ナナヲアカリ×ヒトリエ×PEDRO=予測不可能な3組が関西オルタナイベント第二幕で熱闘『Next To 湯(You)#6』レポート
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『Next To 湯(You)#6』2026.2.11(WED)大阪・GORILLA HALL OSAKA
ナナヲアカリ、ヒトリエ、PEDROが出演したライブイベント『Next To 湯(You)#6』が2月11日、大阪・GORILLA HALL OSAKAで開催された。
『Next To 湯(You)』は、関西のコンサートプロモーター・清水音泉によるライブイベントで、2024年に2回、2025年に3回、70年の歴史を持つ大阪・味園ユニバースで行われてきた。昨年7月の同会場の閉館を受け、第6回目となる今回は、2023年に大阪のロックシーンに生まれた「最高の遊び場」ことGORILLA HALL OSAKAへと舞台を一新。「オルタナティブ」をテーマに掲げた『Next To 湯(You)』の第二幕の始まりと言える一夜に、これまた個性豊かな3組が集まった。
PEDRO
味園ユニバース時代と変わらぬ『Next To 湯(You)』ののれんをくぐれば、つい先日、8年ぶりのジャパンツアーを終えたばかりで興奮冷めやらぬ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの名盤『ラヴレス』が爆音で流れるフロアにいきなりテンアゲ。爆発寸前の熱気ときらめく白光を背にトッパーとして現れたのは、元BiSHのアユニ・Dがベースボーカルを務めるバンドプロジェクトPEDROだ。
初っぱなの「1999」から田渕ひさ子(Gt)の繰り出すエッジィなリフに心地良く切り刻まれる快感は、これぞライブハウス。ヒトリエとのダブルヘッダーとなるタフなゆーまお(Dr)もタイトで重いドラミングでボトムを支え、「ラブリーベイビー」でもメランコリーを抱えたまま疾走。昨年末のツアーファイナル以来のカムバックとなったGORILLA HALL OSAKAで、アユニ・Dが心底楽しそうに白いジャズベースをかき鳴らした「ZAWAMEKI IN MY HEART」からも、PEDROがバンドとして今、極めていい状態にあることがビシビシ伝わってくる。
極彩色の照明を浴びながら駆け抜けた「万々歳」では、「イヤなことを全部忘れてバカになろうよ!」と絶叫。その熱量のままスクリーミングな不協和音から突入した「グリーンハイツ」でも、のたうち回りながら怒濤のオルタナサウンドを放出し、見る見るうちにGORILLA HALL OSAKAを制圧する今日のPEDROはハンパねぇ!
「今日は素敵な企画に呼んでいただき、そして集まっていただきありがとうございます。対バン相手のナナヲアカリさん、マジでめちゃくちゃかわいくて。人見知り発動してあんまり喋れてはないんですけど、アカリさんの曲を聴いてると、肩肘張らないで生きていっていいんだなと思わせてくれる、お薬のような気持ちをもらえるアーティストなんで、今日はお会いできて光栄です。ヒトリエは中学生の頃から聴いていて救われてきたんですけど、ゆーまおさんは今日2ステージじゃないですか! 彼は今日一番忙しいパフォーマーだと思いますが、そんなゆーまおさんと、生きていて窮屈さを感じたり寂しいなと思ったとき、元気になってもらいたくて作った曲です」
「ちっぽけな夜明け」に投影されたアユニ・Dの人生とビートが、一音一音心に染み渡っていくような感覚は、音楽が確かに持っている見えない力を鳥肌というソナーで気付かせてくれる。「拝啓、僕へ」の多彩なリズムと静かなるエモーションに揺れ、「春夏秋冬」の切実なメッセージと毎度電気ショックのように強烈な田渕のギターに打ち抜かれた頃には、もうPEDROのとりこだ。
「良かったら一緒に踊りませんか?」とアユニ・Dがハンドマイクでアジテートしたベースレスの「いたいのとんでけ」では、田渕とゆーまおのすさまじいコンビネーションで見る者をノックアウト! 「やるせない夜がある、やり切れない夜だってある。でも、そんな夜を乗り越えたから今日みたいな奇跡みたいな夜が来るんだ。後悔させないよ。全部伝えていくから。ここで生きた証を残していくから!」と最後に放った「吸って、吐いて」まで全10曲。PEDROが明日を生きるための45分間の非日常をもたらした。
ヒトリエ
「ジャガーノート」の第一音から完璧に仕上がっていたヒトリエとオーディエンスの共犯関係。助走ゼロで即熱狂、深紅の光の中でうごめく狂暴な轟音にシビれまくり、「3分29秒」のキレキレのブレイクにイキまくり、ただひたすらに翻弄されるライブのエクスタシー。ロックのロマンとダイナミズムを存分に味わわせる「オン・ザ・フロントライン」と、冒頭から徹底的で圧倒的なヒトリエの独壇場だ。
「『Next To 湯(You)#6』二番手、インターネットからやって参りました我々ヒトリエと申します」とあいさつしたシノダ(Vo.Gt)は、PEDROの出番を終えたばかりのゆーまおをいじりつつ、昨年12月にリリースされた新曲「みにくいかたち」でスリーピースサウンドの限界を突破する複雑で壮絶な音像を披露。その後も間髪入れずのアンセム「ワールズエンド・ダンスホール」に、シノダがボーカルに徹したギターレスのダンスナンバー「SLEEPWALK」と、緩急自在のBPMでGORILLA HALL OSAKAを踊らせる!
