カラコルムの山々 現時点で日本のどこにもない画期的音楽作品『カラコルムの風待ち計画』を紐解く

2026.5.6
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カラコルムの山々 撮影=菊池貴裕

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心の目を開き、遥かなる山々の呼び声を聴こう。唯一無二のキネマポップバンド・カラコルムの山々の最新EP『カラコルムの風待ち計画』がすごいことになっている。前作シングル「戻れメロス」で初めてタッグを組んだ藤井丈司のプロデュース第二弾「風車とウミガラス」を含む全6曲は、テクノミュージックと繊細なバンドアンサンブル、歌心溢れるメロディがくんずほぐれつ絡み合う魅惑のサウンドに、リーダー・石田想太朗によるロマンチックで真摯な人生啓蒙メッセージをぶちこんだ、現時点で日本のどこにもない画期的音楽作品だ。5月にはツアー、7月には久々のワンマンライブも決まって意気上がる4人に、バンドの成長と音楽の進化について根掘り葉掘り訊いてみた。

――「戻れメロス」から始まったバンドのニューモード。手ごたえはどうでしょう。

木村優太(Ba):ライブ中、想太朗はすごい外側に向いていて、僕ら3人は内側を向いて音楽でぶつかりあって、それを想太朗に向けて送る係みたいな、役割分担が進んできた感じがありますね。

――日々進化していくバンド。

ぐら(Dr):進化してますね。サウンド面での進化プラス、「戻れメロス」からはただ物語を描くだけじゃなくて、聴衆に向けた啓蒙的なメッセージ性みたいものをすごく感じていて。ライブのスタイルもどんどん外向きになっていってるのかな?という感じがしています。

小川諒太(Key):サウンド面では、確かにニューモードな感じがしてますね。カラコルムの山々は“物語を音楽に”みたいなところから始まって、映画館で着席して聴くような音楽だったんですけど、ライブハウスっぽく立って踊るみたいな、ダンスミュージックとしての面もフィーチャーされてきたのかな?と思っていて。「戻れメロス」でハードテクノが入ったり、今回のEPもバンドサウンドをたくさん織り交ぜつつ、キックがしっかり効いていて、頭を振れる音楽になっていると思うので。でもそれは、テクノとか電子音楽みたいなことだけじゃなくて、「戻れメロス」の一個前のシングル「甘露だらり」も、ラテンっぽくて踊れる音楽だなと僕は思っていたから、サウンド面以外の、何にフィーチャーしていくか?というところが変わってきたのかなと思います。

 

――“踊る”は大事なキーワードですか。

石田想太朗(Vo&Gt):踊るってつまり"祭り"だと思うんです。たとえば盆踊りって、その場の空気をみんなで共有する感じがあって、ライブでそういう要素を付加してくれる曲が増えてきたのかな?と思います。そもそもカラコルムがやりたいこととして、人間の“〇〇してしまう性(サガ)”という、ハマっちゃう、踊っちゃう、カッコつけちゃうとか、無意識にしてしまうことに人間らしさを見出して、それを愛してあげるということがすごくあると思っていて。たとえばライブで、バンドから「手を上げてくれ」と言われて手を上げるよりも、腕組んで見ちゃったり、気づいたら踊っちゃったり、そういうところを大切にするバンドだと思っているので。こっちは何もやってないように見えても、実は作りたいフロアが作れてるのかな?と思います。

――お客さんは祭りの参加者ですか。

石田:祭りってそういうものですよね。僕、大学で祭祀文化を学んできて、大石始さんの『ニッポンのマツリズム:盆踊り・祭りと出会う旅』という本を中心にやっていく授業だったんですけど、祭りによって「そのコミュニティに革命を起こすのが祭りだ」とあの本は言っていて。普段の日常があるからこそ、それを逆転する喜びを祭りでは感じられるよね、みたいなところって、めちゃくちゃカラコルム的だと思っていて。

――ああー。まさに。

石田:現実にあるワードしか歌詞には並べられてないけど、それを組み合わせて僕らが演奏することによって、それが聴けるその空間は革命的に逆転するよね、みたいなところがあるから、祝祭性はすごく大切にしているところではあります。

石田想太朗(Vo&Gt)

“風待ち計画”は人生計画なんです。“人生って色々連鎖してきたな”みたいな。24歳の自分にとってのいろんな結果論があるんです。(石田)

――1年前の前作EP『ブランコ・スカイライン』のテーマは“青春”でした。ずばり、今回のEP『カラコルムの風待ち計画』のテーマは?

