Kanna 令和ミクスチャーシーンのトップランナーへ、ターニングポイントと歩みを解き明かす
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Kanna 撮影=高田梓
目指すのは、令和の時代の新たなミクスチャーロック。名古屋発、MCとギタリストの2人組・Kannaのソニー第一弾曲「ヤング・ムーヴメント」は、ゼロ年代のアニソン×ロックのスタンダードと言っていいFLOW「GO!!!」をサンプリングした意欲作。故きを温ねて新しきを知り、“俺たちの世代が時代を作るぜ”と高らかに宣言する、大胆不敵なジェネレーションソングだ。名古屋ヒップホップを聴きまくっていたNouchi(MC)と、洋楽ロックをこよなく愛するKoshi(Gt)が、いかにして令和ミクスチャーシーンのトップランナー候補へと駆け上がったのか。高校時代の出会いから現在に至るまで、いくつかのターニングポイントをたどりながら、Kannaの歩みを解き明かそう。
――メジャーレーベルからのリリースという大きな出来事を迎えて、これまでのターニングポイントを振り返ってみようというのが今回の趣旨です。まず結成で言うと2017年ですか。
Nouchi:高1の冬ぐらいですね。僕とKoshiは高校が違うんですけど、高校生の楽器プレイヤーたちを集めてやるイベントがあって、そこで僕の同級生のドラムとKoshiが出会って、意気投合してスタジオに入ろうという話になった時に、ドラムの奴に誘われて、僕はマジで暇だったから単純について行ったというだけの始まりで(笑)。最初は4人組で、ベースとドラムのメンバーもいたんですけど、結成して数ヵ月ぐらい経った段階で、曲を作るのはこの2人になっていったよね?
Koshi:そうだね。
Nouchi:それから受験の期間になって、高校3年生でベースとドラムが脱けるんです。僕ら2人は名古屋の大学に進学すると決まっていて、他の2人は県外に行っちゃったので。
Koshi:その前に『未確認フェスティバル2019』があって、名古屋審査を通過していたので、活動を延長して高3の夏まではやっていました。
Nouchi:『未確認フェスティバル』は、高校の先輩のドラムの人と、その人に紹介してもらったベースの人と一緒に出ました。最終審査までは行けなかったですけど、ライブ審査までは行きましたね。で、大学に入って、コロナ前まではその4人でライブをやってました。
Koshi:ドラムの人は今も活動していて、ジャズ/フュージョン系のすごい上手な人です。
Nouchi:Kannaの初期のドラムもそうだし、サポートでやってくれていたドラムもそうなんですけど、みんなジャズ出身で、今のKannaのサウンドとは全然違って、すごく繊細なドラムが多かった。
Koshi:そこが今と一番違うかも。僕のギターは当時からずっと一緒だけど。
Nouchi:周りのバンドマンに、今でもたまに言われるんですけど、「ギターは昔からうまいけど、そこから何も変わってない」って(笑)。
Koshi:俺、早熟だったんですよ。ちっちゃい頃にすごい賢くて、中学校ぐらいまで無双する子とか、いるじゃないですか。ギターで言う、その感じ。相方(Nouchi)はラップのスキルも上がって、歌もすごい上手くなっているんですけど、僕はずっと同じ。
――プロフィールを見ると、全然ルーツが違うんですよね。ハードロック、クラシックロックとかが好きなギタリストと、名古屋ヒップホップにハマっていたラッパーと。そもそもなんで意気投合したんだろう。
Nouchi:本当に、始めた理由が“ノリと勢い”なんですよ。
Koshi:僕は、一緒にバンドができるような知り合いが周りに全然いなくて。でも初期のKannaのメンバーと出会った時に、ドラムの子もベースの子も上手だったし、相方も“やってもいいよ”という熱量があるみたいだったから、“このメンバーでやるしかない”と思ったんですよね。他に選べたわけじゃないので。
