AKIRA NAKAYAMA、Plastic Treeのギタリストがソロ5周年の節目に想うコト 新作アルバムと自身の誕生日である1月16日のワンマンライブについて赤裸々に語る
-
ポスト -
シェア - 送る
AKIRA NAKAYAMA
Plastic Treeのギタリスト・ナカヤマアキラが、AKIRA NAKAYAMAとして1月14日に6thアルバム『Doors scream! I'm scream.』をリリースし、自身の誕生日である1月16日には渋谷近未来会館にてワンマンライブ『Doors scream! I’m scream.:01162026』を開催する。今年でソロ活動5周年目を迎えるということで、改めてソロワークスでリリースしてきた作品たちについて振り返るとともに、最新作について、そしてリリース直後に控えるワンマンライブに向けて、現在の想いをたっぷりと語ってもらった。
5周年の節目で、アルバムを出した後にライブをやれるっていう流れが作れたのも嬉しい。とは言いつつ、まだまだソロアーティストとしては5年生だから、小学校も卒業できてないくらい。フレッシュな気持ちで臨みたいです。
――来たる1月14日にAKIRA NAKAYAMAとしての6thアルバム『Doors scream! I'm scream.』が発表されるうえ、お誕生日である1月16日にはワンマンライブ『Doors scream! I’m scream.:01162026』が渋谷近未来会館にて開催されるそうですが、そもそも2026年はソロワークス5周年の節目にあたるのだとか。
初めてソロでライブ(『Jester : Fractured after chasing a sheep』)をやったのが2021年1月の誕生日で、2月に1stフルアルバムの『Jester Fracture』を出したところからスタートしてるんで、既に2020年から水面下で音源の制作をやってはいたとはいえ、今年でソロとしてのキャリアは5周年目になります。
――いっぽう、Plastic Treeのナカヤマアキラとしては2027年がデビュー30周年ということで、目下『Plastic Tree Phylogenetic Tree Live / Tour 2025-2027』の真最中ということにもなられます。そうしたバンド活動とはまた別に、ご自身の中で“ソロをやりたい願望”がいつ頃から湧き上がってきたものだったのか、ということをあらためてうかがわせてください。
音楽を志す者として、いずれ自分で作れるなら自分でソロもやりたいよねっていうことは90年代から思ってましたよ。だからまぁ、単にプラツリのアキラが個人で音源を出しましたよ、っていうだけのことだったら多分もっと早くやろうと思えばできてたのかもしれない。だけど、やるからにはそれをちゃんとひとつコンテンツとして成立させたい気持ちがあったので。ようやくAKIRA NAKAYAMAとしてのソロワークスを始めましょう、と腹くくったのがちょうど50歳の誕生日を迎える前のことでした。
――いわゆる“人間五十年”の節目を前に、思うところが多々あったのでしょうね。
もちろんそうですよ。ギリギリ年齢的に似合いそうな音楽が何か、っていう問題もあるじゃん(笑)。いや、別にEDMだって幾つだろうとやっていいんだけどさ。でも、60とか70になったら俺はきっといろんなテクノロジーに頼らない方向に行くんじゃないかな?とも思ってたりするんでね。いろいろやったうえで最終的に弾き語りみたいなことをやる可能性はあるだろうなというビジョンはあるにせよ、50歳を前にしたタイミングでやりたいと思ったのは、音でいえば1stフルアルバム『Jester Fracture』でやったようなことだったし、それ以前にまずはライブをやりたかったんですよ。みんなと一緒に誕生日を楽しく祝いたいぜ!という気持ちが最初はとにかく一番大きかった。
――まさに2021年当時の某取材でも「50歳の節目を迎える時に、まずはみんなとライブを楽しくやりたい」とうかがった記憶がありますし、同時に「このソロはバンドでできないことをやりたい的な動機で始めたものではない」とも明言されていましたよね。
だって、バンドはバンドでずっと楽しくやらせていただいてますもん。だから、ソロ名義でコンテンツ化するといっても「俺は俺の全開を発信していくぜ!」的な意気込みがあるのか?ともし問われたりしたら、それはちょっと怖いなと思ってたくらい(苦笑)。
――もっとも、ソロでは基本的におひとりで全て賄っていく必要があるわけですよね。