石田:青春性は変わらずに、もうちょっと大きく見た時の話かなと思っていて、“風待ち計画”は人生計画なんですね。それは自己啓発本に書いてあるような人生計画の勧めではなくて、“僕らは今までこう進んできちゃったよね”みたいな結果論を、未来にも託そうぜという雰囲気があるんです。こういうものにハマって、でもうまくいかなくて、他のものを始めて、でもそれは最初に始めたことに結局繋がって、“人生って色々連鎖してきたな”みたいな。24歳の自分にとってのいろんな結果論があるんですね。

――はい。なるほど。

石田:Creepy Nutsの「だがそれでいい」という曲が僕は大好きで、昔のダサかった自分のことを連ねながら、「だがそれでいい」と言って肯定する曲なんですけど。それが好きな理由は、自分がダサかったところ、人間らしくやってしまったことって、全て大切なことがちというか、無駄なことは本当になかったと思うからで。それをこの段階で一度整理して、“僕はどういうふうに夢を進めてきたんだっけ?”ということを確認すると同時に、“じゃあ未来はどうしようか?”という期待を抱く、そういうEPになってるのかなと思います。1曲目「飛び出す教科書」で何かにハマり、2曲目「目で吸う東京」でそれについて知り……。

 

 

――ああそうか。その流れに沿って6曲が並べられている。

石田:自分の部屋でハマっていたことを歌う「飛び出す教科書」が最初にあって、社会とつなげるために東京に出てくるのが「目で吸う東京」で。3曲目「異常に未来っぽい」は、社会に出て色々知っていった時に、例えばどこの業界に入ったとしても、“めちゃくちゃ最高!”みたいな感じじゃなくて、こういう大変なところもあるよねとか、色々と出会っていくと思うので。そういうふうに知っていった先にある叫び、みたいなものが3曲目にはあって。

 

 

――面白いなぁ。4曲目以降は?

石田:大変なことはあるけど、やっぱり夢を叶えていかないと人生というものにならないよね、と考えた時に、自分をぶらさず、絶対いつか自分に風が吹いてくることを信じて待つのが、4曲目「風車とウミガラス」。その曲の最後で風が吹いてきて、自分の夢が叶うという流れになっているんですけど、その物語を総括するのが5曲目「授業(フラクタル構造について)」で、6曲目「夏は大人になってから(feat.カモシタサラ)」は、夢が叶って成功したあと、自分はどういう人間になりたいか?を考えた曲です。最近夏はどんどん凶暴になっていくというか、どんどん暑くなってきているじゃないですか。きっと夏って、まだまだ売れたいんだろうなって思うんですよ(笑)。春秋冬を蹴落としてもっと売れたいんだろうなって、夏を見てて思うんですよね。夏にとっての武器は暑さだし、暑さを極めきることによって、もっと美しい夏としてあり続けたい、みたいな欲望を、僕は夏に感じるんです。

 

 

 

――面白いなぁ。

石田:それは、夢を叶えた大スターのあるべき姿だなと思うんですよ。夢を叶えたから、そこで音楽に見切りをつけるのではなくて、“もっとやりたいでしょ? もっとかっこいいもの作れるでしょ?”って、貪欲に作り続けるスターが僕は好きなので。そういうのになりたいという気持ちが6曲目には入っています。

木村優太(Ba)

「夏は大人になってから」は、レコーディング中もこのテイクはたぶん一生聴けないな、みたいなことも感じたし。底知れなさがある曲だと思います。(木村)

