山本耕史「舞台人生に区切りをつけたけど……」 日米合作ブロードウェイミュージカル『フル・モンティ』の見どころとは?
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山本耕史
日米合作ブロードウェイミュージカル『フル・モンティ』が2026年8月19日(水)から東京国際フォーラムホールCほかで上演される。
1997年の映画をもとに誕生し、トニー賞作品賞を含む9部門にノミネートされた傑作コメディ・ミュージカル『フル・モンティ』。世界中を笑いと涙で包んできたブロードウェイミュージカルが、この夏、日米合同制作として新たに生まれ変わる。
主演のジェリー役には、日米合作『RENT』(2024年)にも出演し、国際的な評価を得た山本耕史。そして、現在ロサンゼルスを拠点に、芸人・俳優・映画監督としてグローバルに活躍するゆりやんレトリィバァが、本作でミュージカル初挑戦を果たす。さらにブロードウェイで活躍する実力派のキャストが集結し、全編英語上演で男たちの友情と再生の物語を描く。
今回、SPICE編集部は取材会に参加し、主演の山本耕史にインタビュー。日米合作の始まり『RENT』の公演から、『フル・モンティ』の作品で心動かされた瞬間などをたっぷり語ってもらった。
日米合作ブロードウェイミュージカル『フル・モンティ』
ーー2024年に日米合作のブロードウェイミュージカル『RENT』に出演されてから、今回は日米合作の『フル・モンティ』です。まず、知らせを聞いたとき、どう思われましたか。
まさかこういう風に繋がるとは思ってもいませんでした。『RENT』は1998年初演、99年再演で、僕が20代の頃に出演した作品で、山本耕史という俳優の大半を作った大切な作品でした。そして紆余曲折があり、2024年に再びやることになって……しかもそれが全編英語上演で……。僕の中で1つの舞台人生に区切りをつけたところだったんです。
そうしたら、『RENT』の演出家だったトレイ(・エレット)が、『RENT』が終わったときに「次は何やる?」と言ってきた。日本でよくある社交辞令のような感じで、そうやって言ってくれたのかな、とはいえ嬉しいなと思って「何やろうか?」なんて軽い気持ちで返したんです。そして、「耕史にぴったりのがある!」と言われて。有難いことにスケジュールがガラ空きだったわけでもないし、なかなか実現は難しいのかな、調整をしていかないと無理だしな、なんて思っていたんだけど、「2025年の春はどう?」とか具体的なスケジュールの話も出てきて、トレイは割と本気なのかも……と思いました。
僕と彼の間の話だけだと大変なことになっちゃうから、キョードー東京さんに「本気っぽいんだけど」と相談して、今から1年半ぐらい前から動き出したんです。だから、僕の中では再びやる話が舞い込んだというよりは、もう『RENT』が終わった直後から、「ずっとそんなこと言っていただいているけど……?」みたいな状態がずっと続いていたんですね。
母国語ではない英語で舞台に立つことって、想像を絶する大変さがあるんですが、でも、「またやろうよ」と言ってくれると言うことは、『RENT』がそんなに悪くはなかったんだなと思ってね(笑)。それが1番嬉しかったし、そう言ってもらった以上、「いや、もう僕はできないよ」と言うことはないなと思ったんです。僕ができると思っているから、声をかけてくれているわけだから。
山本耕史
ーーあらためて『RENT』が山本さんにとって大切な作品であることが感じられます。
僕は生まれたときからこの仕事に関わっていたので、仕事というのは理解しているけど、基本的に遊びの延長として捉えている部分があったんです。子どもだったから。
今でこそミュージシャンの方とか舞台未経験の俳優さんがミュージカル初挑戦とかあるけど、昔は本当に舞台は舞台の人たちがやっていた時代。でも、初演の『RENT』って、僕以外全員ミュージシャンだったんですよ。僕だけ俳優業をやっていて、一応僕も音楽をやっていたから、両方経験がある僕がマーク役をやることになったんですけど……舞台俳優さんだけでやる舞台とは全然違う世界観だったんです。なんていうのかな、戦い合っている感じだったんです。
