古着の面白さを神pick! ビッグサイトで開催の『フルフリ』で、最高の一着と出会おう
-
ポスト -
シェア - 送る
『フルフリ』
本記事は、2025年10月4日(土)、5日(日)の二日間にわたって東京ビッグサイトの西1ホールにて開催された『フルフリ』のレポートだ。
『フルフリ』と聞いて何を思い浮かべるだろうか。フル……古着の……フリ……フリマ? それともフルーツのフリーズドライ? それとも古いタイプの不良? はたまた、そんなようなタイトルのイタリア民謡があったような気もする。正解は「Furugi×Flea Market」、古着のフリマである。
『フルフリ』は元々、下北沢で開催されていた古着イベントが『VINTAGE MARKET』を経てこの形に進化したもの。『フルフリ』としての開催はこれが初めてだが、その前身から追っていくと実はけっこう歴史がある。
What's『フルフリ』?
古着のイベントは年間を通して数多く開催されている。そんな中でも『フルフリ』は、「こだわりが詰まっていて、ちょうどいい」マーケットイベントだ、と言えるだろう。今回の出店数はおよそ150で、いずれも主催者が目利きして呼び集めた個人店たちだという。途方に暮れてしまうほど物量が多いわけでなく、超高価なヴィンテージものだけが取引されるわけでもなく、量も価格帯も “ちょうどいい”。ファッションにこだわりたい古着好きが日常づかいしたくなる良品が、手の届きやすい価格で並んでいる、そんなイメージだ。
会場風景
取材に訪れたのはイベント2日目の午後の、人混みがだいぶ落ち着いた頃。やはり他のマーケットイベントと同様に、目玉商品を狙って開場待ちする人も多いようで、オープン直後は大変な混雑となるようだ。そしてSNSを中心に広告を打っているだけあって、来場者の年齢層は比較的若めであるように感じた(もちろん、通っぽいベテラン世代もほどよく混ざっているけれど)。
会場マップ
また『フルフリ』の特徴のひとつとして、事前に公式サイトやInstagramで会場マップが公開されているのが嬉しい。目当てのショップを見つけやすく、買い物ルートのイメージトレーニングだってできる。とはいえ会場では実際にマップを広げている人は意外と少数で、多くの来場者は「ローラー作戦」を採用しているように見えた。どの店舗も雰囲気がよくレベルが高いので、結局は隅々までチェックしたくなるのだろう。
ベーシックエリアにある非ベーシック
『フルフリ』はおよそ5つのエリアに分かれている。「ベーシックエリア」「ヴィンテージエリア」「デザインエリア」「グッズエリア」「ワールドエリア」のうち、まずは会場のおよそ半分を占める「ベーシックエリア」をぶらぶらしてみた。
三軒茶屋でリメイク古着をメインに一部ブランド古着も取り扱うという「chit chat」
ふと足を止めたのは、会場中ほどにブースを構えていた「chit chat」。肌馴染みの良さそうな、手前のサーモンピンクのTシャツに注目だ。
「chit chat」のブースにて
これらは元々黒Tシャツだったものを脱色して、微妙な風合いに仕上げたもの。店主さんにお話を伺うと、「どこも同じようなものを売っていたら、勝負できないと思って」このイベントのために新たに挑戦して持ってきた、気合いの逸品とのことだった。脱色の度合いが軽ければ写真右のようなダークブラウンに、中程度なら左のようなピンクに、がっつり脱色すれば中央のような淡いオレンジになるという。白でも黒でもなく、カラフルでもないこの「肌色感」がカッコいい。
「chit chat」のブースにて
店舗で大人気だという、アディダスのリメイクアイテムも可愛い。スポーティーとsweetの絶妙なバランスが乙女心をくすぐる。
大好きな服を、仕入れて売る。
