ReoNa、最新アルバムインタビュー『HEART』という器の中にいろんな“心”のお歌を詰め込んだ――
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およそ3年振り、ReoNaのサード・アルバム『HEART』が完成した。アニメ『ソードアート・オンラインオルタナティブガンゲイル・オンラインII』からの「GG」、アニメ『アークナイツ』(第2期、第3期)からの「R.I.P」「End of Days」「生命換装」、アニメ『シャングリラ・フロンティア』(第2クール)からの「ガジュマル〜Heaven in the Rain〜」など、半数がアニメタイアップのヒットチューンで占められた強力なアルバムだ。絶望系アニソンシンガー・ReoNaの、ここが最高到達点と言い切ってもいい。
そしてアルバムの半数を占める新曲は、ReoNaの新章開幕を告げる新たな第一歩だ。HEART=心という大きなテーマのもと、作詞作曲のクリエイターたちに多くを委ねる制作スタイルは、表現者・ReoNaの世界を大きく広げた。初めてのクリエイターとの出会い、初のロンドン録音、ボーナス・トラックの「SWEET HURT」の新バージョンなど、聴きどころも満載だ。力強く未来へ向けて踏み出した、ReoNaの言葉を聞こう。
――「End of Days」のリリース以来のインタビューなので、そこから物語の続きを始めようと思います。あの時ReoNaは、「第2幕の始まり」という表現を使っていましたね。あらためて、その真意とは?
ここまでが第1幕と、区切っていたわけではないんですけど……振り返ってみると、その時々で何を考えて、どんなふうに生きて、何を伝えかったのかを、全部のお歌に置いて来られた気がしているんです。楽曲を作る時はいつも、リリースされる時はどういうタイミングだろう? ということを考えながら作るんですが、「End of Days」がみんなのところに届くのは、5thアニバーサリー・イヤーが終わって、東京ガーデンシアター2DAYSがあって、久しぶりにエルザヘ回帰した「AVATAR」があり、「Birth」があり、いろんなマイルストーンを経て、「End of Days」が出る時にはまた新しい1幕が始まっていくんだよという思いも込めて、「第2幕の始まり」という言い方をしました。
――はい。はるほど。
ReoNaのお歌は、日記のようなものでもあると思うんですね。前作の『HUMAN』は、その前の『unknown』がリリースされてからの2、3年の間に、何を考えて生きていたかな? と振り返ると、人と生きること、人として生きることを考えたり、「人」についてすごく悩んだり考えたりしていたので、最後に『HUMAN』というタイトルがつけられたのかな?と思いますし。それで言うと、この『HEART』も同じだと思っています。
――『HUMAN』から今までの、3年間の生きざまが詰まったアルバム。それがニュー・アルバム『HEART』。
あらためて感じたのは、人の心だったり、ハートという言葉にすごく向き合った時間だったと思います。ただ答えは出ていないというか、心は型にはめられるものでもないし、一言にハート=心と言っても、痛い、苦しい、悲しいもあれば、喜び、希望、楽しいもあって、広い器になる言葉だからこそ、これだけ色とりどりな、いろんな人の思いを詰め込めるアルバム・タイトルになったのかな? と思います。
――最初のきっかけは、どんなふうに?
アルバムを出しましょうとなってから、「今まで何を考えて生きてきたっけ?」ということを思い返すと、まず「R.I.P」では初めて「怒り」をモチーフに楽曲を書いてみたり、『シャングリラ・フロンティア』という作品との出会いがあって、「ガジュマル〜Heaven in the Rain〜」では、私の人生の中ですごく大きな出来事だった、じいじとの死別とウェザエモンとの別れをかさねてみたり。そして「GG」では「死ぬ気で遊べ、楽しんだもん勝ち」と歌ったりとか、いろんな方向に踏み出してきたものを振り返った時に、『HEART』という、すごく柔らかくてあったかくて広いタイトルにたどり着いて、そこから始まりました。
――アルバムの冒頭から、新曲が立て続けに4連発。過去の作品の曲調とは、明らかに違いますよね。
そうですね。
――アレンジのせいもあると思うんですけど、開放感というか、肯定感というか、そういうものを強く感じます。ここから、新曲中心に深掘りしていきますが、まずは1曲目のタイトル曲「HEART」。これについては?