Nouchi:それで言うと、なんで僕を選んだのかめちゃくちゃ不思議です。最初はただスタジオに行って、眺めていることしかできなかったのに(笑)。
Koshi:いや、それはね、理由がちゃんとあるの。最初にスタジオに入った時に、みんな「はじめまして」という感じだったんですけど、一人だけ、良く言えばおしゃれ、悪く言えばイキっている奴がいて(笑)。俺とドラムとベースは、見た目は普通なんですよ。でもNouchiはサラサラのロン毛で、学ランの前を全部開けて、下に柄シャツを着て、それも全部開けて、下にTシャツを見せてるみたいな。僕はちゃんと真面目な格好してたんで、こいつはすごい、もしかしたらめちゃくちゃ天才かもしれん、と。そういうオーラって大事じゃないですか。
――すごい大事ですね。
Koshi:パッと見のオーラがあるかないか、そこで惹かれたというのはありました。態度もでかかったし、見た目も振る舞いも大物感があって、天才感のある感じがしたから、“こいつは面白い”と。
Nouchi:実際は、ただ緊張してて何もしゃべれなかっただけだと思うけど(笑)。バンドのリハーサルに行くのもほぼ初めてだし、やることがなさすぎて。
Koshi:だからそこが決め手かな。でも間違ってなかった。カリスマ感も、天才感も、態度のでかさも、間違ってなかった。俺の直感は全部合ってた。
Nouchi:で、その日の夜にファミレスに行って……。
Koshi:今池のサイゼリア。
Nouchi:そこでご飯食べながらしゃべって、気づいたら「バンドやるか」みたいな流れになってた。
Koshi:俺が「やろうぜ」と言った記憶もないし、誰かが言った記憶も全然ない。会ったその日に、ぬるっと始まった。
Nouchi
――それが最初のターニングポイントというか、ビッグバン。その次のターニングポイントは?
Nouchi:コロナ突入は、だいぶターニングポイントですね。大学に入って、最初はオンラインで、そこからちょっと授業が始まって、学校に行くようになって。その頃にはドラムの先輩も東京に行っちゃって、ベースの子も高校卒業してから連絡取らなくなっちゃって、また二人になって、ライブできねえよ、みたいになっていて。
Koshi:そもそもライブ自体も少なかったしね。ライブハウスが緊急事態宣言とか。
Nouchi:その頃、路上ライブを始めるんです。名古屋は路上ライブが盛んで、Suspended 4thというバンドを筆頭に、みんな路上ライブをやっているんですけど、サスフォーのメンバーに「Kannaもやったらいいじゃん」みたいに言われて、路上ライブを1、2年ぐらいやるんですけど。
Koshi:名古屋の路上ライブはちょっと変わっていて、全部持ち込むんですよ。発電機を持って行って、アンプもドラムキットも全部持ち込んでやるんですけど。路上をやるようになったのは、ターニングポイントかもしれないです。
Nouchi:バンドの先輩たちをかき集めて、5人体制とかでやってました。それをやっていくうちに、バンド内のセッションというか、即興みたいな、自分たちの中で楽しむというのがどんどんでかくなって、外向きというよりは内向きな。
Koshi:“俺らが楽しいことはお前らも楽しいだろ”みたいな、ストロングスタイルだった。演奏もすごい凝ってたし、即興にもこだわって、生のグルーヴ感を大事にして、10分ぐらいずっとセッションしてたりとか。
Nouchi:今じゃ考えられないけど、ライブハウスに出る時も、30分のセトリのうちの10分、15分が1曲みたいなことをやってました。ジミ・ヘンドリックスの「リトル・ウィング」とかやって、全然終わらないんですよ。
Koshi:しかもどんどんテンポが速くなっていく(笑)。それまで全然ヤンチャしてこなかったから、俺が唯一ヤンチャしてたのは、その時代かも(笑)。
――その頃Nouchiくんは、完全にラッパーとしての立ち位置だったんですか。
