RAISE A SUILENとトゲナシトゲアリが馴れ合いゼロの真っ向勝負を繰り広げる!「RAISE MY CATHARSIS」レポート
■2025.12.07 RAISE A SUILEN×トゲナシトゲアリ「RAISE MY CATHARSIS」@京王アリーナTOKYO
2025年12月7日(日)、RAISE A SUILENとトゲナシトゲアリによる対バンライブ『RAISE A SUILEN×トゲナシトゲアリ「RAISE MY CATHARSIS」』が京王アリーナ TOKYOにて開催された。2025年6月14日に開催されたRAISE A SUILEN LIVE 2025「REBEL SOUNDWAVE」にて公開されたトゲナシトゲアリからのビデオメッセージに端を発した今回のライブ。7月23日には公開調印式がYouTubeで配信され、両者がバッチバチに対立している様子も映し出され、ファンの期待値は上昇。そんな高い熱気のなかで開催されたライブの様子をレポートしていく。
(C)BanG Dream! Project (C)東映アニメーション
■“60分16曲”で駆け抜ける先攻トゲナシトゲアリの猛攻
ライブ当日、京王アリーナ TOKYOの最寄りである飛田給駅近辺は冬の澄んだ空気に包まれる。会場目前の歩道橋からは茜色に染まった地平線を一望でき、その穏やかな光景からは“嵐の前の静けさ”との言葉がよく似合う。さらに会場内へと歩みを進めると、そこにはこの日のライブを心待ちにするオーディエンスたちの姿が目に入る。場内には「EXPOSE ‘Burn out!!!’」が、「空白とカタルシス」が、インストで会場内に鳴り響くと、音にあわせて激しいクラップが打ち鳴らされ、なかには頭を揺らすオーディエンスの姿も目に入る。その場に集った人々の肩はすでに、存分に温まっているのが伝わってきた。
照明が消え、客席で光を放つ色とりどりのペンライトが視界に飛び込んでくる。その光景はまるで、これから始まるパフォーマンスへの期待度を視覚化したかのようだ。そんな会場にこの日の出演者であるRAISE A SUILENとトゲナシトゲアリを紹介するVTRが流れると、締め括りには今回のライブロゴが煌々と輝き、先攻であるトゲナシトゲアリがステージ上に姿を現した。
客席のペンライトが紅に染まると一曲目「声なき魚」がドロップされる。井芹仁菜を演じる理名の唸るようなボーカルが会場内を駆け抜け、会場のボルテージは一気に最高潮まで駆け上がる。ステージ中央後方のスクリーンにはアニメ『ガールズバンドクライ』の映像が、ステージ両サイドのスクリーンには目の前で歌唱するトゲナシトゲアリのメンバーが映し出され、オーディエンスはライブの世界観に没入する。さらにここに「渇く、憂う」が続くと、会場は開幕早々から高い熱を帯びた。
「いやぁ、調印式とかいうわけのわからないこともやりましたけど、あれはなんだったんでしょうね……」と、ここまでの力強いパフォーマンスとは一転してユルいMCを繰り広げるトゲナシトゲアリの3人。しばらく今回のライブが開催されるまでの日々をにこやかに振り返ると「(RAISE A SUILENとは)本当はすごく仲良しなんでね」など裏事情を包み隠さずぶっちゃけると、ここでユルさを払拭する一言が放たれる。
「まぁ、そういうのを期待されているならやってやりましょうか! 60分16曲、お願いします!」
そして始まったのは2nd Album『棘ナシ』に収録の「蝶に結いた赤い糸」。スクリーンに一本の赤い線が映し出されると、レーザーライトが無数の赤い光線を放つ。その光景はまるで、この日訪れたオーディエンスたちとトゲナシトゲアリを赤い糸で結んでいるかのようだった。曲終わり、スクリーンに赤文字で「トゲナシトゲアリ」と映し出されると、間髪入れずに続いてのナンバー「空の箱」が走り出す。理名の力強くも瑞々しい歌声が会場を席巻すると、その響きには徐々に切実さが滲んでいき、聴くもののテンションをビルドアップしていく。
「激しくいくんじゃないの!!!!」
そう叫んだのはルパ役を演じる朱李だった。彼女がここから力強くベースをかき鳴らすと、理名が脚でリズムをとりながらボーカルを合流させ、はじまったのは「空白とカタルシス」。その歌声には力と魂がこもるが、一方でステージ上をふらりふらりと練り歩く理名の姿はどこか力が抜けたもの。最高にかっこいい音楽を、さも当たり前のような顔をして届ける。そんなトゲナシトゲアリの真骨頂を見せつけるかのようだった。