そこはトレードオフというか。バンドだったら脳ミソも4つあって、人手も4人分あるわけだから。誰かメンバーに託しておけば何日か後にはその部分がなんとかなっているわけでしょ? だけど、ソロは脳ミソも人手もひとり分ですから。なんなら、コンテンツとして考えるとなると音楽の部分以外のことでもやらなきゃいけないことがいっぱいあるから。俺は当初、ひとりでやるっていうことをちょっとナメてたところがあったんじゃないかと思う。そういう意味では、最初の1年は特に驚きの連続だったよね。「わかってはいたつもりだけど、こんなことまでやんなきゃいけなかったんだなぁ……」って。音楽のことだけやってればいいんだったらラクなんだけど、そこはいまだに5周年になろうっていうのにまだ全解消はされてない(笑)。
1st『Jester Fracture』
――では、肝心なその音楽についてのお話をここからさらにうかがって参りましょう。先ほど“EDM”というキーワードが発言の中に出て来ていましたが、1stフルアルバムの『Jester Fracture』はそれこそEDM色の強い仕上がりが特徴的でしたよね。
あれはEDM色の強いものを作りたくてあぁなりました、というよりもそこにフォーカスせざるを得なかった作品だったと言った方が正しいかもしれない。それは俺ひとりで作ったものだから、やむをえないよね。そう考えると、言葉としてはEDMというよりはDTMと言った方がわかりやすいような気もする。
――AKIRAさんはロックのみならず、EDMどころかテクノなどにも以前から精通されていらっしゃる方ですものね。そして、DTMについてもかなり早い段階から導入されていた印象が強いです。
古くはYMOとかテクノ時代から、EDMに至るまでデジタル仕上げな音楽も俺はすごく好きなんですよ。DTMのスキル自体もわりと昔から身につけていってた方だったので、そこはソロをやるってなった時にも役立ったからほんとラッキーだったなと。
■基本キャパオーバーっすよ(苦笑)。自分が理想とするような感じでバリバリに弾いて歌もちゃんと!っていうのは、なかなか難しいよね。
――ちなみに、最初の『Jester Fracture』から最新作となる6thアルバム『Doors scream! I'm scream.』も含めて、AKIRAさんはトラック作りやギタープレイに加えて歌もご自身で担っていらっしゃいます。ボーカリストとしての第一歩をも踏み出すことになった動機がどのようなものだったか、ということもぜひ教えてください。
最初、ソロを始めるってなった時にみんなから言われたんですよ。太朗さん(=有村竜太朗)にも「やるんだったら自分で歌った方がいいよ」って。たとえば、マイケル・シェンカー・グループみたいに看板になってる人がずっとギター弾きまくってて、歌は別のボーカリストが歌ってますっていうタイプのソロ活動っていうのもあるけどさ。俺はコンテンツ名としてAKIRA NAKAYAMAと掲げる以上、やっぱり自分でフロントマンとしてのパフォーマンスをする必要があるなって思ってました。
――ごもっともですね。しかしながら、特に初期の頃は“ライブ全編を通して弾きながら歌う”ということに慣れない点もあったのではありませんか。
いやもう、基本キャパオーバーっすよ(苦笑)。自分が理想とするような感じでバリバリに弾いて歌もちゃんと!っていうのは、なかなか難しいよね。
――なお、今の“バリバリに弾いて”という発言と関連する質問をここでひとつさせてください。1枚目の『Jester Fracture』ではギタリストのソロアルバムにして、ギターソロらしいギターソロがほぼ入っていないというところが意外でした。あれはもしや、後々のライブのことまで想定したうえでのアプローチだったことになりますか。
まずはライブをやりたいっていうところから始まったものだし、ソロのパフォーマーとしてステージに立つんだったら、あんまりギターに重きを置いた内容にしてしまうと、みんなから「結局ギタリストが片手間にやるパフォーマンスなんでしょ」って思われかねないでしょ? 俺はそれがイヤだったの。だから、曲を用意する段階で自分がライブでどういうことをやりたいか、みんなにどんなパフォーマンスを見せたいのかっていうところまで考えていたよ。ところが、ライブの後にアルバムを出してみたら、まぁ、いろいろ言われたよね。「ギターがよく聴こえない」とか「なんでギターソロがあんまりないんだ?」って(笑)。
2nd『Paradise Parasite Paranoia』
――かくして、翌年の2022年に出た2ndアルバム『Paradise Parasite Paranoia』は、1作目を作ってみての手応えや、ライブでの経験を反映させた内容になっていったのではないかと思いますが、制作していくうえでの意識にも変化はあったのでしょうか。
意識は変わったんだけど、あの段階では意識だけだったね。自分の中の意識を実際の作業の中で確立させていくことに関しては、まだけっこう試行錯誤があったんですよ。特に、今になって振り返るとよりそう感じるかもしれない。当時はいろいろ考えてやってたつもりでいたんだけど、なかなか整頓はしきれてなかったね。
3rd『cricket chaos』
