LiSA『魔法科高校の劣等生』との蜜月の関係で生まれた新曲を語る――「達也ではなく、深雪に寄り添った楽曲を作りたかった」
-
ポスト -
シェア - 送る
撮影:大塚正明
5周年を迎えたLiSAが『魔法科高校の劣等生』に帰ってきた。2026年5月8日から劇場公開される劇場版『魔法科高校の劣等生 四葉継承編』の主題歌としてLiSAが書き下ろしたのが新曲「YES」だ。LiSAはどんな思いでこの曲を制作したのだろうか? アニメ『魔法科高校の劣等生』への思い、そして15周年を迎えた今も踏まえたっぷりと語ってもらった。撮り下ろし写真とともにお送りする。
(C)2024 佐島 勤/KADOKAWA/魔法科高校四葉継承編製作委員会
――アニメ『魔法科高校の劣等生(以下魔法科)』とLiSAさんは2014年に放送されたTVアニメ第1シーズンオープニングテーマ「Rising Hope」を担当されてからの関係ですが、『魔法科』のアニメが開始から10年を超え、改めて今回劇場版のオープニングテーマを担当するお気持ちをお聞きできれば。
まず、「Shouted Serenade」(2024年放送、TVアニメ『魔法科高校の劣等生』第3シーズン オープニング主題歌)がまさに「Rising Hope」から10年経ったタイミングの主題歌でした。「Rising Hope」という楽曲がLiSAにとって代表的な楽曲になっていたので、「Rising Hope」を超える楽曲を作るっていう難しさもありましたし、その10年の間で「Rising Hope」のような楽曲を作ってくださいって何度も言われ続けてきたんですよ。
――最初に「Rising Hope」が出た時のインパクトはすごかったですからね。
その頃そもそも「Rising Hope」を超えるものを作る必要があるのか? という話をみんなでしていたんです。「Rising Hope」ってやっぱり私にとって、色々な想いと時期と作品が重なって完成したものだったから、「Rising Hope」を超えていくということは難しいと思っていました。
その中で「Shouted Serenade」という楽曲は、田淵(智也)先輩と堀江晶太さんという、当時「Rising Hope」を一緒に作ってくれた二人と相談して、「そもそも『Rising Hope』を作ってくださいって、私たちはずっと言われ続けてきたけれど、でも『Rising Hope』とは、そもそも何だったのか? 何をもってみんな『Rising Hope』を求めているのか?」っていうことを、会話をしながら作ったものなんです。「じゃあラップが入っている必要があるのか?」とか、「テンポが速いことが「Rising Hope」だっていうことなのか?」「それとも堀江サウンドのことを言っているのか? 私の高いキーのことを言っているのか?」とか。そういう紐解くところから完成したのが「Shouted Serenade」でした。
――なるほど、超えるではなく、紐解いて、自分たちで噛み砕いて出来上がったものだったんですね。
そして今回の「YES」という楽曲は、ずっと(司波)深雪が大切に持ち続けていた想いが解かれる大切な物語というのも踏まえて制作しました。「Rising Hope」と「Shouted Serenade」では、どちらかというと(司波)達也の気持ちに寄り添った楽曲だったのですが、今回はもうちょっと深雪に寄り添った楽曲を作りたいなということで、私自身もまっすぐ向き合うことができたのが今回の楽曲です。
――今回のオファーが来た時は、率直にどういう気持ちだったんでしょう?
私が『魔法科』に書けることって正直もうないよって思いました(笑)。でも今回の物語を読んで、四葉継承編はどちらかというとこれまで書いてきたエネルギッシュな感じではなくて、『魔法科』の中でも深雪の感情にフォーカスした物語だったので、深雪ちゃん軸だったらまだ書きたいことはあるかも、と思ったのが本音ですね。
「Rising Hope3」みたいなものを作って、って言われたら、どうしようって思っていたんですけど、でも今回の物語をきちんと読ませていただいて、深雪がこれまでとは違い、少しだけ昨日よりも前を向いた気持ちになれる楽曲になるといいなって思ったんです。観てくださった方もそういう気持ちで劇場を出ていけるような楽曲になると嬉しいですね。
撮影:大塚正明
――クリエイター陣として、作曲に高木一成さん、編曲に江口亮さんが参加しています。曲を聴いた時は、どういったご印象がありましたか?
