ふぉ~ゆ~×梅棒がタッグを組んだ話題作がパワーアップして再演 『Only 1,NOT No.1』ゲネプロ&会見レポート
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舞台からテレビまで縦横無尽な活躍で注目を集めている「ふぉ~ゆ~」と、誰もが知るJ-popの楽曲と演劇的なダンスを組み合わせたノンバーバルパフォーマンスで唯一無二の存在感を放つ「梅棒」。2022年に上演された初コラボ舞台ふぉ~ゆ~ meets 梅棒『Only 1,NOT No.1』が再び帰ってきた。
ふぉ~ゆ~が扮するのはホストクラブ「WHITE KNIGHT」の寄せ集めホスト。対する梅棒メンバーは、全国の歓楽街から集まってきたホストクラブ「BLACK SHIP」の精鋭だ。さらに、歌舞伎町の女王を紅ゆずる、ゲイバーの店長をHideboH、地方から上京してきた新人キャバ嬢を佐々木莉佳子が演じ、新たなナンバーも盛り込んだ20曲以上のJ-popに乗せて物語を繰り広げる。
初日を前に、ゲネプロと福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介(以上ふぉ~ゆ~)、梅澤裕介、鶴野輝一、遠山晶司、櫻井竜彦、楢木和也、天野一輝、野田裕貴(以上梅棒)、佐々木莉佳子、HideboH、紅ゆずるによる会見が行われた。
会見レポート
左から福田悠太、越岡裕貴、松崎祐介、辰巳雄大
WHITE KNIGHTからBLACK SHIPに引き抜かれた人気ホスト役・街野松也役の楢木は「日本一のかませ犬を目指して頑張りたいと思います!」と意気込み、韓国からやってきたホスト役の鶴野が韓国語で挨拶するとすかさず辰巳が「非常に素敵なカンパニーと舞台に立てることを幸せに思います」と通訳。
櫻井は「それぞれのもてなし方をするので、皆さんはそれぞれのもてなされ方をして、いいホストとゲストの関係を築きましょう。……決まった!」とお茶目に挨拶し、天野は「ふぉ~ゆ~の皆さんはもちろん本業の方々もぶっ倒す勢いでやっていきたいと思います」と気合を入れ、野田は「ノンバーバルなダンスとアクト、梅棒イズムをご堪能ください!」とアピール。梅澤は「最高のノンアルコールステージをご用意しましたので、酔いしれて帰っていただけたら」と笑顔を見せ、遠山はおばあちゃんの役に入ったまま「Only 1,NOT No.1、楽しみにしててね~!」と呼びかけて笑わせていた。
佐々木は「この作品に携わることができて本当に嬉しく思っています。No.1キャバ嬢、キラキラ頑張りたいと思います!」と熱意を語り、HideboHは「老若男女に見ていただきたい作品です。タップダンスもたっぷりと」とダジャレ混じりで挨拶。紅は「大好評な作品と聞いていますので、携われることを光栄に思いながら、歌舞伎町の世界観にみなさんを引きずり込めるよう頑張ります」と意気込んだ。
左から楢木和也、天野一輝、野田裕貴、梅澤裕介
左から遠山晶司、鶴野輝一、櫻井竜彦、楢木和也
セリフなしのノンバーバル作品については、辰巳が「僕らは本来、喋らないで立っているのが一番得意なんですけど……」と話し出し、メンバーから「嘘つけ」とツッコミをうける。「ノンバーバルですが、みなさんが聞いたことのある楽曲を使いますし、歌詞がセリフに聞こえる部分もある。音楽がより深みを増して作品にパワーを与えてくれますし、元々の音楽が持っている力にお芝居の力が加わってパワーアップします。必ず思い出の曲ができる作品です」と続けて説明し、「今回はふぉ~ゆ~演じるWHITE KNIGHTと梅棒演じるBLACK SHIPの熱い対決になっています」と締めると、松崎が「白黒はっきりつけようぜ!」と元気に合いの手(?)を入れていた。
ふぉ~ゆ~の頑張り具合を聞かれると、楢木が「3年前にも増して忙しくなっているけど、稽古に向かう姿勢に改めてプロ意識を感じました。今回ブラッシュアップした部分もあったんですが、ふぉ~ゆ~も意見を出してくれて一緒に作ってくれた感じがさらにありました」と称える。
新キャストの紅と佐々木もすっかり仲良くなったそうで、佐々木が「恐縮ながら(紅を)さゆちゃんと呼ばせていただいています」と明かすと紅は「そっちの方が親近感わくし。いつもお喋りしています」と和気藹々とした様子を見せてくれた。
左から紅ゆずる、HideboH、佐々木莉佳子
最後に、楽しみにしている皆さんに向けて、福田が「再演になったのはきっと面白かったから。シアタークリエで会いましょう」と呼びかけ、越岡は「この夏、この劇場が一番熱いと思うくらい全力で突っ走っていきたいと思います」と意気込む。
松崎は「3年前よりさらにパワーアップした作品をぜひ劇場でご覧ください。劇場でお待ちして松!」、辰巳は「言い忘れていましたが、長い舞台人生で初めて、稽古場最終日が前倒しになりました。それくらい完成度が高く密度の濃い作品になっています。みなさんをもてなしますし、ここにいないキャストも含めて魅力的な登場人物がたくさん出てきます。必ず誰かを推せると思います!」と熱量たっぷりにメッセージを送った。