続く「闇に溶けてく」はアップテンポなサウンドに高密度な言葉が乗るリズミカルなナンバー。トゲナシトゲアリの3人が、そして集まったオーディエンスがその音に乗せて身体を揺らすと、ここで再びMCパートが挟まれる。今回の対バン相手であるRAISE A SUILENについて口々に語る3人。ライブ当日がチュチュの誕生日であることにも触れられると、場内は祝福ムードに溢れる。ここに「視界の隅 朽ちる音」が続くと、スクリーンには「不登校」「酒豪」「ツンデレ」といったタイポグラフィーも飛び交い、視覚と聴覚の両面からオーディエンスを楽しませた。
《いつだって傷ばっかカラダもココロもバラバラになっていっちゃって》
赤く染まるスクリーンを前に、理名がスポットライトを浴びながらそう歌い出す。そんな「名もなき何もかも」で捻り出したような歌声と力のこもった立ち姿でオーディエンスの視線を我がものにすると、メロディアスなキーボードの旋律が会場に響き渡り、一時たりとも隙のないパフォーマンスを展開。客席に背を向けて曲を締め括るその振る舞いもクールで、“粋”を体現したかのようだった。
ここに続いたのは「もう何もいらない未来」。熱くもどこかクールさをはらんだそのサウンドがオーディエンスの脳にインパクトを与えると、畳み掛けるように続いたのは“本日の初披露曲”。河原木桃香役の夕莉が奏でるギターに理名がボーカルを乗せ、さらにここにリズム帯が合流すると、始まったのは「命をくれよ」。粒立った言葉のひとつひとつがオーディエンスに叩きつけられ、ラストには理名がシャウト。堂々たるパフォーマンスを見せつけたかと思うと……続け様に“本日の初披露曲その2”である「arrow」へ。高密度な言葉の応酬で会場を席巻すると、さらには“本日の初披露曲その3”「荊の薔薇」までもが連投される。この曲での理名の歌声はどこか儚げで、オーディエンスを耳を奪うものだった。
ここからトゲナシトゲアリのターンはラストスパートに突入。まずは「雑踏、僕らの街」でオーディエンスの心を鷲掴みにすると、場内には激しいクラップが鳴り響く。曲終わりにはスネアドラムが打ち鳴らされると、跳ねるようなビートと共に続いてのナンバー「最期の禱り」が走り出すと、会場の熱気はもう一段高いものへと昇華される。ここで夕莉が「今日はRASさんの胸を借りて好き勝手やらせていただきました! 終わっちゃうよー!」と名残惜しそうに叫ぶと、ここに「爆ぜて咲く」がドロップされる。熱いロックサウンドが届けられると、会場一体となってのシンガロングもばっちりときまり、その締め括りとしてスクリーンに映し出された「トゲナシトゲアリ」の文字は桜と共に掻き消された。
しかし、彼女たちのパフォーマンスはここで終わらない。理名がギターを携えて送り出したのは「運命の華」。依然として力強さを持った彼女のボーカルに、等身大の少女らしさが滲む。曲中には顔を突き合わせて楽器を掻き鳴らしあうトゲナシトゲアリの姿を見ることができ、最高にエモーショナルな空気のなかでそのバトンはRAISE A SUILENへと繋がれた。
■後攻のRAISE A SUILENはオーディエンスを巻き込んで
改めて上映された出演バンド紹介VTRに続き、会場にノイジーなサウンドが鳴り響くと、レイヤ役のRaychellがRAISE A SUILENのライブ開幕を告げる高らかな歌声で会場の空気を激しく振動させる。披露したのは「Beautiful Birthday」。たとえ困難があろうとも力強くこの世を生き抜く、そんな確固たる決意が歌声に乗せて届けられると、会場内に溢れるペンライトはYELLOW GREENへと色を変える。その堂々たるパフォーマンスで一気に空気を掌握したRAISE A SUILENは、続く「‘FIGHT’ ADDICT」でこのライブに対する“戦いの姿勢”を明示。チュチュ役の紡木吏佐がオーディエンスを煽り立てると彼らが手にしたペンライトは激しく揺れた。
エレクトリカルなダンスチューンが響き渡ると、端的かつ挑発的なMCが挟まれ、そのまま「V.I.P MONSTER」へと雪崩れ込む。常に力強さを誇示し続けるのがRAISE A SUILEN流、MCでゆるい空気を展開していたトゲナシトゲアリとの対比も興味深い。その後はオーディエンス一体となり、全身で音に乗ることで会場をRAISE A SUILEN色に染め上げると、「もっともっといけるよね!」とのRaychellの煽りに続いて紡木吏佐が華麗にスクラッチを決め、そのまま「EXPOSE ‘Burn out!!!'」へ。空気をつんざく低音が会場を駆け巡り、その音に乗せてRAISE A SUILENの面々が激しく頭を振る。オーディエンスもこれに習ってヘッドバンキングし、彼らの血は再現なく激っていった。