「さて次はどこに行こう……」と天を仰ぐと、ふと、テントの上にいるぬいぐるみと目が合った(怖い)。
2000's LA、平成カルチャーにインスパイアされた完全Y2K セレクトショップ「マンモーニバイモンチャン」。店舗は店長曰く“春日部の僻地”にあるそう。
ギラギラと輝くピンクの屋根を目印にたどり着いたのは、「デザインエリア」にある「マンモーニバイモンチャン」のブースである。こちらは昨今流行りのY2Kアイテムを揃えるショップ(Y2K=「Year 2000」の略で、西暦2000年頃のファッションや文化を指す)。お客さんは10代〜20代のファッション感度の高い女性が多いそうで、取材中にも多くの女子が楽しそうに買い物をしていくのが印象的だった。
こだわりと愛の詰まったHYSTERIC GLAMOURのコーナー。
お話を聞かせてくれた店長さんと、「ヒス(HYSTERIC GLAMOUR)の服って今見ても、素材もシルエットも良過ぎるよね」と意気投合。「自分が学生の頃はなかなか手が届かず、お年玉をもらうと新幹線に乗って店舗のある街まで買いに行っていた……」とか、「このリュックは雑誌とかにもよく出てたから、いつも売り切れてて……大人になってこの仕事を始めてから『使う用・鑑賞用・保存用・販売用』で結局4つも仕入れちゃいました!」といったエピソードを笑顔で語ってくれた。古着屋さんとは基本的にみんな “古着が好きで、自分の愛する古着を取り扱っている人たち" なのだとしみじみと実感できる素敵な時間だった。
ワールドエリアで、ついに切り札を切る!
『フルフリ』には、なんと海外からも古着ショップが参戦している。タイ、そしてマレーシアから来日した2店舗のある「ワールドエリア」には外国勢の姿も多く、ちょっと海外に来たようなムードが楽しめて得した気分である。
マレーシアの古着ディーラー「T.AMEHAMEHA.VTG.」のブース
タイの「EXIT VINTAGE」のブースでハンガーをかちゃかちゃしていくと、見たこともないヨーロッパのものからアメリカ、アジアのものまで、様々なヴィンテージアイテムがごった煮になっていて驚く。さすが古着大国として知られるタイである。
タイの古着ディーラー「EXIT VINTAGE」のブース
ここの「4,000円コーナー」で見つけた70’sアメリカのヴィンテージTシャツに、筆者はガツンと一目惚れ。欲しい……でもキリがなくなるから、お小遣いは3,000円までだと固く心に誓って来たのに……でもハンガーを握ったこの手を離したくない……欲しい……葛藤する心に、ふいに天の声が聞こえた気がした。
「クーポンが、あるじゃないか!」
会場マップの500円クーポン
そうだ、『フルフリ』の来場者に配られる会場マップには、500円クーポン×2枚がついているのだ! これを使わない手はない。背中を押してくれてありがとうフルフリ、3,500円なら予算内(みたいなもの)だ!
レジにてスタッフさんに「クーポン切りますネ〜」とカットしてもらい、無事購入。店舗にとっても成果が目に見える形で手元に貯まっていくシステムと言えるので、売る方も買う方もニッコニコである。クーポンは店舗によって使用できないアイテムもあったりするのでチェックが必要だが、このシステムは間違いなく『フルフリ』を熱く盛り上げる起爆剤と言えるだろう。
掘り出し物を探して、DIGを体験
買い物を終えてホクホクしていると、あるブースから上がった「ただ今より全品300円でーす!」の声を合図に、わっと近くの人が動いた。人の流れに乗って、ブルーシート上に積み上げられた古着の山に突進してみる。古着のいいモノ探しをすることを「DIGる(掘る)」と表現するが、それはまさに「掘る」としか言いようのない体験だった。
ダッシュ&ダイブ!
