“純真”な想いが胸を打つ、ミュージカル『フラガリアメモリーズ』〜純真の結い目〜開幕! ゲネプロレポート
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(C)2025 SANRIO CO., LTD. ミュージカル『フラガリアメモリーズ』製作委員会 2025
サンリオが贈る新世代の本格ファンタジープロジェクト「フラガリアメモリーズ」初の舞台化作品、ミュージカル『フラガリアメモリーズ』〜純真の結い目〜が2025年5月23日(金)に東京・シアターHにて初日を迎えた。
本作では、赤の大陸のフラガリアの騎士たち【RED BOUQUET(レッドブーケ)】にスポットを当て、彼らの平和なフラガリアワールドを守りたいという思いが描かれていく。本記事ではゲネプロの様子をお届けする。
RED BOUQUET集結!6人の絆が結ばれる
(C)2025 SANRIO CO., LTD. ミュージカル『フラガリアメモリーズ』製作委員会 2025
ハートフルなストーリーとキャスト陣のまっすぐな熱演が、心を温めてくれる。サンリオの生みだす「フラガリアメモリーズ」の世界観をそのままに、愛と純真と友情が美しく交差する約2時間の物語が展開された。
物語はハローキティのフラガリアであるハルリット(酒寄楓太)が、主(ロード)から「この世界を、救って!」と使命を託されるところから動き始める。赤の大陸では、謎の存在・シーズの動きが活発化していた。ときを同じくして、青の大陸、黒の大陸でも、シーズにより不穏な空気が広がる。
ハルリット役の酒寄楓太 (C)2025 SANRIO CO., LTD. ミュージカル『フラガリアメモリーズ』製作委員会 2025
大切な主(ロード)に思いを託されたハルリットは、フラガリアとしての誇りを胸に張り切って旅に出る。ハルリットはKIRIMIちゃん.のフラガリア・リミチャ(大見拓土)、ウサハナのフラガリア・サナー(山野光)、ポムポムプリンのフラガリア・プルース(井澤勇貴)に迎えられ、円卓会議の開かれるマロンクリーム王国へ。同国のフラガリア・ロマリシュ(樫澤優太)に迎えられたハルリットは、そこで憧れの「最強の騎士」であるマイメロディのフラガリア・メロルド(安藤夢叶)に出会うが、メロルドはハルリットが思っていた人物とは違っていて……。
左からメロルド、ハルリット (C)2025 SANRIO CO., LTD. ミュージカル『フラガリアメモリーズ』製作委員会 2025
以前、RED BOUQUETキャスト6人へのインタビューで、キャスト陣は「めっちゃミュージカル!」と本作への印象を語っていた。その言葉どおり、全17曲の楽曲で彩られた本作は、音楽の力も借りて、観ているだけで楽しくなる“かわいい”にあふれた空間を作り出していた。
序盤の賑やかなステージに目を奪われているうちに、心はあっという間にフラガリアワールドへ。新しい仲間との出会い、初めて訪れる国々……。ハルリット役の酒寄の等身大でまっすぐな芝居に惹き込まれ、いつしか彼とともに新しい景色を楽しむ仲間になったような気分でステージを眺めていた。
(C)2025 SANRIO CO., LTD. ミュージカル『フラガリアメモリーズ』製作委員会 2025
彼らが対峙するシーズは、次々と大切なものを消し去っていく存在だ。その脅威を目の当たりにしたフラガリアたちは、自分の大切な主(ロード)と、主が築いてきた愛すべき国を守るため、勇気と知恵をふりしぼって立ち向かっていく。入口は軽やかながら、物語が進むにつれて心にずしりと重さがのしかかる。フラガリアワールドに息づく、彼らのリアルな苦悩が胸に迫り、ドラマとしての深みも存分に味わうことができた。
原作の持つキャラクターの魅力を存分に表現
バドバルマ役の當間ローズ (C)2025 SANRIO CO., LTD. ミュージカル『フラガリアメモリーズ』製作委員会 2025
