小南光司、初の探偵役は「役者にとっては憧れ」~舞台『ビショップマーダーケース』インタビュー
-
ポスト -
シェア - 送る
小南光司
舞台『ビショップマーダーケース』が2026年4月22日(水)~29日(水・祝)、東京・銀座 博品館劇場にて上演される。S・S・ヴァン・ダインの最高傑作として名高い推理小説『僧正殺人事件』を原作に、1928年のニューヨークで巻き起こるマザーグースの一節になぞらえた猟奇的殺人事件が描かれる。主演を務める小南光司に自身が演じるファイロ・ヴァンス役について尋ねると、初となる探偵役やミステリー作品への熱量があふれ出た。
――ビジュアル撮影には、どのように臨まれたのでしょうか。
撮影時点では台本を読んでいない段階だったので、ご相談しながらの撮影だったのですが「とにかく面倒くさそうな男をやってください」というのが最初のオーダーでした。ちょっとラフに座ってみたのが、実際にチラシにも使っていただいています。“素人探偵”であるファイロは、もともと探偵ではない。ハットを被っているのも“探偵ぶって”いる表れかも? 黄色にストライプのシャツも、なかなか派手ですよね(笑)。もう見た目からして普通じゃないだろうなと思いますし、自由度の高さと演じ甲斐をすでに感じていました。
――現在は、初演時の台本を読まれているとのこと。演じるファイロ・ヴァンスへの現時点での印象をお聞かせください。
頭脳明晰で、心理学を含めたさまざまな知識を持ったファイロが場を掌握していく感覚と、周りとぶつかることすら楽しんでいるところがすごく印象的でした。ファイロの人物像としては飄々としていて掴みどころはないけれど、捉えている部分は核心を突くものばかり。そういった部分は見た目だけではなく本質として表現できなくてはいけないですし、うまく緩急をつけたいなと思います。頭の回転の速さは、僕と重なる部分かもしれませんね……あんまり自分では言いたくないですが(笑)。ただ、ファイロは言葉遊びを楽しみながら会話をしていきますが、僕の場合は先に結論を言ってから理由を並べていくタイプ。僕は内向的な性格なので、誰に対してもズカズカと踏み込んでいけるファイロがうらやましくもあります。このあたりは僕がファイロに寄り添う部分になってくると思います。今回、初めて探偵役をいただいたんです。探偵役って、やっぱり役者にとっては憧れなんですよ。ミステリー作品も大好きなので、S・S・ヴァン・ダインの、しかもこの作品で主演をいただけて夢のような気持ちです。
――ちなみに、探偵役にはどのようなイメージをお持ちだったのでしょうか?
僕の中でミステリー作品の探偵といえば、最初に出てくるのはシャーロック・ホームズ。歴代いろいろな方が演じられてきましたが、ロバート・ダウニー・Jrさんのシャーロック・ホームズ像は飄々として気だるげで、だけどスパッとした格好良さがある。特に小説で描かれている探偵のキャラクター性って「仕事はやってくれるけど、こいつに頼むの面倒くさいな!」みたいな位置づけなのかなと(笑)。
――脚本・演出の須貝英さんとは今作について、何かやりとりは?
ビジュアル撮影のときに衣装の感じを話し合ったくらいで、まだ具体的にはお話できていません。今回、初めてご一緒させていただくのですが、これまで数多くのミステリー作品を手掛けられているということで、演出を受けるのをずっと楽しみにしているんです。役者をやっていく上で新しい作品や役はもちろん、演出家さんとの出会いも楽しみの一つ。また、野坂さんのDNAを受け継いでいらっしゃる方と伺っています。総合演出に野坂さんがいらっしゃるなかでどう演出をつけていくのか……こういった形式は僕にとっても初めてですし、未知でワクワクしています。
――総合演出を手掛ける野坂実さんとは『まわれ!無敵のマーダーケース!!』(2021年)や『ある閉ざされた雪の山荘で』(2024年)でもご一緒されています。印象や刺激を受けた点などお聞かせください。
綿密に現場で作ってくださる方です。立ち位置から役の深堀りまで、じっくり向き合ってやってくださる。「視線はあっちに向いていていいのか」「資料を手に取るときは1枚だけか、全部をパッと見てしまうのか」など、いろんなものをこちらから提示して相談させていただくのですが、一緒にミステリーを楽しく作ってくださる印象があります。野坂さんの作品に出ていて一番強く感じるのは、セットや小道具へのこだわり。環境をちゃんとセッティングしてくださるんです。もちろん、稽古で100%以上のものを作るつもりで臨んでいますが、現場に入るとさらに気持ちが乗る。そういう部分は、野坂さんには最初からすべてが見えているんだろうなと。ミステリーものは難しく感じられがちですが、今回も視覚的にも楽しいものになるのではないかと予想しています。
――カンパニーへの向き合い方は?