Nouchi:ラップで入る時もあるし、休憩してる時もある(笑)。曲が始まっても全然登場しないとか、レッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)のアンソニーぐらいの感じで。たぶんそれも僕らの中でイメージにあって、レッチリって、最初はフリーとジョンがセッションして、いろいろやってから最後にアンソニーが出てきて、みたいな、それに憧れていたのかもしれない。
Koshi:そこは大きなターニングポイントかな。まず、自分たちをすごい見つめる時期があって、そのあとの大きな出来事は……やっぱり『サマソニ(SUMMER SONIC)』、『フジロック(FUJI ROCK FESTIVAL)』かな。
Koshi
――それまではアマチュアっぽかった活動が、2022年に急激に動き出すんですね。ライブも増えるし、初リリースも2022年だし、この頃何があったんですか。
Nouchi:僕の記憶が確かなら、路上でサポートをやってもらっていた先輩のバンドに、「いろんな事務所のオーディションを受けてみないか」みたいなアドバイスをもらったんですね。
Koshi:それが、フジロック「ROOKIE A GOGO」とサマソニの「出れんの!?サマソニ!?」に出る1年前かな。大学2年生の時。
Nouchi:そこで今の事務所と出会って、その時に“二人を中心に曲を作っていくのは面白いかもね”みたいな感じになって、たぶんその年(2021年)の夏にはもう「空」(3rdシングル/2023年)ができていたと思うんですよね。で、フジロックとサマソニのオーディションに「空」を出して、どっちも通った。まだデモ音源だったんですけど。
Koshi:それもある意味ターニングポイントだったんですけど、今まではすごくバンドサウンド、生の楽器にこだわっていたんですけど、「空」は、がっつり打ち込みサウンドを導入した初めての曲で、そこから打ち込みをガンガン使っていくようになったし、そういう意味でターニングポイントとも言えるかな。
Nouchi:シンセも使えるようになったし、お互いの得意分野を、より曲に落とし込めるようになったのが「空」で、確かにターニングポイントかもしれない。
――「空」は、二人でどんな作り方をしたんですか。
Nouchi:これも、自分の中ではターニングポイントみたいな感じなんですけど、僕が名古屋の音大に入ったんですよ。高校生の頃からヒップホップのビートメイクはしていたんですけど、もっとできたほうがいいなと思って、音大で録音を学んだんですね。レコーディングエンジニアの技術を学んで、そこからリズムオタクみたいになっちゃって。それは今も続いているんですけど、ドラムとかベースとか、リズムを僕が作って、ウワモノをKoshiが作って、みたいな。
Koshi:最初にドラムとか、僕が一応打ち込むんですけど、もう全部変わって返って来るから。最近は逆に、めっちゃ適当に打ち込むんですよ、どうせ直されるから(笑)。それをやり始めたのが「空」かな。こっちからの要望も出して、「ここはトラップっぽい雰囲気がほしい」とか言うんですけど、僕はヒップホップがルーツになってるわけでもないし、もちろん好きで聴いたりするんですけど、やっぱり本職の、本当にヒップホップ好きな人の作るビートは違うから。そういうところで、(Kannaの曲が)ロック一辺倒じゃなくなったみたいな。
Nouchi:それがたぶん、個人的にはプチターニングポイントなんですけど。
――そこはかなり大きいと思いますよ。
Nouchi:他のアーティストの曲がいい悪いとかではなくて、僕が思うのは、ヒップホップにルーツがないアーティストが作る、ヒップホップっぽいビートとか、トラップの感じとかって、結構わかるんですよ。
Koshi:わかるね。
Nouchi:ヒップホップをやってる人間が聴くと、それがわかっちゃうんですけど、Kannaの曲はそういう人が聴いても、ヒップホップにルーツがある人が作ったなってわかると思います。
――Nouchiくんのルーツって、名古屋ヒップホップでしょう。
Nouchi:そうですね。