――見事なコンセプト作ですね。素晴らしい。どうですか木村さん、すごいですよね。

木村:すごいですね(笑)。今までは自分たちの外側に世界を作って、箱庭的に物語を組み立てていった感じがある中で、今回は自分事として現実味を帯びているEPになった印象があります。自分の人生で言うと、何かを新しく始めた時に、最初の3か月ぐらいで結構いい感じのところまで行くけど、小学校からそれをやっていた友達にあっという間に抜かされる現象とか、あったんですよね。そこで、自分はこれを続けるべきなのか?と悩んだ結果が4曲目「風車とウミガラス」に繋がると思っています。

――今までは物語を作って、そこに自分を投影してきたのが、物語自体が自分に近づいてきたというか。

石田:これまでのディスコグラフィにあるような曲を作ってきて、人間の“〇〇してしまう性”についてずっと考えてきたけど、自分も人間だったということに、最近気づいた節があって(笑)。

――あはは。物語だと思っていたら、自分だった。

石田:そういう、謎の気づきはあったかもしれない。「戻れメロス」も、メロスが戻っている姿を思い浮かべた時に、すごい自分が見える瞬間があったというか……。だからテーマが自分に向いてきたというよりも、そのテーマで取り扱う題材が、より現実的なものになってきたということだと思います。家に帰りたいとか、逃げたいとか、売れたいとか、そういう自分の欲望が整理されて、ろ過されて純粋なものになってきたから、曲のテーマもそういうものになってきたんだと思います。

――それは間違いなく、3年間の積み重ねのなせる業。ぐらさん、EPの中でどの曲が好きですか。

ぐら:「夏は大人になってから」ですね。今言ったようなストーリーを描いていく中で、「風車とウミガラス」で終わることもできたはずなのに、その先を描いてしまうのがカラコルムらしいし、最後に恐怖を与えて終わるみたいな、すごい怖い曲だなと思います(笑)。ライブでやった時も、木村さんが熱中症みたいになっちゃって、そういうパワーを持っている曲です。

――熱中症? どういうこと?

木村:ライブで初演した時、曲の前に夏っぽい音を流しながら、カモシタサラ(インナージャーニー)さんと想太朗が詩の朗読をするという演出があったんですけど、それを聴いてる間に“これ帰ったほうがいいかも”と思うくらい体調が悪くなっちゃって。サラさんの声と想太朗の声が共鳴したのか、あれは一体何だったんだろう。

――とんでもなく毒性が強い曲じゃないですか。怖い。

木村:レコーディング中も、サラさんの声が生き物すぎる感じがしていて、このテイクはたぶん一生聴けないな、みたいなことも感じたし。二人が歌を録ってる時は神聖すぎて何も口を出せないみたいな、すごい空気がありました。そういう意味でも、底知れなさがある曲だと思います。

ぐら:私は元気に叩けました(笑)。音源には私の音は入ってないんですけど。

ぐら(Dr)

“大人”に活力を取り戻してほしいというか……(笑)。見る人が見たらファンタジーで終わるけど、大人が見たらファンタジーで終われない、みたいな。(ぐら)

――この曲のリズムは打ち込みですね。そもそも今回のEP、生ドラムが少ないですよね。

ぐら:ちゃんと叩いたのは1曲目、2曲目だけですね。「戻れメロス」もちょっとしか叩いてない。それをライブでどうするのか、「戻れメロス」の時にすごく悩んで、一個答えが出た感じはあったので。

石田:ライブのドラム、すごいですよ。

ぐら:EPの曲をライブでやる時に、新しく生まれたカラコルムのサウンド感に、どうやって自分が入っていくのか?みたいなことは、ずっと悩みつつ考えています。

――考えが柔軟ですよね。本当は音源も自分で叩きたい、というのはあるでしょうし。

ぐら:うん(笑)。でもやっぱり、想太朗がやりたいと思ったことには絶対理由があるし、何を考えてこれをやってるんだろう?って深読みしつつ、間違ったりもしつつ、そこに順応してついていくというのが、自分はずっとあるかなと思います。