『HEART』というアルバム・タイトルは決まったものの、どこを切り取ったらいいのか、すごく悩んだんです。ハートって本当にいろんなものを包んでくれる、広い言葉だからこそ、どこか一カ所を切り取るのがすごく難しかったんですけど、作詞作曲のハヤシケイさんとは、デビュー前からずっと一緒にお歌を作り続けていて、今までもいろんなお歌の中に、心というものを、かけらとして表現することがたくさんあったので。「虹の彼方に」もそうですし、いろんなお歌の中に、ケイさんにとっての心のかけらを散りばめられていた中で、この「HEART」に関しては、ケイさんの思う一番温かい心の形が表現されているなと思います。ここで歌いかけている「あなた」は、自分であり、自分の心でもあり、愛する人を思い浮かべてもらってもいいですし、人との間にある温かい心というものにも重ねられるし、いろんな意味を持った「あなた」だなと思いました。
――サウンドは、キラキラ感いっぱいのギターポップ。アレンジはRyo'LEFTY'Miyataさん。
ちゃんと、音も温かく包んでくれているんですよね。私はどうしても、心のことを考えると、満たされなかったものだったり、傷ついたことだったり、壊れそうになった時のことばかりにフォーカスして、守ってあげなきゃいけないものだというふうに思っていたんですけど、そういうちょっとネガティブな部分や、暗い部分に対して、ケイさんやレフティさんがくださったアンサーが重なり合うことで、いいも悪いも含めた、すごく複雑な心を表現できているのかな?と思います。
――さすがです。みんな、ちゃんとReoNaを見ている。ひょっとして、ReoNaよりReoNaを知っているところもあるかも。
かもしれない。
――特に作詞する人は、それぐらいの気概で書いていると思います。今回のアルバムは。
すごく不思議な気持ちになる時はありますね。まさに「私より私のことをわかっている」じゃないですけど、人生ですごく大切になる曲って、そういうところがあるなと思っていて。
――誰かの曲でも?
そうです。「なんでこの人、私のことを知っているんだろう?」「まんま今の私じゃん」と思ったり。「なんでこの言葉を私が書いていないんだろう」と思って、悔しくなることもありますし(笑)。
――聴く人も、たぶんそうですよ。「なんでReoNaは私の気持ちがこんなにわかるんだろう」と思って聴いている人は、たくさんいると思います。
そうあってほしいですね。でも本当に、お歌って、そういうことなんだろうなと思います。今回は全体的に、今までと違う制作の仕方というか、クリエイターさんに委ねたところがすごく多くて、クレジットを見ていただくとわかるんですが、作詞作曲が同じ方の新録曲が多いんです。これまでの7年間で、すでにいろんなお歌をご一緒しているクリエイターさんと、アルバムの曲を作らせてもらう中で、新しい試みとして、今までは「ReoNaは最近こういうことを考えています。過去にこういうことがありました。そこに寄り添う歌にしたいです」とか、私発信で作り始めるお歌が多かったんですけど、今回は最初の打ち合わせの時から、クリエイターの方に「最近、何考えていますか?」というお話をして、そこから作っていったお歌が多いんです。「HEART」もそうです。
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――2曲目、堀江晶太さんが作った「命という病」も?