「今日は対バンってことで、全力で戦いにきました!」
Raychellがそう告げると、戦いの姿勢を一切崩すことなく続いてのナンバーへと流れ込む。披露したのは「JUST THE WAY I AM」。ロック役の小原莉子とパレオ役の倉知玲鳳がステージの両サイドへと歩みを進めてオーディエンスを煽り立てると会場に溢れる熱気は際限なく上昇する。さらにはDJブースを飛び出した紡木吏佐が各メンバーと絡みを見せ、オーディエンスを視覚と聴覚両面から楽しませた。
ここでマスキング役の夏芽がリズミカルにビートを刻むと、各々が手にした楽器を自在に操り、ハイクオリティなセッションを披露。続けて《Still not enough!》との歌声が響くと、ネクストナンバーはもちろん「HOWLING AMBITION」だ。地の底から響き出るかのような力強い空気の震動に乗せて「I’m No.1!!」と高らかに宣言がなされると、オーディエンスはこれに「Hi!!」と答える。照明の明滅が彼らの激昂を裏打ちすると、軽快なビートが流れ出し、続いてのナンバー「OUTSIDER RODEO」が走り出す。「トゲも頭も飛ばしていけ!」との号令に合わせて会場中を力強いサウンドが駆け巡ると、オーディエンスは身体を激しく揺らして交感神経を優位にする。曲の締め括りには夏芽がドラムを力強く打ち鳴らし、一度彼女たちはパフォーマンスを締め括ってみせた。
RAISE A SUILENの面々がステージを去ると、彼女たち持つ名曲の数々がメガミックス形式で届けられる。ステージに舞い戻った小原莉子が箱馬に足をかけ、力強くも緻密なギタープレイでオーディエンスの視線を釘付けにすると、そこから走り出したのは「SOUL SOLDIER」。会場から響く《No pain》との歓声を曲の一部に取り込み、オーディエンスと共にひとつの楽曲を作り出すと、締め括りにはRaychellの「Oh yeah!!!」との雄叫びが響き渡り、その内面で燃える炎を堂々と見せつけたのだった。
続いて紡木吏佐が華麗な手捌きでスクラッチをキメると、Raychellの「会場全員手を上げていこうか」と煽り、オーディエンスの手は天に掲げる。続けてRaychellが「Wow!Wow! Wow!」と声を上げ、それにオーディエンスが答えると、ネクストナンバーは言うまでもない、「DRIVE US CRAZY」だ。ここでRaychellから「燃え尽きてみなよ」との熱い提案がなされると会場はさらにヒートアップ。光り輝くペンライトとその場に響き渡る轟音は稲妻を連想させるほどに激しかった。
ここに倉知玲鳳が奏でるエレクトリカルなキーボードの音色が続くと、彼女たちの代表曲とも言える一曲「HELL! or HELL?」が走り出す。Raychellの力強いボーカルと、紡木吏佐の煽るようなラップの波状攻撃が聴くものの瞳孔を開かせると、オーディエンスたちは「Hell?」と気持ちの昂りを声に乗せる。最後にはRaychellが「ありがとうございました! RAISE A SUILENでした!」と名乗りをあげ、トップスピードのままそのパフォーマンスを締め括った。
そのハイエネルギーのパフォーマンスを受けて会場からは次々に感嘆の声が上がる。その声を受けてステージにはRAISE A SUILENの5人とトゲナシトゲアリの理名という合計6人が登場し、共に「R•I•O•T」を歌い出す。先輩であるRAISE A SUILENが、自身の世界にトゲナシトゲアリを招き入れてのパフォーマンス。その光景は、トゲナシトゲアリの面々がMCで語っていた「本当はすごく仲良しなんでね」との言葉が事実であることを裏付けるようだった。しっかりと地に足をつけてパフォーマンスするRAISE A SUILENと、ひとりふわふわと音に乗り、楽しみつつ歌唱する理名の対比も面白い。
両者の仲の良さが各所に見受けられた今回の対バンライブではあったが、その内容には一切の馴れ合いのない、真っ向勝負と言って差し支えのない内容となっていた。そんな両者のパフォーマンスは共に魅力的でありながら、そこに明確な違いが感じられるのが今回のライブ最大の見どころだっただろう。
