KEIJU 緻密でハイクオリティなエンターテインメントショウで1万5千人を魅了した、初の横浜アリーナ公演をレポート
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KEIJU
N.I.T.O. TOUR
2025.6.25 横浜アリーナ
KEIJUのキャリア初となるアリーナツアー『N.I.T.O. TOUR』。6月10日の大阪・大阪城ホール公演に続き、6月25日にファイナルとなる神奈川・横浜アリーナ公演が開催された。
観客の期待が熱気に変わって場内に充満した頃、客電が消えると北側の観客通路にスポットライトが当たる。そこに屈強なガードマンたちと、シェルパーカーのフードを被ったKEIJUが現れた。アルバム『N.I.T.O.』の1曲目「Illicit Intro」が爆音でかかる中、KEIJUは客席通路を歩いて、ステージに向かった。グレーのアウターとパンツにブラックのTシャツ、遠目にもキラキラとダイヤが光るチェーン、白いスニーカーというシンプルで洗練された出たち。観客の視線を一点に集める中、火柱が立ち上る。情感を彩るスモーク、大胆なレーザーといった特効で煽りつつ、序盤は「NEVEREST」「K2」「same side」「Shirase」といった最新アルバムの楽曲に「Pilot」「Not 4 Me」「Civility and Integrity」「Bound For Glory」などを交えてラップした。
特筆すべきは映像演出。ステディカムを装備したカメラマンとドローンの映像を織り交ぜ、どんな瞬間もバッチリと計算されたようなアングルの映像がステージ上部のスクリーンに映し出された。そこにVJが楽曲にまつわるテキストやツアーロゴをセンスよく配置していく。まるで長回しのMVを観ているのかと錯覚するほどのクオリティで観客を楽しませた。
「Backseat」のイントロとともに、ステージの中央から最初のゲストであるKvi Babaがポップアップで上がってきて、KEIJUと「Too Bad Day But…」「Luv My Self」といったヒット曲を歌い、「Friends, Family & God」へ。観客みんなを巻き込む大合唱が生まれた。いつの間にかアウターを脱ぎ、サングラスも外していたKEIJUはステージを降りて、最前列の観客のすぐ側でtofubeatsとのクラシック「Lonely Nights」を歌う。歓喜する観客にKEIJUの笑顔もこぼれた。
初期の名曲「Let Me Know」でスケール感を見せつけた後、客を煽って「Hold You Down」に突入する。2ヴァース目にはセンター3扉にMUDが現れ、スピットしながら客席通路を進んでステージに向かった。続くAwichはセンター6扉から。「Remember」「Money Baby」で会場を爆発寸前まで盛り上げた。さらに「Tears」はMELRAWのサックスをフィーチャー。大合唱となった。
出会いと別れをテーマした楽曲「Falling」では白いライトで厳かな雰囲気を作る。次は「Strand」。4月に急逝したJJJとの楽曲。それまで効果的に使われてきた上部ビジョンは真っ暗に。すると、観客は自然とそれぞれのスマホライトを点灯して、場内が徐々に明るくなっていった。そして最後にステージ中央を無数のスポットライトで照らした。同じくJJJをフィーチャーした「Wind Rise」の《ありがとう言う前に会えなくなったりするから大事にする友達 心が出る顔磨く内面 時々電話をくれよMy Man》というラインで、KEIJUは少しだけ声を詰まらせた。
「Local Area pt.2」のイントロと共に東側ゲートからNeetzとGottzが登場。彼らの地元を歌ったこの曲のリリックにある《桜2丁目》にインスパイアされたピンクの照明がスタイリッシュだった。「Day Dream’」には7が駆けつける。KEIJU、Gottz、7は四角いステージの中央で向き合ってサイファーのようにラップした。ステージに残った7は「Mama’s Boy」をアカペラでスピット。ビートが鳴った瞬間にセンター1扉からLEXが現れて、場内は観客の驚きと歓喜の入り混じったどよめきに包まれた。ラップしながら客席通路を通ってステージに向かう。KEIJU、7とLEXがWhat’s upする豪華な瞬間に観客のテンションは高まっていった。さらに、興奮冷めやらぬステージにはKID FRESINOが。KEIJUによるライフスタイルブランド・DAMIよりリリースされたオードパルファンと同名の楽曲「SAYSUM」をパフォーマンスした。スクリーンには英語と日本語が複雑に入り混じるKID FRESINOのリリックをスタイリッシュに表示することで、観客の理解度を格段に高める演出は見事の一言だった。ラストは「412」。KEIJUは女性と熱い抱擁を交わして、中央のポップアップからステージを降りた。
だがスクリーンには“We are not done.”、 “encore”、“Wait a Minutes”と表示される。観客が声が枯れるほどアンコールを要求すると、センター3扉からなんとマーチングバンド隊が「Illicit Intro」を演奏しながら入場してきた。予想外の展開に驚いていると、PA卓のあるAブロックの後方にKEIJUとANARCHYの姿が。マーチングバンドアレンジされた「NEVEREST」にANARCHYがフィーチャーされたバージョンを初披露した。ANARCHYとの楽曲を歌い終えた後、KEIJUは「俺のひとつの夢だったんだよ。ANARCHYさんとやるのが。だから超嬉しいです」と話した。そして「K2」には、アリーナA4/A5ゲートからKANDYTOWNのメンバーが続々と現れて、歓喜する観客を掻き分けるようにステージへ向かって歩いていく。そこにはなじみ深いオカモトレイジ(OKAMOTO’S)の姿も。「K2」のリリック《俺だけじゃない みんなでいいのが一番良い》を体現したような演出。ラストはKANDYTOWNの名を一躍世に知らしめた名曲「Get Light」のマーチングバンドバージョンで締め括った。
KEIJUは初のアリーナツアーで1万人規模の会場を1マイクで支配した。シンプルでありながら、彼の美学がしっかり詰まった演出と緻密な構成力は、日本のヒップホップシーンにおいても傑出した内容だったと言える。アンコールを含む全31曲。2時間弱に及ぶ濃密なエンターテインメントショウだった。
なお、終演後、『N.I.T.O. ZEPP TOUR』の開催が発表された。10~12月にかけて東京、愛知、大阪、福岡、神奈川の5都市6公演が予定されている。
取材・文=宮崎敬太 撮影=Tomoyuki Kawakami
リリース情報
発売中
▶︎配信LINK
https://linkco.re/tex4qfYx
ライブ情報
Thank You Sold Out!!!
2025年10月31日(金)Zepp Osaka Bayside
2025年11月1日(土)Zepp Osaka Bayside
2025年11月11日(火)KT Zepp Yokohama
2025年11月14日(金)Zepp Fukuoka
2025年12月5日(金)Zepp Nagoya
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