天才たちの考え方、名言の数々は色あせない『すべてがFになる THE PERFECT INSIDER』加瀬さん、種﨑さん、木戸さんインタビュー

2016.1.18
インタビュー
アニメ/ゲーム

『すべてがFになる』加瀬さん、種﨑さん、木戸さんインタビュー

 漫画、ゲーム、ドラマ、そしてアニメと幅広くファンに愛されている森博嗣先生によるミステリー小説『すべてがFになる』。2015年12月にはアニメ『すべてがFになる THE PERFECT INSIDER』の最終回も放送され、新たな歴史の1ページを刻んでいます。

 本稿では最終話の放送を迎えたメインキャストのみなさんへ行ったインタビューの模様をお届けしていきます。インタビュー対象者は、加瀬康之さん(犀川創平 役)、種﨑敦美さん(西之園萌絵 役)、木戸衣吹さん(真賀田四季 役)の3人です。放送を終えた今だからこそ言える作品への思いや、アフレコ中の裏話など、短い時間ながらもたっぷりと語っていただきました。

■ 種﨑さんが感情移入して思わず焼きもち?

──いよいよ最終話の放送を迎えましたが、これまで演じてきていかがでしたか?

加瀬康之さん(以下、加瀬):すごく喋りましたね。やっぱり難しかったです。終わってみれば楽しかったですが、演じているときはけっこう必死でした。その必死さが出ないように頑張りましたね。犀川はひょうひょうとした人物なので、自分のテンションが少しでも上がるとスタッフさんから訂正するように言われました。「加瀬さん、今日の犀川先生は少し明るいですね」って。自分でも「あれ!?」って思うくらい細やかな指示があって驚きましたよ。だから、よく他のキャストさんに「今日、明るかった?」って聞いていました(笑)。

種﨑敦美さん(以下、種﨑):でも、どうやっても素敵だから何も言えないんですよ(笑)。

加瀬:30分を通して犀川のトーンが振れないようにしていたので、感情を殺す作業が多かったように感じます。

種﨑:みなさんそれぞれ難しかった部分が違うと思うんですけど、私は犀川先生と逆に感情を出す場面が多くて難しかったですね。犀川先生も四季さんも感情の振れ幅があまりないキャラクターで、こっちがどれだけ「ワー!」って言っても反応が少ないんですよ。こちらが出した感情に対して返ってくるだろう普通の反応が、絶対返ってこないので、演じているときは少し不安もあって難しかったです。

加瀬:人としては不安になるけど、きっと萌絵としては普通なんだろうね。

種﨑:こちらがどんな風でも犀川先生はずっと変わらずいてくれるから萌絵も一緒にいられるんだと思います。でも、四季さんもそんな感じで……。色々葛藤しながら演じていたんですけど、それを考えることがだんだんと楽しくなってきたところもあったんです。私は悩みながらも序盤からずっと楽しんで演じていました。

神戸守監督が加瀬さんとの対談で「萌絵は固定観念があったけど、犀川は固定観念にしばられず客観的に考えられるから答えに先に辿り着いた」って仰っていたんです。その固定観念ゆえに感情的になっていた瞬間は、もしかしたら視聴者の方よりも答えから遠かったんじゃないかなって、今では思います。「先生と同じ景色を見たいのに。」感情的になることによってそこから遠ざかっている感覚が辛すぎる・・!ってなるときもありましたね。

木戸衣吹さん(以下、木戸):真賀田四季は本当に難しい役で。原作の小説は絵もないし、声もないですよね。だから、「原作ファンのみなさんの期待を裏切ったらどうしよう」ってプレッシャーも強かったんです。アフレコを全て終えた今では、私なりの四季を演じることができたんじゃないかなって思っています。最初は手探りでキャラクターを演じていて、どうやったら天才っぽく聞こえるのか話し方をいろいろと試していました。

いつもは明るく元気なキャラクターを演じることが多いんですけど、今回は初の試みだったので、みなさんに私の新しい引き出しをお見せできたらいいなと思っていました。


──ご自身が演じているキャラクターに対しての思い入れや、演じる上で気をつけている部分などありましたらお聞かせください。

加瀬:犀川は四季の見ている景色を見たいとずっと思っていた人だから、その景色を見るまでをどう持っていくのかが思い入れですかね。1話完結型のミステリィとかではなく、ひとつの事件を11話で描いているので、長い期間同じ事件をひとりの人物で演じられたというのは楽しかったですね。気をつけた部分もそこになりますね。前回の続きとしてやっていかないといけないので。あとは、萌絵との関係性ですね。

