Kroi、初にして極上のアコースティック野外ワンマンで新境地「マジで最高の一日になったと思います」
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『Kroi Acoustic Live 2025』2025.6.15(SUN)大阪城音楽堂
(※本記事は、ライブ内容についてのネタバレを含みます)
Kroiが、キャリア初のアコースティックワンマンライブを6月15日(日)、大阪・大阪城音楽堂で開催した。同公演は、東阪2カ所で行われる『Kroi Acoustic Live 2025』の大阪公演で、前日の雨がうそのように晴れわたった会場に多くの観客が集まるなか、ふらりとステージに現れた5人は、弧を描くように配置されたそれぞれのポジションについていく。
アップライトピアノを奏でた千葉大樹(Key)のジャジーな旋律に、4人が合流するように始まったのは「Pixie」。まるで別モノと言えるほど大胆に再構築されたミニマムな音像は演奏者としての各人の個性を際立たせ、通常運転のハイエナジーなライブパフォーマンスとはまた異なる求心力で、彼らの作り出すメロディの美しさに酔いしれる贅沢な時間を味わわせてくれる。
間髪入れず原曲より軽快なビートを響かせた熱情の「侵攻」を経て、内田怜央(Vo)はアコースティックギターからパーカッションにスイッチ。スリルと緊張感マシマシの「Monster Play」で、千葉を皮切りに長谷部悠生(Gt)、関将典(Ba)とリレーした長尺のソロパートに思わず拍手喝采! そのバトンを引き継いだ内田も再度ギターを抱え、渾身のプレイで魅せる。益田英知(Dr)の壮絶なドラミングから突入したコーラスのリフレインに客席のクラップが並走していくアウトロも至福で、この段階ですでに「本当に見に来て良かった!」と確信した人も多かったことだろう。躍動感たっぷりの幕開けからチルな急降下にシビれた「風来」では、内田のほれぼれするようなボーカルや千葉のピアノソロに体を委ねる心地良さが極上!
「ついに始まりましたね」(内田)
「今日は会場に着いたらみんな衣装にシャツを着ててね」(益田)
「でも、めっちゃ乳首が透けちゃって(笑)。ガムテープで隠したけどダメだった」(千葉)
「そんなに試行錯誤してたんだ(笑)。いや~晴れたね!」(内田)
「俺らはすごい晴れ男だと思うんだよね。一年前の赤レンガ(=神奈川・赤レンガ倉庫での野外フリーライブ)だって、雨予報だったのに晴れたし。武道館は雨だったけど」(長谷部)
「よくしゃべるカウボーイだな(笑)。開演10分前にこの格好に着替え出して」(千葉)
と、ここでウエスタンないでたちの長谷部が舞台上でモデルウォークし始めると、負けじと益田が追随(笑)。MCとなると瞬時にいつものKroiになる5人であったが、内田が「我々はぶち上げファンクが売りなんですけど、今日はそれを封印するという。未知の世界を一緒に作り上げてください!」とギターをつま弾き、ひときわアダルトな「WATAGUMO」を歌い上げれば、場の空気は一変。息をのむようなメロウネスには身も心も溶けていくかのよう。
「Funky GUNSLINGER」では、めくるめくユニゾンリフとともに昇天するような高揚感がまたも溢れ出し、そこにさらに火を注ぐような益田×内田の灼熱のリズムバトルから「Amber」へ! 野音にそよぐ風の気持ち良さとKroiの楽曲がもたらすエクスタシーが、あっという間に快楽の渦を生み出していく。そのアレンジの完成度とアイデアには目を見張るばかりだ。
その後も、「アコースティックライブで何か特別なことができないかなって考えて。例えばビンゴ大会とか(笑)」(内田)、「Nintendo Switch 2とか賭けてね。それだけで結構人が来るんじゃない?」(千葉)と相変わらずトークは和気あいあいで、曲に入ろうとするたび「まだしゃべり足りない!」と制止する長谷部(笑)。昨月、滞在していたイギリスのロンドンで関が大のお気に入りだったカフェ「ボネゴ」の土産話も飛び出したところで、益田がリゾネーターギターを手にし、長谷部と2人でのブルージーなギターセッションへ。水面下で互いにいろいろやらかしつつも(本人談)大いに沸かせ(笑)、再び5人で届けたアーシーな「明滅」では緩急自在に静と動を行き来。リラックスしたムードからじわじわ高ぶっていく「Shincha」も、ゆったりとしたBPMに刻まれたエモーションがたまらない。
