仙台国際音楽コンクールにおいて史上最年少第3位となった天野薫、来たるリサイタルを前にして語る
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2025年11月9日(日)横浜市青葉区民文化センター フィリアホールにて、『天野薫ピアノリサイタル』が開催される。2013年生まれの小学生ピアニスト天野薫は、今年第9回 仙台国際音楽コンクール ピアノ部門に歴代最年少で出場し、第3位及び聴衆賞を獲得。リサイタルを前に、話をきいた。
――こんにちは。今日は11月9日のリサイタルを前に、薫さんのことについていくつかお尋ねしたいと思います。最初に、何才から、どのようなきっかけでピアノを習い始めましたか?
私はよく覚えていないのですが、4歳からピアノを習い始めました。父と母が、4歳くらいになったら何か一つ習い事を始めてみようと考えていたそうです。
母はサッカーをさせたかったようなのですが、父がピアノを勧めて、ピアノになったと聞いています。
父はピアノを弾いたことがなく、むしろサッカークラブに入っていたそうなのですが(笑)、母が小さいころピアノを習っていたということで、分からないところは教えてあげられるんじゃない?ということで、ピアノになったそうです。
――そのころからこれまでにどのような教材を使ってきたのでしょうか?
はじめは、最初にピアノを触る小さな子のための本を使っていました。楽譜にはカラーのイラストと、大きな音符が並んでいた本でした。「メリーさんの羊」を弾いたり歌ったりしたことを覚えています。
そのあとは、たぶんほかの方々と同じように、ハノンやチェルニー、モシュコフスキーの練習曲集を使ってきました。
そのほか、バッハのインベンションとシンフォニア、古典のソナチネ集なども弾きました。
(C)仙台国際音楽コンクール事務局
――今、新しい曲を始めるときには、どのように練習をしていますか?
まずは大きな流れをつかむために、細かいところは弾けなくても、最初から最後まで譜読みをします。そのあとに、片手でさらったり、難しいところを抜き出して部分的に練習したりという細かい練習に入ります。
最初はゆっくりしか弾けないので、この段階で楽譜を覚えるようにするようにしています。ある程度自由に弾けるようになったら、先生と相談しながら細かな音づくりをしています。
譜読みの時期が一番大変で、頭がとても疲れます。今回演奏するゴールドベルグ変奏曲は、2段鍵盤のチェンバロで演奏することを想定している変奏もあるので、1段鍵盤のピアノで弾くと手が交差したり音が重なったりするところがあり、どのように演奏したらスムーズに弾けるかを考えるのが大変でした。
――仙台国際音楽コンクールで第3位となられましたが、コンクールに参加してどんなことが良かったですか?また印象に残ったことを教えてください。
仙台国際音楽コンクールは、本当に参加してよかったと思っています。
よかった点はたくさんあるのですが、なんといっても、世界各国のピアニストの方の演奏を聞くことができたことです。自分の練習や出番もあったので、会場ですべては聴けませんでしたが、皆さんそれぞれが個性的で素晴らしく、とても勉強になりました。コンテスタント同士はみんなで励まし合っていて、私もたくさん声をかけていただき、とても嬉しかったです。
自分自身も、仙台フィルの方々と4回も共演をすることができ、貴重な経験になりました。特に矢代秋雄さんのピアノ協奏曲では、音源しか聞いたことがなかったので、実際のオーケストラの編成の大きさに驚きました。
お客様をはじめ、コンクールに携わる皆さまから本当にあたたかい応援をいただき、大会の最後まで弾ききることができたと思っています。皆さんのためにいい音楽を届けたいと心から思いました。
――今回の演奏曲「ゴールドベルク変奏曲」について、どこに魅力を感じていますか?
アリアと30から成る変奏で、リピートがなくても1時間近く、リピートがあると1時間30分くらいかかる曲なのに、それぞれの変奏の変化がおもしろくて、飽きずに楽しく聞けるところに魅力を感じています。
一説には、不眠症に悩んでいた伯爵の依頼で作曲されたとも伝えられていますが、この曲を聴いていれば、眠れない夜も楽しく過ごすことができそうだなと思っています。長調の明るくて軽快な曲が多いので、心が軽くなるような気がします。
どの変奏も魅力的ですが、私が一番気に入っているのは、13番目の変奏です。弾いていると、穏やかで優しい気持ちになれるところが好きです。
――将来、どんな曲を演奏会で弾きたいと思っていますか?
今はまだ体と手が小さいので、弾ける曲が限られてしまうのですが、これから大きくなって弾ける曲が増えたら、いろいろな曲にチャレンジしたいと思っています。
例えばロマン派の作品や、古典ではベートーヴェンなどのダイナミックな曲にも憧れますが、バッハやモーツァルト、その他繊細な楽曲も好きですし、弾きたいものがたくさんあって悩んでしまいます。
世の中には、多くの作曲家が残した素晴らしい曲がたくさんあるので、これからいろいろ勉強して、みなさんにいい音楽を届けたいと思っています。
――どうもありがとうございました。
公演情報
会場:横浜市青葉区民文化センター フィリアホール
https://eplus.jp/sf/detail/4384720001-P0030001
協力:イープラス