種﨑:いやー、木戸ちゃんと加瀬さんの演技が素晴らしすぎて……。劇中で犀川先生と四季さんが話すシーンがあるんですけど、「萌絵と話しているときと声のトーンが違う! 悲しい!」って思ってしまいました(笑)。

木戸:リアル萌絵だ(笑)。

種﨑:原作を読んだときからそうなんですが、「私(萌絵)には先生は無理なのかな……」みたいに思ったり、それに加えて固定観念のせいで役に立てなかったり。私はキャラクターに感情移入してしまうタイプなんですが、加瀬さんと木戸ちゃんが喋っているときに「あれ? 焼きもちかな?」と思ってしまった瞬間はあったかもしれません(笑)。

木戸:四季は萌絵とは違って固定観念というものがなくて、ある問題に対してあらゆる答えを用意することができるような人間なんです。なので、全てを見通したような喋り方は特に意識しました。全く慌てないし、冷静な感じです。萌絵と話すシーンなどは、萌絵は慌ててるけど四季は冷静に分析していく、悪魔のような姿をどんな風に演じようかなとか、いろいろ考えていました。それでいて天使のような雰囲気もあるし。天才なんだけど、新藤の前では普通の恋する少女みたいな切り替えも意識しました。新藤といるときだけはニコニコしたり、プンプンしたり。

──木戸さんは今まであまり演じたことがないような役柄でしたが、どんな取り組みをしたんですか?

木戸:実は元々、こういった謎を秘めたキャラクターを演じてみたいなと思っていたんです。今回はたくさん原作を読んだり、森博嗣先生の「四季シリーズ」を読んだりして、「頭がいいだけで、意外と普通の女の子なんだな」って思いました。そのイメージのまま演じていたので、特に特別なことはしていません。


■ 実は大変だった英語回。思い出に残っているストーリーは?


──最終話を含めて、みなさんのお気に入りの話はどれでしょうか?

加瀬:英語を話す回も大変だったけど、やっぱり第1話かな。

種﨑:私も第1話が好きですね。

木戸:第1話はアフレコも緊張しました。あと、最終話の最後のシーンはグッときました。ミチルが「お母さん」って語りかけるところは。そこで終わるのか! と思いました。

加瀬:第1話で初めてみんなに会うけど、「さあやりましょう」とアフレコが始まってみれば、そこからは先生と学生の関係性は当たり前のように存在していて。それでも第1話はなんか楽しかったですね。

第7話の英語を喋ったところも、「犀川は片言でいいよ」って言われてたんです。でも現場に英語の先生がいらっしゃっていて、すっごく厳しかったんですよ(笑)。「あれ? 話と違うな……」みたいな。5分強喋りましたよ。

種﨑:英語もよかったんですけど、その話は今までにない先生を見られたので楽しかったです(笑)。

加瀬:バーチャルでね。「ヒャッホーイ!」とか言ってましたから。

種﨑:個人的には第9話の萌絵が先生に「君にしか見えない景色だ」と褒められるシーンがなんか本当に嬉しくて、あとその台詞自体も素敵でお気に入りです。

──木戸さんも仰られていましたが、第1話はみなさん緊張されていましたか?

加瀬:緊張してた?

木戸:はい……。どういう風に演じたらいいんだろうとずっと考えていました。

加瀬:木戸ちゃん、ずっと台本とにらめっこしてたもんね(笑)。

木戸:私、台本を近くで見ないと読めないんですよ!(笑) 第1話は関係者の方も多くて、「やばいやばい。頑張らなきゃ!」って思っちゃいました。

種﨑:でも四季さんは素晴らしかった!

木戸:いえいえ……! 萌絵さんとの掛け合いもすごくやりやすくて、私がイメージした通りの萌絵さんで感動しました。


──ズバリ、本作の魅力はどこにあると思いますか?

