ボーダレスに世界を鳴らす20歳――Rol3ertが語る飛躍の1年と「savior」に込めた嘆きとポップの現在
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Rol3ert 撮影=ハヤシマコ
20歳のシンガーソングライター・Rol3ert(ロバート)が、今絶好調だ。中学生の頃に曲作りを開始、2025年1月から本格的に音楽活動を始めた彼の楽曲は、国内外問わずバイラルチャートにランクイン。その年の夏には『FUJI ROCK FESTIVAL ’25』と『SWEET LOVE SHOWER 2025』への出演を果たす。今年1月には、Spotifyが2026年に躍進を期待する次世代アーティスト「RADAR: Early Noise 2026」に選出。最新シングル「savior」は大阪の人気ラジオ局・FM802 2026年2月度邦楽ヘビーローテーションに選ばれるなど、破竹の勢いで世界中にファンを増やしている。今回は、活動本格化からわずか1年で大躍進を果たしたRol3ertの2025年を振り返りつつ、新曲「savior」について話を訊いた。2026年11月には大阪・BIGCATと東京・Spotify O-EASTで『Rol3ert Live Tour 2026 “meet me in my head”』を行うことが早くも発表されている。世界をフラットに捉えて軽やかに進むRol3ertの今後が楽しみで仕方ない。
●日本と海外をボーダレスに見つめて活動している
Rol3ert
ーー音楽活動を本格化してちょうど1年が経ちました。色々な経験をされたと思いますが、2025年はどんな1年でしたか?
すごく濃厚でしたし、環境も自分の中も、とにかく変化が多かったです。一瞬一瞬で感じることが多かったので、めっちゃ早く時間が経つ感覚だったんですけど、今音楽を始めた2025年1月を振り返ると、2年分ぐらいの長さを感じました。だから「短いようで長い」みたいなのを体感してます。
ーー半年で『フジロック』に出られると思っていましたか?
思ってなかったですね。やっぱり『フジロック』はデカすぎるし、しかも人生で初めてのフェスだったので、最初お話をいただいた時は「初めてで務まるのか」と、ちょっと怖かったです。
ーー実際ライブをしていかがでしたか?
やっぱり楽しさが1番に出ますね。出演したのが「PYRAMID GARDEN」という、キャンパーの皆さんがいるエリアだったんです。家族連れでみんなでワイワイしている中で歌わせてもらったので、すごく気持ちが温まりました。
ーー先ほどご自分の中での変化もあったとおっしゃいましたが、どんなふうに変わっていきましたか。
1個1個の考え方かな。例えば作曲に関しても、色々と技術が上がったんですよ。僕はアレンジも自分でするんですけど、アレンジ能力が上がったり。色んなことを吸収して、だんだんコントロールできるようになってきたというか。曲だけじゃなく人として、全体的に経験したことを自分のものにして、噛み砕いて新しくアウトプットするという意識に変わりました。それこそ最初は「とにかく情報を得る」という感じだったので。
ーーそれをたった1年で。アーティストとしての成長ぶりも、急激な右肩上がりだったんじゃないですか。
そうですね。すごくありがたかったです。周りの人に恵まれたし、そういう経験ができる時点でまず良かったなと思います。
ーーマディソン・スクエア・ガーデンでライブをするのが目標だそうですが、そのために色々な経験を経ていくのも、当然の道のりと捉えておられますか?
そこはあまり気にしてなかったかもしれないです。なぜかというと、例えば人生1本目のライブが海外でも全く動揺しないので。僕は全部をボーダレスに見ているからこそ、「日本」や「海外」という枠組みが自分の中にあまりないからこそ、「日本でいっぱいライブをしたから、満を持して海外に行く」という考えではないですね。3月にライブで韓国に行かせてもらうんですけど、日本でもまだそんなにライブ経験がないまま行くので。全体として「ボーダレスに色んなところにライブをしに行く」感覚ですね。
ーーなるほど。楽曲の反響の大きさもすごいと思います。曲を出すたびに聴かれる国や地域が広がっていく。それに関しては、予想していた部分もありますか?
予想はしようとしていなかったというか……さっき言ったように、最初からとにかくボーダレスに球を投げる形で、どこで反応があるかもわからないままやっていました。日本だけじゃなくて、急にブラジルやメルボルンでめっちゃ聴いてもらってることもあったし。最初から世界の色んな場所で聴かれている感じでした。その中で予想していない国はいっぱいありましたね。
●Rol3ert流のクリエイティブ
Rol3ert
ーー最近はメインプロモーションとしてSNSが使われる中で、バズを意識して作曲する方も多いと思いますが、Rol3ertさんは例えばサビだけ良いからバズるとかではなく、「曲全体がハイクオリティなものを作るのが大事」とおっしゃっていました。だからこそ曲が広がっていったという感覚はありますか?
