三山凌輝がミュージカル初挑戦『愛の不時着』で見せる芝居の可能性「ギュッと凝縮されたものをアウトプット」

2026.6.8
インタビュー
舞台

三山凌輝 撮影=浜村晴奈

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7月12日(日)~26日(日)まで東京・THEATER MILANO-Za、7月31日(金)~8月2日(日)まで大阪・東京建物 Brillia HALL 箕面 大ホールにて、ミュージカル『愛の不時着』が上演される。世界的大ヒットを記録した韓国ドラマを日本人キャストでミュージカル化する同作は、パラグライダー飛行中の事故で北朝鮮に不時着してしまった韓国の財閥令嬢のユン・セリ(花乃まりあ)と、朝鮮人民軍軍人のリ・ジョンヒョク(三山凌輝)の国境を超えたラブストーリー。2022年9月に韓国でミュージカル化され、2024年2月に日本初上陸。今回は待望の日本人キャストでの初上演となる。そこで今回は、リ・ジョンヒョク役の三山凌輝に同作の見どころや、役に関連したエピソードなどを訊いた。

●最初に見たときは、リ・ジョンヒョクのことを大人に感じました

三山凌輝

――『愛の不時着』出演のお話が来たとき、どのように感じられましたか。

コロナ禍、仕事が全部止まった状況の中「なにかインプットしたい」「できることはないか」と思い、少しでも自分の幅を広げたいと思い、最初に見た韓国ドラマが『愛の不時着』でした。人間としての核心と覚悟、そして人生の岐路を自分の手で決断していく姿が心に刺さって。そのメッセージ性に感銘を受け、思い入れのある作品になりました。

――実際に鑑賞して幅は広がりましたか。

コロナ禍に一度見て、そのあと改めて作品に触れてみたのですが、当時と今では自分のフェーズも全然違います。最初に見たときは、リ・ジョンヒョクのことを大人に感じました。でも数年を経て、いろんな経験や環境の変化が自分にも積み重なったこともあり、リ・ジョンヒョクのキャラクターの深みをしっかり感じることができました。今回、そのあたりを演じられたらと思います。

――演じられるリ・ジョンヒョクの印象はいかがですか。

初めて見た時はクールな印象でしたが、改めて見返すとチャーミングで、またユン・セリとの関係性が生む状況的なパワーバランスもあって、そのヒエラルキーがラブコメチックでかわいいなと。そういう意味ではただ格好いいだけではなく、人間味をどう表現するか、そして熱い部分などのギャップをどういうふうに演じようかと考えています。

――リ・ジョンヒョクは部下に慕われ、信頼が厚いリーダーです。三山さんも多くのプロジェクトを率いる立場として、共感できる部分はあるのではないでしょうか。

僕は会社の社長もやっていますが、応援してくださる方、お世話になっている方、仲良くしている方、いろんな方々に内側からも外側からも支えてもらっています。リ・ジョンヒョクもそうなのですが、僕自身もそんなみなさんと分け隔てなく接していて、そこで信頼感を築くことができています。相手としっかり会話し、向き合うことを心がけていて、そういう部分がみなさんとの良い関係性につながっている気がします。でも実際のところ、リーダーといった肩書きはあまり必要ないのかなって。

――というと?

自分ができることをやっているだけなんです。リ・ジョンヒョクを見ていても気づかされますが、やるべきことをしっかり責任を持ってやる。そういうシンプルなことが、事業などを進める上では大事だと思います。僕の場合はエンターテインメントの場を通して、自分が伝えたいことをお客様に受け取っていただきたい。それを形として表し、それぞれの場所で昇華していくということなんです。

――ちなみに三山さんにとっての理想のリーダー像は?

少年漫画に出てくる主人公たちですね。「俺はこうするんだ」と考えて旅に出て、気づいたらたくさんの仲間を巻き込んで、みんなで同じ目標へ向かう。自分はそういう少年漫画の主人公に近い性格なんです。だからこそ、少年漫画の実写化作品にも挑戦してみたいです。

