浦井健治×星風まどか×竹内夢が語る、ミュージカル『ゴースト』の愛と絆

17:00
インタビュー
舞台

(左から)竹内夢、浦井健治、星風まどか

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2018年の日本初演、2021年の再演を経て、ミュージカル『ゴースト』が2026年に再び幕を開ける。

映画『ゴースト/ニューヨークの幻』を原作に、死によって引き裂かれた恋人たちの姿を描く本作。主人公サムを初演から演じ続ける浦井健治に加え、今回からは新たにモリー役として星風まどかと竹内夢が参加。トニー賞授賞式の生中継番組(WOWOW『生中継!第78回トニー賞授賞式』)でパフォーマンスを終えた直後の三人に、話を聞いた。

熱気冷めやらぬ中で語られたのは、出演に向けての想いや互いの印象、『ゴースト』が描く“愛と絆”について。出会って間もない今だからこそ垣間見えた、新たなカンパニーの空気感にも注目してほしい。

ミュージカル『ゴースト』

トニー賞の熱気を感じた、歌唱パフォーマンス

ーー『ゴースト』の歌唱パフォーマンスをされた直後となりますが、いかがでしたか?

浦井:ミュージカルの本場の熱気と、一つひとつのパフォーマンスには人生が乗っているようでしたし、やはりトニー賞は特別だなあと。そんな特別な時間を、WOWOWさんがいろんな垣根を越えて日本へ届けていることのすごさも感じました。MCの(井上)芳雄さん、京本(大我)くん、(宮澤)エマさんが、数秒も狂わず確実に進行しているんですよ。とんでもない方々だなあと思いながら、同時にとても素敵な時間を共有させていただきました。

竹内:私はとにかく楽しかったです! マイクをつけて本番のような形式で『ゴースト』の楽曲を歌うのは、今日が初めてだったんです。Wキャストのモリーが一緒に歌うという意味でも貴重な機会だったので、とてもいい思い出になりました。放送終了後に芳雄さんとお写真を撮らせていただいたのですが、それは浦井(健治)さんが「写真撮ったら?」と声をかけてくださったからなんです。今から本当に頼もしくて、感謝しています。

星風:私は少し前にニューヨークへ行く機会があり、滞在中には今回のトニー賞が行われていたラジオシティ・ミュージックホールの前を何度も歩いていたんです。今日は画面を通して、現地の空気感や熱気を感じることができました。記念すべき瞬間にパフォーマンスさせていただくことができて、こんなにありがたい経験はないなと思います。作品としても自分としても、恥じないようにしっかり頑張らなくてはと、身が引き締まる時間でした。

「少しでも早く追いつきたい」——新モリーが見つめるサムの背中

ーー本作に初参加となるモリー役のお二人ですが、出演が決まったときの率直な気持ちを聞かせていただけますか。

竹内:「夢が叶うぞー!」ですね。「グランドミュージカルに出演したい」と長年言い続けてきたのですが、テレビのレギュラー番組のお仕事があるため、なかなか実現できない日々を過ごしてきました。そんな中でやっと掴んだチャンスだったんです。知らせを聞いたのは番組のコンサートのゲネプロ直前。思わず楽屋前の廊下をバーっと走って、「やったー!」と叫びました(笑)。今までずっと夢を言葉にしてきたので、言霊って本当にあるんだなと実感した瞬間でした。

星風:私も今回の出演が決まったときは本当に嬉しかったです。このような形で、浦井さんと初めてご一緒させていただけることも光栄でした。原作がある作品への挑戦になるので、映画を愛している方々の想いも背負わなきゃいけないなという気持ちもあります。初演と再演のモリーは、宝塚の先輩である咲妃みゆさんが演じていらっしゃいました。なので、嬉しさと同時にしっかり務めなくては、という想いもあります。