いい悪いは置いておいて、やっぱり舞台俳優さんだけがやる舞台は、ちゃんと足並みを揃えて、あまり突き出ないようにして、うるさいことも言わないようにして……みたいな世界だったのに、『RENT』は「もうそんなの関係ない!」という人たちばかり(笑)。優等生がいない感じの世界の中に21歳の僕は放り込まれたわけです。
2000年を迎える前、エイズや同性愛がある中で、ジョナサン・ラーソンという人が、今のブロードウェイの音楽、ミュージカルは50年ぐらい遅れていると、胸に感じながら作ったのが『RENT』なんですけど、まさに日本で『RENT』をやったときも、いろいろなグランドミュージカルや音楽劇がありましたけど、『RENT』ってやっぱりちょっと異質だったんですよね。時代に逆行するエネルギーに溢れていた。
その後、僕もいろいろな舞台をやるんですけど、僕はどこか物足りなさを感じていたんです。近い作品はあるんだけど——それこそ、『RENT』を作ったジョナサン・ラーソンの『tick,tick... BOOM!』にも出演しました。曲調も似ているし、底にあるものは結構同じなんですけど、アウトプットという意味では荒削りで『RENT』に敵わないな、と。それぐらい、僕の中に深く刻み込まれていたんですよ、『RENT』という作品が。僕がやりたいのって、『RENT』なんだよな、『RENT』以外やりたくないとも思っていた。
そして、2024年。本当にいろいろな大人の事情や紆余曲折を経て、また『RENT』にマーク役として立つことができた。今までいろいろなことやってきたのは、この『RENT』にたどり着くためだったのかもしれないと思ったし、ここで自分のためにもリベンジというのかな、結果、酷評でもなんでも『RENT』の舞台に再び立ちたいと思ったんです。全編英語上演という相当ハードルが高いチャレンジだったけれどね。またチャンスが巡って、ボーナスみたいな時間でした。
山本耕史
ーー『フル・モンティ』もまた新しい冒険です。
そう。ちゃんとしたディテールを聞いてみないと、なかなか飛びつけない作品じゃないですか(笑)。『RENT』はどういう作品なのか知っているし、歌もセリフも全部何となくでも理解していたわけだけど、今回はこれゼロからですしね。もちろん映画版は知っていますけど、舞台と映画もまたちょっと違うから、ある意味『RENT』以上のトライではあるんですよ。だから、やると決まった以上、もうやれることをやるしかないと感じました。
ーー『フル・モンティ』のミュージカル版はご覧になったことは?
見ていません。映画を見ましたけど、僕、映画もミュージカル映画だと思っていたら違ったんだもの! しかも設定もちょっと違うから、そんなに無理してみる必要はないかなと思っていますが、いや、ミュージカルにぴったりな作品ですね。映画版が1997年で、2000年にミュージカル化されるわけですが、同じ頃『プロデューサーズ』とかあらゆる強い作品が来て、ちょっと埋もれた作品だったんです。トレイも「すごく傑作なのに、勿体無い」と言っていたな。
主人公たちがある意味どん底から、一般の常識を飛び越えて、1日だけ、その瞬間だけなんですけど、ヒーローになる。すごく爽快なエンディング。作品の作りとしては、僕がやったミュージカル『メンフィス』にちょっと似ていて。黒人の中に白人が入って、ずっとみんなから否定されていた“ブラックミュージック”が最高なんだと、白人の男の子がどんどんブラックミュージックを広げて、最後、彼はクビを切られてしまうんだけど、アイツがいなきゃダメなんだと黒人の人たちがその白人をステージ上にあげる。そういうどん底から、リベンジしてくれるというか、仇を取ってくれるみたいな作品なんですよね。
だから『フル・モンティ』も、自分たちの生活の中にあるいろいろな葛藤——スキンシップが無くなった年を重ねてきた夫婦間とか、未だに母親と住んでいるちょっと弱い自分とか、そういうものから全員がこの瞬間だけはおさらばするぜ! みたいな。それが全裸という、非常に人間らしさがある。自分を守るために着飾るんじゃなくて、もう全部脱ぎ捨てる。本当にすごくいい作りだなと思いますね。
ーー例えばどういうところがミュージカルにぴったりだと?