はい。「堀江さんのハート」を、ReoNaというスピーカーを通して出すならどういうお歌になるでしょうか?というところで、できたのが「命という病」です。堀江さんとは、最初のアルバムでも「BIRTHDAY」という楽曲をご一緒させていただいたんですけど、あの時に比べたらReoNaも、託されたものに対して表現できる幅だったりとか、重ねられる心の余地も広がっているとも思いますし、今だったら委ねてもらえるんじゃないかな? ということもあって、「命という病」は、すごく「堀江さん’s ハート」な楽曲になったと思います。でも不思議なことに、本当に理解できなかったら「これはどういう意味ですか?」とか、「これはReoNaのお歌じゃないかもしれないです」と言ったと思うんですけど、全くそんなことはなくて、堀江さんの心だけど、ReoNaの心としてもちゃんとお届けできるお歌になっているかな? と思います。
――命という言葉を使っていても、これも心の歌ですよね。しかもすごく肯定的。病というと何か悪いもののように感じるけど、その病を生きていこうという強いメッセージを感じます。
生きていく曲、生きてきた曲だと思います。
――3曲目「オルタナティブ」は、Ryo'LEFTY'Miyataさんが作った曲。バンドサウンドで、まさにオルタナティブ・ロック全開の激しい曲。
「命という病」もそうですけど、この「オルタナティブ」も、まさに一歩ずつ踏み出したお歌になっているなと思います。これもレフティさんに委ねたところが多くて、まず「オルタナティブ」という言葉がすごくReoNa的だなと思ったんです。レフティさんとは、エルザ(※神崎エルザ starring ReoNa)の「Girls Don’t Cry」でご一緒させていただいたんですけど(※編曲を担当)、メロディ、歌詞を書いてもらうのは初めてだったので、あらためて「ReoNaのお歌だけどReoNaだけのお歌じゃなくて、レフティさんが思うことを書いてください」というお話をした時に、「最近自分がやりたいのはオルタナティブで」という言葉が出てきて、「オルタナティブってすごく難しいんです」と。みんながやっていることをなぞるわけじゃなく、自分の歩みたい道を探して、でも誰にも見つけてもらえなかったらただの独りよがりになるし、「誰も歩んでない、かつ、誰かにちゃんと必要としてもらえる道って、すごく難しいんです」と。
――よくわかります。
そのお話自体に、私自身との共感性がすごくあったんです。学校に通うことでも、私はみんなと同じ道が歩めなくて、普通のレールを外れて歩いて行って、その先にいろんな巡り合わせがあって……何か一つでもかけ違えていて、お歌を歌っていない道がもしあったとしたら、それって全然違うものになっていたなと思いますし、まさに歌詞の中にあるように“僕にしかできないことは何?”という、レフティさんの生きざま自体がすごくオルタナティブだなと思ったんです。だからReoNaとレフティさんと、レフティさんのバンドが掛け合わさった時に、「オルタナティブ」というお歌を歌わせてもらうことは、ここでしかできないことでもあるのかな?と思います。
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――そして、レフィティさんの関わった2曲「HEART」「オルタナティブ」には、重要なエピソードがありますね。どちらもロンドン録音、しかもアビーロード・スタジオの、ビートルズで有名な第2スタジオ。伝説的なあの場所で、何を感じましたか。
正直、「行くかも」となった時は、あんまり想像できていなかったんですけど、行ってみて感じるものはすごくありました。今まで、ビートルズさんをはじめとして、オアシスさんだったり、ピンク・フロイドさんだったり。エド・シーランさんもスタジオ・ライブをやっている。歴史あるこの空間から生まれて、世の中のいろんな人の心に届いていたお歌は数知れなくて。その場所の空気を感じながら、ちゃんとそのスタジオの木の音だったり、空間の使い方も含めて、ロンドンで録る意味があるものになったと思います。今回、ずっとご一緒させているエンジニアのとしさん(渡辺敏広)と一緒にアビーロードに行かせてもらったんですけど、としさんと行ったからこそ、場所の違いだったりとか、向こうで録る意味のあるものにできたのかな? と思います。
――クラシック・ロックのファンにはたまらないですよ。
一緒に行ったおじさんたちが、一番「わぁー!」ってなってました(笑)。
――そりゃそうです(笑)。ロックの霊が、魂が、あそこにはいますから。
