なとり 2nd Album『深海』の世界を会場内に作り上げ、血の通ったコミュニケーションを交わした初の武道館公演をレポート
-
ポスト -
シェア - 送る
なとり 撮影=タマイシンゴ
なとり 3rd ONE-MAN LIVE「深海」
2026.2.19 日本武道館
2月18日(水)、2月19日(木)・東京・日本武道館で開催された『なとり 3rd ONE-MAN LIVE「深海」』。なとりにとって初の武道館公演は、2nd Album『深海』の世界を会場内に作り上げていた。各曲に刻まれた想い、風景、物語を受け止めながら心を震わせ、時には歌い、夢中で踊っていた観客。ステージと客席との間で、血の通ったコミュニケーションが交わされたライブであった。この武道館公演の2日目、19日の模様をレポートする。
撮影=マスダレンゾ
開演前から海の底のような空間と化していた日本武道館。ブルーのライトでステージが染まり、幻想的なサウンドが静かに流れ、スクリーン上では気泡が絶え間なく立ち上っている。非日常のひと時を味わっている内に、いつの間にか徐々に暗くなってきた会場内。2nd Album『深海』を締めくくっていた「うみのそこでまってる」が鳴り響き、あの作品と地続きの世界が幕開けた。バンド演奏が先陣を切り、「セレナーデ」がスタート。ステージ上の大きなキューブの上で雄々しいシルエットを浮かび上がらせたなとりを歓声が包んだ。歌声を祝福するかのようだった観客の清らかな手拍子。前のめりに駆け抜けた「ヘルプミーテイクミー」。ダンサーチームの情熱的なパフォーマンスが加わった「EAT」。観客の興奮にさらに火を点けた「FLASH BACK」……序盤から各々の曲が輝いていた。
撮影=マスダレンゾ
「昨日も武道館公演をやったんですけど、2回見てもすごい景色だなと思います。みなさんからどんなでかい声を聞けるのか楽しみです。2nd Album『深海』を引っ提げてのライブ。居心地のいい作品ではありませんけど、ライブなので手放しに楽しんでいいので、みなさんの歌声を聞かせてください」――MCを挟みつつ、多彩な曲がさらに届けられていった。「フライデー・ナイト」「プロポーズ」「恋する季節」「帰りの会」「ターミナル」……歌声、メロディに耳を傾けていると風景が浮かび、物語へと深く引き込まれる。そして、「聖者たち」を経て、観客のダンス衝動を加速する曲が一気に連発された。「DRESSING ROOM」「非常口 逃げてみた」「Overdose」「SPEED」……飛び跳ねながら踊り、歌声を響かせる人々のエネルギーで震えた武道館。熱気を受け止めたなとりは、歌声の輝度を高め続けた。
撮影=マスダレンゾ
「こうもたくさん人がいると、音楽ってすごく楽しいなと改めて思います。ありがとうございます」――激しい歌唱を経て迎えた小休止。「6月からスタートする初の全国ホールツアーのタイトルが、『なとり ONE-MAN LIVE TOUR「行進」』に決定」、「ツアーファイナルとなる追加公演・12月5日(土)、12月6日(日)・東京ガーデンシアターでの2 DAYS公演の開催も決定」、「ツアーの開催地はアジア4都市――ソウル、シンガポール、バンコク、台北を含む」……ツアーに関する詳細を告げて、「先日、23歳になりました」「ジム通いを始めました」というような近況報告もした後、彼は自身の夢について語った。「2nd Albumが僕の中で呪いみたいなものになっておりまして。『作る過程で、大切にしてきたものを失くしてきたような気がする』と言ってるんですけど。その中でも、どうしても失くせない夢みたいなものがあって。抽象的な夢なんですけど……。僕は自分がアーティストを志すに至った先輩アーティストたちの背中を見るのがすごく楽しかったんです。僕の音楽を聴いてくれているガキどもが(笑)、いつか武道館に立って、『なとりさん、お前の背中を刺すためにここまでやってきたんだ』と言ってくれたら。そういうやつがいつか現れたら、それが一番の夢だよなあと思っていて。もし『アーティストになりたい』『なとりの背中を追いたい』というやつがいたら手放しで応援するし、ちゃんと大切にしてあげたいと思ってます」――この言葉は、客席にいた誰かの心に火を点けたかもしれない。国内外の数々のアーティストが立ってきた武道館のステージは、たくさんの人々をときめかせ、憧れを生み、そのエネルギーが音楽シーンを作り上げる力の一つとなってきた。このライブも未来の何かに繋がるのかもしれない。
撮影=タマイシンゴ