ちょっとエッチなセクシーな本を男同士で見るときに、めっちゃくちゃかっこいい曲が流れるんですよ。もう1番僕が好きな曲ぐらい、サウンドがかっこ良くてね。それから、マルコムが死にたいといったときに、やめろよ、自分で死ぬなんて、僕らがやってやるよという曲がものすごいラブリーないい曲なんです。歌詞をちゃんと聞かないと、世界が止まって、君と僕だけがここにいて、君の手を取って一緒に明日も明後日も10年後も20年後も一緒にいようよ、みたいな曲調なんだけど、よくよく聞くと、僕がこの石で君の頭をかち割ってやるよみたいな歌詞なんですよ(笑)
そういうちょっと相反している部分というのかな、コメディタッチな部分がピッタリだなと思っています。すごいダンスシーンがあるわけでもなく、見せるショー的な要素は特にないんです。何なら1番最後にステージ上でストリップをしていくのがショー的な要素なんだけど、決してみんながモダンなダンスを踊ってるわけでもないし、ジャズダンスでもなければ、ダサい、ゆっくりしたダンスなんですよね。だから、それもなんかグッとくる。おじさんたちが一生懸命やっていることに。そういうのが全部、音楽とストーリーとキャラクターがフィットする感じが、ミュージカル版の『フル・モンティ』の魅力なんじゃないかなと思いました。
山本耕史
ーーすでに作品の力に魅了されているんですね。
まぁ、魅了されないとちょっと辛いじゃない?(笑)。オンライン稽古は始まっていますけど、まだ立ち稽古は始まっていませんし、どうなるでしょうね。僕は立って動かないと分からない俳優だし、セリフが母国語ではないから尚更ね。日本語なら、本番までにセリフを覚えていればなんとか形になるかもしれないけど、母国語ではない分、セリフをアドリブで交わすこととか至難の業だし、ほぼ無理なことだから、まぁいろいろ考えなくてはいけない。
『RENT』が8割音楽で2割セリフだったけど、今回の『フル・モンティ』は8割セリフで2割歌みたいな感じ。しかも『RENT』は基本的にモノローグだったから、自分のタイミングで喋って始められるんですけど、『フル・モンティ』に関しては会話ですから、もうね、いろいろ大変ですよ(笑)。
ーーちなみに、トレイさんはなぜ山本さんにピッタリと言ってくれたんですか?