●諦めることが失敗ではない。他に目を向けることで可能性が広がる

三山凌輝

――一方で『愛の不時着』の中には、リ・ジョンヒョクをライバル視する存在も出てきます。

誰かにバチバチに意識され、圧をかけられるのって大変ですよね。僕は、自分自身のフィールドでずっとやってきて、ある意味、パイオニアな部分があると思っています。リ・ジョンヒョクと同じように、周りにどんな評価をされてもあまり気になりません。ただ、自分自身は人を受け入れる余裕や、リスペクトの気持ちも忘れていません。世の中、忖度しなければいけないことも多いですし、その中で悔しい経験もしています。全部ひっくるめて、「成功してリベンジするぞ」と行動するのがもっとも分かりやすいやり方ですよね。

――リ・ジョンヒョクはあるキッカケで、自分の夢を断念します。三山さんは断念した夢はありますか。

小学生か中学生のとき、弁護士になりたかったんです。そうしたら誕生日プレゼントで塾の先生が六法全書をプレゼントしてくださって。でもその一冊の厚みを見て、断念しました(笑)。しかも六法全書って一冊だけではなく“何々編”みたいにいくつかに分かれていると知って、「さすがに無理!」って。でも弁護士役をやらせていただく機会もあったので、このタイミングで勉強してみようかと思っています。

――実際、昔からの夢を諦めて新しい道に進む人も多いですよね。

諦めることが失敗ではないと思います。他に目を向けることで可能性が広がることもあるのではないでしょうか。僕の場合は表現の場にコミットすることができましたし、表現者として突き詰めたいという気持ちが大きくなりました。物事を諦めると「後がない」と思ってしまいがちですが、そんなことは誰も決めていない。風潮がそうさせているだけで、自分が動くか、動かないかではないでしょうか。

三山凌輝

――今回、ミュージカル初挑戦になりますが、ご自身の可能性がさらに広がりそうですね。

舞台は生もので、公演数がたくさんあっても、同じ舞台は二度とないはず。本番での役者のフィーリングやお客様の受け取り方によっても変わるでしょうし、そういうライブ感を楽しみたいです。

――物語同様、思いがけないところに着地する可能性もありそうですよね。

お芝居をやっているとそういうことが度々起こります。ドラマ『往生際の意味を知れ!』(2023年/TBS系)で、相手役の方が泣いてもおかしくない場面で、僕が泣いてしまったことがあって。泣くような役でもないし、そういう台本でもなかったんですけど、話を聞いていたらこっちの感情が揺さぶられてきて。しかもきれいに一滴だけ、ツーッて涙が流れてきたんです。監督も「なんで三山くんが泣いているの?」と笑ってくれて。結局、意味深になりすぎるからその場面は使われなかったんですけど、お芝居の化学反応ってこういうことなんだと思いました。

――今回の舞台は、ラブストーリーだけでなく社会背景など多面的な魅力がありますね。

歌や芝居はもちろん、アクションもかなりあります。稽古ではアクションに強い韓国チームのみなさんにご指導いただけることになり、事前に「こういう方向でいきましょう」としっかり話し合いもさせていただきました。今回の作品はギュッと凝縮されたものをアウトプットすることになりそうなので、いろんなアプローチでお客様の感情に届けたいです。一方で、そういった様々な要素を違和感なくつないでいくことを意識して、稽古に臨もうと思います。非現実的な面もミュージカルのおもしろさなので、それを良い形で作り上げ、満足度の高い作品にしていきたいです。

三山凌輝

取材・文=田辺ユウキ 撮影=浜村晴奈

上映情報

ミュージカル『愛の不時着』
【東京公演】
会場:THEATER MILANO-Za
日程:7月12日(日)〜26日(日)
料金:<平日公演>S席15,000円、A席10,000円、B席(当日引換え)6,000円
   <土日公演>S席16,000円、A席11,000円、B席(当日引換え)7,000円
主催:フジテレビジョン、サンライズプロモーション
問い合わせ:サンライズプロモーション 0570-00-3337(平日12時~15時)
【大阪公演】
会場:東京建物Brillia HALL箕面 大ホール
日程:7月31日(金)〜8月2日(日)
料金:全席指定15,800円、U-22 7,800円(22歳以下当日引換え)
主催:フジテレビジョン、サンライズプロモーション大阪
問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(12時~17時、土日・祝除く)

原作:tvNドラマ『愛の不時着』パク・ジウン執筆
脚本:パク・ヘリム
演出:イ・サンフン
音楽:パク・ジヘ
翻訳・訳詞:高橋亜子
出演:三山凌輝、花乃まりあ、KAZUTA(n.SSign)、中村麗乃、上田堪大 他
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