――その分、1stの続編として考えると2ndは面白いアルバムでもあったと思います。そして、2023年発表の3rdアルバム『cricket chaos』では曲調やサウンドのアプローチに大きな変化がみられるようになった印象がありました。
過激になったね。一旦ここでやりきりたい!っていう強い思いがあったんですよ。曲としては1stも2ndもどれも気に入ってるものばっかりだったけど、音像の面も含めて「俺はここで名刺代わりになるようなアルバムを作るんだ」っていう姿勢で制作したから。ほんとやりすぎてる(笑)。
――とても平たい言い方をしますと、3作目ではキャッチーな曲も増えましたよね。
俺がキャッチーなものを好きなのは、バンドの方の曲を聴いてる人たちはよく知ってると思うのね。でも、ソロの方では2枚目までそういうのをあまり取り入れてなかったんですよ。だけど、やりきりたいならそれもやったっていいわけだし、誰に怒られるわけでもないんだから「好きに書けばいいんじゃん」と思いまして。「あぁ、忘れてたわ」っていう感覚でそういう曲も作った感じでした。あとは、それとは真逆の鋭利な雰囲気の曲も作ったりとかね。そういう意味でも『cricket chaos』は過激。
――『cricket chaos』はアルバムタイトルの由来も過激といえば過激でしたよね(笑)。
庭で鳴いてる虫がうるさいから、草むしりして大変だったっていう話でしょ?
――草むしりどころか、ホームセンターで石灰窒素まで購入して徹底的に除草して虫たちとの闘いに圧勝されたのでしたっけ。
ホラー映画の『マタンゴ』みたいな、大密林みたいになってたからねぇ(苦笑)。あの時の虫たちとの格闘はほんと大変だった。というか、毎回アルバムのタイトルはそんな感じよ? 1stの時の『Jester Fracture』はプラツリのFC旅行で羊と追いかけっこした時に鎖骨をバッキリと折るぐらいの大事故を起こした、っていうことをタイトルにしてたし。2ndの『Paradise Parasite Paranoia』は立ち退きを迫られて引っ越した時の話で、要はその引っ越し先で虫と闘ったっていう(笑)。
4th『[Icarus]』
――2024年の4thアルバムは『[Icarus]』でしたが、あの作品は今思うとAKIRAさんにとってどのような作品だったのでしょうか。
『cricket chaos』で一旦やりきったものの、もうちょっとEDM的なものをやりたいなという気持ちで作ったアルバムかな。その次に出す5枚目を、ロックバンドっていうかオルタナティブロックな内容にしようと思ってたからこそ、敢えてそうしたところもあったというか。時系列に沿って、毎年のライブで得たことも活かしつつ、順当にやりたいことを真面目にやったアルバムだと思う。前の3枚はちょっとした野望とか邪な気持ちが多少なりあったけど(笑)、これはそれがないニュートラルな状態で作ったものです。
――『[Icarus]』というタイトルは「過信から無謀なことをするとどうなるか」という教えを説いた、ギリシャ神話の“イカロスの翼”に由来したものでしたよね。
あの話がとても好きなんですよ。だから、4枚目はそのままタイトルとしてつけさせてもらいました。これだけちょっとかっこいいつけ方をしちゃった(笑)。そして、いわゆる表題曲「Icarus」が入っているのも『[Icarus]』だけですね。
5th『jester : strikes back』
■EDMだろうとロックだろうと同じ熱量で楽しくやらせてもらっています。ライブをやればやるほど楽しさは増してきてる。
――その後、2025年の5thアルバム『jester : strikes back』は先ほどのお話にもあったように、はなから“バンドサウンド”を意識して作られることになられたのだとか。
パッと聴きで「ロックバンドかな?」って思われるような音像に、ここからの数枚はトライしていくことにしようと思いまして。それで、あらためて1stの時につけた“jester”っていう言葉をまた『jester : strikes back』っていうかたちで使いました。
――jesterとは宮廷道化師という意味になるそうで、AKIRAさんはバンドの方でもよく《道化》という言葉を歌詞で使っていらっしゃいますし、以前のインタビューでは「俺が常日頃からお題目にしている言葉」とも語られていましたものね。
そう。だから『jester : strikes back』はコンセプトの面から詰めていって出て来たタイトルです。“strikes back”は直訳すると“逆襲”みたいになるけど、意味合い的には「ただいま来ましたぜ。あらためてよろしくお願いします!」っていう感じ。スターウォーズでいう『帝国の逆襲』に近いよ。あれって帝国が逆襲するっていうよりは、ニュアンスとしては“やられっぱなしじゃねーぜ”っていう話だったじゃん。そういうこと。