ひらひら翻る洋服がなんとも祝祭的。
掴んでは引っ張り出して、天地返しして、見つけたアイテムにあちこちで喜びの声が上がる。無制限にガチャを回しているような興奮で、アドレナリンがドバッと出るのを感じた。床を舞台に行われているこうした宝探しの機会を見かけたら、お得な一品に出会えるチャンスかも。思い切ってダイブしてみるのがおすすめである。
魅惑のヴィンテージエリア
「ヴィンテージエリア」からは、70’s〜のアメリカ、メキシコのウエスタンブーツがずらりと並んだ「197」のブースをご紹介したい。日頃は三軒茶屋の隠れ家のような場所で、ひっそり店舗を営んでいるというこちらのショップ。今回の『フルフリ』には数十足のウエスタンブーツを中心に、エッジの効いたヴィンテージアイテムを集めての参戦だ。
店舗営業は基本週末のみ(平日はアポイント制)という「197」のブース。ヒッピー感あるクセ強めの古着も素敵だったので、写真を撮らせてもらえばよかった……と後悔中。
靴の中でも、ウエスタンブーツは紐がないのでサイズのごまかしがきかない。だからこそ実際に手にとって試して、質の良さや履き心地に納得した上で選んでほしい、と語る店長さん。筆者が実は秋のブーツ探し中だと打ち明けると、「そのサイズならコレとかコレ」「そんな履き心地ならこれが近いです」と、ソムリエのようにぴたりと候補を出してきてくれた。何足か試させてもらいながら、近年の量産アイテムとは一線を画した、年代物ならではのソールの魅力についてなど、ヴィンテージアイテムへの愛に溢れたお話も聞かせてもらった。
ヴィンテージもの・古着を身につけるというのは、そのアイテムの紡いできた物語も一緒に身につけるということだと思う。そこに格別の味わいを感じる人ならば、やっぱり購入の物語だって大切にしたいものだ。サイズ(と予算)の都合でドンピシャ購入にまでは残念ながら至らなかったけれど、この先ウエスタンブーツを買うなら絶対このお店で買いたいな、と心から思った。
『フルフリ』は小規模な個人店が集まっているお祭りなので、大手古着ショップのように売り子さんが元気に呼び込みをしているブースは少ない。時には、お店の人がどこにいるのか分からないことだってある。個人的な感想だが、古着愛を語りたい古き良き時代タイプと、最新の無人古着店かのようなタイプと、会場内でも二極化が進んでいるように感じた。
グッズエリアをぶらぶらと
会場壁沿いの「グッズエリア」では、小物やアクセサリー、ラグなどが販売されていた。いい意味でごちゃごちゃ感がたまらない、宝探しのエリアである。
「SOTA JAPAN」のブースにて
鮮やかなティファニーブルーに吸い寄せられて近寄ると、ユーズドのブランドアイテムを扱う「SOTA JAPAN」のブースだった。ティファニーの定番シルバーネックレスは、13,500円〜とだいぶリーズナブルな印象だ。
「VintageCap MISSI」のブースにて
こちらは、90年代を中心としたキャップを取り揃えた「VintageCap MISSI」のブース。会場内でもひときわ美しく並べられたキャップたちに、思わずため息が出る。
「PARK:D」のブースにて。ハイネケンのキュートな栓抜きを発見!
「PARK:D」のブースでは、レトロなアクセサリーや雑貨がALL均一価格でどっさり販売されていた。アイテムはひとつ買うと600円だが、3点、5点、10点……と購入点数に応じて単価が下がり続け、最終的に10点で3,000円になるという。それならば10点買いたくなるのが人というもの。購入用トレイを片手にアイテムを吟味する人で賑わっていたのも納得である。
『フルフリ』の躍進は続く
会場風景
東京ビッグサイトの西1ホール全体を歩き回って、気付けば2時間半ほどが経過していた。長編映画1本分ほどのこの時間で、得られた興奮と美的感覚への刺激は計り知れない。明日からの毎日を少し特別にしてくれそうな、お気に入りのアイテムも手に入った。
『フルフリ』は、これからも規模の拡大・ブランドの確立を目指して成長を続けていくという。全国の個人店が結集するこの “個性の祭典" は、服好きたちのために次はどんなスペシャルな体験を用意してくれるのか。その躍進に、今後もぜひ注目していきたい。
文・写真=小杉 美香
イベント情報
『フルフリ supported by Pickyou』(終了)
■会場:東京ビッグサイト 西1ホール
■:1日券(一般):¥1,000/1日券(高校生以下):¥500
通し券(一般):¥1,500/通し券(高校生以下):¥1,000
運営:Vintage Market 実行委員会 FURUGI83 OLD GREEN MUJIN
公式Instagram:https://www.instagram.com/furufuri_tokyo/