ロンドンは、本当に行って良かったですね。いろんなクリエイターさんと一緒に踏み出してきた楽曲の幅もあるし、エンジニアさんともずっと何年間も一緒にやり続けてきたからこそ、踏み出せた大きい一歩がアビーロードだったので。これを最初で最後にしたくないなと思いましたし、ほかにもいろんなところで歌ってみたいなと思いました。ライブだけじゃなく、レコーディングでもこういうことができるんだという気づきもあったので、これからも形を固めない、決めないでやっていくのはすごく必要なことだと思いました。次は、今回行けなかったミュージシャンも一緒に連れて行きたいです。
――アルバムに戻って、4曲目の新曲が「芥」(あくた)。傘村トータさんの詞と曲、そして島田昌典さんのアレンジが素晴らしい、壮麗なバラードです。
私は、もしかしたら、「芥」がアルバムのリード曲になってもいいんじゃないか?とすら思っていました。ReoNaのお歌のでき方って、曲によって本当にまちまちで、傘村トータさんもReoNaと同じLIVE LAB.所属ということもあって、日常の中で「曲のかけらみたいなものができたんだけど、ReoNaにどうかな?」と言って渡してくれたり、新しく書き下ろしてくれたお歌もあったりして。それで言うと「芥」は前者のほうで、今までトータとは、「いかり」とか「unknown」とか、いろんなお歌をご一緒してきたんですけど、その中で「いつかリリースしたいね」と言って持っていたお歌なんです。「ゴミ」というものに、最近のReoNaがすごくシンパシーを感じていて、歌詞の中にも一つのテーマとして入ってきているんですけど、それは『HUMAN』の頃から始まっていて、人の生活をずっと支えてきて、誰かの毎日の中に溶け込んでいたものが、「もういらない」って人が決めた瞬間、ゴミという名前がついて、ゴミっていう存在になる。そんなゴミを美しく表現する、それってすごくヒューマン=人間的だよね、と思ったんです。
――はい。なるほど。
そんな『HUMAN』があって、「Debris」(かけら、残骸)をリリースして、「GG」では“ゴミのように美しく”、という言葉を歌って、その先に「芥」があるんです。塵芥(ちりあくた/ゴミの意)の芥は、本当にちっぽけな、取るに足らない存在ですけど、それは卑下するものではなく、けなすものでもなく、塵芥であることをちゃん頷いてくれるお歌だなと思っていて。“僕は独りだ”と言っているんですけど、決して嘆いているわけじゃない温度感が、なぜだかわからないけどちゃんと伝わってくるんです。傘村トータの持つ不思議なパワーが、背中を押すでも、手を引くでもなく、隣で“僕は独りだ”と言ってくれている感じがするんです。言葉一つ一つを拾うと、嫌なことがあった日だったり、すごく心の中がふさぎ込んでいる日だったり、そういう感じもあるんですけど、ふと夜空を見上げた時に、諦めの感情ではなくて、「だから、いいじゃん」っていうところに繋がっていける、独りでいることをちゃんと肯定してくれているお歌だなと思います。
――よくわかります。その、ReoNaがずっと思っていたゴミの話は、今までトータさんにもしていたんですか。
していないです。
――通じ合っていますね。
お歌が出来る順番も、本当にそれぞれなので。今このお歌をリリースしているのは、狙ってそうしたわけではないけれど、狙ったかのようになったのは、ゴミというものに向き合い続けて、いろんな形で描き続けてきた、一つの結論と言ったらちょっと大仰ですけど、その果てにこのお歌が生まれたということだと思います。
――ゴミを集めたアルバム。言い方、変ですけど。
私、実は、アルバム・タイトルが『ゴミ箱』でもいいなと思っていたんです。響き、可愛くないですか?(笑) でも、曲がゴミだととらえられるのは嫌だし、そういう意味じゃないというところまで伝えきれないなと思ったので。
通常盤
――そして、アルバムの中盤の既発曲「GG」や「Debris」を経て、9曲目に登場する新曲が「かたっぽの靴下」。作詞作曲は映秀。さん。
このアルバムを通して、映秀。さんだけが「はじめまして」だったんです。ほかの楽曲は、その方に委ねる部分が大きかったんですけど、映秀。さんに関しては、まず「私ってこんな人です。こういうことを歌ってきました」というところからスタートして、だからこそ、ReoNaはどういうふうに絶望に寄り添ってきたのか、どういうふうに言葉にしてきたのか、振り返るタイミングが一番多かったのは、「かたっぽの靴下」の制作だったのかなと思います。絶望にはいろんなグラデーションがあって、名前がついている大きいものから、日々の些細なところまで、いろんな絶望に向き合い続けてきたからこそ、映秀。さんともいろんなやりとりを重ねて、「かたっぽの靴下」というすごく小さな日常の一幕に、心というものを重ねて綴るお歌ができたんじゃないかな?と思います。
――この歌詞にも「ゴミ箱」が出てきますね。
