あらき “ライブをする意味”を見出した全国ツアー、熱狂のZepp Haneda(TOKYO)公演をレポート
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『LIVE ARK CLASSICS』
LIVE ARK CLASSICS
2025.8.3 Zepp Haneda(TOKYO)
※以下の本文にはライブ内容や演奏曲の記載があります。あらきの誕生日である10月4日に、公演がStreaming+で配信されることが決定しているため、ネタバレを避けたい方はご注意ください。
魂の歌声を響かせ続けるあらきが、2025年6月から8月にかけて全国12都市13公演のライブツアー『LIVE ARK CLASSICS』を開催。なんのためにライブをするのか。その答えを2年ぶりとなる全国ツアーで見出したあらき。ここでは、ツアーファイナル目前の8月3日に行われたZepp Haneda(TOKYO)公演の模様をお伝えする。
胸高鳴るオープニングSEに合わせ、バンドメンバーに続き、黒地に赤模様が映えるセットアップスタイルで逆光眩いステージに現れたあらき。「今日はお祭りです、最後まではしゃいでいきましょう!」とフロアに向かって呼びかけた1曲目は「Until the END」だ。あらきのどこまでも伸びるパワフルな歌声、呼応するオーディエンスの全力コール。鮮烈な赤のレーザー光線演出も相まって、出だしからいきなり火力が強い。
イントロで大歓声が上がった「Blue Insane」。オーディエンスのクラップ、バンドメンバーのソロ回しも派手に彩った「九龍レトロ」。ステージ下からだけでなく上からもスパークラーが噴出する中、オーディエンスの大合唱が巻き起こった「キレキャリオン」。キラーチューンをたたみかけるあらき、早くも無双状態だ。
「素晴らしいですよ、みなさん。この人いっぱいぎゅうぎゅうな感じ、この熱気、楽しいです。本日は11公演目。ここがファイナルだというテンションに近しい! この熱量そのままにごきげんなナンバーにいきましょう!」
笑顔でそう告げると、巻き舌も絶好調な「A New Voice」へ。2025年6月投稿の「Dead End Dance」は、あらき自身が作詞を、バンドメンバーの鳴風が作曲・編曲を手掛けたダークなナンバー。力強くクリアな高音域だけでなく、愁いを帯びた中音域ボイスもまた魅力的だ。同じく6月に投稿、あらき作詞で作曲・編曲を盟友・yosuke minowa(K.F.J)が手掛けた「Y.O.L.O」では、ロックな魂と音が極まってあっという間に客席もヘドバンまみれに。7月に投稿した「例話」では赤いマイクスタンドに向かい、白一色のライトが照らすステージで人間らしさとは、生きることとは、を問い祈るように歌ったあらき。儚い歌声が心のひだを震わせた「死んでしまったのだろうか」、歌詞に自分の想いを重ね客席を愛おしそうに見つめながら歌った「しわ」、低音から高音まで歌声に優しさ温かさをたたえた「銀河録」にしても然り、新旧織り交ぜた構成であらわになるあらきの幅広く豊かな表現力にあらためて舌を巻く。
「2年前のツアーファイナルと同じ会場だけど、景色が違う! みなさんの熱気、テンションの高まり、肌で感じております」とライブの確かな手応えを言葉にすると、「Burning」をきっかけにますますハイボルテージに。上下からスパークラーが噴出するステージで何本ものスポットライトを浴びるあらきがあまりにカリスマティックだった「有頂天」。あらきの歌声もオーディエンスのコールも誇り高く響いた「ヒビカセ」。治安悪め(!?)なヒーロー・あらきにオーディエンスが沸き立った「パンダヒーロー」。ステージ前に進み出た弦楽器隊とアイコンタクトしつつ、ロングトーンもハイトーンも冴え渡った「Freefall」。スラップベースに絡ませる歌声も最強にクールな「イスカノサイ」。ライブで発揮されるあらきの求心力と胆力……尋常ではない。
そして、「コロナ禍で声を出せない中でもなにかを伝えようと作った」という「Ark -strings arrange ver.-」へ。マスクなしで思いきり声出しできるようになった今。オーディエンスはもちろん、バンドメンバーも含めてはばかることなく歌声を重ねながら、お互いを結ぶ絆を全身で確かめ合う幸せを噛み締めたのではないだろうか。1stフルアルバム『THE SKY'S THE LIMIT』に収録の「サイレーション」でダメ押しした本編ラストの一体感といい、ライブならではの醍醐味がそこにはあった。
観客によるアンコールが鳴り響く中、まずはバンドメンバーが登場し、あらき自身が作詞・作曲を手掛けた「Jack Life」の演奏がスタート。あらきが登場しないまま、ステージ上のLEDビジョンにはツアー各地での映像をつなぎ合わせたドキュメンタリー映像が流されていく。“ライブをする意味”を探す旅だ、と初日に示唆していた今回のツアー。仲間やリスナーと共に歩んだ2か月の軌跡と、途中でステージに現れたあらきの歌声がシームレスに繋がり、実にエモーショナルでドラマティックなアンコールの始まりとなった。
「バニラの夢」のあとはバンドメンバーがそれぞれにあらきへのあふれる愛を語り、あらきはツアーファイナル目前の心境を明かした。なんのためにライブをするのかわからなくなり、コンセプトや意味を持たせて届けようとしている作品やライブが実は届いていないのではないかと思い立ち止まってしまったという、2024年。しかし、“CLASSICS”とタイトルに冠した今ツアーで原点に立ち返り、「ただただ夢中になってみなさんと楽しむことができました」と言って見せたあらきの笑顔は、とても清々しいものだった。
そこから届けた3曲は、ツアー中盤から導入されたという “くじ引き形式“で決定。ここにきて<まだまだ歌っていたい>というフレーズがどうしたって胸を打った「encore」。久々の緑&紫の照明演出にあらきもオーディエンスも高まった「Midnight Effect」。全員が限界突破して楽しんだ再びの「イスカノサイ」。脱予定調和のアンコール、最幸じゃないか。
2025年8月10日で活動12周年を迎えたあらき。干支がひと巡りしても、彼が惰性に流されることはないのだろう。これからもあらきは、衝動のまま真っ正直に己の歌を刻みステージで生き続けていくに違いない。
文=杉江優花
撮影=Ryuji Tamaki
セットリスト
2025.8.3 Zepp Haneda(TOKYO)
1. Until the END
2. Blue Insane
3. 九⿓レトロ
4. キレキャリオン
5. A New Voice
6. Dead End Dance
7. Y.O.L.O
8. 例話
9. 死んでしまったのだろうか
10. しわ
11. 銀河録
12. Burning
13. 有頂天
14. ヒビカセ
15. パンダヒーロー
16. Freefall
17. イスカノサイ
18. Ark -strings arrange ver.-
19. サイレーション
[ENCORE]
20. Jack Life
21. バニラの夢
22. encore
23. Midnight Effect
24. イスカノサイ
『LIVE ARK CLASSICS -STREAMING-』
詳細はこちらから
https://araki-axiz.com/contents/286853