MONOEYES『RUSH BALL 2025』クイックレポートーー童心と衝動を爆発させて、まだまだ舞い上がる4人の姿「愛情と尊敬と仲間意識を持って好きなようにやってください」
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MONOEYES 撮影=瀧本JON...行秀
『RUSH BALL 2025』MONOEYES
2020年ぶりに『RUSH BALL』へ帰還を果たしたMONOEYESは、「『RUSH BALL』行こうぜ!」と「Ladybird」でテイクオフ。戸高賢史(Gt)のギターリフがゆっくりとその羽を広げ、夜空へ飛んでいくこの曲には、安寧や安定をトラッシュし、名声や栄光に脇目も振らずに先へ先へと飛翔していく様子がしたためられており、「俺はまだまだいけるけど、お前はどうだ?」と我々に問いを投げかけていく。時折がなりをねじ込んで、ぐんぐん熱を注ぎ込む細美武士(Vo.Gt)の歌唱も、そのストロングな態度を体現するひとつの要素だ。
戸高と細美の六弦がダーティーにしなる「Run Run」、スコット・マーフィー(Ba.Cho)のボーカリゼーションが牽引する「Roxette」で顕示されたのは、2つの声がぶつかり、共存することで生成されるカタルシスだった。一瀬正和(Dr)が刻むハリの良いビート然り、足元から込み上げてくる重低音然り、MONOEYESのサウンドスケープはロイヤルな重厚感と不可分であるが、細美とスコットの歌唱がミックスされることによって、直感的かつ肉体的な快楽を提供するのだろう。
「『RUSH BALL』久しぶり! 何か、『RUSH BALL』って良いよな。古い匂いがするんだよな。TOSHI-LOWも言ってたけど、行儀悪い連中が多いって言うか」と、このお祭りへ最大の賛美を伝え、細美はこう続ける。
「俺はもう大人だから、日常生活をちゃんと人とやっていけるんだけど、俺の心の中には猛獣みたいなヤツがいて。そいつが時折「顔を出してぇ」って言うんだよな。で、そいつが顔を出してて良い場所ってここしかねぇんだよ。きっとお前らもそうなんじゃないかと思うから。愛情と尊敬と仲間意識を持って好きなようにやってください」
至極当然のモラルと最大限のリスペクトによって築くフィールド上で、マキシマムに自己存在を表明するパンクの背骨をズバリ言い切り、「Let It Burn」が届けられる。決して遠い未来とは言えない最期を念頭に、捲土重来を幾度も果たし、今日を燃やし尽くそうとするこのナンバーは、制服の下に、あるいはスーツの下に飼い慣らしたふりをした童心と衝動を解き放っていく。人生をかけた博打や大勝負をしかけていくことで理想に辿り着けるのだと知っている彼らが、今この瞬間に全体重をかけて我々へ挑んでくるゆえに、こちらも真っ裸で受けて立つしかないのである。
ゲスト:TOSHI-LOW
続く「Two Little Fishes」では、鉄の仮面を被ったTOSHI-LOW(BRAHMAN)が登場。コロッセオの剣闘士を想像させる姿で舞台上を練り歩くものだから、メンバーの口角も思わず上がる。尖って、傷つけあって、「何だよ、良い奴だな」なんて分かり合い、時には喧嘩もしたくなる。TOSHI-LOWと細美が交わした熱い抱擁は、彼らが太く太く紡いできた友情とライブハウスシーンの結晶だった。
「多くは言わねぇ。俺は友達が1人いれば十分だし、お前らが歌をくれれば十分だよ」とクライマックスは「When I Was A King」から「リザードマン」でゴールテープを切る。「リザードマン」の最中、手を合わせ、天へと祈りをぶっ差すみたいに歌声を響かせた細美。<今ならまだ追いつけるはずさ きっと>。戻れない過去への悔恨や、うだうだと過ごしてしまった日々を抜け出して、力強く一歩を踏み出す背中がそこにあった。
取材・文=横堀つばさ 撮影=瀧本JON...行秀
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