ゲネプロレポート
会見でもノンバーバルについての話が出ていたように、前説とストーリーテラー的な役割を担うHideboH、紅ゆずる以外は基本的にセリフなし。
だが、誰もが知っているJ-popの歌詞がキャラクターの心情や状況とリンクし、物語が紡がれていくのが梅棒作品の魅力だ。高い表現力とダンススキルを持つキャスト陣のパフォーマンスによって各キャラクターの思いや考えが手に取るようにわかるため、セリフがないことをいつの間にか忘れてしまう。
今回はふぉ~ゆ~が歌うオリジナル曲「Only 1,NOT No.1」、KinKi Kidsや嵐、SnowMan、ウルフルズ、椎名林檎といった初演から引き続き登場するナンバーに新たな楽曲が加わったほか、一部モブキャラクターの配役が初演と変わっていたり、シーンに変更が加わって各キャラクターの心の動きがより鮮明になっていたりと、細かな部分までブラッシュアップされている印象を受けた。
松崎が演じる塩崎犬太は、まっすぐで情に厚い“いい奴”。彼の誠実さと思いやりが作中で起きる奇跡につながっていく主人公っぷりが爽快だ。妹・茉莉花の前で見せるしっかりした兄の顔も魅力的な愛されキャラとなっている。越岡は次々と直面する困難を乗り越えながらホストとして大きく成長していく新井場廻を好演。個性的な仲間たちに対する面倒見の良さ、店にやってくる姫たちに対する気遣いが見える場面も多く、頑張りを応援したくなる。
ヤクザの下っ端からホストに転向する益子龍を演じる辰巳は、クールで不愛想な態度と根っこの優しさを絶妙なバランスで見せている。茉莉花との微笑ましいやりとり、松也との三角関係など、本筋とはちょっと違うバトルも見どころだ。そして、福田が演じる長島茶太郎はとある事情から店同士のバトルに大きなドラマを巻き起こすポジション。苦悩と葛藤、後悔といった感情の揺れを繊細に表現しなければならないキャラクターを、芝居心たっぷりに演じきっていた。
対する梅棒メンバーも、BLACK SHIPの個性と実力をパフォーマンスでしっかり伝える。有名なホストを彷彿とさせる見た目と言動、冷徹な中に人間らしい愛嬌を見せるオーランド(梅澤裕介)、ナルシスト俺様だがコミカルさもあるキャラクターが憎めない街野松也(楢木和也)、強気な態度と姫に対する甘さのギャップが憎いハク ソジュ(鶴野輝一)、関西ノリの明るくおちゃらけたキャラクターが楽しい陣馬力(櫻井竜彦)、青髪に眼鏡という見た目とクールな佇まいで目を引く義務川礼斗(天野一輝)、少年のようなビジュアルとあざとさが可愛らしい真我玲央(野田裕貴)。普段の公演ではコミカルでクセの強いキャラクターを演じることが多い梅棒メンバーが「正統派のかっこよさ」に振り切っているのも大きな見どころと言えるだろう。
メインの役がかっこいいぶん、量産感のあるホストや人間臭い神様、突き抜けたオタク、店に来る姫など、各シーンで登場するモブキャラクターたちのお茶目さや面白さも際立っている。映像に小ネタが仕込まれていたり、メインキャラが犬太の父やおばあちゃんな遠山晶司がギラギラとかっこいい姿を見せるシーンがあったりと、発見がいくつもあるのも楽しい。
また、HideboHは前説や物語の説明、客席を煽るシーンでステージと観客をつなぐほか、WHITE KNIGHTにとって頼れる先輩としての一面やタップダンスでも魅せる。 紅ゆずるは歌舞伎町の女王・クレアの華やかさとカリスマ性、親しみやすさを感じさせる関西弁のギャップで見るものを惹きつけていた。
そして、犬太の妹・茉莉花を演じる佐々木は、純朴でちょっとドジな女の子と、クレアに身染められて変身した姿の両方を溌剌と表現。目を離せないキュートさとしなやかな強さを堂々と見せてくれた。
さらに、アンサンブルキャストも街の人々や各ホストを推している姫たちをイキイキと演じ、それぞれの物語を想像させてくれる。テンションの上がる楽曲が次々に登場し、客席も一緒に盛り上がることができるだけでなく、友情や家族愛、キャラクターの成長にグッとくるシーンも随所にある本作。個性豊かなホストが繰り広げる熱いバトルと人間ドラマを、ぜひ劇場で体感してほしい。
本作は2025年7月13日(日)~8月3日(日)まで東京・シアタークリエで上演。8月9日(土)・10日(日)には愛知・岡谷鋼機名古屋公会堂でも公演が行われる。
公演情報
日程・会場:
2025年7月13日(日)~8月3日(日)東京・日比谷シアタークリエ
2025年8月9日(土)~10日(日)愛知・岡谷鋼機名古屋公会堂
振付・監修:梅棒
出演:
福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介(ふぉ~ゆ~)
小野礼実、湊江梨奈、豊田由佳乃、柳澤佳純
佐々木莉佳子、HideboH、紅ゆずる
製作:東宝