――SEAMOとかnobodyknows+とかHOME MADE 家族とか、J-POP寄りのメジャーどころも、M.O.S.A..Dとかハードコアなところも、どっちも聴いていましたか。
Nouchi:どっちも聴いてました。当時の名古屋は、アーティスト自体は分断してなかったというか、リスナーも、同じ名古屋のヒップホップとして聴いていたっていう層が一番多いので。今は逆に、当時のものを聴いて「あれはヒップホップじゃない」とか、リスナーの間で言われたりするんですけど、僕はそういうのは全然なくて。Kannaの曲も、意外と、聴いてみると、SEAMOさんとかnobodyknows+みたいな時代の曲を、ロックに落とし込んでいるイメージではあるので。
Koshi:確かにね。SEAMOさんとかnobodyknows+にも、ミクスチャーっぽい曲があったりするもんね。
――そして次のターニングポイントは、SNSでヒットした「Make My Day」(2023年)なのかな?と。明るい感じっていうか、パッと開けた感じがすごくして、あのへんで、もっと外に向けてみんなに聴いてもらう意識が出てきたのかなって、勝手に思ってたんですけど、どうですかね。
Koshi:確かに、あのへんから芽生えつつはあったかもしれないですね。かっこいいだけじゃないところを見始めた、というか。
Nouchi:あのへんから、Kannaチーム内で、かっこいいライブ像とかアーティスト像より、“楽しいね”と思ってもらえるほうがいいよね、みたいな感じになっていって。リリックも、それ以前のKannaはいわゆるヒップホップ的というか、ミクスチャーっぽい自己紹介というか。
――最初の曲が「Kanna教」だから。セルフボーストの究極。
Nouchi:だいぶ、セルフボーストする感じの曲が多かったんですけど、それを等身大に変えたっていうのが、あの時期だったかもしれない。
――その後の「Peace out」も、ラブソングで、優しい曲じゃないですか。確かに、あの時期にターニングポイントはあると思いますね。
Koshi:楽曲も歌詞も、方向性的に変わった気はします。カッコつけすぎなくなりましたね。まさに等身大で。
――自信がついたんじゃないですかね。これで行ける、と。
Koshi:さらけ出すっていう感じはありましたね。
Nouchi:あと、10代の頃はとにかく、大人っぽく見せる、みたいな考え方が無意識のうちに働いていたんじゃないかなと。自分を大きく見せるリックが多かった気がします。
――その後にリリースする楽曲は、すごくのびのびしている感じがしますね。この間、4月に出た3枚目のEP『Music 1』とか、いろんな曲が入っていて、楽しい曲もあれば、激しい曲も、しっとりめの曲もあって、自由自在な感じがすごくします。
Koshi:好きな感じを全部詰めたEPですね。『Music 1』は。
――Kannaの一番の個性は、二人が対等なことだと思うんですね。音の存在感もキャラも、MVの映り方とかも含めて。お互いに、お互いのことをどう見ていますか。
Koshi:やっぱりラップっていうのが、ギタリストとしてはめっちゃ楽しいんですよね。何やっても、乗せてくれるじゃないですか。いわゆるミクスチャーバンドとは違うというか、ミクスチャーロックを目指していないのに、おのずとできちゃった系のミクスチャーロックバンド。たとえばレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンとかもそうだと思うんですけど、ギターはただ好きなリフを弾くだけで、その上でかっこよく乗せてくれるし、みたいな。こっちが好きなことをやっていても、なんとかしてくれるという感じ。
――そういう意味では、歌い手よりも融通が利くかも。
Koshi:そこで相乗効果を生んでくれるので、いつも楽しく、アドリブで勝手にいろんなフレーズを入れたりとかもやりやすいし、歌とぶつかっちゃうとかも気にしなくていいし、というのが楽しいです。
――MC側からの意見は?