なんといっても日本を代表するキャラクター企業であるサンリオのプロジェクトとあって、キャラクター自身が個性と魅力にあふれている。そこに役者の芝居がくわわり、それぞれの個性がより立体的に立ち上がる。
トラブルメーカーだがいつも一生懸命なリミチャ役の大見は、シリアスなシーンでも動きを止めず躍動感たっぷり。インタビューで大変だと語っていた日替わりシーンでは、ゲネプロでも果敢に笑いを取りにいき、その思いきりのよさで笑わせてくれた。
リミチャ役の大見拓土 (C)2025 SANRIO CO., LTD. ミュージカル『フラガリアメモリーズ』製作委員会 2025
リミチャといっしょになって陽気にふるまうサナー役の山野は、ダイナミックなアクロバットも取り入れながら、いつでも気持ちにまっすぐなサナーを表現。シェアハピの精神を愛する彼の笑顔は、観客の心も照らしだす。
サナー役の山野光 (C)2025 SANRIO CO., LTD. ミュージカル『フラガリアメモリーズ』製作委員会 2025
“動”なリミチャとサナーに対し、“静”な存在としてみんなを見守っているのがプルースとロマリシュ。プルース役の井澤は、持ち前の兄貴肌なところを存分にいかした包容力で仲間たちを見守る。日替わりシーンでおちゃめな部分も見せつつ、その瞳にはつねに優しさをたたえていた。
プルース役の井澤勇貴 (C)2025 SANRIO CO., LTD. ミュージカル『フラガリアメモリーズ』製作委員会 2025
ロマリシュを演じる樫澤は上品な立ち居ふるまいが目を引いた。ロマリシュはメロルドを知る立場として、彼を見守っていることが多い。言葉は少なめながらも、そこに込められた静かな熱量が、ロマリシュの持つ芯の強さを感じさせる。
ロマリシュ役の樫澤優太 (C)2025 SANRIO CO., LTD. ミュージカル『フラガリアメモリーズ』製作委員会 2025
そして本作の大きな軸となっているのが、ハルリットとメロルドの関係性だ。酒寄の逃げも隠れもしないまっすぐな芝居を、ときに受け流し、ときに真正面から受け止めるメロルド。メロルド役の安藤の心をチクリと刺すトゲのような繊細な芝居と情感たっぷりの歌声が、この絆の物語に厚みをもたらす。2人の折り重なっていく感情の応酬は、そのまま本作の見どころとなっている。
メロルド役の安藤夢叶 (C)2025 SANRIO CO., LTD. ミュージカル『フラガリアメモリーズ』製作委員会 2025
本作にはRED BOUQUETだけでなく、BLUE BOUQUET、NOIR BOUQUETの面々も登場。一部キャストは映像出演という形だったが、全キャスト続投でのBLUE BOUQUET公演、NOIR BOUQUET公演の2作品上演も決定。メイン公演に先駆けてのお披露目という意味でも、本作は見逃せない。
シエロモート役の植田圭輔 (C)2025 SANRIO CO., LTD. ミュージカル『フラガリアメモリーズ』製作委員会 2025
左からクラークステラ役の田中涼星、ルタールステラ役の塩田一期 (C)2025 SANRIO CO., LTD. ミュージカル『フラガリアメモリーズ』製作委員会 2025
ウィルメッシュ役の北園涼 (C)2025 SANRIO CO., LTD. ミュージカル『フラガリアメモリーズ』製作委員会 2025
ミュンナ役の新谷聖司 (C)2025 SANRIO CO., LTD. ミュージカル『フラガリアメモリーズ』製作委員会 2025
“純真”がテーマになっているミュージカル『フラガリアメモリーズ』〜純真の結い目〜。そんな作品だからこそ、難しいことは考えず、それぞれが胸に抱く純度100%の主(ロード)への忠誠と愛を感じてみてほしい。彼らが全身で体現する主(ロード)への思いは、誰かを大切に思うことの尊さを、そっと思い出させてくれるだろう。客席に降りての演出も多いので、ぜひ間近で彼らの愛を受け取ってみてはどうだろうか。
取材・文・撮影=双海しお
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