ーー浦井さんは今回で三度目の出演になります。新たなキャストを迎えて上演される本作に、どんな期待を抱いていますか。

浦井:今回の新しいカンパニーで上演できることを本当に幸せに思いますし、お二人それぞれが抱える想いを胸に板の上へ立つ瞬間に立ち会えるのはとても光栄なことですね。『ゴースト』には、人間誰しもが向き合うことになる死や、大切な人との愛や絆が描かれています。それを舞台を通して体現していると、自分の心が浄化されて素直になっていく感覚があるんです。今ある日常の尊さを理解することは、人生において何よりも大切なことなんだと教えてくれる作品だと感じています。

浦井健治

星風:今日の番組での歌唱でも感じたのですが、歌声ひとつとっても、浦井さんはサムとして何周も生きていらっしゃることが伝わってくるんです。サムの人生を何度も重ねてこられた浦井さんに、新モリーの私たちが喰らいついていくのは大変なことだと思います。今のお話を伺って、少しでも早く追いつきたいと強く思いました。

竹内:先日、歌唱指導の先生が「(浦井)健ちゃんについていったら大丈夫」とおっしゃっていて、本当にその通りだなと思いました。浦井さんは日本初演から出演され続けているからこそ、作品を深く理解していらっしゃいます。そんな浦井さんと意思疎通をしながら舞台上で歩んでいけば、きっと引っ張ってくださるんだろうなと。まずは己を磨き上げ、あとは役に魂を注いでいくだけだなと思います。

「芸能人だ〜!」初対面で感じた三人の空気感

ーーみなさん初共演となりますが、現時点でのお互いの印象を教えていただけますか?

浦井:Wモリーのお二人とは、今日の歌唱パフォーマンスのレッスンがほぼ初対面だったと思います。会った回数自体はまだ少ないですが、短い時間の中での二人の気の合い方や、お互いにリスペクトし合っている感じが本当に素敵だなあと感じました。

星風:私は人見知りなところがあるのですが、浦井さんと(竹内)夢ちゃんといると、自然と緊張がほぐれていくんです。先ほどの生放送での歌唱直前も、お二人は踊っていらっしゃって(笑)。私にとっては明るい太陽のような存在です。もう既に助けていただいているので、これからは私も一緒に踊れるくらい、明るく元気にやっていきたいです!

竹内:私はお二人が出演される舞台をずっと観てきました。今日のためのレッスンの場で、マイクを通していないお二人の歌声を初めて聴いたことも感激で! とにかく眩しくて「芸能人だ〜!」と、直視できないくらいだったんです(笑)。第一印象はそんな感じでしたが、今はこうしてフランクにお話してくださるのがとっても嬉しくて。きっと、そういうところが人気の秘訣なんだろうなあって、思わず考察してしまいました。

「愛もメッセージも必ず残る」——『ゴースト』の魅力

ーーミュージカル『ゴースト』は、どんな作品だと感じていますか?

竹内:本当に心が温かくなる作品だなと思うのと同時に、ミュージカル版は意外とコメディ要素も多いなあという印象があります。決してずっと悲しい物語なわけではないんですね。モリーは最愛の人を失ったり、ときには裏切られたり、悲しいこともたくさんあります。けれどその中でも、観ているお客様の心がふっと軽くなる瞬間が描かれているんです。そういう意味で、すごくバランスがいい作品だと感じています。

星風:浦井さんのサムと森公美子さんのオダ・メイの掛け合いが、本当に面白いんですよね。映画版は何度観ても泣いてしまうんですけれど、ミュージカル版ではそこに着地するまでの冒険要素がとても楽しくて。ただ、それをモリーとして演じるとなると大変かもしれないなと。モリーにはゴーストのサムは見えていない設定なので、オダ・メイとの掛け合いを前に笑いを堪えられるかどうか……そことの戦いですね(笑)。人と人との絆は永遠だという作品のメッセージも、とても素敵だなと思います。エンターテインメント性とメッセージ性を併せ持った、とても魅力的な作品です。

星風まどか

浦井:モリクミ(森公美子)さんとはこの作品に入ると東日本大震災のことをよく話していました。『ゴースト』という作品には、震災後に置かれていた無人の電話ボックスに込められた想いにすごく近しいものがあると思います。愛もメッセージも必ず残るし、心の中では対話だってできる。それが勇気となって、未来への手助けになっているかもしれない。亡くなられた方も、「ずっと一緒だよ」と伝えようとしているのかもしれません。そんなことを、カンパニーみんなが念頭に置いて作ってきた作品です。

