Cloudy、バンド初のワンマンライブ『Cloud Nine』オフィシャルレポート到着、1st EPリリース&自身初のツアーも決定
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Cloudy『Cloud Nine』2025.4.26(SAT)東京・渋谷CYCLONE
2023年7月結成の4人組ロックバンド・Cloudyが、2025年4月26日(土)に東京・渋谷CYCLONEにてバンド初のワンマンライブ『Cloud Nine』を開催。本公演のオフィシャルレポートが到着した。
2023年7月の結成以来、東京都を拠点に活動を続けてきた4人組ロックバンド・Cloudy。2024年10月の初自主企画や2025年1月から3月にかけて繰り広げた3カ月連続での主催イベントを経て、2025年4月26日(土)、Cloudyは自身初のワンマンライブ『Cloud Nine』を東京・渋谷CYCLONEにて開催した。
超満員の客席を目の前に、胸に手を当てて一礼した小柴タケト(Vo.Gt)が「ただいまよりCloudy初めてのワンマンライブを始めます。一発限りだから命を燃やしてくれ!」と告げ、「命を燃やしている」で狼煙が上がる。メロディアスながら攻撃的なサウンドメイキングが施された守屋浩次(Ba)のプレイやザクザクと刻まれる千手碧(Gt)のブリッジミュート、高速で天へと駆け上る高くチューニングされたおおつかつばさ(Dr)のタム。バンドサウンドのピュアな魅力を体現するアンサンブルが小柴のざらついた歌声を前面へと押し出しながら、「セプテンバーナイン」から「さめない夢」「続き」へ転がり込んでいく。
夢の美しさと矮小な自らの姿を対比させる「セプテンバーナイン」、ライブハウスで打たれた稲妻が変わらずに燃え続けていることを宣言する「さめない夢」、違う道を選んだ盟友と自身の暮らしの差異を2人の会話を通じて生々しく描いていく「続き」も徹頭徹尾夢の歌だ。しかし、彼らは必ずしも「夢は必ず叶う」と口にするわけではない。破れた夢や理想を追求し続ける残酷さを百も承知で、それでもまだギターを握りたいと思ってしまった愛おしいのろいを叫び続けている。
「これまで誰かに向けて曲を書いたことはなかった。この曲は初めて誰かに向けて作った曲であり、その誰かとはあなたのことです」と投下した新曲「曇り空の下より」は、Cloudyがひとつのバトンを手渡すバンドになりつつあることの表れだった。渡り鳥や曇り空など過去のディスクレビューを思わせるワードを配置しつつ、自分に救いの手を差し伸べるのではなく、誰かの手をとろうとする1曲。このタイミングで窓を大きく開いたからこそ、続く「バンドマンと金髪女」や「安い映画」が個人の生活に深く密接したナンバーとして鮮やかな色彩を放つ。退廃的で堕落した毎日を<僕等の日々は安い映画だ>と断言してしまうほどのリアリズムと、その上で信じ続けたい不確かな愛情や希望とのコントラストは4人の身上だと言えよう。
エスニックな質感のギターリフとスカを取り入れた新曲「絶望通り」で音楽的なレンジ拡張の片鱗をちらつかせると、<大抵のものなど冷め消えるが 残る熱を 僕は信じている>の一行が不動のものとして轟いた「日々」、千手に導かれてゆっくりと点灯するライティングが視界の開けていく様と合致した「生きてる限り」を終え、小柴は両親への感謝を告げると同時にこんな言葉を紡ぐ。
『人生における重大な決断の時に、どうか誰の言うことも聞かないでください。結局、僕らは自分の責任を自分でとるしかない。自分の本当の声に背いた道で「あの時どうだったかな」と思っても、誰も責任はとってくれない。自分でこれだって決めた道に進むしかない、怖くても。確証なんてないけれど、自分の本当の声をどうか信じてやってください。僕は信じることができたから。よどんだ生活の中でも、僕はちゃんと信じられたから』。
家族や友人に反対されようとも消したくなかった火を守り続けてきた小柴からのメッセージが、<最後に残るのは一つだけ><よどんだ生活の中でただ僕は 僕を歌いたいだけ>と人生のモットーを凝固させた「よどんだ生活の中で」へ結ばれていく。この歌も、そしてこの景色も、心の声に従った先で待ち受けていたものにほかならないのだ。「優しさを失くした」「今から」とラストスパートをかけ、「どうかこの高鳴りだけはいつまでも続きますように!」と終止符を打ったのは「高鳴り」。自然発生したシンガロングをこれ以上ないほど嬉しそうに受け止める4人の表情は、初ワンマン成功の証であり、「何か1つを残したい」と願い通してきたCloudyの野望が果たされたことを裏付けていた。
アンコールではこの日リリースを発表したEP『憂鬱な生き者共よ』から「エルザ」を披露し、舞台を降りたCloudy。ここまでの活動の集大成としてだけではなく、新曲を多分に織り交ぜたセットリストによって次なる一歩として、初めてのワンマンライブを位置づけた彼らの背中はたくましい。しかし、それもそのはず。なぜなら、Cloudyはパンパンの夢とありふれた現実の隙間でもがきながら、その覚悟を打ち立てているバンドなのだから。そんな4人の次なるマイルストーンは、全国8都市を巡る自身初のツアー。衝動の灯火はますます勢いを増していく。
取材・文=横堀つばさ 撮影=ひな
イベント情報
2025.4.26(SAT)東京・渋谷CYCLONE
ツアー情報
リリース情報
2025年6月29日(日)リリース
2.曇り空の下より
3.生きてる限り
4.少年の疑念
5.寝ぼけたままで
6.安い映画
7.絶望通り