締め括りの挨拶においてRaychellからは「もう一回やる?」との、本気とも冗談ともつかない提案も出ていたが、オーディエンスの意見は言うまでもなく「もう一回やってほしい」の一言に尽きるだろう。そんな希望が叶う日を心待ちにしたくなる、そんなパフォーマンスがこの日の京王アリーナ TOKYOには溢れていた。
取材・文:一野大悟 写真:ハタサトシ、冨田味我
セットリスト
2025.12.07 RAISE A SUILEN×トゲナシトゲアリ「RAISE MY CATHARSIS」@京王アリーナTOKYO
(C)BanG Dream! Project (C)東映アニメーション
アーカイブ配信の実施決定!
※配信期間などの詳細は後日発表
<セットリスト>
トゲナシトゲアリ
01.声なき魚
02.渇く、憂う
03.蝶に結いた赤い糸
04.空の箱
05.空白とカタルシス
06.闇に溶けてく
07.視界の隅 朽ちる音
08.名もなき何もかも
09.もう何もいらない未来
10.命をくれよ
11.arrow
12.荊の薔薇
13.雑踏、僕らの街
14.最期の禱り
15.爆ぜて咲く
16.運命の華
RAISE A SUILEN
M17.Beautiful Birthday
M18.‘FIGHT’ ADDICT
M19.V.I.P MONSTER
M20.EXPOSE ‘Burn out!!!'
-DJ play-
M21.JUST THE WAY I AM
-Solo session-
M22.HOWLING AMBITION
M23.OUTSIDER RODEO
-"REVELATION" megamix show-
M24.SOUL SOLDIER
-Inst session-
M25.DRIVE US CRAZY
M26.HELL! or HELL?
RAISE A SUILEN×井芹仁菜 from トゲナシトゲアリ
EN01.R•I•O•T
EN02.爆ぜて咲く
https://bmu.lnk.to/RAISE_MY_CATHARSISpr
(C)BanG Dream! Project (C)東映アニメーション
ライブ情報
RAISE A SUILEN×Fear, and Loathing in Las Vegas「Drown Out the Noise」
(C)BanG Dream! Project
日程:2026年1月22日(木) 開場18:00/開演19:00(予定)
会場:Zepp Osaka Bayside
受付URL:https://eplus.jp/ras-vegas2026/
受付期間:2025年12月20日(土) 12:00~
※先着順・上限数に達し次第終了
詳細:https://bang-dream.com/events/ras-vegas2026
バンドリ!公式サイト:https://bang-dream.com/
バンドリ!公式 X:https://x.com/bang_dream_info
バンドリ!公式Instagram:https://www.instagram.com/bang_dream_official_/?hl=ja
バンドリ!公式TikTok:https://www.tiktok.com/@bangdream_music
YouTube「バンドリちゃんねる☆」:https://www.youtube.com/@bang_dream_official
ライブ情報
トゲナシトゲアリ Zepp Tour 2026 “拍動の未来”
(C)東映アニメーション
2026年
02/11(水・祝)神奈川・KT Zepp Yokohama
02/14(土)福岡・Zepp Fukuoka
02/23(月・祝)愛知・Zepp Nagoya
02/28(土)北海道・Zepp Sapporo
03/08(日)大阪・Zepp Osaka Bayside
03/13(金)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
03/14(土)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)
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トゲナシトゲアリ - Official Web Site:https://ageha.agehasprings.com/archives/artist/togenashitogeari