そうなんです。部屋の中がぐちゃぐちゃなのか、心の中がぐちゃぐちゃなのか……日常の些細な一幕と、心模様みたいなところが、重なるものになったんじゃないかな?と思います。捨てたくても捨てきれない、諦めたくても諦めきれないというのも、心だなと思うので。
――“不揃いなのも悪くないかな”というフレーズが、優しくてとても好きです。そして13曲目、アルバムのラストに置かれた新曲が「コ・コ・ロ」。「HEART」で始まって、「コ・コ・ロ」で終わる、見事なコンセプト・アルバムだと思います。
「コ・コ・ロ」は、アルバムの最後にふさわしいお歌だと思います。このアルバムのテーマに沿って言うと、このお歌は荒幡さんのハート、というか、「荒幡さん夫婦’s ハート」ですね(※作詞の宮嶋淳子、作曲の荒幡亮平はご夫婦)。今までも、荒幡家の中で「ReoNaはこういう曲を歌ったらいいんじゃないか」みたいな会話をすることが、知らず知らずのうちにあったらしくて(笑)。
――素晴らしい。公私混同ですね(笑)。
その結果というわけではないですけど、「実はこういうことを話していたんだよ」みたいなことを、ライブの時に荒幡さんから聞いたりもしていて、あらためてご夫婦と「一番星」以来にご一緒させていただく時に、歌詞というものとずっと向き合ってきた宮嶋さんが、心というものを表現するとこうなるんだ、というものになったと思います。ほかのクリエイターさんとはまた違う切り口で、一口では言い表せない、制御できない怪物である心というものを、アルバムの最後にふさわしく、温かく、ふっと心が軽くなるようなお歌になっています。曲調も軽やかですよね。
――軽やかですね。これで終わっていくと、後味がとても温かい。
直前の「生命換装」が、『アークナイツ』のフィナーレを飾るお歌ということもあって、一つの大きな終わりを感じさせる楽曲だと思うんですけど、その後にこの「コ・コ・ロ」がいてくれることによって、ふっと最後は微笑みで終われるような感じがします。
――言われてみれば、確かに。『アークナイツ』の楽曲との整合性も感じますね。「End of Days」「生命換装」からの、「コ・コ・ロ」という曲順は。
失ったものに対する寄り添いとして、「生命換装」というお歌があるので、『アークナイツ』を見ている方にも、この曲順を楽しんでいただけるんじゃないか? と思います。配信ではリリースされているんですけど、CDという形で「生命換装」が収録されるのはこの『HEART』が初めてなので。
――『アークナイツ』の話をし始めると、とめどなく続きそうなので、またの機会にしますけれど、『HEART』というアルバムの中で、『アークナイツ』の世界観はかなり大きな存在感を持っているなと感じます。
まさに、『HEART』という大きいテーマじゃないとなかなか受け止めづらいようなものの中に、「R.I.P」があって、「End of Days」があって、「生命換装」があるんだと思います。
――そしてボーナス・トラックで「SWEET HURT」のネイキッド・バージョン。ここにも深い意味がありますよね。
ReoNaの始まりのお歌ですね。
――この夏に開催したアコースティック・ライブツアー「ふあんぷらぐど2025」にも繋がるものであり、今だからできるバージョンだなと。
まさに、今だからできるバージョンだなと思います。この「SWEET HURT -Neked-」は、荒幡さんと山口(隆志)さんと3人で一緒にレコーディングしたんですけど、「ふあんぷらぐど」が今年の夏にあるということもあって、この3人で一つの形を残せたのはすごく良かったなと思います。『HEART』=ハートというものにたどり着くまでの、ReoNaとしての第一歩が「SWEET HURT」だったので。
――同じ「ハート」なんですよね。HURTもHEARTも、日本語の表記にすると。
“甘くて痛くて”という言葉にある通り、心について「痛い」としか言えなかったReoNaが、いろんな人と出会って、いろんな人と歌を紡いで来た果てに、『unknown』『HUMAN』『HEART』と続く三部作のフィナーレとして、「SWEET HURT」はここに入れる意味のあるバージョンなのかな?と思います。
――ボーナス・トラックを含めて、14曲で完結するコンセプチュアルなアルバム。
このアルバムがお客さんの元に届いて、どういうリアクションがあるのかが本当に楽しみですし、そこからまた広がっていくものあるのかな?と思いますね。「GG」が広げてくれたものがあって、作品とライブとの掛け算があって、その先にこの新曲たちもあると思うので。
――その上であえて言うと、今回の新曲たちのように、「痛い」だけではない、温かさや癒しや肯定の方向へ進んでいって、「絶望系アニソンシンガー」の絶望が解消される方向に行ったら、ReoNaはどうなるんだろう? という興味があります。