私自身も原作小説を何度も読んでいて、作品に似合うものにしたいという思いがあって。ジミーストーン監督とも話をさせていただき、今作は深雪の気持ちが溢れる回だから、その感情が溢れるようなロックバラードにしてほしいというお題をいただいたんです。だからロックバラードで、サビで感情が爆発できるような楽曲にしたくて、今回は高木さんとご一緒させていただきました。
最初に来たデモは今よりもうちょっと優しい印象だったんですけど、そこから私が歌った時にどういう風にできるかと思って、ちょっと感情的にサビを少し力強く歌うっていう感じでレコーディングに挑みました。こういうストレートなバラードこそ難しいと私は思っているんですけど、デビューしたての私だったら歌えなかったかもしれませんね。
――楽曲のなかで表現としてこだわった部分があればお聞きしたいです。
深雪が達也に対して抱えていた感情を表現したかったので、ずっと大切にしていた感情と、深雪の叫び出したい気持ちを表現するために、エネルギッシュなサビと、A~Bメロの少し温度の低い感じは、意識的にいつもよりもギアを大きめに変えているところではあります、すごく難しかったですね。
――歌詞はLiSAさんが担当されています。今回はお一人で担当されていかがでしたか。
先ほども少しお話しした通り、「Rising Hope」「Shouted Serenade」は達也の心情を中心としたもので、しかもオープニング主題歌だったので、物語全体を力強く牽引していけるような曲として、田淵先輩と一緒に自分の強い気持ちを表現するように作っていったんですけど、今回は深雪の繊細な気持ちということもあって、「ここはちょっと女性である私にやらせてもらってもいいですか!」という気持ちで担当させてもらいました(笑)。
――楽曲タイトル「YES」に込められた想いもお聞きできれば。
深雪がずっと抱えていた抑えられない感情を達也に喋ったとき、抱きしめてもらうっていうことが彼女にとっての「YES」だったと思うんです。言葉にしなくともOKだよ、自分の抱えていたものを受け止めてもらった、っていうことを一言で表したくて、それが私にとっては「YES」という言葉になりました。
――そして改めてこの『魔法科』という作品に対する思いもお聞きしたいです。
第1シーズンのオープニングを担当させてもらったということもあって、ひときわ思い入れは強いです。LiSAの歴史の中で言うと、初めて私も田淵先輩に許してもらって作詞に参加させていただいた主題歌でもあったので。私も歌いながら作品で描かれている、達也が守らなくちゃいけないもの、感じている劣等感みたいなものを、私の感情とともに歌わせてくれた作品がこの『魔法科』だったので。
――原作小説はちょうど32巻で完結(続編・『続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー』は現在11巻まで刊行)していて、今回の劇場版で描かれるのはそんな『魔法科』の物語の真ん中にあたる16巻である四葉継承編です。アニメ化から12年が経ちましたが、ここから先のアニメ『魔法科』に期待するものはありますか?
『魔法科』って、読み解けば読み解くほど、秘密を知れば知るほどすごく興味が湧いてくるんですよね。最初は学園の中の話だけだと思っていたら、どんどん話が大きくなっていくし、想像を越えていくんですよ。まだここからも越えていくであろうその物語の先がどうなるのか。是非最後までアニメ化してほしいですね!