バズを考えるみたいなことは確かに大事だし、全く考えてないことはないんですけど、曲を第一にしていますね。SNSの売り出し方なんて、意外となんでもあるんですよ。例えばインパクトのある歌詞がバズの1個の公式だとしたら、トラックだけで「めっちゃ良いのができた!」となった時に、リリックでバズるみたいな公式は当てはまらないわけじゃないですか。でも別の方法が必ずあるんですよ。それは今までにない公式でもいい。全然作り出せる。なので公式に当てはめようとして曲を変えるというよりは、「バズの公式を増やす」という感じです。でも結局は「良いものを作ろう」という気持ちが1番大きいですね。
ーー日頃、楽曲のインプットはされますか?
めっちゃしますね。とにかく幅広く色んな音楽を聴くんですよ。勉強という意識もなく、ただ単に好きで聴いてるんですけど。そういうのがうまく自分の中に入って「Rol3ertエッセンス」になってくれればいいなと思ってます。
ーーこれまでシングルを7曲出してこられて、MONJOE(DATS)さんやYuto(The fin.)さん、T.O.Mさんをはじめ、色んな方と一緒に制作をされていますが、それを経たことでご自身のクリエイティブに関する変化はありましたか?
色んな人とお仕事をさせてもらって、最初のRol3ertと何が変わったかというと、自分が何を求めてるのかわかるようになった。例えばプロデューサーさんと仕事して、プロデューサーさんにとりあえず投げるのではなく、「このトラックをどうしてほしい」とか「このトラックに何を求めて、プロデューサーさんにお願いをしているか」が明確にわかってきた。そういう考えになったのは、今まで色んな方とお仕事できたからだと思います。
ーーちゃんと自分の求めることを説明できるようになったと。
そうですね。言語化はできてないけど、頭ではわかるようになりました。
ーー今作「savior」はセルフプロデュースですよね。しばらくプロデューサーが入られていたのは、ご自分の中で勉強というか、曲の幅を広げようという意図もありましたか?
今回に関してはプロデューサーを入れなくてもできちゃってたから、特にがっつりは入れなかった。今後ももしかしたら「このアレンジだけで良いね」となったらそれで出すかもしれないし、「もうちょっとこうしたいんだよな」となったらプロデューサーさんを入れるかもしれない。「ここからここまで色々勉強したから1人でも大丈夫」というよりかは、「savior」がたまたま「プロデューサーなしでも大丈夫だった」という感じだと思います。
●今までやってきたポップ+今後やりたいオルタナ
Rol3ert
ーー最新シングル「savior」はイントロのギターからカッコ良くて名曲の予感がしました。
ありがとうございます。
ーーこの曲はどのようにできていきましたか?
去年の8月か9月に最初のデモを作って、完成したのが12月くらい。結構時間が空いたんですよ。その間に色んなジャンルの楽曲に触れて、自分の中でもやりたい音楽性が変わっていったというか。自分の中でもだんだんと「自分がどういう音楽をやりたいか」を狭めていけた時期だったんです。最初にできたデモに、さっき言った色んなジャンルをプラスする形だったから、最終的に今のモダンな感じになぜかオルタナギターが入ってたり、色んなジャンルを行き来する感じがあって、そこが自分でもすごく面白いなと思いました。
ーーいつも先に曲を作られるんですよね?
そうです。基本的に「トラック、歌のメロディー、歌詞」の順番です。
ーー歌詞ができるまでの間に、アレンジ作業をされるんですか?
同時並行の時もあれば、歌メロまで詰めた後に入れる時もあります。そっちの方が多いかな。でも時と場合によるというか、メロも歌詞もできた状態でアレンジだけ進める時も全然あります。
ーー今作に関しては?
今回はアレンジはトラックだけでやって、トラックとメロをある程度完成させた後に歌詞を入れました。
ーー音はポップで明るくて、曲が進むにつれて音数も増えて華やかになっていきます。「今までやってきたこととやりたいことが融合できた」と表現されていて。
今までやってきたものがやっと出たというわけではなく、ほんとに最初のデモで出ちゃってた。そこに今後やっていきたいものを追加した感じですね。本当はもっとオルタナなことをしたいけどポップに戻した感じではなく、元々ポップなものを作っていたところからオルタナに触れて、そのエッセンスを追加しました。
ーーなるほど、オルタナが今後やっていきたいことなんですね。それこそ80’s風シンセが本当に気持ち良くて。このテイストは元々お好きなところですよね。
いつも「この曲めっちゃ80’sにしよう」と考えずとも、どこかしらでノスタルジックになる感じが出ちゃうんですよ。多分小さい時にマイケル・ジャクソンを聴いていたからだと思うんですけど。なのでこの曲も80’sをめちゃくちゃ意識してたわけではないですね。
●「わからないこと」を音や歌詞に落とし込む
Rol3ert
ーーポップで明るいサウンドながら、歌われるのは「嘆き」。セルフライナーノーツに「相手に自分を投影し、共倒れのように自分も相手も失っていく。その連鎖をなんとしても断ち切ろうとする嘆きの歌。去っていく君に投影された自分」とありましたが、「savior」はどういうことを歌った曲ですか?