それは、本当に、痛みを見つめ続けた結果、その痛みにくっついている癒しだったりとか、闇を見続けた結果としての光の存在だったりとかは、必ず生まれてくると思っていて。それは決して、闇を捨てているわけではなくて、広がった果てだと思うので、今までいろんな絶望に向き合ってきた結果として、変わったというよりは広がったという感じが私はしています。
『ReoNa ONE-MAN Concert Tour 2025 “HEART”』
――安心しました。最後に、ライブの告知をして終わりましょう。11月から始まる『ReoNaONE-MAN Concert Tour 2025“HEART”』について。どんなツアーにしますか。したいですか。
ここからまた新しく一歩を踏み出して、いろんな人と一緒に、『HEART』という器の中にはいろんな心があるよね、というお歌たちをアルバムに詰めていったので。また一つ広がったReoNaのお歌が、ライブという形でどういうふうに楽しんでもらえるか? というのは、ライブ会場でしか答え合わせができないので、『HEART』のお歌たちが、ライブだとどういうふうに響いてくのか、ぜひ受け取りに来ていただきたいです。
取材・文:宮本英夫
ツアー情報
『ReoNa ONE-MAN Concert Tour 2025 “HEART”』
11/24(月・祝)大阪・フェニーチェ堺大ホール
12/5(金)福岡・福岡国際会議場
12/20(土)北海道・サッポロファクトリーホール
12/22(月)東京・昭和女子大学人見記念講堂
12/27(土)愛知・愛知県芸術劇場大ホール
全席指定¥8,400(税込)
※6歳以上必要
※未就学児童入場不可
CDリリース情報
ReoNa 3rdアルバム『HEART』
・完全数量生産限定盤 [CD+BD] VVCL-2756〜2757 / ¥8,800(税込)
・初回生産限定盤 [CD+BD] VVCL-2758〜2759 / ¥4,400(税込)
・通常盤 [CD] VVCL-2760 / ¥3,300(税込)
<収録曲>
1.HEART
作詞・作曲:ハヤシケイ(LIVE LAB.)編曲:Ryo'LEFTY'Miyata
2.命という病
作詞・作曲・編曲:堀江晶太 Backing Vocal: 堀江晶太
3.オルタナティブ
作詞:Ryo'LEFTY'Miyata作曲・編曲:Ryo'LEFTY'Miyata、TETSUYUKI、Haruka Kikuchi
4.芥
作詞・作曲:傘村トータ(LIVE LAB.)編曲:島田昌典
5.GG
アニメ『ソードアート・オンラインオルタナティブガンゲイル・オンラインII』オープニングテーマ
作詞:rui(fade)、ハヤシケイ(LIVE LAB.)、ReoNa 作曲:rui(fade)編曲:rui(fade)、⽑蟹(LIVE LAB.)、Sugi from coldrain
6.Debris
ゲーム『SYNDUALITY Echo of Ada』テーマソング
作詞:ハヤシケイ(LIVE LAB.)作曲:毛蟹(LIVE LAB.)編曲:堀江晶太弦編曲:宮野幸子(SHANGRI-LA INC.)
7.ガジュマル〜Heaven in the Rain〜
TVアニメ『シャングリラ・フロンティア』エンディングテーマ
作詞:ReoNa、ハヤシケイ(LIVE LAB.)作曲:毛蟹(LIVE LAB.)編曲:Pan(LIVE LAB.)、宮野幸子(SHANGRI-LA INC.)弦編曲:宮野幸子(SHANGRI-LA INC.)
8.R.I.P.
TVアニメ『アークナイツ【冬隠帰路/PERISH IN FROST】』エンディングテーマ
作詞:ハヤシケイ(LIVE LAB.)作曲・編曲:毛蟹(LIVE LAB.)ブラスアレンジ:宮野幸子(SHANGRI-LA INC.)
9.かたっぽの靴下
作詞・作曲:映秀。編曲:kajiya
10.オムライス
作詞・作曲:傘村トータ(LIVE LAB.)編曲:荒幡亮平
11.End of Days
TVアニメ『アークナイツ【焔燼曙明/RISE FROM EMBER】』オープニングテーマ
作詞:ハヤシケイ(LIVE LAB.)作曲:rui(fade)編曲:堀江晶太弦編曲:宮野幸子(SHANGRI-LA INC.)
12.生命換装
TVアニメ『アークナイツ【焔燼曙明/RISE FROM EMBER】』最終話エンディングテーマ
作詞・作曲:傘村トータ(LIVE LAB.)編曲:宮野幸子(SHANGRI-LA INC.)
13.コ・コ・ロ
作詞:宮嶋淳子作曲・編曲:荒幡亮平
Bonus Track. SWEET HURT -Naked-
作詞・作曲:ハヤシケイ(LIVE LAB.)編曲:山口隆志