撮影:大塚正明
――そしてLiSAさんはデビュー15周年イヤーを迎えています。すごく活動的に、かつ加速している印象があるんですが、15周年を迎えての活動の一連を、ご自身の中でどういうふうに捉えているのでしょう。
まず15年という年月を駆け抜ける事ができると思っていなかったんです。デビューした頃に15年後の未来を描いていたかと言われると、そんな遠い未来は想像もできていなかったし、10周年まで続けるぞ、15周年まで続けるぞ、みたいな気持ちはなくて、やりたいことを見つけながら走り続けていたら「あれ?15周年が目の前だ!どうしよう!10周年お祝いできなかったから、やりたいこと全部やんなきゃ!」みたいな感じです(笑)。
――そういう感じだったんですね(笑)。
そうですね、15年も続けてきたことって私、歌以外になくて。なんかすごいところまで来たなっていう感覚があります。なので、この15年やってこれたことをまず誇りに思わなくてはと思いました。
――確かにそうですね。
10周年の時は、ちょうどコロナ禍で。思うようにお祝いできなかったということもあって、この15周年はみんなとお祝いしたいなと思ったんです。最初は一人で走り出したんですけど、気づいたらたくさんの仲間がいてくれて。15年たったらデビュー当時5歳だった子が20歳になっているわけで、小学生だった子たちも社会人になって、そんな人たちが「実はあの頃LiSAのこと聴いていたんです」って言ってくれることも増えた。そういう皆さんが今度は一緒に仕事をしてくれる立場になって、お祝いを企画してくれるようになって。みんなの人生の歴史の中に、自分が暮らせていたんだなってことを実感することが今多いんです。だからやりたいことを全部一緒に叶えてもらっていたら、すごいてんこ盛りになっちゃいました(笑)。
――LiSAさんは一つ一つの活動がすごくポジティブで、見ている僕らも力をもらえる感じがあります。前にSPICEがライブレポをやらせていただいたのが『LiVE is Smile Always~LADYBUG~』だったと思うんですが、コロナ禍でもそのポジティブなメッセージは変わりませんでした。
あの時ってすごくやっぱり難しくて。回転する舞台を作ってみたりして、何とかして楽しんでもらおうっていう感覚がすごくありましたね。今はその規制も緩和されましたけど、あの時今まで自由にやってきたものが規制されたことによって、今までが当たり前ではなかったんだ、ってことを実感したからこそ、よりみんなに楽しんでほしいと思えるようになりました。例えば声出しをして遊ぶ楽曲が私の曲にはたくさんあるんですけど、よりみんながそれを楽しんでほしいし、大きく踊ることも、好きな服を着ることも、好きなことを言うことも、みんながそれを楽しんでほしいって思いましたね。
――今回の「YES」という楽曲は、ざっくり言えば王道のパワーバラードにはなっていると思うんですが、LiSAさんでしか入れられないスパイスみたいなものがすごい入っている曲だと思ったんです。これを『魔法科』に持ってくるのはやっぱり凄いセンスだと思うんですね。
ありがとうございます。
――いざ映像と合わさったものをご覧になられて、いかがでしたか?
めっちゃいいんですよ!(笑)本当にいい!やっぱり作品を一緒に作らせてもらううえで、監督が思い描いている「ここでLiSAの楽曲が欲しいんだ!」という思いがあって、それに共感できた時のマッチ具合はすごいんですよね。監督がすごく熱量高く私に伝えてくれたからこそ曲が生まれて、それが映像にのった時に起きる化学反応ってすごいなって、出来上がった映像を見て思いました。
――今やLiSAさんは様々なジャンルで活躍されていますが、やはりアニメとの関わりってすごく深いものだと思っています。アニメタイアップを担当される時は、それ以外とは心持ちが違うのかを改めて今聞いてみたいと思ったんです。
そうですね、作品との向き合い方という意味ではそんなに変わらないです。それが実写だろうと、CMだろうと、アニメだろうと、映画だろうと、自分の向き合い方としては、作品を読み解いたうえで、向き合って、作品と重ねられる理想を120%出す、っていう関わり方です。それは何も変わってないんですけど、でもやっぱり『魔法科』はアニメ第1シーズンから関わらせていただいているということもあって、長く一緒にいるからこその意思疎通ができている感じはあります。