なとりと観客が歌声を交わし合った「にわかには信じがたいものです」。ビートをドラマチックに躍動させた「君と電波塔の交信」を経て突入した「IN_MY_HEAD」では、観客が掲げたタオルが勢いよく回転。神田リョウ(Dr)、西月麗音(Ba)、モチヅキヤスノリ(Key)、ジョージ林(Sax&Fl/BREIMEN)、TAIKING(Gt/Suchmos)……バンドメンバーたちが紹介される度に観客が上げる歓声が熱い。ステージ上で何本もの真っ赤な火柱が立ち上った「絶対零度」は、高速BPMと爆音の併せ技に負けないくらいの手拍子を巻き起こしていた。
様々な葛藤があった『深海』の制作を振り返ったMCタイム。なとりは自身が生み出した音楽を聴いて心を震わせてくれる人々がいることへの喜びを言葉に滲ませ、観客に深く感謝していた。「このライブが終われば『深海』が完成すると思ってるし、海の底から這い上がった自分を見せられるなと思っています。みなさんも悩むことがあったり、他人との距離感に悩んだりすることもたくさんあると思うんですけど、『そういうものをちゃんと受け止めていこうね』という風な曲を今からやります」と語ってから披露された「糸電話」。ストリングスの四重奏で彩られたメロディが瑞々しかった。そして、「次にやる曲で『深海』は完成します。僕にとっても思い入れのある曲です。アルバムに「セレナーデ」という曲があって、作るために他人を傷つけて、多くの人の大切なものを奪いながら作って……その後にできた曲です。他人のために作っていた曲ではあったんですけど、気づけば自分の深層心理みたいなものを表す曲になったので、この曲を以て『深海』を一旦終わらせたいと思います。生まれ変わった私のバースデイ・ソングをみなさんと一緒に作り上げたいと思います」――曲が生まれた経緯に触れてからスタートした「バースデイ・ソング」は、エレキギターを弾きながら響かせた歌声にバンドが合流。ストリングスも加わって構築されたアンサンブルの中心で響かせる歌声が狂おしい。なとりの魂の鼓動に触れたような気がした。
撮影=タマイシンゴ
「顔を出していない人間が、あまり生々しい人間味のある話をするのは、僕は個人的にあまり好きではないんです。でも、この瞬間だけそれを許していただきたいなと思います。ちょっと話してもいいですか?」と観客に問いかけたなとり。そして、初めて作った曲にまつわるエピソードが紹介された。聴いた友人が「お前の曲は世界を救う」と本気で言ってくれたのが、その後の創作活動の心の支えとなったのだという。初めてのレコーディングだった「Overdose」のために東京に滞在した際にその友人と落ち合い、宿泊先のホテルを出て歩いている内にいつの間にか辿り着いていた武道館。「俺、武道館に絶対に立つから、その時は観に来てくれ」と伝えたことを思い返していた。「武道館まで続けるエネルギーをくれたというか、彼のお陰でアルバムを作ったり、音楽を作ったりできています。そいつにぜひ大きな拍手を」と観客に呼びかけると、アリーナ、1階席、2階席から力強い拍手が沸き起こった。そして、家族、スタッフ、バンドメンバー、ダンサー、観客、支えてくれている全ての人たちにも感謝。「僕が初めて作った曲を歌って、今日は終わろうかなと思います」という言葉が添えられ、「金木犀」がラストを飾った。スタートした直後に発射された銀テープが、アリーナ席に降り注ぐ風景が美しい。「一緒に歌ってくれますか?」という言葉に応えた観客の歌声が、ステージから届けられるサウンドと心地よく共鳴していた。
「ありがとうございました。なとりでした。これからもどうぞよろしくお願いします!」と言い、ステージを後にしたなとり。「深海」が鳴り響く中、スクリーンに映し出されたエンドロールが、ライブの余韻を穏やかに噛み締めさせてくれた。そして、終演を迎えた『なとり 3rd ONE-MAN LIVE「深海」』。なとりは、観客やバンドメンバーたちと共に過ごす時間を心から楽しんでいた。6月からスタートする初の全国ホールツアー『なとり ONE-MAN LIVE TOUR「行進」』も各地で素敵な空間を作り上げるのだろう。
撮影=マスダレンゾ
取材・文=田中大
撮影=タマイシンゴ/マスダレンゾ
ライブ情報
【日程・会場・お問い合わせ】
■6月12日(金) 開場 18:00 / 開演 19:00
■6月13日(土) 開場 15:00 / 開演 16:00
宮城 東京エレクトロンホール宮城
お問合せ:EDWARD LIVE
022-266-7555(平日11:00~15:00)
■6月27日(土) 開場 17:00 / 開演 18:00
■6月28日(日) 開場 15:00 / 開演 16:00
愛知 愛知県芸術劇場 大ホール
お問合せ:キョードー東海
052-972-7466(月~金12:00~18:00/土10:00~13:00 ※日祝休業)