――小川さん。鍵盤弾きとして、どんな作品ですか。

小川:ピアノがピアノっぽい動きをしている曲が多いというか。例えば「戻れメロス」は、本当に1個のリフしか弾いてないので、あれはあれで面白いんですけど、今回はコードや展開は決まってるけど、弾く内容はお任せというか。例えば「飛び出す教科書」の冒頭の、歌とピアノだけのところは、生のグランドピアノを弾いていて、結構久しぶりの感覚があって。サウンド感はニューモードで、その中でピアノっぽい動きをするという、そういう取り組みはなかなかないのでは?と思って、それが面白かったです。

――「戻れメロス」に続く、藤井丈司プロデュースの2作目「風車とウミガラス」はどんなふうに?

石田:「戻れメロス」は、すでに僕のデモがある状態から始まったんですけど、今回は“どの曲をやろう?”という感じでスタートして、10曲ぐらい作ったけど“全部違うね”となって。そこからどういうものを作ればいいのか、ぶれていく感じとも戦いながら作っていたんですけど、「風車とウミガラス」を作った時に……これまでボツになった10曲は、ワンコーラスしか作らなかったんですよ。でも「風車とウミガラス」だけは、フルで作らせてもらわないと伝わらないので、最初からフルの状態でデモを送ったんですね。たぶんそれが答えというか、それが藤井さんにも伝わって“これで行こう”となったので、作るべくして作った曲だったんじゃないかなと思います。

――「風車とウミガラス」は、1曲の中に数曲ぶんのアイディアが詰まっていて、展開がどんどん変わっていく。すごい曲です。

石田:最初は《どっどどどどう どどどう どどどう》っていうセクションがあって、あれが1曲だったんですよ。10曲の中の1曲として、「どっどどどどう」というタイトルで、キックがドッドドドウってずっと鳴ってる、「戻れメロス」的なハードテクノの曲でした。10曲書いて全部ダメだった時に、じゃあもう「どっどどどどう」にしようかと藤井さんが言ってきて、でも個人的に「戻れメロス」が一発勝負のアイディアみたいな曲だったから、今回はちゃんとストーリーテリングして起伏がある曲を作りたくて、「このセクションを入れた曲を考えるのでちょっと待ってください」と言ったんです。

――なるほど。そういう経緯が。

石田:この曲のテーマは“風”で、そこから“風が吹いたら嬉しい状況とは?”みたいなことをリストアップして、こいのぼりを上げた時とか、いろんなものを考えた中に風車があって。日本全国にある風車を順番に探していった時に、北海道のオトンルイ風力発電所の映像があって、30基の風車が海沿いに並んでいるんですけど、そのうちの一つだけ回っていない映像をたまたま見たんですよ。それを見た時に突然寂しくなっちゃって、こいつだけなんで回れてないんだろう?ってすごい気になって。その周りのフィールドワークをGoogleマップで、ストリートビューで歩きながら色々見て回って、このあたりにはオロロンって鳴く鳥がいるとか、そういうものを《どっどどどどう》と絡めて曲にしたという経緯がありました。

――Googleマップを見て曲作りのヒントにするとか、そういう発想が音楽家を超えているというか、作家なのか映像クリエイターなのか、脳みその使い方が面白いです。そもそも“どっどどどどう”って宮沢賢治ですよね。

石田:そうです。『風の又三郎』。

――「戻れメロス」は太宰治だし、「飛び出す教科書」にはエジソン、ヴァスコ・ダ・ガマとか、「目で吸う東京」では超芸術トマソン、「授業(フラクタル構造について)」ではコッホ曲線とか、興味津々なワードが山ほど出てくる。想太朗さんの頭の中では音楽、文学、歴史、数学、芸術とか、同じ場所に収まっているんですか。

