新国立劇場創作委嘱作品・オペラ『ナターシャ』が開幕 コメント&舞台写真が到着
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新国立劇場で2025年8月11日(月・祝)、新国立劇場創作委嘱作品・オペラ『ナターシャ』(細川俊夫作曲・多和田葉子台本)が世界初演を迎えた。
『ナターシャ』は、世界の現代音楽シーンのトップランナーとしてヨーロッパを中心に活躍する作曲家・細川俊夫に新国立劇場が委嘱、世界的作家・多和田葉子が初のオペラ台本を手掛けた新作オペラ。自然と人間の係わりをライフワークとする細川俊夫と、世界人として鋭い人間批評を繰り広げる多和田葉子のコラボレーションで、地球環境の破壊と人間の欲望をテーマとした多言語オペラが誕生する。
作中には難民、自然破壊、プラスチック汚染、扇動など、現代社会の様々な事象が“地獄”として次々に現れ、少女ナターシャと少年アラトが地獄めぐりを経て自らの傷と向き合い、心を通わせ成長していく旅が幻想的に綴られる。映像や照明も駆使して次々に現れるイリュージョンと客席を取り囲む音響に全身で浸り、ナターシャとアラトと旅をしていく、夢幻の舞台だ。
世界初演に訪れたジャーナリストに向けた指揮者・芸術監督:大野和士、作曲家:細川俊夫、演出家:クリスティアン・レートのコメントならびに、舞台写真が到着した。
新国立劇場オペラ芸術監督 大野和士コメント
『ナターシャ』は、新国立劇場で上演する日本人作曲家による世界シリーズの3作目となります。そして今回、ついに細川俊夫さんをその作曲家としてお迎えすることができました。彼と一緒に仕事ができることを、本当に、本当にうれしく思っています。何よりもまず、細川俊夫さんの音楽がオーケストラ、そしてもちろん歌手たちに非常に大きなものでした。今日まで細川さん、そして演出のクリスティアンと、素晴らしい共同作業の日々を過ごすことができたと思います。
作曲:細川俊夫コメント
非常に長い時間をかけてこの作品に取り組んできましたので、ついにこの初演という形で結実したことが本当にうれしく、また感謝しています。大野和士さんはプロセス全体を通して素晴らしいサポートをしてくださいました。新国立劇場に集まった歌手の皆さん、新国立劇場合唱団、スタッフの皆さんは本当に素晴らしいです。とても充実したリハーサルができました。そして、この作品を素晴らしい演出でまとめてくださったクリスティアンにも感謝したいと思います。
演出:クリスティアン・レートコメント
そのお言葉を細川俊夫さんと大野和士さんにすっかりお返ししたいです。『ナターシャ』は私と私のクリエイティブ・チーム、劇場も含めたチーム全体にとって並外れた冒険であり、並外れた旅でした。この新国立劇場で細川俊夫さんの新作の世界初演を演出するよう招かれたことを、大変光栄に思っています。細川さんのことはもちろん以前から存じ上げていましたが、直接お会いし、一緒に仕事ができるということは、演出家が夢見ることのできる全てと言ってよいのです。この仕事は、ロールスロイスを運転するようでした。すべてが五つ星プラス、プラス、プラスです。チーム、プロダクションに関わるすべての人の献身的なサポートはまさに並外れたものでした。
『ナターシャ』はアラトやナターシャのような若者誰もが、ある意味大人になる、成長して自分自身の個性を形成する物語です。私にとってはそれが非常に重要でした。多和田葉子さんの台本はシュールな方法で書かれていますが、このオペラの原動力は人物の心理と感情だと感じていました。この感情を演劇的な方法で目に見えるように、チームと共にアプローチを考えました。台本にも細川さんの音楽にもミステリーがあります。それが素晴らしい美点であり、作品をより面白くしています。このオペラを見る人、聞く人に、自分自身の考えを持ち、私たちが経験してきたことや、私たちの文化、人生の背景と、自分自身のつながりを見出していただきたいと思います。
撮影:堀田力丸 提供:新国立劇場
公演情報
細川俊夫『ナターシャ』
<新制作 創作委嘱作品・世界初演>
・8月11日(月・祝)14:00 ★(終演後アフタートーク)
・8月13日(水)14:00 バックステージツアー実施日(抽選)
・8月15日(金)18:30
・8月17日(日)14:00 託児サービス利用可
■予定上演時間:約2時間30分(休憩含む・詳細未定)
■会場:新国立劇場 オペラパレス
※本公演では1~3階客席内最後部壁面及び2階R列、L列にスピーカーを特設いたします。
【台本】多和田葉子
【作曲】細川俊夫
【指揮】大野和士
【演出】クリスティアン・レート
【美術】クリスティアン・レート、ダニエル・ウンガー
【衣裳】マッティ・ウルリッチ
【照明】リック・フィッシャー
【映像】クレメンス・ヴァルター
【電子音響】有馬純寿
【振付】キャサリン・ガラッソ
【舞台監督】髙橋尚史
【ナターシャ】イルゼ・エーレンス
【アラト】山下裕賀
【メフィストの孫】クリスティアン・ミードル
【ポップ歌手A】森谷真理
【ポップ歌手B】冨平安希子
【ビジネスマンA】タン・ジュンボ
【エレキギター奏者】山田 岳
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
海、そして宇宙の響き。アラトは母なるものを求め地底への入口を探し、故郷を追われ彷徨うナターシャと出会う。言葉が通じないながら名を伝えあった二人の前に、メフィストの孫と名乗る男が登場。二人はメフィストの孫に誘われ、海辺から森へ、そして現代の様々な地獄へと旅していく。