――実際『jester : strikes back』はソロワークス・第2章の始まりを感じさせる内容となっていますが、こちらを仕上げてみて感じられたのはどのようなことでしょう。
この作品から曲数を少数精鋭制にしたっていうのもあるけど、とにかくいろんなことがスムーズ。そりゃそうだよね、レコーディングでもライブの本番でやる時と限りなく近いことをやるわけだから。ライブに来てくれる側の人たちも、きっとこのアルバムの曲に関しては音源とのギャップっていうものを感じることがなくなったんじゃないかなぁ。
――その結果、2025年のライブでは現場の熱量がより高まりましたよね。
ライブをやるという面では、EDMだろうとロックだろうと同じように熱量を入れて楽しくやらせてもらっています。以前の曲をもうやらないとかもないですし。ライブをやればやるほど楽しさは増してきてるっていうのは確かにあると思う。
■決して紆余曲折ではなく、俺が進みたいように進んできた結果だっていうことが凄い大事。自由に我が儘にやらせてくれた、応援してくれるみなさまのおかげでもある。ほんとありがとうございます。
6th『Doors scream! I'm scream.』
――そんな2025年を経て、2026年は来たる1月14日に6thアルバム『Doors scream! I'm scream.』が発表され、お誕生日である1月16日にはワンマンライブ『Doors scream! I’m scream.:01162026』が渋谷近未来会館にて開催されます。まずは、最新アルバムについてのコメントをいただけますでしょうか。
今回は気持ち的に言えば1stを作った時に近い純粋なところが凄くありました。そして、ここまでの流れもあるから「急にオルタナティブロックやります!」ってなったわけでもない、っていうことですかねぇ。前作『jester : strikes back』は聴き手に「今までのって何だったの? なんだかんだで、こっちがやりたかったの?」とは思わせたくない、って思いながらバランスも考えつつ作りましたので。だからこそ、今回の『Doors scream! I'm scream.』は“こう”なんです。ってことで、音を聴いてみてどうでした?
――screamまではいかなかったものの「え? ほんとに?!」と声が出ました(笑)。
だよね。ロックバンドっぽい音として“普通”でしょ(笑)。
――『jester : strikes back』よりさらに、ギターの音の聴こえ方も、歌の聴こえ方も明瞭になったように感じます。
そこはエンジニアリングの違いが大きいと思う。1stと2ndはエンジニアさんいたけど、自分の歌にそこまで絶大な自信があったわけじゃないから、意図的にああいう音にしてたところもあったんだけど。3rd以降は自分の技術が単純に未熟だったのよ。本当はもっと歌を前に出したいのになぁ、とかそのへんをちゃんと音としてかたちにすることができてなかったんだよね。それがようやくここで、センターにパフォーマーの歌があって、バックに音があってっていうロックの基本に準じた音をようやく作れるようになりました。いやほんと、なんとか5周年に間に合って良かったです(笑)。
――こうしてお話をうかがってくると、進化を遂げてきたソロワークスの過程というものが見えてきますね。
これは決して紆余曲折ではなくて、俺が進みたいように進んできた結果だっていうことが凄い大事なところです。それこそエンジニアリングとかテクニカルな面ではいろいろ紆余曲折があったけど、音楽的にはここまで自由に我が儘にやらせてくれた、応援してくれるみなさまのおかげでもあるなと思うし。ほんとありがとうございます、っていうことも記事にちゃんと書いておいてくださいね。
――承知しました。では、せっかくですのでここでは『Doors scream! I'm scream.』の各曲についてもお話をうかがわせてください。1曲目の「poker face」は潔いほどのギターロックぶりにも驚きつつ、歌詞の中の《ポーカーフェイスの終了ということで》というフレーズが気になりました。
ほんと? 俺その歌詞は全然意識して書いてないよ。書きたいように書いただけで、半分くらいは自動書記みたいな感じでサラサラサラ~って書いた。
――それだけに深層意識が表われているとも言えそうですね。AKIRAさんのソロでの歌詞は御本人からすると自然体で書かれているのだとしても、第三者からはひとひねり、ふたひねりしてあるように感じられるものが多いだけに、つい《ポーカーフェイスの終了ということで》という表現が意味するところについて考えてしまったのです。
まぁ、どう取ってもらっても別にいいんですよ。というか、みんな俺の歌詞に対しては意味合い的なところについて考えることを放棄してる節があるなぁと思ってて(笑)。それは要するに「好きに書けばいいんじゃない?」ってみんな思ってくれてるんだろうな、っていうことなんだけどね。だから、俺はそこにあぐらをかかせていただいているわけです。