加瀬:作品自体もそうですが、人物が魅力ですね。普通の人も出てきて、その中にちょっと達観した天才がいて。

種﨑:天才たちの「考え方」が魅力なのかなと思いますね。

加瀬:僕たちからすると「なんでそうなっちゃうの」「もっと話をまとめてくれたらいいのに」と思うんですけど、あの人たちは話をまとめようとしない人たちだからね。

種﨑:アフレコを終えてみてふと思ったんですけど、天才の人たちは人が考えもつかないことを、考えもなしに言える人たちなんだなって。それって私たちも「考えたことはある」けど、「そんなの考えても仕方ないよね」とか、頭や心に一瞬よぎってもよぎっただけでそのまま終わっていることだと思うんです。彼らは形ないもの、形にはできないものを言葉にできる人たちなんじゃないかなって思いました。

加瀬:最終的には「あなたは誰ですか?」というところがみんな引っかかってると思うんですけど、僕はなんも引っかからないですからね(笑)。「あなたは誰ですか?」ということのためにこれだけ話す人たちがいるのかと。もう哲学ですよね。

木戸:天才たちの言葉の端々に名言があるなって思いました。犀川先生が言っていたんですけど、萌絵とキャンプに行って「自然が素晴らしい」と言うところがすごいなって。

種﨑:そこで「自然が素晴らしい」と言えるのは、普段汚れた生活をしているからみたいなことなんですよね。

木戸:美しい言葉がたくさん出てくるところも魅力ですね。

──では最後に、締めの言葉として読者のみなさんにメッセージをお願いします。

木戸:あっという間の収録でしたが、たくさんの思い入れができる作品でした。挑戦したこともいっぱいあって、最終的に無事に終わることができてほっとしています。まだまだ応援よろしくおねがいします。

種﨑:たくさんの方に読まれている原作を、神戸監督によってアニメ化することができました。読んだ方の分だけあるであろうたくさんの可能性の中のひとつとして作品を見てもらいたいですし、見返すたびに違う見方ができるものになっていると思います。1本の映画を見るように何度も見ていただけると嬉しいです。

加瀬:森先生の作品はこれだけではないので、犀川と萌絵のシリーズもまだまだありますから、きっと会えると思います。わかりませんが(笑)。「四季シリーズ」も描かれていないことがまだまだあるので、どこかでまた犀川、萌絵、四季の3人で作品ができたらいいなと思っていますので、そのときにまたお会いできればいいですね。今回は『すべてがFになる THE PERFECT INSIDER』を堪能してください。


【 2016年2月24日(水)にBlu-ray&DVD Complete BOX発売! 】

Blu-ray完全生産限定版 ¥32,000 +税ANZX-11291-5
DVD完全生産限定版 ¥28,000 +税 ANZB-11291-5

■収録話
第一章白い面会
第二章 蒼色の邂逅
第三章 赤い魔法
第四章 虹色の過去
第五章 銀色の希望
第六章 真紅の決意
第七章 灰色の境界
第八章 紫色の夜明け
第九章 黄色の死角
第十章 紫苑色の真実
第十一章 無色の週末

■特典内容
★キャラクター原案:浅野いにお描き下ろしBOX仕様
★豪華ブックレット
・原作者:森博嗣 ×監督:神戸守の往復メール書簡
(アニメ放送期間中に行われる二人のメール内容を掲載)
・浅野いにおキャラクター原案集
・アニメ設定資料集など
★特典CD1:「すべてがFになる THE PERFECT INSIDER ORIGINAL SOUNDTRACK」
・音楽;川井憲次 劇伴集
・オープニングテーマ「talking -TV size-(Anime Size)」KANA-BOON
・エンディングテーマ「ナナヒツジ -TV size- (Anime Size)」シナリオアート
★特典CD2:オーディオドラマ「四季」
・本作で神に最も近い存在として登場する真賀田四季の生い立ちのエピソードをオーディオドラマ化
・dアニメで隔週で1章ごとに配信する6章+新規録り下ろしextraトラック
★特典映像:ノンクレジットOP,ED映像
発売:フジテレビ、アニプレックス販売:ソニー・ミュージックマーケティング



>>アニメ『すべてがFになる THE PERFECT INSIDER』公式サイト
>>アニメ『すべてがFになる THE PERFECT INSIDER』公式Twitter

(C)森博嗣・講談社/「すべてがFになる」製作委員会

  • イープラス
  • 種﨑敦美
  • 天才たちの考え方、名言の数々は色あせない『すべてがFになる THE PERFECT INSIDER』加瀬さん、種﨑さん、木戸さんインタビュー