「気持ち的には今、マイブラより全然デカい音出してる(笑)。見てきました、8年ぶりの来日。今日は今日で(と先ほどまでの田渕ひさ子の立ち位置を指さし)日本一のジャズマスター使いがここに。たまんない日々を過ごしています。なので俺の中では連チャンで神様を見ちゃってる感じ。俺らも今からその領域に行きます」(シノダ、以下同)
完璧なまでの演奏力でパフォーマンスしてきたヒトリエが垣間見せた、変わらぬロック少年のようなマインドには見てるこっちまでうれしくなってしまう。クライマックスは激情ドラマチックな「劇場街」から血沸き肉躍るリズミックなライブ鉄板「トーキーダンス」で狂乱の渦に引きずり込み、「デッカいデッカい声を聴かせてもらっていいですか!」と、トドメは今日イチのシンガロングがGORILLA HALL OSAKAを完全包囲した「アンノウン・マザーグース」でフィニッシュ! フィードバックノイズと奮い立つような高揚感がいつまでも体を離れない、ヒトリエの圧巻のライブだった。
ナナヲアカリ
GORILLA HALL OSAKAに巻き起こったクラップが、まずは「えんじぇるズ」ことタイヘイ(黒田タイヘイ/Dr)、かとりーぬ(香取真人/Gt)、つよぽん(かのーつよし/Ba)、野良いぬ(VJ)をお出迎え。SEと生演奏がシンクロしていく劇的なオープニングを受け登場したこの日のトリとなるナナヲアカリは、高速BPMの「ビビっちゃいない」から畳み掛けるようなリリックを乗りこなすファニーな歌声を響かせる。軽快なアンサンブルがけん引する「ハノ」では待ってましたと言わんばかりに観客が跳ねる跳ねる! 続く「正解はいらない」でもスクリーンに映し出された映像とともに楽曲の世界観を巧みに魅せていく。
MCでは、「まさかのトリを任されてしまいましたが、PEDROもヒトリエもカッコ良過ぎてワンマンより緊張してます。今日はママに「雨じゃなかったらチャリで来て」って言ったぐらい地元が近くて(笑)。だから大阪の曲をやらせてください!」と沸かせ、歌詞に<阿部野橋は今日も>というフレーズも飛び出す「人類殲滅のテーマ」へ。大阪・阿倍野区出身の彼女ならではの一曲で盛り上げたかと思えば、ベースのつよぽんがたこ焼きを限界まで頬張り始まった(笑)「明日の私に幸あれ」でも、振り付けもろともとことん楽しませる。他にもキャッチーで躍動感溢れる「おばけのウケねらい」やオリエンタルなミドルチューン「奇縁ロマンス」と、エンターテインメント性の高いポップソングの数々にボルテージは上がる一方だ。
「実はこのイベントに呼んでいただけたのがすごくうれしくて。ナナヲアカリはバンド形態でずっとライブをし続けてきたんですけど、それを知ってくれてる人がまだまだ少なくて。インターネット発のアーティストなので閉じこもって活動してることが多かったんですけど、去年からライブの本数も増えて、一歩一歩進んでる感じがあります。次の曲は音源ではゆーまおくんが叩いてくれていて。なので実質、全てのステージにゆーまおくんがいたという(笑)」
ラストは、そのタイトルのごとく舞うように高速展開した「Flying」からトップスピードで「POI POI POI」を経由し、爆裂テンションで突っ走った「雷火」の3連発であっという間のフィナーレへ! 「最後はみんな一緒に歌って帰れたらなと思いますし、踊れる人は踊って、分からん人はニコニコしといてくれたら(笑)。ほなまたね!」とアンコールで届けた代表曲「チューリングラブ feat.Sou」を含め、ガチンコのライブイベントできっちり自身の持ち味を発揮したナナヲアカリが、『Next To 湯(You)#6』を華やかに締めくくった。
ここでしか見られない夜があるーー新天地での『Next To 湯(You)』に今後も乞うご期待!
取材・文=奥“ボウイ”昌史 写真=清水音泉 提供(撮影:キョートタナカ)
イベント情報
日程:2026年02月11日(祝)
会場:大阪・GORILLA HALL OSAKA
出演:ナナヲアカリ / ヒトリエ / PEDRO