――どれも深読みし甲斐のある歌詞ですが、この「poker face」に関してはおそらく自己紹介的な内容も含まれているのだろうなと推察しておりますよ。
あぁ、嬉しいねぇ。自分で詞について語るとなると俺はヘタだから(苦笑)。みなさんにそうやって言ってもらった方がありがたいです。
――かと思うと、2曲目の「replicant」は相当に直情的なロックチューンに仕上がっていますね。
こういう曲、俺は書きそうで書かないじゃない。いやー、ちょっとこれは作った時に初めての感覚を感じたかもしれないですよ。
――歌詞の中には《スクリーマー》という言葉が何回も出て来ます。これは『Doors scream! I'm scream.』のタイトルチューン的な意味合いを持ってるもの、と考えてもよろしいですか?
もちろん。でも、そこはまだ悩んでるんだよね。今回のリードチューンを「poker face」と「replicant」のどっちにしようかが決まってなくて。俺にとっては同列だから、これはもうみんなに決めてもらってもいいかな。
――3曲目の「fuzzy co.」は、これまたストレートで疾走感あふれるロックな楽曲ですが、メロディラインも実に素敵ですね。
ソロでもやれるんだね、こういうストレートなの。自分でびっくりしたもん(笑)。
――AKIRA NAKAYAMAとしては完全に新境地ですね。
何回も「これはバンドの方に持っていった方がよくない?」って思ったんだけどね。果たしてこれをソロでやる必要があるのか?って、ずっと問うてたの。
――曲の途中にはオーディエンスがライブでクラップしてくれそうなくだりや、ソロ曲としてはいつになく派手なギターソロも入っているので、リスナー的には待望の曲になるかと思いますよ。とてもライブ映えしそうな楽曲です。
そうなんだけど、ちょっと恥ずかしくもあるのよ。俺はプラツリっていうコミュニティに所属してるだけに、こういう曲をソロで用意するっていうことがね。そこは悩ましかったけど、今回はアルバムとしての構想が構想だったから最終的にはよしとしました。
――歌詞は世相的なことがテーマでしょうか。
まぁ、そんなところです。だからタイトルもこうなってます。
――それから、4曲目の「angelic」については個人的に今作の中で最も“刺さった”曲となります。このノスタルジーが詰まった感じが堪りません。
これはきっと、俺らぐらいの世代じゃないとよくわかんないかもね。露骨にブリットポップよりも、もっと前の感じだから。UKでもロンドンで作られたのではなくて、もうちょっと奥の地域の方なんじゃないの?みたいな雰囲気を意識してるんですよ。俺が影響を受けたものを盛大に出してやるぞ!というところから作りだした曲です。
――好きなものを好きなだけ詰め込んだが故に、6分半超えという大作になったと。
長くなっちゃった(笑)。
――中盤から後半にかけてはプログレですしねぇ。
そりゃそうだよ。基本的にはXTCって聞けばすぐわかると思うけど、途中からイエス(YES)になるじゃない? で、そこからまたXTCに戻るかと思ったらちょっとキング・クリムゾン(King Crimson)が入ってきて、さらにこれはレディオヘッド(Radiohead)かってなるでしょ? しかも、それぞれどの時代なのよ?っていうところも大事なわけでさぁ……
(※ここからしばしマニアックな音楽トークが数分ほど続いたが、残念ながらそのあたりについては割愛させていただきます)。
――いやはや、こだわりが詰まりまくっているのですね。
それがどこまで伝わるかは分かんないけど(笑)、俺としてはここまで趣味性をぶっ込んだ曲を作れて満足。イエスも一番難しい時代を持ってきていますよ。
――現代はサブスクもありますし、各アーティストを聴いていただいて「angelic」についての検証をしてみるのも面白いかもしれません。
元ネタを知らない人はぜひそういう風に聴いて欲しいね。ただ、難しい曲になっちゃったからライブでどうしよう?っていうのが今のところの懸念点(笑)。
――趣味性ダダ漏れという点では「wheelie」も……。
好きでしょ? いや、大好きでしょ?? これはU2のコピーをしたザ・キュアー(The Cure)だね。っていうくらい、キッチリ言葉で説明できるくらいドンズバな音(笑)。
――しかも、ここに入っているギターソロが極めて絶品です。痺れます。
これはギターソロも入れるべき曲だもん。もうちょっとダラダラ弾いたろうかなとも思ったんだけど、ちゃんとキッチリ作った。ってことで、これ以上の説明要らないね(笑)。
――音については腑に落ちました。しかし、歌詞はこちらもだいぶ難解ですね。
難しいだろうけど、そこはみなさんに頑張っていただいて読み解いていただければと。その方がコンテンツとして面白いじゃない。
――おそらくこれは“気にくわない誰かがいた”ということだったりして?