(胸を張って)この体でしょうね。
今回の『フル・モンティ』にも出ているイーサン役のスティーヴン(・ロシェット・ロペス)が『RENT』のときに後半、ロジャー役もやっていたんですね。彼もすごい体をしているんだけど、開幕後にアメリカに帰ったトレイに「今日もスティーヴンがロジャーをやるよ」とメッセージしたら、「知ってるよ。多分、耕史のマークと、スティーヴンのロジャーでマーベルのヒーローたちみたいになっているんだろ?」と言われたぐらいだから(笑)。
体以外のジェリーというキャラクターとしては、這い上がっていく感じとかにシンパシーを感じてくれたのかな。僕個人としては、ジェリーには子どもがいる設定だから、共感できることも多い。子どものために奔走するというのが1番の核なので、そこはもう何の迷いもない。やっぱりね、子どものためなら何でもするよなと思うから。『RENT』のときに家族の話をしたり、実際に連れて行ったりしていたから、トレイもそこは分かってくれていたのかもしれない。
ただ、ジェリーって、作品の中では実はあまり個性がないんですよ。例えば、デイヴはぽっちゃりで、ハロルドは紳士だけど、なんかちょっとダサくて、マルコムは弱虫でお母さんと一緒に住んでいて……と特色があるんだけど、ジェリーに関しては、特に背が高いわけでもないし、実はマッチョでもないんです(笑)。ジェリーとデイヴに対して、「お前は痩せすぎだし、デイヴは太りすぎだ」というセリフがあるぐらいだし。これは深読みかもしれないけど、『RENT』の中でネイティブの中で1人だけ、マークは本来アジア人がやる役ではなかったはずなんだけど、異質だけど朴訥とした何かを、もしかしたらトレイは僕に感じてくれて、ジェリーもいけるんじゃないかと思ってくれたのかもしれないですね。トレイの中で、ジェリーのわあっと出られないジレンマと、でもそれでも子どものために何かしたいというところが、僕とどこか繋がったのかな。
ーー日々体を鍛えていらっしゃると思いますが、今回は体の作り込みはどうされるのでしょうか。
作品を見ると、やはりデイヴを引き立つために、ある程度細い人は必要だと思います。とはいえ、基本的に海外の俳優さん、みなさん体がしっかりしていますからね。「マッチョ」という設定の人はいないんだけど(笑)。
多分、今僕が日本の年下の男の子たちと舞台に立ったら、僕がものすごく大きく見えると思うんだけど(笑)、海外勢のルックスと並ぶとね、そんなに変わらないはず。彼らの身長体重が分からないから、実際に彼らと会って、どこを大きくするか、絞るかは考えようかな。少なくともだらしない体を出してはいけないと思うから、日本代表として、筋肉を整えてはいきます。はい。
ーー今回は、ジョージー役にゆりやんレトリィバァさんが出演されますね。印象は?
バラエティ番組などですれ違ったりしていなければお会いしたことがないのですが、彼女こそ、すごくないですか? 初めてのミュージカルですよね? それがブロードウェイの人たちと英語上演ですよ。いや、ワクワクしているのか、怖いのか、楽しみなのか、心境を聞いてみたいです。
『RENT』のときは(クリスタル・)ケイちゃんもいたけど、彼女は国籍もグローバルだから、実質「日」は僕だけで、「日米合作」と言いながら「日」を背負いすぎていたんだけど(笑)、ゆりやんさんがいるのは心強いですよ。僕は意思疎通は困らない程度にできるけど、英語をべらべら話せる訳ではないから『RENT』のときは8割ぐらいしか、演出の話とか分かっていなくて、分かっていたフリをしたんだけど(笑)、ケイちゃんにいろいろ助けてもらったんです。「今、なんて言ったの?」って。だから、今回はゆりやんさんに助けてもらいたいかな。
最初に出てくる役だし、彼女が出ることによって、日本のお客さんがきっとふぁっと気持ちが軽くなって始められるんじゃないかなと思っています。ピッタリの役ですよ。
ーー日米合作ということで、やはり日本のカンパニーとは違いますか?