――意思疎通、ですか。
はい、例えば「黒っぽいんだよね」って言ったら、その黒が夜の黒なのか、墨汁の黒なのか、髪のツヤがあるような黒なのか、っていうことの想像を、説明しなくても一緒に同じ景色を描けるみたいな感覚かな。安心感じゃないですけど、本当に帰ってきた感じっていうか。感覚として伝わるものが多いので、かなり深く噛み砕ける感覚はありますね。
――これは色々な意味ですごい曲だと思います。本当にライブで聴いたらどうなんだろうっていうのも思いますね。
そうですね。ライブでは繊細さが垣間見えるかと思います。私の持っている楽曲たちのエネルギッシュな、パワーでねじ伏せるような楽曲たちと並んだ時に、より私の繊細さみたいなものが見えてくる楽曲になるのかなって思います。
――ありがとうございます、最後にもう一つお聞きしたいんですが、LiSAさんの座右の銘に「今日もいい日だっ」というものがあります。ライブでも「LiVE is Smile Always」というものを続けています。15年間、「今日もいい日だっ」と言い続ける原動力みたいなものってどういうところなんでしょう。
「今日もいい日だっ」って、人のことを強制するためのものじゃなくて、自分自身に言い聞かせるための魔法の言葉なんですよ。それを発言することに自分の中にブレはないし、迷いはないんです。私自身それを今言ってもいいのかな、っていうのはコロナ禍の時期なんかは考えたことはありますけど、自分の中の信念として15年貫いていることですね。
――15周年のこのタイミングでお聞きできて良かったです。では、これを読んでいる方にメッセージをいただけないでしょうか。
四葉継承編は深雪の長年の思いや、達也と深雪の関係みたいなものが、より深く感じられるお話になっています。そのなかで昨日よりも前を向いて、清々しい晴れやかな気持ちで次の日を迎えられるための楽曲になっているといいなと思っています!
インタビュー・構成:加東岳史 撮影:大塚正明
上映情報
劇場版「魔法科高校の劣等生 四葉継承編』
■STAFF:
原作:佐島 勤(電撃文庫刊)
原作イラスト:石田可奈
監督:ジミー ストーン
脚本:中本宗応(ライトワークス)
キャラクターデザイン/総作画監督:石田可奈
色彩設計:小松さくら
プロップ/ギミックデザイン:稲田 航
3DCGプロデューサー/モデラー:雨ノ宮一紀
美術デザイン:谷内優穂
美術監督:吉原俊一郎・周 霽欣・佐藤 歩
美術:美峰・グーフィー・スタジオなや
ビジュアルディレクター/撮影監督:廣岡 岳(Nexus)
編集:木村佳史子(MAD BOX)
音響監督:本山 哲
音響効果:古谷友二
音楽:岩﨑琢
キャスティングマネージャー:鈴木久美子
アニメーション制作:エイトビット
配給:アニメック
主題歌:LiSA「YES」
作詞:LiSA
作曲:高木一成(Re:name)
編曲:江口亮
■CAST:
司波達也:中村悠一
司波深雪:早見沙織
四葉真夜:斎藤千和
新発田勝成:小野大輔
津久葉夕歌:茅野愛衣
黒羽文弥:加藤英美里
黒羽亜夜子:内田真礼
桜井水波:安野希世乃
堤琴鳴:若山詩音
堤奏太:梅田修一朗
劇場版『魔法科高校の劣等生 四葉継承編』公式サイト:https://mahouka.jp/yotsuba/
「魔法科高校の劣等生」ポータルサイト:https://mahouka.jp/
「魔法科高校の劣等生」公式X:https://twitter.com/mahouka_anime
「魔法科高校の劣等生」公式TikTok:https://www.tiktok.com/@mahouka_anime
(C)2024 佐島 勤/KADOKAWA/魔法科高校四葉継承編製作委員会
リリース情報
劇場版「魔法科高校の劣等生 四葉継承編」オリジナルサウンドトラック
【初回仕様限定盤】
価格:¥3,850(税込)
収録内容:
◆CD2枚
◆音楽:岩﨑琢 書き下ろし劇伴全38曲収録
◆主題歌:LiSA「YES」収録
◆三方背ケース:原作イラスト・キャラクターデザイン 石田可奈 描き下ろしイラスト
※仕様・収録内容は告知なく変更になる場合がございます。