あー。イイとこ突くねぇ(苦笑)。とりあえず、そういう方向で読み取ってください。
――さて。『Doors scream! I'm scream.』のラストを飾るのは 「next next」ですが、こちらはギターのリフが命なオールドスクールなタイプの楽曲ですね。
俺、こういう曲も初めて書いたかもね。曲の構成はほんとオールドロックのそれだし、アメリカのB級なネルシャツ着たグランジみたいな感じもありつつで、でもグランジほどはダルくない。そういった面ではハードロックっぽさもある、みたいな。
――これもライブで盛り上がりそうな曲です。
ライブの場に持っていきやすい曲だろうね。タイトルの意味も歌詞でそのまんま書いちゃってるし、これはいろんな意味でわかりやすい曲だと思う。
■自宅のドアがある日突然壊れて、凶器だし、狂気を感じたわけ。マジで驚きのあまり「うわーっ!」って叫んじゃったもん(苦笑)。
――ところで。今回のアルバムタイトル『Doors scream! I'm scream.』が、いかにして冠せられたものなのかも知りたいです。
ドアの上についてるダンパーってわかる? ドアがゆっくり閉まるように調節してる器具なんだけどさ。自宅の玄関のアレが今年(2025年)の夏だか秋に壊れたのよ。で、壊れるとどうなるかわかります? 適当にドアを開けようものなら必死で押さえてないとバーン!ってマンションじゅうに響きわたって振動を感じるくらいの勢いで閉まるんですよ。そういう事態にある日突然なったから、もうドアが凶器だし、狂気を感じたわけ。マジで驚きのあまり「うわーっ!」って叫んじゃったもんね(苦笑)。
――なんとまぁ。『Doors scream! I'm scream.』とはこれいかに(笑)。
おまけに修理してもらうにもすぐには業者が来てくれないからさ。しばらくその状態が続いてて、毎回ドアの開け閉めには細心の注意を払ってたのね。それでまぁ、何カ月か経ってからなんとか修理はできたんだけど、この話には続きがあるのよ。それまでとにかく丁寧に開け閉めしてたのに、直った途端に人間は秒でスパーンとそんなこと忘れちゃうの。
――喉元過ぎれば熱さ忘れる、と。
まさにそれ。でも、さすがに『喉元過ぎれば』なんていうタイトルにはしたくなかったら、今回は『Doors scream! I'm scream.』としました。
――お誕生日である1月16日に渋谷近未来会館にて行われるワンマンライブにも『Doors scream! I’m scream.:01162026』というタイトルがつけられていますよね。
これまでだとライブ前に配信はできてたけど、アルバムのリリースそのものはライブの後になってたことが多かったので、今回の5周年っていう節目でアルバムをちゃんと出した後にライブをやれるっていう流れが作れたのも嬉しいんだよね。とは言いつつ、まだまだソロアーティストとしては5年生だからさ。小学校も卒業できてないくらいなわけで、感覚としては「ここまで5年やって来ました」じゃなく、もっとフレッシュな気持ちで臨みたいですよ。単純に「楽しみにしてます!」っていうところも大きいね。
――『Doors scream! I'm scream.』のロックな内容を思うと、今年のライブは盛り上がりにさらなる拍車がかかりそうです。
お客さんたちってスゲーよね。観てるだけじゃなくてライブを作り上げる一員として参加してくれてるから、ほんとに俺は嬉しいよ。ライブに来たことない方は、「ソロだとデジタルサウンドで無機的にやってるんでしょ? よーわからんしなぁ」みたいに思ってた人もいるのかな? 今やEDMな曲も含めてバンドなので。これまでちょっと及び腰だった方も、ぜひぜひお越しください。プラツリのライブより俺のMCはちょっと長いらしいよ、遊びに行っちゃおうかな、くらいのライトな感覚で来て欲しいです(笑)。
――では最後に。5年生となったAKIRA NAKAYAMAの今後に向けた展望についてもお言葉をいただけますでしょうか。