石田:僕には創作物というものに対する違和感、嬉しい違和感みたいなものがあって。人が作り出したものって、何もしなければ生まれなかったもので、宮沢賢治の“どっどどどどう”だって、めっちゃ変じゃないですか。その“変だな”みたいな感じの創作物が好きで、“作る理由あったのか?”みたいな。それでも生まれてしまって残り続けている創作物がすごく好きなので。宮沢賢治だからというよりも、“どっどどどどう”が面白いから、という発想です。『走れメロス』という言葉もなんか面白いし、そこを「戻れメロス」に変えて遊べる余白があることが嬉しいし、そういう“面白いな”と思うことを、全部一個の箱に入れて使っている感じです。

――発明家に近いと思いますね。カラコルムの山々をまだよく知らない人は、まずこのEPを聴いて「風車とウミガラス」を聴いてほしいですね。いや、それより先にまず「戻れメロス」のミュージックビデオですかね。あれ、今までのMVの中で一番数字が伸びましたよね。あんな曲が、って悪い意味ではなくて、あんな先鋭的でぶっ飛んだ曲が、あれだけの人に刺さったのは驚きでした。

石田:「戻れメロス」は、全員が好きな曲ではもちろんないんですけど、あの曲を大好きな人がいるんですよね。なんとなく好きとかじゃなくて、局所的に異常に愛してくれてる人がいて、それは嬉しかったです。

――スイートスポットは狭いけど、どんぴしゃでハマった人が何万人もいたという。ぐらさん、どう思いますか。カラコルムの山々は、どういうリスナー層にズバッと刺さるのか。どんなイメージを持っていますか。

ぐら:なんか、“大人”に活力を取り戻してほしいというか……(笑)。このEPも、生々しさとかリアルさがすごくあって、たぶん「風車とウミガラス」とか、見る人が見たらファンタジーで終わるけど、大人が見たらファンタジーで終われない、みたいな。それはやっぱり想太朗が、自分の人生を曲の中に晒しているからだと思うし。例えばドンデコルテの銀次さんの啓蒙って、自分を晒しているからあそこまで啓蒙できるんだろうなとすごく思うんですけど、最近のカラコルムの啓蒙感も、晒すから啓蒙できる感じがすごくしていて。だから“大人”の人に刺さってほしいなと思います。

木村:今回は人生的にもがいている、生々しい部分を曲にしているものの、おしゃれに着飾ってるじゃないですか。まっすぐな言葉で伝えないで、ちょっとカーブさせて伝える感じが、悩んでることがあった時にも、そのまま悪口をXに書かないような人たち、焦ってるところをなんとか、なんでもないように見せたくなる人たちに、刺さるんじゃないかな?と。その逃避の仕方は、すごい現代っぽいなと思うし、そういう人がたくさんいると思っているので。

小川諒太(Key)

スイートスポットが狭そうな音楽をガチでやっているように見えるのは、全ての好きなものを自分事にしているから。(小川)

――この話面白いなぁ。小川さんの意見は? カラコルムが刺さる層について。

小川:前回のEPの『ブランコ・スカイライン』では、例えば高校生の時の部活で、いろんなことをガチになってやっていたことを、冷笑せずにちゃんと描くことをやっていて。そして今回は、想太朗がさっき話したように、「1曲目で自分の好きなものを見つけて、2曲目でそれをいろんなものと接続させて」みたいに、自分の“好き”を自分事にしていく人、という感じがあって。結局、もっとガチになっていいんだよ、ということだと思うんですね。

――ですね。

小川:カラコルムが、それこそスイートスポットが狭そうな音楽をガチでやっているように見えるのも、僕らは音楽をやっているから音楽にガチなのではなくて、全ての好きなものを自分事にしているからガチなのであって、それはどんな仕事をしていても変わらないと思うので。そう思ってくれれば嬉しいし、そういう人が増えたらいいな、みたいな感じではあります。