今回、ほとんどの方が初共演なんです……緊張します(笑)。自分からは、なかなか話しかけられないタイプです。周りからは「小南くんって話しかけづらいオーラ出てるよね」と言われるんです。プライドも高くないし、ラフに話しかけてくれたら嬉しいんですが(笑)。もしかしたら、役に馴染んできたら自然とできるようになるのかも? 先生役をやったときは、自然と生徒の子たちに声をかけることができるようになっていたので。それと、稽古を通じて言葉を交わさずとも探り合うことも大きいと思います。相手のやりたいお芝居をすごく尊重したいですし、僕の表現したいものもきちんと表現していきたいので。今回もきっと、ファイロの相方であるサイモン・ブレイ役の中本大賀くんとは役同士のような関係になれるはずです……千秋楽までには(笑)。
――演じる側として感じている、ミステリー作品への難しさは?
一番考えて、稽古でも相談させていただくのは、やっぱり“どこまで出したら良いのか”ということ。辻褄を合わせていくのも、最初はやっぱり大変ですね。会話だったり立ち位置だったり、結構細かく作らないとたどり着けない。視線一つがミスリードになりますからね! でも、そこが楽しいところでもあるんですよね。よくあるのは、恋愛感情と事件がうまいこと絡まってしまうパターン。“なんとなく”は絶対に許されないです! もちろん他の舞台作品にも言えることではあるんですけど、ミステリーの場合はさらに動きの一つ一つが意味を持ってしまうから。すべての動きが事件や人間関係に関係してくるようなお芝居を目指していきたいです。
――先ほど「ミステリー作品が好き」というお話もありましたが、役者としての相性はいかがでしょうか。
今まで演じてきたのは人を殺す役や、巻き込まれる役。特に犯人役はめちゃくちゃ楽しいですね! 今回、探偵役として初めて推理側に立つことができるので、すべての辻褄が合ったお芝居がしたいと思っています。探偵という点でいうと相性に関しては正直まだわからないですが、僕の好きな役柄であることはたしかです。きっと相性は良いはず……なのですが、ただ今は、セリフ量が心配(笑)。今、読ませていただいている初演の台本は分量だけでみると3~4時間分くらい、通常の2倍くらいはあるんですよね。どれくらい喋るんだろう(笑)? ここから今作ならではのアレンジも加わるそうなので、僕もうまく乗っかっていきたいと思います。
――マザーグースの一節が重要なモチーフとなっていることにちなんで、童謡に関するエピソードを教えてください。
このあいだ寒い日に、顔を洗いながらふと鼻歌を歌ったのが『雪』。せっかくなので、改めて歌ってファンクラブに投稿しました(笑)。童謡って、深い意味があるんじゃないかと考察されているものが結構ありますよね。パッと思いつく歌がどうしても、あんまりここで話せないような怖い系の話になっちゃうんですよ。そういう、童謡にまつわる都市伝説みたいなものは結構好きですね……すみません、陰鬱トークになりがちで(笑)。
――最後に、公演を楽しみにされている方へメッセージをお願いします。
ファイロ・ヴァンスは、原作者であるS・S・ヴァン・ダインさんが自分をモデルにして書いたキャラクターだそうです。それだけに思い入れのあるシリーズだと思うので、僕も大切に演じたい。初めて一緒にやらせていただく役者さんもたくさんいらっしゃるので、どんな化学反応が起きて、どんなお芝居になるのか楽しみです。初演(『グリーン・マーダー・ケース × ビショップ・マーダー・ケース』)はありますが、今作は再演とはうたっていないんです。きっと新しく書き直されている部分もあると思いますし、また違う『ビショップマーダーケース』をお届けできるのではないでしょうか。原作については読みたい方は読んでいただいて……僕のおすすめとしては、まずは読まずに舞台で初めて触れてみてほしいです。それから小説を読んで「原作ではこうなっていたんだ」「そういえば、ここは舞台でどうなっていたっけ?」と二度でも三度でも作品を楽しめるので。4月という新しいスタートを切る時期にしてはなかなか不穏な雰囲気の作品ではありますが(笑)、皆様に心地良い世界をお届けできたら。ぜひ博品館劇場へお越しいただけたら嬉しいです。
取材・文=潮田茗
公演情報
日程:2026年4月22日(水)~ 2026年4月29日(水・祝)
会場:銀座 博品館劇場
※開場は開演の45分前
■出演者
小南光司 中本大賀 山本佳志(SHOW-WA)
渡辺みり愛 小見川千明 近藤雄介 松村優 碕理人
木ノ本嶺浩 陰山泰
■
ビショップ席:13,000円(1~3列目確保、特別記念品付)
指定席:10,000円
※全席指定・税込 ※未就学児入場不可
■スタッフ
原作:S・S・ヴァン・ダイン
脚本・演出:須貝英
総合演出:野坂実
主催:ニッポン放送/カンフェティ/全栄企画株式会社
企画制作:ノサカラボ
製作:全栄企画株式会社
【問合せ】Zen-A(ゼンエイ)TEL:03-3538-2300[平日11:00~19:00]
【公式HP】https://zen-a.co.jp/bishop/