「結成して7年ぐらい経ったんですけど、初めてのアコースティックライブということで。Kroiの音楽的な挑戦を皆さんに聴いていただけて、本当にうれしく思っております。普段「ワーッ!」ってぶち上げてると、曲の良さが分からなくなるときもあるじゃん? こうやって一曲一曲アレンジすると、「この曲いいな」と思うのでやれて良かったなと。ライブもあとちょっとなので感動する人はしていただいて(笑)」(内田)
クライマックスは、関のグルーヴィーで表情豊かなベースラインがけん引した「Network」、「いつもよりちょっとオシャレにいこう!」と内田がシンガロングを促しきっちりアゲた「HORN」などを連発! 長谷部→千葉→内田→長谷部→千葉と次々移り変わっていく見せ場を支える益田と関のボトムも鉄壁で、Kroi x アコースティックの抜群の相性と同時に、ライブバンドとしての底知れぬすごみをこれでもかと見せつける!
アンコールでは、「座って弾いてるから余裕かなと思ったらめっちゃ汗かいてる。楽しかった? (盛大な拍手を聞いて)うれしいわ。じゃあ最後に一曲やって終わりますか」(内田)と、「Never Ending Story」を。繊細ではかないピアノに優しく寄り添っていくギター、ベース、ドラムが、静かに熱を帯びていく……。
「マジで最高の一日になったと思います。どうでしたか、アコースティックなKroiちゃん。こんな大人な日があってもいいよね? 我々は今年も精力的にやったことのない活動をガンガンしていって、また新たなKroiになっていこうと思いますので、皆さんよろしくお願いします!」(内田)
夕暮れ時にKroiがささげた豊潤で深みのあるサウンドとオーディエンスの歌声が大阪城音楽堂を包み込んだ光景は、幸福以外の何物でもない。「またこんな日が来るといいなと思っています。ありがとうございました!」という内田の最後の言葉は、そこにいる全てのミュージックラバーの気持ちを代弁していた。
なお、今後のKroiは、7月7日(月)東京・The Garden HallにてFC会員を対象とした『Kroi Acoustic Live 2025』の東京公演を開催。各地のフェスやイベントに出演後、8月末より全国7都市を回る初のホールツアー『Kroi Live Tour 2025 - HALL』をスタート。来年には初のアリーナツアーとなる『Kroi Arena Tour 2026』を、2026年1月11日(日)大阪・大阪城ホール、1月23日(金)東京・国立代々木競技場 第一体育館で開催する。
取材・文=奥“ボウイ”昌史 写真=オフィシャル提供(撮影:渡邉一生)
ライブ情報
2025年8月30日(土)福岡・福岡サンパレス 開場17:00/開演18:00
2025年9月15日(月祝)宮城・仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール 開場17:00/開演18:00
2025年9月23日(火祝)広島・広島JMSアステールプラザ 大ホール 開場17:00/開演18:00
2025年9月24日(水)愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館 開場18:00/開演19:00
2025年10月3日(金)北海道・札幌・カナモトホール 開場18:00/開演19:00
2025年10月9日(木)埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール 開場18:00/開演19:00
2025年10月13日(月祝)新潟・新潟県民会館 開場17:00/開演18:00
2026年1月11日(日)大阪城ホール 開場 : 17:00 開演 : 18:00
2026年1月23日(金)国立代々木競技場第一体育館 開場 : 17:30 開演 : 18:30
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☆オフィシャル先行
期間:6月19日(木)18:00~6月23日(月)23:59