第69回岸田國士戯曲賞は安藤奎・笠木泉

2025.3.13
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第69回岸田國士戯曲賞(株式会社白水社主催・公益財団法人一ツ橋綜合財団後援)の選考会が2025年3月13日(木)、都内で行なわれ、選考の結果、安藤奎(アンドウケイ)『歩かなくても棒に当たる』と、笠木泉(カサギイヅミ)『海まで100年』が受賞作と決まった。

安藤奎は、1992年12月13日生まれ、大分県出身。劇団アンパサンドを主宰する劇作家、演出家。受賞作の『歩かなくても棒に当たる』(上演台本)は2024年8月7日~8月11日、新宿シアタートップスにて初演。岸田國士戯曲賞最終候補回数2回目での受賞。

笠木泉は、1976年1月4日生まれ、福島県出身。スヌーヌーを主宰する劇作家、演出家、俳優。受賞作の『海まで100年』(上演台本)は2024年12月12日~12月15日、象の鼻テラスにて初演。

今回の選考委員は、市原佐都子、上田誠、岡田利規、タニノクロウ、野田秀樹、本谷有希子、矢内原美邦の各氏(五十音順、敬称略)だった。正賞は時計、副賞は各30万円。授賞式は5月12日(月)に行なわれる。


<選考委員コメント>

安藤奎『歩かなくても棒に当たる』

安藤奎氏「歩かなくても棒に当たる」のもつ〈コント的〉ーーという以上に精確な表現を見つけられないのがわれながら不本意でもどかしいのだけれどもーーなおもしろさは、それ以上微分的に分析ができないよね、ゆえに選考会で行われるべきもっともらしい議論が難しいよね……という話が選考会では出た。ほんとにそう! しかし滅法おもしろいのは間違いないこと。そしてエキセントリックな展開を起こしていくための手続きが超絶丁寧というか、盤石すぎる抑え込みというか。その力量は圧巻です。(岡田利規)

笠木泉『海まで100年』

「私の海」という問いかけを通して、福島に対する個人的な記憶や感覚が浮かび上がる様子は、まさに詩的な流れを作り出していました。 笠木さんの作品からは、その微妙なうつろいと、過去と現在をつなぐようなふんわりとした時間の流れの印象を受け取ることができました。(矢内原美邦)


尚、今回の最終候補作品は次のとおりだった(作者五十音順、敬称略)。

安藤奎『歩かなくても棒に当たる』(上演台本)★受賞
小野晃太朗『ひとえに』(上演台本)
笠木泉『海まで100年』(上演台本)★受賞
兼島拓也『花売の縁オン(ザ)ライン』(『新沖縄文学』96号)
倉橋真奈美『睡眠遊行』(上演台本)
佐藤二朗『そのいのち』(上演台本)
山本正典『おかえりなさせませんなさい』(上演台本)
ユニ・ホン・シャープ『ENCORE – violet』(上演台本)