■7月4日(土) 開場 17:00 / 開演 18:00
新潟 新潟県民会館
お問合せ:キョードー北陸
025-245-5100(火〜金12:00〜16:00/土10:00〜15:00 ※月日祝休業)
■7月5日(日) 開場 16:00 / 開演 17:00
石川 本多の森北電ホール
お問合せ:キョードー北陸
025-245-5100(火〜金12:00〜16:00/土10:00〜15:00 ※月日祝休業)
■7月11日(土) 開場 17:00 / 開演 18:00
■7月12日(日) 開場 15:00 / 開演 16:00
京都 ロームシアター京都 メインホール
お問合せ:キョードーインフォメーション
0570-200-888(12:00~17:00 ※土日祝休業)
hello@wanderloch.com LIVET
■7月25日(土)Singapore The Theatre at Mediacorp
website: www.sozo.sg
contact: contact@sozo.sg
■7月28日(火)Bangkok UOB LIVE
https://www.facebook.com/AVALONLIVE
■8月8日(土)Taipei Taipei Music Center
contact@abigart.com / Mon – Fri 11:00 〜18:00
https://www.facebook.com/bigart.tw
■9月22日(火祝) 開場 17:00 / 開演 18:00
■9月23日(水祝) 開場 16:00 / 開演 17:00
東京 昭和女子大学人見記念講堂
お問合せ:DISK GARAGE
https://info.diskgarage.com/
■9月26日(土) 開場 17:00 / 開演 18:00
香川 サンポートホール高松 大ホール
お問合せ:DUKE高松
087-822-2520(平日11:00~17:00)
■9月27日(日) 開場 16:30 / 開演 17:30
福岡 福岡市民ホール 大ホール
お問合せ:キョードー西日本
0570-09-2424(平日・土曜11:00~15:00)
■10月11日(日) 開場 17:00 / 開演 18:00
■10月12日(月祝) 開場 15:00 / 開演 16:00
大阪 グランキューブ大阪 メインホール
お問合せ:キョードーインフォメーション
0570-200-888(12:00~17:00 ※土日祝休業)
■10月28日(水) 開場 18:00 / 開演 19:00
北海道 カナモトホール
お問合せ:ウエス
https://wess.jp info@wess.co.jp
■10月31日(土) 開場 17:00 / 開演 18:00
広島 広島文化学園HBGホール
お問合せ:キャンディープロモーション
082-249-8334(平日11:00〜17:00)
■12月5日(土) 17:00 / 18:00
■12月6日(日) 15:00 / 16:00
東京東京ガーデンシアター(有明)
お問合せ:DISK GARAGE
https://info.diskgarage.com/
※開場/開演時間は変更となる場合がございます。
【代金】※国内公演のみ
全席指定(一般)8,800円(税込)
全席指定(U-22割)7,800円(税込)
全席指定(小中学生割)4,000円(税込)
※未就学児入場不可
※U-22割
※小中学生割
(小中学生割
---------
ライブ当日に、顔写真入りで生年月日が確認できる本人確認書類(マイナンバーカード・学生証等)、または顔写真付き本人確認書類をお持ちでない場合は生年月日が確認できる本人確認書類(保険証等)をご持参ください。
年齢が確認できる書類をご持参いただけない場合、一般料金との差額を頂戴いたします。
予めご了承ください。
リリース情報
2026年1月21日発売
品番:SRCL-13495~13496
価格:8,800円(税込)
特設サイト:https://natori-official.com/abyss/
https://natori.lnk.to/TheAbyss
1.深海
2.ヘルプミーテイクミー
3.セレナーデ
4.にわかには信じがたいものです
5.DRESSING ROOM
6.EAT
7.FLASH BACK
8.プロポーズ
9.恋する季節
10.非常口 逃げてみた
11.君と電波塔の交信
12.IN_MY_HEAD
13.絶対零度
14.SPEED
15.帰りの会
16.糸電話
17.バースデイ・ソング
18.うみのそこでまってる