今も、世界では悲しい出来事がたくさん起きています。でも、みんなで日常を大切にして手を取り合えれば、哀しみのない世界に繋がるんだろうなあって。そういったエンターテインメントの可能性や、本来の演劇の姿に直結しているのが今作品であり、強みでもあると思っています。その象徴的なシーンだなと思うのが、モリーのソロナンバーの「With You」なんです。モリーにとってはただ辛いんじゃなくて、それこそが愛であり、サムから生きる勇気をもらっている瞬間なのかもしれません。そんなモリーの姿を通して、僕自身もまた勇気をもらえそうな気がしています。

サムとモリー、それぞれの役への向き合い方

ーーそれぞれの役について、演じるにあたって大切にしていきたいことを教えてください。

竹内:今は「信じてみよう」ということが、モリーのキーになっていると考えています。もちろん強い女性ではあるけれど、ただ強いだけではなく、“信じる”という愛の強さが大きい女性なのかなと。その姿は、私自身が今まで夢を叶えようと信じ続けてきたことと、シチュエーションは違えど重なるところがあるなあと感じています。その重なりを十分に引き出した上でモリーと向き合い、モリーの姿に投影しながら演じることで、お客様にも彼女の心の強さが伝わったらいいなと思っています。

星風:言葉で表現すると、意志を貫くパワーを持っている、すごくエンジンが大きくて強い女性。でもその強さがどこから来るのかと考えると、大切な人を守るためなのかなと思うんです。私自身も、家族のように自分の命に代えても守りたいものがあるときに燃えますし、そこに生きる意味を感じます。モリーは、この世にはいないサムの存在のために頑張ることができているんじゃないかな、と思うんです。彼女の強さの中には、不安定さや何かにすがりたい気持ちもきっとあります。そんな彼女の持つ弱さにも寄り添っていけたら、より魅力的なモリーになるんじゃないかなと、今の時点では感じています。

浦井:僕はただただ“ライブであれ”と思っています。この物語の冒頭は、サムとモリーがブルックリンの新居に住み始めるシーン。今日歌わせていただいた、「今ここで(Here Right Now)」からの「冒険のスタート」みたいな始まりなので、毎回「よし、今日もいくぞ」とスタートを切れるのが、この作品の魅力でもあるので、新鮮な気持ちで毎公演、楽しんでやれたらいいなと思います。

稽古前の今だから聞ける、休日と舞台裏の姿

ーーモリー役のお二人から、何か浦井さんに聞いておきたいことはありますか?

竹内:はい! お忙しいと思うんですけど、休日はどうやって過ごしているんですか? ぜひ、(星風)まどかさんにも聞きたいです。

竹内夢

浦井:逆に、何をしているんですか?

竹内:私は家から一歩も出ません。料理もせず、寝れるだけ寝るという感じです。睡眠過多なところがあって、平気で15時間くらい寝ちゃうんですよ。

星風:私は次の日が休みだったら、お家に帰ったときから休日が始まっていると思っていて。そこから夜ふかしして、映像を観たりゲームをしたり、朝まで起きているんです。朝に寝始めて夕方に起きて、元気だったらスーパーに出かけます。

竹内:その睡眠時間でこの美貌ということが摩訶不思議です! ついていきたいと思います!

浦井:僕は逆に外に出て、リフレッシュをしたり、身体のメンテナンスに命懸けてるところがあるのでマッサージにいったり。あとは時間のない中でどう遊ぶかというのは、みんなと一緒かなあ。以前、シェイクスピアの芝居をやっているときに中嶋朋子さんから言われたんです。「普通の人を演じるには、普通の日常を過ごしている人間じゃなきゃ説得力がない」と。

竹内:寝ている場合じゃないですね……! 普通の人を演じるためにも、普通の人の時間で寝るようにしたいなと、今ちょっと思いました(笑)。

ーー星風さんからも質問をどうぞ。

星風:ある人からの情報なのですが、浦井さんは一日にすごい量のコーヒーを飲むと聞きました。公演中もアイスコーヒーを飲んでいると。それは本当ですか?

