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高校生から社会人までさまざまなメンバーが集う「クレド交響楽団」 定期演奏会が1月開催

2025.11.18
ニュース
クラシック

豊平青

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2018年に発足したアマチュア・オーケストラ「クレド交響楽団」が、2026年1月17日(土)新宿文化センター 大ホール第14回定期演奏会を開催する。高校生から社会人までさまざまなバックグラウンドの団員で構成される本楽団と、このたびの公演について、紹介文が到着した。


アマチュアのオーケストラとプロのオーケストラとの間には常々大きな差があると感じてきた。ただこの夏に偶然の出会いからコンサートを聴くことになった、あるオーケストラとそれを率いる若手指揮者の演奏会は、とてもアマチュアのオーケストラだとは思えないほどの音楽への喜びとクオリティで楽しめた。それが、豊平青が率いるクレド交響楽団である。

クレド交響楽団は、2018年に発足したアマチュア・オーケストラ。指揮の豊平青を中心に 「音楽第一」をモットーとし、音楽の本質に迫るような演奏を常に目指して、高校生から社会人に至るまで、さまざまなバックグラウンドの団員から構成されている。「クレド」とは、信条、志、主義主張といった意味を持つラテン語。“音楽第一、本質的な演奏”を自分たちの「クレド」として掲げ、立ち上げられたオーケストラなのだという。2018年3月の慶應義塾高等学校・女子高等学校ワグネル・ソサィエティ・オーケストラの定期演奏会でショスタコーヴィチの交響曲第5番を演奏したメンバーが中心で結成され、この曲の解釈について研究する過程で出会った「クレド」という言葉との出会いから、豊平とともに今日まで13回もの定期演奏会を年に2回のペースで重ねている。豊平も慶應の出身であり、現在も会社勤めをしながら、指揮活動を続けているとのこと。

8月に筆者が体験したコンサートは、ドビュッシーのクラリネットのためのラプソディ第1番とラヴェルの「ツィガーヌ」、そしてそこに合唱付でラヴェルのバレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲版からのハイライトという意欲的なプログラム。編成の大きいダフニスを豊平はうまくまとめて、オーケストラからフランス音楽に相応しい芳醇な色彩感を引き出していた。豊平の堅実ながら若々しくキビキビとした動きも視覚的にも魅力的であり、世界の主要オーケストラを率いるクラウス・マケラを思わせるというと褒めすぎと思われるかもしれないが、そうした想像をさせてくれる存在であったことは間違いない。若くて音楽へのモチベーションの高い団員たちと彼らの演奏は、欧米のオーケストラを彷彿とさせるエネルギーがあったのも確かである。ダフニスが終わった時には心からの拍手を贈る自分がいることにも驚かされた。

豊平青指揮クレド交響楽団のコンサートが年明けの1月17日に新宿で開催されることが発表され、いよいよイープラスでの販売もスタートした。曲目は、ブラームスのヴァイオリン協奏曲 ニ長調とチャイコフスキーの交響曲第5番 ホ短調という聴きごたえある名曲中の名曲に挑戦する。しかもヴァイオリン・ソロには名手シェリングを継ぎ、夏の公演でも見事な「ツィガーヌ」を聴かせてくれたジェラール・プーレが登場する。プーレは彼らとの演奏をいつも心から楽しみにしているという。名曲と87歳の名手そして若いエネルギーを秘めた指揮者とオーケストラ。ぜひこのコンサートをお楽しみいただきたい。

最後にコンサートへの豊平自身のコメントを掲載したい。

「演奏会前半では、フランスの至宝ジェラール・プーレ氏を迎え、ブラームスの傑作の一つであるヴァイオリン協奏曲を演奏します。87歳でありながらなお最前線を走る巨匠の胸をお借りし、作品本来の深淵さに光を当てます。後半の交響曲第5番には、チャイコフスキーの宗教的な葛藤が込められています。彼は同性愛者であり、自殺未遂の経験を持っています。彼が信仰した当時のロシア正教の宗教観において、この2つは重大な「罪」にあたり、これを背負うものは地獄に落ちるとされていました。チャイコフスキーの後期の交響曲は、罪人のレッテルを人知れず背負いながらも敬虔に神を信仰していた彼が、死後地獄の恐怖と現世で抱える苦しみに救いを見出すための試みなのです。旋律の美しさだけでなく、それを支える和声やレトリックを緻密に表現することで、峻厳なチャイコフスキー像をお届けしたいと思います」

文=神山薫

公演情報

クレド交響楽団『第14回定期演奏会』
 
2026年1月17日(土)13:15開場/14:00開演
新宿文化センター 大ホール
 
ヴァイオリン:ジェラール・プーレ
指揮:豊平 青
 
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
チャイコフスキー/交響曲第5番 ホ短調