Nouchi:これは毎回言うんですけど、僕はギターが弾けないから、ギターが弾ける奴とやるだけで楽しいです。最初のほうに言いましたけど、いい意味でギターは当時から変わっていなくて、周りのバンドマンからも一目置かれていたし、リフとかも、いわゆるヒップホップのビートには来ない、すごくロックなカッティングだったりして。ビースティー・ボーイズとか、そういうところまで遡ればあるけど、今のヒップホップのトラックの上にあんまり乗っかってこない音なので、そこに合わせてラップしたり歌ったりするのは、普通にやるより絶対楽しいなと思いますね。そこがポイントかもしれない。
――なるほど。
Nouchi:そもそも逆張りで、ヒップホップっぽいことをやりたくなかったのもあるし、それにはもってこいのギタリストが来た!って感じですね。
Nouchi
――ほかにはないものをやろう。Kannaのメインテーマだと思います。そして今回のソニー第一弾楽曲の「ヤング・ムーヴメント」も、また1個、大きいターニングポイントですよね。活動の体制も、届く範囲も広がるという意味も含めて。
Koshi:そうですね。
――これ、予備知識なしに聴いてもすぐわかったけど、サンプリングって言い方で合ってますか。
Koshi:サンプリングですね。
――FLOW「GO!!!」のフレーズががっつり入っていて。どういうふうにできた曲ですか、「ヤング・ムーヴメント」は。
Koshi:もともと自分たちのルーツにあるものとして……僕は90年代、80年代の洋楽ロックが好きなんですけど、そういう意味のルーツじゃなくて、僕らは2001年生まれで、自分たちが本当に見ていたアニメの曲とか、ドラマの曲とか、知らず知らずに吸収してきた音楽という意味で、ずっと一緒に育ってきたルーツには、一番僕たちの年齢感が出るなと思っていて。
――世代のルーツ。
Koshi:「世代のルーツみたいなものを出したいね」ということを話している中で、FLOWの「GO!!!」は、曲も好きだったしFLOWも好きだったし、『NARUTO -ナルト-』も好きだしっていうので、そのテーマでサンプリングしてみようかということになって。二人でいろいろアレンジし合ってできていったというのが、全体の成り立ちです。
Nouchi:リリックまで引用したので、繋がりとかも考えて、書き方のボキャブラリーが増えた気がしました。めちゃくちゃ大変だったんですけど。
Koshi:すっごい書き直してたもんね。
Nouchi:レコーディングの1日目まで書いてて、本当はその日に歌録りを始める予定だったんですけど、リリックが間に合わず、「ごめん、今日はギターだけにしてくれ」と言って、次の日に歌いました。
Koshi:Nouchiは歌詞を書いてるから、みんなそっちの相談に行ったりしてて、結局エンジニアさんと二人だけでギターを録ってました。「これでいいですかね? 合ってるかな?」「ギタリストがいいって言うからいいんじゃない?」みたいな。寂しかった(笑)。
――歌詞はめちゃくちゃ前向きでストレート。ヤングジェネレーションに送る熱いエールソング。
Nouchi:リリックを考える時に、気を抜くとついかっこいいことをシンプルに言ってしまう方向になっていっちゃうんですよね。そうすると、聴く人にとって親近感が湧かないから、そこでずっと悩んでて。今回プロデューサーとして入ってくれたシライシ紗トリさんに相談したら、「もっとヘンテコでもいいんじゃないかな」って。すごいかっこいいことを言うより、「引き込まれる感じがいいんじゃないかな」みたいなアドバイスをもらって、そっちに寄せました。自分も、「Make My Day」以降はそういう歌詞を書いてきたので、こういう激しめな曲で、そういうリリックにできたのは、個人的にもターニングポイントになってるかな?と思います。
Koshi
――リスナーと親近感を分かち合う、等身大路線の一つの結論ではないけど、最新の形ですね。でもたとえば最初の「空」で、《集まれ同士》と歌っていたり、リスナーに親近感を持って呼びかけるリリックというスタイルは、Kannaに最初からあったと思うんですね。その目線はずっと変わっていない気がする。
Nouchi:そうですね。そこに、自分の弱みみたいなところを一つプラスで乗っけているのが、「Make My Day」以降のリリックなのかな?と思ってます。
Koshi:歌詞も変わったし、普段も変わりましたね。ちょっとずつ優しくなっていってる気がする。
Nouchi:今まで、優しくなかったのかな(笑)。