今後に関しては6・3・3くらい先のことまで考えてますよ。といっても予定は未定で、臨機応変に時代性に対応していくこともありますし、必ずこれを遂行するっていうところまでの明言とかはできないのですが、やりたいことはまだたくさんあります。
――バンドの方でも『Plastic Tree Phylogenetic Tree Live / Tour 2025-2027』が進行している中ですので、ますますお忙しくなりそうですね。
そっちで吸収したものもソロに活かせるし、その逆もまた然りなんでね。同時進行してくのは悪いことじゃないんですよ。何より、こうしてバンドもソロも楽しくやらせてもらえてるのは皆様のおかげですし。そこを忘れちゃいけないな、といつも思いながら謙虚な姿勢でやらせていただいております。皆さんに生かされているという感謝の気持ちを、ここからのライブでも還元していこうと思いますので、ぜひよろしくお願いします!
取材・文=杉江由紀
リリース情報
2026年1⽉14日発売
【商品形態】
・通常盤(CD only) ¥3,300(税込)
・ファンクラブ限定盤(CD+特典CD) ¥5,500(税込)
詳細:http://plastic-tree.com/various/news/?p=15190
◆通常盤¥3,300(税込)/ AK-0118/CD only
通常盤
ライブ情報
【2】開場18:00 / 開演18:30
イープラス https://eplus.jp/sf/detail/3353390001
関連リンク
Plastic Treeライブ情報
■2026年5月1日(金) 開場 17:30/開演 18:30
神奈川・横浜 BAY HALL ※ファンクラブ限定公演
-a piece of “シロクロニクル”-
■2026年5月10日(日) 開場 16:00/開演 17:00
宮城・Rensa
-a piece of “剥製”-
■2026年5月16日(土) 開場 17:00/開演 18:00
大阪・松下 IMP ホール
-a piece of “剥製”-
■2026年5月17日(日) 開場 16:00/開演 17:00
兵庫・神戸 Harbor Studio
-a piece of “シロクロニクル”-
■2026年5月29日(金) 開場 17:00/開演 18:00
愛知・NAGOYA ReNY limited
-a piece of “シロクロニクル”-
■2026年5月31日(日) 開場 16:00/開演 17:00
京都・京都 FANJ
-a piece of “剥製”-
■2026年6月5日(金) 開場 17:00/開演 18:00
埼玉・HEAVEN 担 ROCK さいたま新都心 VJ-3
-a piece of “剥製”-
■2026年6月7日(日) 開場 16:00/開演 17:00
千葉・柏 PALOOZA
-a piece of “シロクロニクル”-
■2026年6月21日(日) 開場 16:00/開演 17:00
東京・豊洲 PIT
-a piece of “シロクロニクル”-
■2026年6月28日(日) 開場 16:00/開演 17:00
東京・EX THEATER ROPPONGI
-a piece of “剥製”-
<
【料金】
・2026/5/1(金)ファンクラブ限定公演 オールスタンディング 7,500 円(税込) ※来場者特典グッズ付
・2026/5/16(土)大阪公演・2026/6/21(日)東京 全席指定 7,500 円(税込)
・2026/6/28(日)東京公演 指定席・スタンディング 7,500 円(税込)
・その他 オールスタンディング 7,500 円(税込)
※大阪公演以外、ドリンク代別途
◎一般発売日
2026年3月28日(土)12:00~
※5月1日(金)神奈川公演(ファンクラブ限定)の取り扱いなし。
※先行受付の状況によっては、一般発売を行わない場合もございます。