浦井:ある人が気になるけれど(笑)。好きで飲んでいるんですが、願掛けに近いところもあるかもしれません。ただ、公演によってステージドリンクが変わることもあるんですけど、お二人は何を飲んでいるんですか?

星風:宝塚時代はすごく動いて汗もかくので、お水にクエン酸を混ぜたり経口補水液を飲んだり、塩分も摂るようにしていました。最近はずっとお水ですね。硬水は身体に合わないので、軟水を飲むようにしています。

竹内:私は、いつも現場に置いてあるものを……。

浦井:あはは(笑)。

星風:それが一番いいよ! 適応能力が大事だと思います。

竹内:ありがとうございます(笑)。

(左から)竹内夢、浦井健治、星風まどか

2026年、新たな『ゴースト』へ

ーー最後に、お客様に向けてメッセージをお願いします。

竹内:これまでずっと憧れてきた方々と一緒に、この作品に参加できることで胸がいっぱいです。ストーリーは同じでも、毎公演必ず違ったニュアンスが生まれることが生の舞台の醍醐味だと思うので、そこも含めて楽しんでいただけたら嬉しいです。私のグランドミュージカルデビュー作は、この世にたったひとつ、この作品だけです。私が今後どうやって生きていくのかというドキュメンタリーだと思って、ぜひ見届けにいらしてください。

星風:三度目の上演となりますが、ストーリーを知っているからこその新しい発見もきっとあると思います。観劇する度に、違う見方で楽しめるのではないでしょうか。本当に素晴らしいお話ですし、今だからしか生まれない、この瞬間を切り取ったお芝居のキャッチボールも生まれると思います。ぜひ気兼ねなく、いろんなキャストの組み合わせの化学反応を観ていただけたら嬉しいです。劇場でお待ちしています。

浦井:僕とモリクミさんは3回目ですけど、今回からの新キャストが多いので、みんなで新しいものを作っていこうという気持ちです。このお二人の新モリーを観ないのは損ですし、カール役も今回初のWキャストとなるので、鈴木(拡樹)くんと太田(基裕)くんも新しい色を加えてくださると期待しています。スルメのように何度も味わえる作品ですし、サムとオダ・メイのやり取りもどんどん面白くなっていくと思います(笑)。それに、今回は真夏の上演となります。温かいストーリーの作品ではありますが、何しろ“ゴースト”ですから(笑)。そういう意味で、劇場へ涼みに来ていただければと思います。お待ちしています!


取材・文=松村蘭(らんねえ)    撮影=岡崎雄昌

公演情報

ミュージカル『ゴースト』
 
脚本・歌詞:ブルース・ジョエル・ルービン
音楽・歌詞:デイヴ・スチュワート&グレン・バラード
装置・衣裳:ジェームズ・ブラウン
演出:ダレン・ヤップ
共同演出:鈴木ひがし 
 
キャスト:
浦井健治、星風まどか/竹内夢、鈴木拡樹/太田基裕、森公美子  ほか 

 
【東京公演】
日程:2026年8月8日(土)~8月30日(日)
会場:日比谷シアタークリエ
お問合せ 東宝テレザーブ TEL:0570-00-7777 (ナビダイヤル)
 
■全国ツアー公演
【愛知公演】
日程:2026年9月4日(金)~9月6日(日)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール
お問合せ:キョードー東海 TEL:052-972-7466
 
【大阪公演】
日程:2026年9月11日(金)~9月13日(日)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
お問合せ:梅田芸術劇場 TEL:0570-077-039
 
【福岡公演】
日程:2026年9月18日(金)~9月20日(日)
会場:博多座
お問合せ:博多座電話予約センター TEL:092-263-5555
 
【東京(シアター1010)公演】 
日程:2026年9月26日(土)~9月27日(日)
会場:シアター1010
お問合せ:シアター1010 センター TEL:03−5244−1011
 
製作:東宝/WOWOW 
 
【作品公式サイト】
https://www.tohostage.com/ghost/