がるだけ。JR高松駅からなら段差なく来ることもできる。ユニバーサルデザインのトイレや車いす専用席の設置、「観客フロア」にはエレベーターもあるので、誰でも安心して利用できる。ベビールームには授乳室もあるので、小さな子ども連れでも安心だ。

ベビーカーや車椅子の貸出もあり

授乳室

武道施設は広さ約1,008㎡(46m×21m)で、こちらも柔道や剣道、レスリングなど多彩な競技に対応可。メインやサブアリーナと異なり、固定席には県産のヒノキ材が使われているのが特徴。

武道施設

ほかにも、ロッカールームや会議室、トレーニングルームなどの付属施設も充実。アーティストやスポーツ選手がリラックスして利用できるよう、各部屋にシャワーやトイレなども設置。一般利用も可能なので、気になる人は公式サイトをチェックしよう。

ロッカールーム。シャワーも完備

トレーニングルーム

今回施設を案内してくれたのは「あなぶきアリーナ香川」運営課の山下結子さん。「『あなぶきアリーナ香川』をキッカケに、香川や高松市の街やグルメを満喫して、楽しい思い出を持って帰ってもらえるのが一番の願い。中四国エリアの人にはこれほどの規模の会場がなかったので、これからここに足を運んでもらうことで”アニバーサリーアリーナ”として、ひとつの記念日にしてもらえたら。関西からだと、電車で瀬戸大橋を渡るときのドキドキを楽しみつつ、海や島の景色も望める。アリーナに向かうとき、いろんな思いを巡らせながら足を運んでもらえたら。アリーナをキッカケに香川での1日を楽しんでもらえるとうれしいですね」と、語ってくれた。

「あなぶきアリーナ香川」運営課の山下結子さん

香川県は日本で一番小さな県でありながら、高松市は瀬戸内海の重要な交通拠点のひとつでもある。中四国最大級、ワールドクラスのアリーナとして、今後はよりたくさんの人が香川を訪れ、街はより一層賑やかになるに違いない。後世に語り継がれる音楽、世界一を争うスポーツ、未来を変えるプレゼンなど、新しい感動が生まれる「あなぶきアリーナ香川」に注目しよう。

なお、「あなぶきアリーナ香川」では開館日となる2月24日(火祝)に開館記念式典として、地元・香川出身のギタリスト・小倉博和プロデュースによるミュージックセレモニーが開催された。ゲストにバイオリニストの葉加瀬太郎のほか、ユニバーサルジャズアーティスト・PENNY-K、シンガーソングライターのeikoらが出演。

ほかにも3月1日(土)、2日(日)にサザンオールスターズが、3月8日(土)、9日(日)には『Hello Arena 2025』として10-FEETやマキシマム ザ ホルモン、SUPER BEAVER、氣志團、マカロニえんぴつ、Saucy Dogらが出演するイベントの開催なども決定。

今後の公演のなど、気になる情報は公式サイトにてチェックを。

取材・文=黒田奈保子 撮影=SPICE編集部(大西健斗)

会場情報

あなぶきアリーナ香川 (香川県立アリーナ)
公式サイト:https://kagawa-arena.com/