これは相手のことを歌ってるんですけど、自分を見てるというか。ここに俺がいて、向こうに相手がいたとしたら、俺は相手を見てるけど、自分を見てる気にもなるってことなんですよ。俯瞰で自分を見てる感覚になるから、相手に自分を投影して見てるイメージだったんですよ。
ーー「相手を見て自分のようだと思う」ということですかね。
相手を通して自分を見ている構図は最初から考えていたんですけど、でもそれって結局自分にも跳ね返ってくるというか。しかもこれは自分と相手だけじゃなくて、どんな人にも当てはまることなので、そこの嘆きは最初から書こうと決めていました。
ーーサウンドのどういうエッセンスから、歌詞の内容に行き着くんですか?
なんでだろうな。でも普段から「わからないもの」を歌詞にすることもあるんですよ。例えば「savior」の1個前に「(how could i be)honest?」(2025年12月配信リリース)という曲を出したんですけど、それは「収拾がつかないもの、感覚的に自分でも何かわからない感情」を曲に落とし込んで具現化しました。「savior」においても、この構図や色んな人にも当てはまる「嘆き」を、例えばこうやって説明しても1個の単語でまとめられないじゃないですか。だから歌詞や音にした感じです。
ーー歌詞は一気に書くんですか。
一気に書きますけど、めっちゃ時間がかかります。
ーー深いというか、哲学的な境地まで行き着いている気がします。
もちろんテーマはあるんですけど、書きながらだんだんわかってくるみたいなのはあると思います。さっき言った定義づけというか、「これが何なのか」を音や歌詞に落とし込むにつれて、これが何かわかってくるみたいな。
ーー自分のわからないことをわかろうとして、形にしていく。
そうですね。で、「わかんない」を曲で言う時もあるんです。別にそれでいいと思うし、「savior」もやっていくうちにだんだんわかっていった、という感じです。
ーー毎回英語詞の中に、必ず一部日本語詞が混ざっていますが、特に日本語で伝えたいところを日本語にされているんですか?
日本語で伝えたいというより、日本語がハマる部分をとにかく探してます。正直日本語の方が書くのにめちゃくちゃ時間かかるんですけど、日本人として育ってきたから、そこのアイデンティティを捨てない方がいいなと思って。だから日本語を入れようと思っていて、その中で「ここで日本語がきたらドキッとする」とか「ハマるな」という部分を毎回探してます。
ーーちなみに「救世主」をタイトルにした理由は?
今回の場合は、特にストーリーテリング的な歌詞の流れを意識しました。その中でストーリーを要約する単語として「savior」が1番合ってるなと思ってつけました。
ーー「savior」が完成して、Rol3ertさんの中で気付きや変化はありましたか?
「やっぱり自分はポップの人なんだ」と思いましたね。ポップというのは「みんなが聴きやすい音楽」という意味ではなく、自分が作っていくと勝手にポップになっちゃうんですよ。そこが自分の軸になるんだろうなとは思いました。どんなにオルタナに進んでも、多分自分にはほんのちょっとだけでもポップの要素があると思うんですよ。ロイエル・オーティスみたいに。そこは新しい気付きでしたね。
●11月には早くも東阪ツアーが決定
Rol3ert
ーー3月15日(日)に韓国・ソウルで初めての海外ライブ(『MUZ'POP JAM 2026』に出演)をされた後、11月に東京と大阪で『meet me in my head』というタイトルでツアーが行われます。少し先にはなりますが、意気込みはいかがですか?
2月末のワンマンライブ(『Rol3ert live "katachi"』@渋谷WWWX)をする前にこのツアータイトルを決めるのが、めっちゃ難しかったんですよ。全く想像がつかないから。でもこれまでの経験から言えるのは、自分のワンマンが終わって、海外でもライブをして、ツアーもして、色んな楽曲を出して、自分の頭の中にあるものを表現するのがだんだんうまくなってる気がするんですよ。きっとワンマンツアーをやる秋の時期には、表現して相手に伝える能力がもっと高まってると思うので、『meet me in my head』にしました。多分バンド体制になると思うんですけど、だからこそちゃんと自分がどういうライブをしたいのか、どういう曲をライブでやりたいかを明確にして、このツアーをしたいなと思います。だから「自分、今後とも頑張ってくれ」という感じです。
ーー今年は飛躍の年になると期待しております。
頑張ります。ありがとうございます。
取材・文=久保田瑛理 撮影=ハヤシマコ
イベント情報
11月6日(金) 大阪 BIG CAT
開場18:30/開演19:30
info:大阪:キョードーインフォメーション 0570-200-888(12:00~17:00※土日祝祭日を除く)
11月12日(木) 東京 Spotify O-EAST
開場18:30/開演19:30
info:DISK GARAGE https://info.diskgarage.com
Rol3ert Supporters Club -Robbers- 会員最速先行:
2月28日(金)12:00~3月29日(日)23:59
URL: https://rol3ert.com/
Rol3ert✕REJAY Joint Tour "Square One"
5月8日(金) 東京 代官山 UNIT
開場18:15/開演19:00
出演:Rol3ert、REJAY、スーパー登山部
5月28日(木) 愛知 名古屋 ell. FITS ALL
開場18:15/開演19:00
出演:Rol3ert、REJAY、HANA HOPE
5月29日(金) 大阪 梅田 Shangri-La
開場18:15/開演19:00
出演:Rol3ert、REJAY、DURDN