何もかも違います。当然ながら、言葉が違うのは大きいですよね。そのほかやり方で言うと……日本のカンパニーにも海外のカンパニーにもいろいろあるだろうし、日本のカンパニーに海外の演出家が1人来るのと、海外のカンパニーに日本の俳優が1人入るのも全然違うと思うんですけど、『RENT』のときは日本に合わせてやっていない感じがありました。演出家の指示が絶対とか、そういう慣習みたいなものが全くない気持ちよさがね。
今まで舞台で培ってきた経験やスキルが全く使えない訳です。だから、そういった意味では日本でやる山本耕史らしさみたいなものは全くなかったし、それが僕にとっては新鮮で良かった。人間って年を取れば取るほど、先生にはなるけど、生徒にはなかなかならないじゃない。習い事でもしない限り。細かくやっていく中で、ああ、僕もやってきたことはあったんだな。自信を持っていいんだなと思ったことはありました。1歩動く強さとかね。でも、『RENT』のときは、全員が先生みたいだったんです。僕より半分ぐらいの歳の子たちばかりだったけども。
だからこそ、トレイの演出も素直に聞けた。例えば「ここは正面を見て、ここは横を向いて」というディレクション。今まではそれを聞くと、多分「なんで?」となるんです。「どうしてここで正面を向かなくてはいけないの?」と突っかかってしまいがちなんですけど、『RENT』のカンパニーは素直に生徒として聞けたんです。同時に、僕は今までいろいろ考えていたんだなと思ってね(笑)。僕は何かを埋めようとして、舞台上に立っている時がたくさんあった。それが悪いことではないと今でもないと思うけど、『RENT』に限っては、作品の力もあると思うけど、そういう配慮みたいなものがいらない瞬間がいっぱいあったと立ち返った感じがしました。
ーー『フル・モンティ』で山本さんが1番心が動かされたシーンは?
割といっぱいあるんですよ(笑)。ハッピーに心掴まれるシーンと、何かが閃いた時のシーンは頭の方にもちろんあるんですよね。その後、いろんな出会いがあったり、いろんなオーディションの引き抜きがあったりして、でも、なんだかんだ1番ずっと核にあるのは、自分の子どもが手を差し伸べてくれるみたいなところ。ショーをやるんだけど、そうではない、安心できる瞬間なのかな。パフォーマーとしてというよりも、ゆっくり呼吸しながらできる気がする。あとは、もう無呼吸でやるようなシーンも結構あるから(笑)。まぁ、それはそれで楽しいんですけどね。ここを突破すると爽快さを感じるシーンもあるんですよ。1幕ラストとか。
でも全体的に通して、子どもとの関係性の瞬間だったり……あとは最後かな。やっぱり自分にはできないと諦めて、楽屋に閉じこもってしまうところに、子どもが来て「もう少しでグレードなパパだったのに」と言われて。で、最後に5人でやっているところに最後ポンと出てきて、その爽快さは、絶対みんな心が洗われる瞬間になるって思いましたね。
山本耕史
ーーもう聞いているだけで泣けそうです。
しかも出方もうまいんですよね。振付もステージングもそうなんだけど、デイヴの体勢が低いポジションになった時に後ろからバッと跳び箱みたいに飛んでくる。今回の演出がどうなるか分からないですけど、あまり格好すぎてもよくないからね。そこで終わってもいいのに、そこからまた全部脱がないのかと言って、じゃあもう1発行くかとなって、最後脱ぐところで終わるというね。爽快さが最後に来るのが、感動と笑いと同時に心掴まれる瞬間です。
ーー暗いニュースも多い中で、明るさや爽快さを求めて劇場に来る方も多いと思うんですが、作品を通じて、お客さんに向けてどういった体験をしてほしいですか。
作品って、振り子じゃないけど、ハッピーとの対比で、ものすごい暗い事件が起こる作品——例えば『RENT』だったら、エンジェルが死んじゃうけど、明日に向かっていくわけですよね。あれがすごいのは、最後、終わったときにエンジェルが出てくるというね。カーテンコールかどうかも分からないところに出てきて、ALL OKになっちゃう演出はすごいんだけど、『フル・モンティ』に関しては、ものすごい暗いこと——まぁ、お葬式のシーンはあるんだけど、誰かが事故でとか、病んでとかはなくて、非常に日常的なことなんですよ。大事件が起きるわけはなく、もう事件は起きているところから始まって、工場が閉鎖して、クビを切られた人たちが集まるところから始まるわけだから。これは作品としてはかなり珍しいタイプですよ。引き金をぐーっと引かないとそこまでいかないのに、割と浅い出発点がバーンと行くから。悲しいことをそんなに表現しないで、爽快さが突き抜けた作品はすごい珍しいし、難しい。だから、とってもいい作品なんだなと思いますね。
暗い歌をあんなラブリーにして笑わせるというのがすごいし、ホース役が出てきて「大丈夫か? どう見ても50歳だぞ」と言われてさ、今年で50歳の僕からしても複雑なセリフなんだけど、そんなホースが歌を歌うとめちゃくちゃ上手くて格好いいわけ。そういうギャップもたまらないはず。さっきも少し話した通り、「やっぱり俺には無理だ」と1回落ちこぼれるところから、最後ダダダとダッシュしてく感じにもジーンとくる。何かに立ち向かう方が僕は割と心掴まれます。
ーー改めて山本さんにとって舞台の魅力とは?