――そのメッセージは、届く人にはしっかりと届くと思います。ある意味、これまでで一番破壊力あるEPだと思います。そしてリリース後はライブですね。5月にツーマンのツアーがあって、7月にバンド史上2度目のワンマンライブ。

石田:ツアーでは、ロックバンドとしてしっかりライブ感のあるパフォーマンスをするつもりです。

小川:意外と対バンは、全バンド“はじめまして”なんですよ。

――5月21日の大阪・心斎橋Pangeaはクジラ夜の街、29日の東京・Shibuya Milkywayはアーバンギャルド。はじめましてとは思えないメンツですけど、お客さんの嗜好も近い気がする。7月30日の東京・渋谷WWWでのワンマンはどうですか。どんなものを見せたいですか。

木村:今まさに演出を会議していて、WWWという大きいハコでどういうことやろうか?と考えているところです。EPが等身大だからこそ、ワンマンもすごい人間味のあるライブになるんじゃないかなと思うし、今までの自分たちで作ってきたライブのエッセンスも取り入れつつ、新しい感じのライブになるんじゃないかなと思います。

ぐら:対バンライブにはいろんなバンドを見る楽しさがあるんですけど、会場に入った瞬間から出る瞬間まで全部をプロデュースできるのが、ワンマンライブの楽しさだと思うので、去年の1回目の時以上に、ライブを見たというよりかは“体験した”みたいな感じの1日になればいいなって、すごく思いますね。

――WWWは映画館っぽい空間だから、雰囲気を作りやすいし。楽しみですね。

小川:楽しみです。前回のワンマンは演出盛り盛りで、色々作り込んで、無我夢中って感じでしたけど、去年の9月から12月にかけて行った東名阪対バンツアーの時に、僕らの中でライブをすることに対する解像度が一段上がった感じがしていて。セットリストにも細かく修正を加えていって、ファイナルの東京の前日の夜に、ここまで作り上げたものを明日発表することについて、早く発表したい気持ちと、見せちゃうのが惜しい気持ちと、ワクワクするせめぎ合いみたいな、遠足の前日みたいな気持ちではち切れそうになったので。次のWWWワンマンは演出もたくさん盛り込んで、ぐらが言ったような“体験”みたいなことになると思うので、前日の夜には“もう見に来てくれるだけでいい”という心持ちになるような、そんなライブになるんだろうなと思っています。

――期待してます。

小川:あと個人的には、6曲目の「夏は大人になってから」を、WWWで20分ぐらいやる夢を見たんですけど(笑)。あんまり夢に音とか出てこないじゃないですか。でも珍しく出てきて、感動した覚えがあります。

――正夢じゃないですか(笑)。「夏は大人になってから」のトランステクノバージョン20分、有りだと思います。

小川:20分やるかどうかわからないけど(笑)。そういったことになるような気がします。

木村:また体調悪くなっちゃうかもしれない(笑)。

――7月30日は真夏ですからね。木村さんが熱中症にならない程度に。

木村:気を付けます。頑張ります。

取材・文=宮本英夫 撮影=菊池貴裕

ライブ情報

カラコルムの山々の丁重なおもてなし

2026年5月21日(木)
大阪・心斎橋Pangea
GUEST:クジラ夜の街
 
2026年5月29日(金)
東京・Shibuya Milkyway
GUEST:
アーバンギャルド(TECHNOPOP SET)、テレビ大陸音頭
 
全公演:OPEN 18:30/START 19:00
前売 ¥3,500
 

カラコルムの山々 One-Man Show 「カラコルムの風待ち計画」
2026年7月30日(木)WWW
START 19:00

オールスタンディング¥4,000
オールスタンディング(U-22)¥3,000

リリース情報

配信EP『カラコルムの風待ち計画』
2026年4月29日配信
配信URL 
https://orcd.co/karakoram_kazemachi
<収録曲>
1. 飛び出す教科書
2. 目で吸う東京
3. 異常に未来っぽい
4. 風車とウミガラス
5. 授業(フラクタル構造について)
6. 夏は大人になってから (feat. カモシタサラ)