Koshi:優しくないというか、厳しかった。それがどんどん、寛容にはなっていってる気がする。優しくなったから歌詞もそうなってきたのか、歌詞がそうなったから優しくなってきたのか、どっちかわからないですけど(笑)。
Nouchi:確かに、厳しくはあったんですよ。十代の頃とかは、10秒でも遅刻したら許せないみたいな。罰金として、遅れた奴からスタジオ代を引いていくシステムでした。
Koshi:しかも、僕が遅れた時は、高校の授業が長引いちゃっての遅れだったんですよ。でも「関係ない。遅刻は遅刻だ」みたいな(笑)。
――今はその面でも優しくなった。
Nouchi:いや、今も思ってはいるんですけど(笑)。そこで何か言って、空気が悪くなるのも嫌なので。
Koshi:大人になったんだ(笑)。
――よかった、ソニー第一弾が今の時期で(笑)。2、3年前だったらもっとピリピリしてて、余裕なかったかも。
Nouchi:間違いないですね。何をするにしても“Nouchiストップ”がかかかりそうな感じは、3年前だったらあったかもしれない。
――まさにright here,right now。いい曲がいいタイミングで出る。
Nouchi:ありがたいです。
――これから、メジャーシーンに何を期待していますか。今後、どういうふうになっていきたいですか。
Nouchi:二人で結構話したりするのは、ミクスチャーをお茶の間に広げれたらいいなと思っていて。ここ10年ぐらい、いわゆるラップミクスチャーみたいな音楽が、オーバーグラウンドに来ていない気がしていて。若手のミクスチャーバンドがバンバン出てくる状況がないので、そこの間口を広げられるようになっていきたいなと思っています。
――いいですね。志はでっかく。
Nouchi:すごい失礼な言い方だったら申し訳ないですけど、20年周期で流行を考えるんだったら、Dragon Ashみたいな若いミクスチャーアーティストが、今この2025年にもっと出てきていてもいいのになって思うんですけど。なので、そこの一部に自分たちがなれたらいいなっていう。新しい令和のミクスチャーになっていきたいなと思っています。
Koshi:僕らの場合って、各々の好きな音楽もそうなんですけど、本当にミクスチャーしているというか、ミクスチャーロックを目指してミクスチャーをしているわけじゃないのが強みだなと思っていて。今はヒップホップがすごい上がってきてるし、そういうところとの絡みも経て、新しいヒップホップ、ロック、ミクスチャーの時代を作れたらいいなっていうのは思いますね。あの頃のまんまじゃない、令和のミクスチャーがやりたいです。
――頼もしい。行っちゃってください。
Nouchi:そして、いつかフェスを作りたいっていうのも、ずっと言ってます。『TOKAI SUMMIT』みたいなフェスをやりたい。僕らきっかけで、もっと深い音楽を知ってもらえる道筋の一つになりたいです。それって、だいぶ影響力がないとできないことなので、なんとかそこまでは登り詰めたいなと思います。
――そこへ向けての一歩として、11月に、EMNW(えむにゅー)と一緒に回るスプリットツアーがあります。EMNWも、同じようなミクスチャースピリットを持っているバンドじゃないかと思います。
Nouchi:そうですね。僕らがやってるミックスチャーよりはもっとハードで、流派は違うかもしれないですけど。
Koshi:ミクスチャーという大きなくくりの中では一緒なので。
――どんなツアーになりますか。したいですか。
Koshi:僕ら、ツアーっていう形で東名阪を回るのは初めてで、しかも今回、同じジャンル感を持つ仲間であるEMNWと一緒に回れるっていうことで、いい化学反応もあるなと思ってるので。みなさんを楽しませるために考えていることもいろいろあるので、遊びに来てくれたらなと思います。
Nouchi:EMNWが、かっこよさと可愛さをやってくれるんで、僕らは楽しさを。
Koshi:Kannaもかっこよさと可愛さ、あるよ(笑)。
Nouchi:僕らは楽しさで、とにかく本当に楽しいイベントにしたいなと思ってます。ぜひ遊びに来てください。
Koshi:そして来年はがんがんリリースもして、ライブもして、自分たちの企画も考えているので。チーム内でいろいろ考えてることもあるので、ぜひ楽しみにして、チェックしてほしいなと思います。
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