よく聞かれるんですが、難しい質問です。よく言われることかもしれないけど、やはり映像はどこか自分と違う世界に感じられる一方で、同じ空気の世界観というは舞台やライブでしか作れないですよね。それに、巻き起こっていることが頭から最後まで一応時間軸が繋がるから、1つの人生を垣間みられる。テレビでモーツァルトの人生のダイジェストを辿るのとは違って、モーツァルトがそこに生きていて最後死ぬまでを、感情とビジュアルを一緒に体感できるのは、舞台でしか無理ですよね。
あとは、映像で残すことはできるけど、実態で残すことができない良さがある。最近は例えば街中で有名人を見かけても、みんなスマホで撮るでしょう? 誰も自分の目に焼き付けようとしない。後で映像や写真で見るために撮っている。だけど、舞台っていうのは撮れないでしょう? そうすると、自分と体感でしか証明できない何かがあるんですよね、舞台って。他にはないです。
山本耕史
取材・文=五月女菜穂 撮影=敷地沙織
公演情報
日程:2026年8月19日(水)~9月7日(月)
会場:東京国際フォーラム ホールC
日程:2026年9月10日(木)~9月14日(月)
会場:新歌舞伎座
作詞・作曲:デイヴィッド・ヤズベック
原作:映画「フル・モンティ」
演出:トレイ・エレット
振付:ポール・マギル
オーケストレーション:ハロルド・ウィーラー
ボーカルおよび付随音楽編曲:テッド・スペリング
ダンス音楽編曲:ゼイン・マーク
【
東京公演<< S席17,500円、A席11,500円、B席6,000円
大阪公演<<
・特別席:昼公演18,000円、夜公演17,000円
・S席:昼公演16,500円、夜公演15,500円
・A席:昼公演11,500円、夜公演10,500円
・サイドシート:昼公演9,000円、夜公演8,000円
※東京公演のB席は、一般発売日から販売致します。
※車いす席に関しましてはS席をご購入頂き、各お問い合わせ先へお電話ください。
※営利目的の
※出演者変更による
※開演に遅れますと劇場内にご入場いただけない時間帯がございます。
【お問い合わせ】
<東京公演>キョードー東京 0570-550-799(平日11:00〜18:00 / 土日祝10:00〜18:00)
<大阪公演>キョードーインフォメーション(祝日を除く月~金曜 12:00-17:00) 0570-200-888
主催(大阪):関西テレビ、キョードー大阪
後援:J-WAVE(東京公演のみ)、FM802/FM COCOLO(大阪公演のみ)、アメリカ大使館
企画制作・招聘:キョードー東京
公開:1997 イギリス映画
配給:20世紀フォックス
監督:ピーター・カッタネオ
脚本:サイモン・ビューフォイ
出演:ロバート・カーライル/トム・ウィルキンソン/マーク・アディ/スティーブ・ヒューイソン/ポール・バーバー/ヒューゴ・スピアー/エミリー・ウーフ/ウィリアム・スネイプ
ディズニープラスのスターで配信中